リベラリズムの衰退、命の選別、ジェンダーをめぐる攻防……
尽きることのない「不安の時代」を生きるための、心の旅の記録ーー。
東日本大震災から新型コロナの蔓延。日本、そして世界が大きな変化に曝された十数年。リベラリズムの衰退、ジェンダーをめぐる攻防、分断された被災地など、戦後の昭和的な社会の仕組みやそれを支える美徳が崩壊し、人々は不安の時代を生きている。著者がさまざまな現場に足を運び、そこで出会った人の生の声に耳を傾けながら、この社会を生きる意味を問う。新たな時代の扉を叩く、心の旅の記録。書き下ろし文庫版まえがき・あとがきを特別収録!
【目次】
年表
文庫版まえがき
はじめに
第一章 政治は人を救えるか
第二章 ルポ・福島を行く 〜分断された被災地
第三章 変わりゆく知のカタチ
第四章 揺れ動く世界
第五章 ジェンダーをめぐる攻防
第六章 問われる人間の価値
第七章 ルポ・沖縄を行く 〜消えない傷跡
第八章 コロナ禍を生きる
第九章 不透明な時代の幸福論
おわりに
文庫版あとがき
【著者略歴】
姜尚中(カン サンジュン)
1950年熊本県熊本市生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。東京大学名誉教授。専攻は政治学・政治思想史。著書に『在日』『悩む力』『母 -オモニー』『心』『アジアを生きる』他多数。
最近の日本の政治、教育、社会……
ちょっとおかしなことが多すぎませんか?
世の中の動きに、何も言わずに黙ってスルーしていると、
いつのまにか物事がどんどんアブナい方向に進んでいたり、
私たちにとって、日本の未来にとって、とても重要な問題が
きちんとした批判に基づいてしっかり議論されることなく
短時間で決まってしまったりすることが増えています。
どう考えてもおかしなことが平然とまかり通ってしまう
理不尽だらけの日本の社会とどう向き合えばいいのか。
そこに不可欠な、健全な批判でもっと議論を深めるための
正しい「批判のお作法」をどうやって身につければいいのか。
大阪のおばちゃん、谷口真由美と、
奈良のおっちゃん、前川喜平ががっちり対談。
黙って見過ごすわけにはいかない日本の問題に、
激アツトークで鋭くツッコミ入れさせていただきます!!
【目次】
第1章 「お上意識」が日本をダメにする
第2章 ヤンキーとカオスとラグビーで批判力を磨く
第3章 教育が直面している厳しい現実
第4章 政治が直面している厳しい現実
第5章 憲法が想定した人間を目指す
第6章 批判に疲れた人たちへ
【著者プロフィール】
前川喜平(まえかわ きへい)
元・文部科学事務次官 現代教育行政研究会代表
1955年、奈良県生まれ。東京大学法学部卒業。
79年、文部省(現・文部科学省)入省。94年、文部大臣秘書官。
2010年、大臣官房総括審議官。12年、大臣官房長。
13年、初等中等教育局長。14年、文部科学審議官、
16年、文部科学事務次官。17年、退官。
現在、自主夜間中学のスタッフとして活動しながら、
講演や執筆を行っている。著書に、『面従腹背』(毎日新聞出版)、
『これからの日本、これからの教育』(寺脇研氏との共著。ちくま新書) など。
谷口真由美(たにぐち まゆみ)
大阪国際大学准教授 全日本おばちゃん党代表代行
1975年、大阪府生まれ。国際人権法、ジェンダー法などが専門分野。
非常勤講師を務める大阪大学での「日本国憲法」講義が人気で、
一般教養科目1000科目の中から学生の投票で選ばれる
〝ベストティーチャー賞″こと「共通教育賞」を4度受賞。
TBS系『サンデーモーニング』、朝日放送『おはよう朝日です』『キャスト』、
ABCラジオ『伊藤史隆のラジオノオト』はじめ、
TV、ラジオ、新聞のコメンテーターとしても活躍。
2012年、おばちゃんたちの底上げと、オッサン社会に愛とシャレで
ツッコミをいれることを目的に、Facebook上のグループ
「全日本おばちゃん党」を立ち上
認知科学の概念「プロジェクション」とは、自分の内的世界を外部の事物に重ね合わせるこころの働きのことである。
プロジェクションには “推し”の存在に生きる意味を見出すようなポジティブな面がある一方で、霊感商法、オレオレ詐欺、陰謀論、ジェンダー規範など、他者によってこころを操られたり自分自身を無意識のうちに縛ったりすることでネガティブな問題を生じさせる面もある。
実際には起きていないことや存在しないものを想像して現実に投射できるがゆえに生まれる「イマジナリー・ネガティブ」を認知科学の視点で考察する一冊。
久保(川合) 南海子 (くぼ(かわい) なみこ)
1974年東京都生まれ。
日本女子大学大学院人間社会研究科心理学専攻博士課程修了。
博士(心理学)。
日本学術振興会特別研究員、京都大学霊長類研究所研究員、京都大学こころの未来研究センター助教などを経て、現在、愛知淑徳大学心理学部教授。専門は実験心理学、生涯発達心理学、認知科学。著書に『「推し」の科学 プロジェクション・サイエンスとは何か』(集英社新書)、『女性研究者とワークライフバランス キャリアを積むこと、家族を持つこと』(新曜社)ほか多数。
エッセイスト・酒井順子氏 推薦!
「ここまで書いてしまっていいの?」と思わせるほどの筆致が清々しい。
部活動での体罰や、勝利至上主義、アスリートのメンタルヘルスなど、近年スポーツに関する様々な問題が浮上している。
この構造を温存させてきたのが、理不尽なことにも従順に従う風土である。
それによって「体育会系」学生は、無理な仕事も拒まないと見なされ、就職活動でも有利に働き、組織の中で重用されてきた側面がある。
しかし、スポーツの価値はそこにあるのではない。
スポーツによって磨かれるのは、論理的かつ戦略的な思考、コミュニケーション能力、そして何より忖度なくフェアにプレー(行動)する精神である。
これらは社会の分断を乗り越え、コミュニティを支える基盤ともなる。
つまりスポーツには、社会を変革する力がある──。
本書では日本のスポーツ界に潜む病根を忖度なく指摘し、スポーツの真の価値を提言する。
【「はじめに」より】
スポーツを通して自分とは異なる他者と出会い、力を合わせて競技する中で、多様性の重要性を理解したり、コミュニケーション能力が高まります。
スポーツを介したつながりは、コミュニティを支える基盤にもなり得ます。また、スポーツによって鍛えられる分析力や行動力、戦略性は、学業やビジネスにも役立ちます。
本書ではこのような「スポーツの多様な価値」を考えたいと思います。
【目次】
はじめに…スポーツは感動の「打ち上げ花火」?/スポーツ観が変われば社会が変わる
序章ー東京五輪の「レガシー」とは何だったのか?…東京五輪検証の意義/勝利至上主義が選手を追い詰める/アスリートのメンタルヘルスを守るために/希望の萌芽
第1章ー子どもが輝くスポーツのあり方…若年層の全国大会は必要ない/フランスの親はなぜ子どもに柔道をさせるのか/自己評価ができれば弱くても続けられる
第2章ースポーツから考えるジェンダー平等…指導者の資質に男女差はない/「数」から「質」へ
第3章ー沈黙するアスリートたち…声を上げる海外の選手たち/毅然とした態度が取れない日本のスポーツ界
終章ースポーツの価値とは何か…スポーツは社会を映す鏡/「体育会系」がもてはやされる時代の終焉/スポーツが文化となるために
おわりに
【プロフィール】
山口香(やまぐち かおり)
筑波大学教授。柔道家。第1回全日本女子体重別選手権大会で最年少優勝。以後10連覇を達成。世界選手権では4個の銀メダルと、日本女子初の金メダルを獲得。1988年ソウル五輪では銅メダルに輝き、翌年引退。シドニー五輪、アテネ五輪で日本柔道チームのコーチを務めた後、日本オリンピック委員会(JOC)理事などを歴任。
2010年から2021年の激動の11年を著者の透徹した眼差しで振り返る、雑誌の人気連載が1冊の本に! 日本も世界も大きく揺れ動いたこの時代を読み解き、新しい幸せのあり方を導く。「政治は人を救えるのか」、「分断された被災地」、「変わりゆく知のカタチ」、「揺れ動く世界」、「ジェンダーをめぐる攻防」、「問われる人間の価値」、「戦争の消えない傷跡」、「コロナ禍を生きる」、「不透明な時代の幸福論」など。慈悲なき社会を生きる人々へ贈る救済のエールがここに。新たに収録された上野千鶴子さんのとの対談も必読!
【目次】
第一章 -政治は人を救えるか
第二章 ルポ・福島を行く 〜分断された被災地
第三章 変わりゆく知のカタチ
第四章 揺れ動く世界
第五章 ジェンダーをめぐる攻防
第六章 対談・上野千鶴子さんと語るこれからの生き方
第七章 問われる人間の価値
第八章 ルポ・沖縄を行く 〜消えない傷跡
第九章 コロナ禍を生きる
第十章 不透明な時代の幸福論
【著者略歴】
1950年、熊本県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。国際基督教大学准教授、東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授、聖学院大学学長などを経て、現在は、東京大学名誉教授・熊本県立劇場館長兼理事長・鎮西学院学院長・鎮西学院大学学長。専攻は政治学、政治思想史。著書『悩む力』がミリオンセラーになったほか、『マックス・ウェーバーと近代』『増補版 日朝関係の克服』『在日』『姜尚中の政治学入門』『愛国の作法』『ニッポン・サバイバル』『トーキョー・ストレンジャー』『心の力』『維新の影 ─近代日本一五〇年、思索の旅』『朝鮮半島と日本の未来』など著書多数。小説『母─オモニ─』『心』も刊行。
生殖と移植では「神の手を持つ名医」と評判の岸川卓也院長が率いる、贅沢な施設と高度な医療を誇るサンビーチ病院。泌尿婦人科医の秋野翔子は岸川に請われてこの病院に勤務することになった。そこでは性同一性障害やインターセックスの患者たちへの性転換手術やさまざまな治療が行われていた。翔子は「人は男女である前に人間だ」と主張し、人知れず悩み、絶望の淵にいた患者達のために奔走する。やがて翔子は、彼女に理解を示す岸川の周辺に不可解な変死が続いていることに気づく…。神が創り出した少数派の人間たちの魂の叫び、身体と魂の尊厳。医学の錯誤を見据える世界初テーマに挑む、衝撃と感動のサスペンス大作。
デザインと機能性を兼ね備えた幅広い商品ライン。タイポグラフィーを活用し、用紙の素材や印刷色にもこだわったエトランジェのカレンダー。4色表記デザインは視認性にすぐれたカレンダーとして、支持をいただいております。1年が一目で分かるB2ポスタータイプ。日付け表示がカラーアソートになっており、インテリアとしてもお勧めです。●寸法/728W X 515H [mm]●掲載期間/2022年1月〜2022年12月●枚数/1枚●罫内容/マンスリー●仕様/壁掛け
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この1冊で、知識がしっかり身につく!
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はじめに
第1部「書き方」編
第2部「書くネタ」編
1.文化、
2.言語
3.近代
4.哲学・思想
5.科学
6.文化
7.芸術
8.歴史
9.大学・学問
10.コミュニケーション
11.ジェンダー
12.現代の若者
13.日本文化
14.現代日本の問題
平安文学研究者出身の作家・奥山景布子が、「フェミニズム」「ジェンダー」「ホモソーシャル」「おひとりさま」「ルッキズム」など、現代を象徴するキイワードを切り口に「源氏物語」を読み解く。そこに浮かび上がってきたのは、作者・紫式部の女性たちへの連帯のまなざしだった。時空を超えて現代の読者に届くメッセージーー希望ある未来へとバトンを繋げる新解釈。著者初の古典エッセイ。
<目次>
はじめに 「サブカル」、そして「ジェンダー」「フェミニズム」
--紫式部の追究した「人間の真実」
第一講 「ホモソーシャル」な雨夜の品定め
--平安の「ミソジニー」空間
第二講 「ウィメンズ・スタディズ(女性学)」を古典で
--「女の主観」で探る夕顔の本心
第三講 ほかの生き方が許されない「玉の輿」の不幸
--「シンデレラ・コンプレックス」からの解放
第四講 「サーガ」としての「源氏物語」
--光源氏に課せられた「宿命」と「ルール」
第五講 「境界上」にいる、破格な姫君・朧月夜
--「マージナル・レディ」の生き方
第六講 宮家の姫の「おひとりさま」問題
--桃園邸は平安の「シスターフッド」?
第七講 「教ふ」男の「マンスプレイニング」
--紫の上の孤独な「終活」
第八講 「都合の良い女」の自尊心
--花散里と「ルッキズム」
第九講 平安の「ステップファミリー」
--苦悩する母たちと娘の「婚活」
第十講 宇治十帖の世界と「男たちの絆」
--「欲望の三角形」が発動する時
第十一講 薫の「ピグマリオン・コンプレックス」
--女を「人形」扱いする男
第十二講 「自傷」から「再生」へ
--浮舟と「ナラティブ・セラピー」
おわりに 古典を現代に
<著者プロフィール>
奥山景布子(おくやまきょうこ)
1966年生まれ。小説家(主なジャンルは歴史・時代小説)。名古屋大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。主な研究対象は平安文学。高校講師、大学教員などを経て、2007年第87回オール讀物新人賞を受賞し作家デビュー。2018年、『葵の残葉』(文藝春秋)で第37回新田次郎文学賞、第8回本屋が選ぶ時代小説大賞をダブル受賞。古典芸能にも詳しく、落語や能楽をテーマにした小説のほか、朗読劇や歴史ミュージカルの台本なども手掛ける。また、「集英社みらい文庫」レーベルでは、児童向けの古典案内・人物伝記も精力的に執筆。著書多数。
第1部は「心」です。心はどこにあるのでしょうか?心を見つめることは私たちにとって、どのような意味があるのでしょうか?臨床心理学の礎となる理論をもとに学んでいきましょう。第2部では「身体」の側面から、自分という存在について考えてみましょう。はじめに「心」と「身体」のつながりについて学びます。そしてその後は、私たちにとって自分の身体性がとくに強く感じられる「性」にも目を向けて見ましょう。第3部は、「心の病と健康」です。心身のバランスが崩れるとき、私たちにどのような変化が生じるのか、またそれを予防するためのちょっとしたコツも学んでいただけたら良いと思います。
トロフィーワイフ、毒親、連れ去り、婚費、ジェンダー、両親への離婚報告ーー大人気離婚ノンフィクションルポを原作に、さらに多様に、現代的に。信じられないような悲喜劇、だけど貴方の隣でも起こりうる体験談の数々。男性からの視点のみで語られたエピソードは全て真実か、それとも男性目線の都合のいい言い訳か。共感と反感の嵐を呼んだ問題作、第2巻。
戦後の住宅インフラを支えてきた団地。日本においても、戦後すぐは先進的な生活の象徴として、現代では20世紀へのノスタルジーの対象として、70年以上にわたってあらゆる世代の人びとがこの集合住宅に想いを託してきた。そうした時代の流れは団地が登場するフィクション=「団地作品」にも反映されている。
本書では15年にわたって団地作品について語るイベントを50回開催してきた集団=「団地団」が、団地作品の歴史を通覧。社会、風俗、家族、ジェンダー、創作などさまざまな観点から、戦後社会の変遷とフィクションの役割を考える。
【目次】
第一部 団地はなにを映してきたか?
第一章 団地映画の誕生と高度経済成長の終焉 1961年〜
第二章 社会のダークサイドの象徴として 1978年〜
第三章 団地ルネッサンスの夜明け 1994年〜
第四章 アフター『団地ともお』の世界線で 2003年〜
コラム1 団地と「地霊」の物語 大山顕
第二部 団地はなにを作ってきたか?
第五章 団地と女の60年
コラム2 「団地」もまた物語を産み出す「場」--「侵入」と「脱出」 佐藤大
コラム3 漫画「団地で育ったヤバい私」 妹尾朝子 (うめ)
第六章 なぜ世界的映画監督は団地で映画を撮るのか
【著者略歴】
団地団 (だんちだん)
団地トークユニット。2010年結成。写真家の大山顕、脚本家の佐藤大、ライター・編集者の速水健朗、ライター・編集者の稲田豊史、小説家の山内マリコ、漫画家の妹尾朝子(うめ)が中心メンバー。著書に『団地団 ベランダから見渡す映画論』(キネマ旬報社)。2025年3月12日から8月24日にかけて高島屋史料館TOKYO 4階展示室で「団地と映画ー世界は団地でできている」を開催。
文芸評論家・斎藤美奈子氏激賞!
第19回開高健ノンフィクション賞受賞作
1945年夏ーー。日本の敗戦は満州開拓団にとって、地獄の日々の始まりだった。
崩壊した「満州国」に取り残された黒川開拓団(岐阜県送出)は、日本への引揚船が出るまで入植地の陶頼昭に留まることを決断し、集団難民生活に入った。
しかし、暴徒化した現地民による襲撃は日ごとに激しさを増していく。
団幹部らは駅に進駐していたソ連軍司令部に助けを求めたが、今度は下っ端のソ連兵が入れ替わるようにやってきては、“女漁り"や略奪を繰り返すようになる。
頭を悩ました団長たちが取った手段とは・・・・・・。
《選考委員、全会一致の大絶賛!》
作品は、共同体の「自己防衛」のために女性たちを「人柱」に捧げる「隠された暴力」の柔らかなシステムを浮かび上がらせている点で、極めて現代的な意義を有していると言える。
ーー姜尚中氏(東京大学名誉教授)
本書は、変わることのできなかった日本人の問題として悲しいことに全く色褪せていないのである。
ーー田中優子氏(法政大学名誉教授)
犠牲者の女性たちが著者の想いと心の聴力に気づいて、真実の言葉を発してくれたのだ。
われわれはその言葉に真摯に耳を澄まし、社会を変えていかねばならない。
ーー藤沢周氏(芥川賞作家)
この凄惨な史実をほぼすべて実名で記した平井の覚悟と勇気は本物だ。
隠された史実の掘り起こしだけではない。ジェンダー後進国であるこの国への果敢な挑発であり問題提起でもある。
ーー森達也氏(映画監督・作家)
【著者略歴】
平井美帆(ひらい・みほ)
1971年大阪府吹田市生まれ。ノンフィクション作家。
1989年に高校卒業と同時に渡米し、南カリフォルニア大学に入学。同大学で舞台芸術と国際関係学を学び、1993年卒業。
その後、一時東京で演劇活動に携わるも、1997年に再び渡米し、執筆活動を始める。2002年に東京に拠点を移す。
著書に『中国残留孤児 70年の孤独』(集英社インターナショナル、2015)、
『獄に消えた狂気 滋賀・長浜「2園児」刺殺事件』(新潮社、2011)、『イレーナ・センドラー ホロコーストの子ども達の母』(汐文社、2008)、
『あなたの子宮を貸してください』(講談社、2006)など。
「多様性」の時代のヒーローとは──
【推薦コメント】
本書はヒーローの変遷を歴史的な流れのなかで見通すひとつの示し、手がかりを与えてくれる。
────三木那由他氏(大阪大学大学院講師・『言葉の風景、哲学のレンズ』、『会話を哲学する』)
【おもな内容】
世界を救う、「正義」の象徴たるヒーローは、圧倒的な“マジョリティ”として表象されてきた。
しかし21世紀を迎え、ジェンダー、加齢、障害、新自由主義といった様々な観点への理解・変化から、留保なしでその存在は認められなくなった。
では、ヒーローたちはどのように「多様性」と向き合うのか?
そして、「ポスト真実の時代」とどう対峙していくのか?
本書は、ヒーローの誕生から発展までの歴史的視座を参照し、アメリカと日本のポップカルチャーに登場、活躍する《新しいヒーロー像》を縦横無尽に論じる。
ヒーローを考えることは社会を考えることだ!
【目次】
序章 多様性の時代の正義
第一章 法の外のヒーローたち
第二章 二つのアメリカと現代のテーレマコス
第三章 トランプ時代の「お隣のヒーロー」
第四章 多様性の時代に「悪」はどこにいるのか?
第五章 「オレはまだまだやれる!」──中年ヒーローの分かれ道
第六章 障害、加齢とスーパーヒーロー
第七章 日本のヒーローの昔と今
第八章 正義のパロディとニヒリズムとの戦い
第九章 デスゲームと「市場」という正義、そしてケアの倫理へ
第十章 ポストフェミニズムと新たな「ヒーロー」
終章 私たちの現在地
おわりに 正義はどこへ行くのか?
【著者略歴】
河野真太郎(こうの・しんたろう)
1974年、山口県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学。
博士(学術)。
専修大学国際コミュニケーション学部教授。
専門はイギリス文学・文化およびカルチュラル・スタディーズ。
著書に『はたらく物語 マンガ・アニメ・映画から「仕事」を考える8章』(笠間書院)、『新しい声を聞くぼくたち』(講談社)、『増補 戦う姫、働く少女』(ちくま文庫)、翻訳にウェンディ・ブラウン著『新自由主義の廃墟で』(人文書院)など多数がある。
性の在り方を根本から問う、医療サスペンス
男でも女でもない性を生きる人たちの魂の叫びを聞く、驚愕の医療サスペンス。高度医療で名高い病院を経営し、患者たちに〈神の手〉と慕われる天才医師の狂気と人間の尊厳を問う。(解説/伏見憲明)
原作小説TVドラマ化!
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NHK総合 ドラマ10「燕は戻ってこない」
2024年4月30日(火)22時から放送スタート予定(全10回)
出演:石橋静河 稲垣吾郎 内田有紀 ほか
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【第64回 毎日芸術賞受賞作】
【第57回 吉川英治文学賞受賞作】
この身体こそ、文明の最後の利器。
29歳、女性、独身、地方出身、非正規労働者。
子宮・自由・尊厳を赤の他人に差し出し、東京で「代理母」となった彼女に、失うものなどあるはずがなかったーー。
北海道での介護職を辞し、憧れの東京で病院事務の仕事に就くも、非正規雇用ゆえに困窮を極める29歳女性・リキ。「いい副収入になる」と同僚のテルに卵子提供を勧められ、ためらいながらもアメリカの生殖医療専門クリニック「プランテ」の日本支部に赴くと、国内では認められていない〈代理母出産〉を持ち掛けられ……。
『OUT』から25年、女性たちの困窮と憤怒を捉えつづける作家による、予言的ディストピア。
頁の隙間から聞こえてくる、今の世界を保持するための骨組の軋み。
こういう小説と出会うことでしか、私達は私達の不都合な部分を見つめられない。
ーー朝井リョウ(作家)
女であること、産む性であることは、なんて悲しいのだろう。
ラストを読み、思わず溢れた涙の理由を、私は今も考えつづけている。
ーー小島慶子(エッセイスト)
新技術と経済・ジェンダー格差が交差するとき、恩恵を受けるのは男性だ。
被害をこうむるマイノリティの苦しみを、マジョリティの私がどこまで想像できるかを突きつけられ、たじろいだ。
ーー斎藤幸平(経済思想家)
読んでいる間、ずっと殴られるような感覚に襲われていた。
それは自分を含む大勢の人が、今この瞬間も世界に殴られ続けているのだという、気付きであり目覚めでもある、大切な痛みだった。
ーー村田沙耶香(作家)
【著者略歴】
桐野夏生(きりの・なつお)
1951年、金沢市生まれ。93年『顔に降りかかる雨」で第39回江戸川乱歩賞受賞。98年『OUT』で第51回日本推理作家協会賞、99年『柔らかな頬』で第121回直木三十五賞、2003年『グロテスク』で第31回泉鏡花文学賞、04年『残虐記』で第17回柴田錬三郎賞、05年『魂萌え!』で第5回婦人公論文芸賞、08年『東京島』で第44回谷崎潤一郎賞、09年『女神記』で第19回紫式部文学賞受賞。10年、11年『ナニカアル』で第17回島清恋愛文学賞、第62回読売文学賞の二賞を受賞。15年、紫綬褒章を受章。21年、早稲田大学坪内逍遙大賞受賞。23年『燕は戻ってこない』で第64回毎日芸術賞、第57回吉川英治文学賞の二賞を受賞。
フェミニズムの「落とし物」がここにあるーー。
今世紀に入り、日本社会で大きく膨れ上がった「スピリチュアル市場」。
特に近年は「子宮系」「胎内記憶」「自然なお産」に代表されるような妊娠・出産をめぐるコンテンツによって、女性とスピリチュアリティとの関係性はより強固なものとなっていった。
しかし、こうしたスピリチュアリティは容易に保守的な家族観と結びつき、ナショナリズムとも親和性が高い。
本書は、この社会において「母」たる女性が抱く不安とスピリチュアリティとの危うい関係について、その構造を解明する。
「子宮系、胎内記憶、自然なお産。女性たちのスピリチュアルで切実な思いを分析した画期的な本だ。」--森岡正博氏、推薦!
◆目次◆
第1章 妊娠・出産のスピリチュアリティとは何か
第2章 「子宮系」とそのゆくえ
第3章 神格化される子どもたちーー「胎内記憶」と胎教
第4章 「自然なお産」のスピリチュアリティ
第5章 女性・「自然」・フェミニズム
第6章 妊娠・出産のスピリチュアリティとその広まり
◆著者略歴◆
橋迫瑞穂(はしさこ・みずほ)
1979年、大分県生まれ。立教大学大学院社会学研究科社会学専攻博士課程後期課程修了。立教大学社会学部他、兼任講師。
専攻は宗教社会学、文化社会学、ジェンダーとスピリチュアリティ。また、ゴシック・ロリータやゲーム、マンガなどのサブカルチャーについても研究している。
著書に『占いをまとう少女たちーー雑誌「マイバースデイ」とスピリチュアリティ』(青弓社)がある。
「働け、産め、輝け!」安倍政権の下、女性が輝ける社会をと叫ばれながらも、日本の男女平等度ランキングは世界101位(2015年)。その根に潜む、女性自身の男女差別意識をあぶりだすエッセイ20章。
2010年から2021年の激動の11年を著者の透徹した眼差しで振り返る、雑誌の人気連載が1冊の本に! 日本も世界も大きく揺れ動いたこの時代を読み解き、新しい幸せのあり方を導く。「政治は人を救えるのか」、「分断された被災地」、「変わりゆく知のカタチ」、「揺れ動く世界」、「ジェンダーをめぐる攻防」、「問われる人間の価値」、「戦争の消えない傷跡」、「コロナ禍を生きる」、「不透明な時代の幸福論」など。慈悲なき社会を生きる人々へ贈る救済のエールがここに。新たに収録された上野千鶴子さんのとの対談も必読!
【目次】
第一章 -政治は人を救えるか
第二章 ルポ・福島を行く 〜分断された被災地
第三章 変わりゆく知のカタチ
第四章 揺れ動く世界
第五章 ジェンダーをめぐる攻防
第六章 対談・上野千鶴子さんと語るこれからの生き方
第七章 問われる人間の価値
第八章 ルポ・沖縄を行く 〜消えない傷跡
第九章 コロナ禍を生きる
第十章 不透明な時代の幸福論
【著者略歴】
1950年、熊本県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。国際基督教大学准教授、東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授、聖学院大学学長などを経て、現在は、東京大学名誉教授・熊本県立劇場館長兼理事長・鎮西学院学院長・鎮西学院大学学長。専攻は政治学、政治思想史。著書『悩む力』がミリオンセラーになったほか、『マックス・ウェーバーと近代』『増補版 日朝関係の克服』『在日』『姜尚中の政治学入門』『愛国の作法』『ニッポン・サバイバル』『トーキョー・ストレンジャー』『心の力』『維新の影 ─近代日本一五〇年、思索の旅』『朝鮮半島と日本の未来』など著書多数。小説『母─オモニ─』『心』も刊行。
2023年を国内・海外の英文ニュースで総ざらい。英文と語彙の理解に役立つ解説つき。
1年を国内・海外の短い英語ニュースで総ざらい。英文と語彙の理解に役立つ解説つきで、英字新聞や英語ニュースに取り組みたい方に最適です。
1)2023年に配信された各通信社の英語ニュース記事を67本抜粋。
*AP、ロイター、共同通信、AFP-Jiji、The Japan Times
2)今年特に話題になった出来事・ニュースを振り返りながら、「生」の英文で、読解力・文法力・語彙力を鍛えられる!
3) 1つの記事は1〜2段落分(40〜70 words)。短いからサクサク読める
4) 倉林秀男氏による文法・語彙解説付き (『ヘミングウェイで学ぶ英文法』ほか著書多数。専門は英語学、文体論)
5)各記事を3段階にレベル分け&ジャンル分け。自分のレベルや興味に合う記事を選んで学習できる