●本書の著者D・W・ウィニコット(1896-1971)が亡くなってからほぼ半世紀になるが,最近になってもウィニコットに関する新しい書物が内外で続々と出版され,その関心は衰える気配がない。生前からウィニコットは世界各国に招かれて講義や講演を行い,ラジオ番組を持つなど,臨床家から一般の人にいたるまで幅広く知られていたが,没後久しいにもかかわらずこれだけの注目を得ているのは,後述のように,彼の発想のなかに同時代には容易に理解されない,時代を先取りした視点があったからでもあろう。また,ウィニコットへの今日の注目は,単純な理想化によるものではなく,そのさまざまな側面や複雑さを見つめながらそこから学ぼうとする,以前よりも成熟した受容になっているように思える。
本書『遊ぶことと現実(Playing and Reality)』(原書1971年)は,ウィニコットの生前に編集されたものとして最後の論文集である。それ以前の,各時期の多様な臨床論文を集めた観のある『小児医学から精神分析へ』(1958)や『情緒発達の精神分析理論(原題:成熟の過程と促進的環境)』(1965)とはやや違って,移行現象と中間領域を扱った論文を中心に選ばれており,晩年を迎えたウィニコットの,ひとつのテーマを明確に打ち出そうとする意図がうかがえる論文集である。
●目次
謝辞
序論
第1章 移行対象と移行現象
第2章 夢を見ること,空想すること,生きること──一次的解離を記述するケース・ヒストリー
第3章 遊ぶこと──理論的記述
第4章 遊ぶこと──創造的活動と自己の探求
第5章 創造性とその諸起源
第6章 対象の使用と同一化を通して関係すること
第7章 文化的体験の位置づけ
第8章 私たちの生きている場所
第9章 子どもの発達における母親と家族の鏡ー役割
第10章 本能欲動とは別に交叉同一化において相互に関係すること
第11章 青年期発達の現代的概念とその高等教育への示唆
終わりに
文献
解説
訳者あとがき
索引
専門家としての科学技術者の役割を問い直し、市民に開かれた新しい科学技術のあり方を追求する。
SST(Social Skills Training:社会生活技能訓練)は、社会生活を営む要となるコミュニケーション技能を回復・改善し、自己対処能力を高める効果的な方法である。わが国では80年代に紹介され、精神障害者の社会復帰、社会参加を目指す精神的リハビリテーション領域で、急速に普及、発展をとげてきた。さらに現在では矯正教育・更生保護領域、児童生徒の学校教育現場へと広がりをみせている。本書では、SSTを、技法、理論、トレーニング、効果研究、各領域での展開といった視点から多角的にとらえ、これまでになされてきた実践と研究の集大成を図る。精神科医、看護師、作業療法士、精神保健福祉士、心理士等、職種を越えて、SSTを包括的に深く理解するための1冊である。
こころの襞の解きほぐしー子どものかすかな動きが告げる世界の豊かさに気づくこと。現象学の視点から教育現場に長年関わってきた著者が、そのエッセンスをやさしく説く。
「SDGs」など17項目、「地球温暖化」など13項目、「生物多様性と生態系」など18項目、「貧困と公正」など13項目、「少子高齢化と人口減少社会」など11項目、「持続可能な消費と生産」など10項目、「社会に開かれた教育課程」など24項目、「環境教育」など20項目、「探究的な学習」など13項目について幅広く取り上げて解説。何が課題であり、今、何をするべきなのかを考えるための1冊。
統合失調症が不治の病ではなく、有効な治療法があり、さらに、予防の可能性さえも注目されていることがわかりやすく述べられている統合失調症の治療ガイド。付録として、統合失調症の代表的症状である幻覚妄想を疑似体験できる「バーチャルハルシネーションCD-ROM版」と解説パンフレットを収録。
本書は環境教育学の基礎理論の構築、および、その深化と越境を求めるという複眼的な視点を併せ持ち、環境教育の発展のために教育学的見地からアプローチした意欲的な研究書である。前半では基礎理論の構築を目指し、後半では環境教育の教育的価値論の検討と他の教育分野への越境をもくろんでいる。
第一部の「環境教育学の基礎理論」では、学理論の構築を目指すために、用語の詳細な検討と環境教育の黎明期の歴史について検討する。用語、環境教育史、環境問題史を概観した後で、教育学的アプローチの特質と意義やその必要性、理論的な研究の意義について論じる。底流に流れる問いは「そもそも環境教育とは何か」である。
第二部の「環境教育学の越境を求めて」では、環境教育のダブルバインド状況を描出し、環境教育における教育的価値論の必要性を確認する。また、環境教育の教育的価値論を本格的に検討する。さらに、環境絵本を手掛かりに環境教育の領域の境界を超える試みを行う。底流に流れる問いかけは「環境教育はなんであることにしようか」である。
第一部 環境教育学の基礎理論
序 章 本書の課題と構成
第一章 用語「環境」「環境教育」の系譜
第二章 黎明期の環境教育成立史に関する教育学的考察
第三章 環境問題史に関する基本的考察
第四章 環境教育に対する教育学的アプローチの基盤
第五章 環境教育学の学理論に関する基礎的考察
第二部 環境教育学の越境を求めて
第六章 環境教育ダブルバインド論を超えて
第七章 「持続可能性」概念を基盤とした環境教育理念
第八章 「ある存在様式」を手がかりとした環境教育理念
第九章 絵本のなかの 既存型環境教育を求めて
終 章 生きる環境教育学
限りある資源、美しい地球を次世代につなげていくために、私たちは今、何ができるだろう?「食」「自然」「暮らし」「心」「住」の5分野からさぐる未来への可能性。
糖尿病性腎症(以下:腎症)は透析療法導入の原因疾患では最大のもので、新規透析導入の約40%を占めています。
腎症の重症化を予防するには、多職種連携による早期からの患者支援と治療が重要です。
本書では、各職種の役割を示した上で、患者の状況に合わせた具体的な支援を詳しく述べています。
患者が自分の病状を理解し、セルフケアを続けていけることを目標にした支援が理解できます。
フランスの楽譜出版社であるルモアーヌ社の持つ、こども向け作品の中から、フランス音楽の第一人者として活躍するピアニスト堀江真理子さんが選曲し、校訂を加えた楽譜です。
フランスの作品特有の“音符の空間に漂う香り”を感じていただける小品集ですので、年少のうちからレパートリーの世界を広げて豊かな音楽性を楽しみ、身にしていっていただけるよう願っての発刊です。堀江真理子さんによるエッセイ「フランスの教材(発表会)事情」を掲載。選曲・校訂:堀江 真理子
【対象レベル】
バイエル後半程度
【こどものための現代フランスピアノ小品集の特徴】
ルモワーヌ社(パリ)から出版されている「Le monde merveilleux de la musique音楽のすばらしい世界」1〜6巻、「La flute d'Argent銀の笛」「Jeunes artistes au clavierピアノの前の若い芸術家」から楽曲を抜粋。より良いぴあの学習のため、出版にあたり指使いの見直しやアーティキュレーションの加筆しております。また、フランス作品特有の“音符の空間に漂う香り”を感じていただける小品集になっております。1巻は、こどもらしいかわいいタイトルをもつ1〜2ページの作品が揃っています。2声がほとんどで、両手のバランスをしっかりと学ぶことができます。
【こどものための現代フランスピアノ小品集 収載作曲家一例】
シモーヌ・プレ、スザンヌ・ソエ=ブルノワ、フレッド・バルロー、ジェラール・ムニエ、アンリエット・ピュイク=ロジェ、ピエール・ランティエ、ポール・ジョム、シャルル・ケックラン、モニーク・ガビュ、シャルル・ジェイ、ピエール・サンカン、ジェルメール・タイユフェル、アルベール・ボカン、アンリ・バロ、J.ミュルデルなど
【営業担当より】
巻末に記されております堀江先生の「こどもの音楽教育に思うこと そしてフランスでは」はこの曲集を使う際に是非読んでから取り組んでいただきたい内容となっております。ピアノの練習はテクニック強化に偏るのではなく、総合的な学習が必要だと記されており、想像力を養ったり指と鍵盤の触れ合いを大事にするとき、フランスの楽曲はピアノ学習に欠かせない教材として考えることができます。本書では指づかいが見直されていることで、こども期の大事な時期に変なクセや汚い音を覚えることなく正しい基本を身につけることができます。
※本書は「ヤマハピアノライブラリー こどものための現代フランスピアノ小品集 1」(GTP01084209)と同じ内容です。
自社の事業継承のみならず、わが国の復活を考える上でも重要な創造性をかき立てて付加価値を生み、市場から評価を得られるプロセスを披露するとともに、中小企業が取り組むべき観点から、成長の源泉となる創造性を生み出す方法を提言する。
大阪・保育所聖愛園の「障害」児共同保育50周年を記念して刊行するブックレット(インクルーシブ(共生)教育研究所双書)。本書は,初代施設長として聖愛園の取り組みをもとに,その延長上にあった西淡路希望の家(知的障害者授産施設)の活動で学んだことを省察した論考。