これから心理学の大海原に船出する若者たちへ。この本は15人の心理学者たちが贈る航路図である。人間の行動の仕組みを理解し、社会問題を考えるために、これから認知、発達、社会、感情、人格、臨床、法、犯罪の各心理学の海を案内しよう。この本が諸君の楽しい航海のよき水先案内となることを祈っている。
日本書道史上、能筆家日本三蹟の一人、藤原佐理は、正しく伝えられてはいなかった。藤原兼家、道隆、道長等勝利者の系譜を主流とする『大鏡』には、佐理は、根廻しの拙ない政略にうとい如泥人の評をうけ、歴史的に敗北者とされている。しかし、『大鏡』の佐理評については、そうした反面をも考えるべきではないか。著者の研究は、佐理の多くの記録を広く整理し、天暦の治から摂関時代への推移、藤原氏内部の政争の中の佐理を見つめている。佐理の若年以来の行動と書状を関連し解読し、古記録と結んで裏付けとした。今、ここに、佐理の玲瓏とした実像を浮び上らせている。
山のあなた、海のかなたに求める「幸いの国」とはー。王朝びとの魂の原郷であった浄土、楽土の世界を探る。
本書は、明治以降現代までの名歌556首をとりあげ、それぞれ鑑賞を加えたものである。本書に収録した歌人は122名で、現在活躍中の歌人までを含めた。鑑賞の対象とした作品は、現行教科書の採録歌を原則として収め、それ以外については各執筆者に選出を抑いだ。
独歩の本領は短編小説にあるといってよいだろう。本書では、前著で論究した「源おぢ」「武蔵野」の二編を除き、短編を八つに絞り、考察を試みた。それらの小説には、『欺かざるの記』の時代に練りあげられた独歩固有の問題意識と、さらに民友社で培われた時代への敏感な眼配りが通底している。独歩は、その時々で、何が問題になっているかを的確につかんだ。その把握したものを彼固有の問題意識に引きつけて小説世界を創造しようとしたのである。
伝承民謡402曲収載と四国巡礼礼所地図・遍路巡礼御詠歌も収載の決定版!
裁判・事件の解明に託された人生洞察の文学。善悪に揺れ動く世の人心を時の名奉行が一刀両断。
近代文学にとって『源氏物語』は何であったか。どうかかわり、どのように享受してきたか。平安朝文学と近代文学の垣根を越えて、「近代文学における源氏物語」の新たな論を展開。
谷川士清にとって、“日本魂”とは何だったのか。徳川体制の時代背景と、『日本書紀通證』にこめられた熱い歴史の受容、さらに『和訓栞』に結実する古語の正しい理解を通して、当時の学問と生き方に大きな明りを灯した士清の生涯。
『一握の砂』の構造ー編集・割付の巧緻ーを初めて解析する…(第1部)、歌集創造過程と幸徳事件ーこの不可分の関係ーの中に啄木像を結ぶ…(第2部)。
学校カウンセリングの理解と実践のための一冊!臨床心理学、学校心理学、コミュニティ心理学の内容を幅広く取り入れ、教師や教師志望者にも、スクールカウンセラー志望者にも役立つ。
戦後の文学を形成する作家の中から、50余名を選び、その最も戦後的な特徴を持つ作品を論ずることで現代という複雑な時代の全貌を浮かびあがらせようとする著者の野心的な試みがここに結実。