モテない僕の初めての恋人は、白くて細くて、手が冷たくて(「ばにらさま」)。自分勝手な親友から持ちかけられた同居を、私は決して断れない(「菓子苑」)。かつての同級生が私に遺した意外なものとは(「子供おばさん」)。日常の風景がガラリと一転するー光と闇に圧倒される戦慄の6編。著者最後の作品集。
土手下に転がされていた無残な遺体。暴行の痕が残る体には、メッセージが残されていた。「目には目を」。明かされる悲しい過去、次々と現れる容疑者、そして新たな殺人。罪を償うべきはーあなたかもしれない。『永遠の仔』『悼む人』の著者が描く、ノンストップ・クライムサスペンス。
人を愛した記憶はゴミのようには捨てられない。黒人の男「リック」を愛した「ココ」。愛が真実だったとしたら、なぜ二人は傷つき別れなければならなかったのか。男、女、ゲイ、黒人、白人ー、ニューヨークに住むさまざまな人々の織りなす愛憎の形を、言葉を尽くして描く著者渾身の長篇。女流文学賞受賞。
北国の藩、筆頭家老暗殺につかわれた幻の剣「馬の骨」。下手人不明のまま六年、闇にうもれた秘太刀探索を下命された半十郎と銀次郎は藩内の剣客ひとりひとりと立合うことになる。やがて秘剣の裏に熾烈な執政をめぐる暗闘がみえてくる。
修道院で育った汚れなき乙女フランチェス子のオ×××に人面瘡がデキた!「お前はダメ女だ」と朝な夕なに罵倒する人面瘡を、けなげにも“古賀さん”と呼んで共同生活をするフランチェス子の運命やいかに?極北の笑いと奇想天外な物語の裏に、現代人のジェンダーを見つめる醒めた視線が光る、著者の代表作。
征台の気運が高まる明治七年、大久保利通は政府内の反対を押し切り清国へ渡る。実権を握る李鴻章を故意に無視して北京へ入った大久保は、五十日に及ぶ滞在の末、ついに平和的解決の糸口をつかむ。一方西郷従道率いる三千人の征台部隊は清との戦闘開始を待ち望んでいた。大久保の処置は兵士達の失望と不満を生む。
“見世物小屋”“口裂け女”“夕闇の公園”…妖しい世界にとり込まれた心が引き起こす哀しい犯行の数々。オール読物推理小説新人賞、日本ホラー小説大賞短編賞を相次ぎ受賞、期待の新人の新感覚ホラー短篇集。
意表を突く構図、強烈な色、グロテスクなフォルムー近世絵画史において長く傍系とされてきた岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳ら表現主義的傾向の画家たち。本書は、奇矯(エキセントリック)で幻想的(ファンタスティック)なイメージの表出を特徴とする彼らを「奇想」という言葉で定義して、“異端”ではなく“主流”の中での前衛と再評価する。刊行時、絵画史を書き換える画期的著作としてセンセーションを巻き起こし、若冲らの大規模な再評価の火付け役ともなった名著、待望の文庫化。大胆で斬新、度肝を抜かれる奇想画家の世界へようこそ!図版多数。
鳥羽・伏見の戦で近代的な軍装の薩長軍に、なす術もなく敗れた新選組。時代はすでに日本刀ではなく、小銃の時代になったと土方歳三もわかってはいるのだが、その後も、甲府、宇都宮、会津で戦い続け、そして敗れた。北の果て箱館に行き着いた歳三は、最後の戦いに臨む。新世界に背を向け、負け続けた漢の姿を鮮烈に描く。
結婚13年めの夫婦のもとに、突然やってきた新しい家族「ちーと君」。かわいくて、うれしくて、そして「たいへん!」な育児生活を1コマ&エッセイに。
それぞれの理由で、殺人を犯した三人は少年院で邂逅を果たす。しかし、人殺しのレッテルを貼られた彼らにとって、そこは想像を絶する地獄であった…。苛烈ないじめを受ける久藤は、混乱の中で自らを律し続ける葛城の精神性に強い興味を持つ。やがて、少年院を出て社会復帰を遂げた三人には、さらなる地獄が待ち受けていた。
「金、ルックス、才能がなくても理想の女性を手に入れられる!」-大ベストセラー「夢をかなえるゾウ」で成功法則を分かりやすく説いた水野敬也が、今度は恋愛であなたを成功に導く。ユーモラスに語られる、目からウロコの恋愛理論。女性からも共感を得た感動のラスト。恋愛マニュアルというジャンルを超えた、革命的作品。
悪性の脳腫瘍で死を宣告された男の意識が、突然200年後にタイムスリップする。そこは黄魔という死亡率87%のウイルスが猛威を振るう、外に出ることは死を意味する世界。人類は「塔」の中で完全な階級社会を形成して暮らしていた。その絶望的な世界に希望を見出すため、男は闘いを決意する!長編SFファンタジー。
きわめて知的で魅力的な青年ジェレミー。僕の兄にして連続殺人犯。彼が施設を脱走してニューヨークに潜伏、殺人を犯したという。連続する惨殺事件。ジェレミーがひそかに進行させる犯罪計画の真の目的とは?強烈なサスペンスに巧妙な騙しと細密な伏線を仕込んだ才人カーリイの最高傑作。
公訴時効の廃止を受けて再捜査となった15年前の老女殺人事件。当時の捜査本部はバブル期の土地トラブルに目を向け、元刑事・加納もその線を辿ろうとするが、謹慎明けの刑事・水戸部は、かつて荒木町の芸妓だった老女の「過去」に目を向けるー。
華やかな美貌で売る女優、出産前の身体に戻りたい主婦、完璧な男との結婚をねらうキャバ嬢、そして、独自の美を求め続ける資産家令嬢。美容整形に通い詰める四人はやがて「触れてはならない何か」に近づいてゆくー。終わりなき欲望を解き放った女たちが踏み込んだ戦慄の風景を、深くリアルに描く傑作長編!
胸がドキッとする。なにげない仕草にグッとくる。口元がにやける。なぜか目が離せない…。どこからともなくやってくる、そんな症状を「キュン」といいます。オンナは日夜、様々なシチュエーションでキュンと胸をときめかせているんです。そんな選りすぐりのキュンをイラスト&エッセイに。描き下ろしの最新キュンも収録。
元ヤンキーの大和と小学生の息子・進の期間限定親子生活を描いた「ホリデー」シリーズ。彼らを取り巻く愉快な仕事仲間たち、それぞれの“事情”を紡ぐサイドストーリー。おかまのジャスミンが拾った謎の中年男の正体は?完璧すぎるホスト・雪夜がムカつく相手って??ハートウォーミングな6つの物語。
警察官であるより前に、一人の人間として、常に正しくありたいんだよー「警察官の鑑」と誰からも尊敬されていた熊倉警部。W県警初の女性警視へと登りつめた松永菜穂子は、彼にある極秘任務を与えていた。その最中の、突然死。事故かそれとも…。事故として処理したい菜穂子の胸中を知ってか知らずか、熊倉警部の娘が事件現場についてあることを思い出すー。前代未聞の警察小説。