高二を迎えた春休み、僕(ナオキ)はバイト先で大学二年のナギと知り合いつき合うようになった。移りゆく季節の中でナギの気分に振り回されながらもナギへの思いは深くなっていったが、僕の『スキ』という気持ちが強くなればなる程、ナギは僕から遠ざかろうとするのだった…。そしてそれがナギの心の奥深くに秘められた恋のせいだということを僕が知ることはなかったー。ナギ、ナオキ。それぞれの胸の内を語ったせつなくてチョコレートのようにほろ苦い恋愛小説。『もう一つの季節、もう一つの空』を書き下ろし収録。
クローンを巡る驚愕の真相、政界を巻き込む贈収賄事件、認知症介護の家族の受け止め方など、シビアな社会問題を身近な視点で捕えた、サスペンスタッチの物語。人間ゆえの煩悩と悲哀を、季節の花々で彩りながら描く、異色の連作短編小説集。
自殺未遂をして瀕死の重傷を負った少女のもとに届いたバラと手紙…。それは愛の始まりだった。
今の教育は、成績でフルイにかけ、「学力」だけを求める場となりました。「勉強しろ!規則を守れ!」だけでは、大きな心や生きる力、自ら考える力が育ちません。マニュアル人間は世界に通用しません。軍国教育を受けた体験を通して、現代の中学生達や保護者と真正面から取り組み、人生における人間との出会いの大切さを散文詩に託した感動の詩集。
イーデンが祖父の書斎のドアを開けると、そこにはもう二度と会うことはないと思っていた男性が立っていた。驚いて立ちつくす彼女に、祖父が声をかけた。「ブレイド・ハモンドをおぼえているだろう」もちろんおぼえている。5年前、14歳だった彼女は、羊の毛刈り職人としてやってきた彼に密かに恋をしていたのだから。だが、あのころに比べると、牧場の経営は極端に悪化していた。今では人を雇うこともできず、牧場の仕事と家事のいっさいをイーデンが一人で引き受けている。祖父のことばは、彼女をさらに驚かせた。「ブレイドはこの牧場を買い取りたいそうだ」
グウェンは男尊女卑論者の夫バリーと離婚し、新しい人生のスタートを切ろうとしていた。ところが、過去のすべてを断ち切るために旅に出たその日に、車をぶつけてしまう。相手の車から男が飛び出してきた。ミッチェル・ライオンズと名乗るその男は、事故はグウェンの責任だと主張し、彼女の意見を聞こうとさえしない。離婚した夫と同じ、男は女より優れていると思いこんでいる人間…。ミッチェルの態度に彼女はいらいらし反発する。せっかくそんな男から解放され、自立した女を目指して新しいスタートを切ろうとしたのに…。
「きみにあのホテルを売ることにしたよ」アレックスは前置きもなしに切り出した。「きみの望みだろう?ホテルを買収すれば昇進できるんだろう?」ジョアンナの胸に絶望感が広がった。まだわたしを野心だけの女だと思っているの?ベッドをともにすることで仕事をうまく運ぼうとする女だと…。「どうしていまになってそんなことを…」「きみを傷つけてしまったからだ。ぼくにはこんなことしかできない」わたしはふたりの間にビジネスを絡ませたくなんかない。十五年前と同じようにあたなを愛しているのよ。でもあなたは、愛を返せないからかわりにあのホテルを提供するというのね?「きみにはカナダでの生活がある。そしてぼくはギリシアの人間だ」「わかったわ。でもホテルは買えない、お情けなんてまっぴらよ」「じゃ、これでさよならだ」アレックスは彼女に触れたいのをこらえた。