祖父樵舟、父一鷺と続く日本画家の家に生まれ、伝統的な心技を踏まえながらも新しい創造を目指す作者による日本画の世界。
テクノロジーを批評的に扱うアーティストたちの作品を通して、非生命も含んださまざまな「他者」との関わりが生起する場をつくり出した「遠い誰か、ことのありか」展。
時に摩擦や抵抗も起こり得る他者との複雑な関係を捉えなおし、他者と共に生きる意味について考える同展では、札幌在住の2名を含むクワクボリョウタ、やんツー、大橋鉄郎、岡碧幸の4名のアーティストが新作を発表しました。
本書は、札幌文化芸術交流センター SCARTSで2021年9月4日〜10月10日(緊急事態宣言発令中は開催延期)に開催された同展の図録としてつくられたものです。
新作制作のためにコラボレーションした、クワクボリョウタと渡邊淳司(NTTコミュニケーション化学基礎研究所)による対談も収録しており、また、同時開催されたワークショップ成果展「キョウドウ体/syn体」の成果も報告します。
ごあいさつ
おしくら問答|クワクボリョウタ×渡邊淳司
じぶんたぶんにぶんふかぶん|クワクボリョウタ
たたない塔|やんツー
モデルルーム|大橋鉄郎
私たちは壁をつくることができる|岡碧幸
論考 遠い誰かの手触り|樋泉綾子
(同時開催)++A&T 05 クワクボリョウタ×SCARTS×札幌の中高生たち
「キョウドウ体/syn体」ワークショップ成果展
関連イベント/アーカイブ
大阪大学文学研究科アート・メディア論研究室が発行する本誌『Arts and Media』は、アートとメディアの原初の関係に改めて注目し、芸術をもう一度、情報伝達の手段として見てみたい、そんな熱望から生まれた雑誌である。あるいは逆に、現在、情報伝達のツールとして生まれ、活用されている様々な手段が、今まさにアートへと変貌しつつあるその瞬間を切り取ってみたい。
収録される論考は、映画や写真、絵画、建築、文学、マンガ、新聞・ラジオ、演劇、博物館学などなど、実に多彩だ。この「祝祭的な混沌」が生み出すジャンル不明性こそは、ただ本研究室にのみ醸成可能な知的テンションであると自負するものである。
遺伝子の多様性が生命の安全装置として機能するように、我々は文化の多様性を保つことこそが、現代社会に対するある種のセーフティネットになるものと心から信じている。 文だの理だのといった狭隘な専門跼蹐の殻を打ち破り、百学連環の知の饗宴をとくと愉しんでいただきたい。
編集長 桑木野幸司
[追悼]
古後奈緒子|市川明先生と演劇のカレイドスコープ──手がかりとしての壁際のテクスト
[巻頭言]
東 志保
[巻頭特集]
「脱線」の魅惑/知の視覚
岡北一孝|イタリア・ルネサンスの建築エクフラシス:建築・文学・美術を統合的に考える
関俣賢一|ラブレーにおける〈記憶・脱線・発想〉考察のために──『第三の書』を中心として
[論文]
鈴木聖子|音楽芸能の記録における音と映像の関係──日本ビクターの音響映像メディアのアンソロジー(中編)
柴尾万葉|ピピロッティ・リストの映像作品におけるエレーヌ・シクスーの思想との共通性
武本彩子|ギー・ドゥボールの初期映画におけるニュース映画の「転用」
城 直子|近世カトマンズ旧市街におけるクマリの館と山車巡行の役割
片岡浪秀|放送界と石井光次郎(戦前〜占領期篇)──NHK会長人事への介入と朝日新聞の目論見
[研究ノート]
古後奈緒子|ベルリン王立歌劇場バレエの組織と演目:舞踊史の隠れた位相としての(長い)十九世紀バレエ
橋本知子|『家からの手紙』におけるニューヨークの表象──ディアスポラの観点から
[インタビュー]
奥野晶子|コンクリート・ポエトリーの系譜──大谷陽一郎氏インタビュー
野尻倫世|「役者」を経験した落語家──新人落語家の挑戦
[エッセイ]
河崎伊吹|記憶の町を編み上げる──みなとメディアミュージアム2024での実践から
[再録]
「退職記念:市川明教授」
※本誌は造本設計のコンセプトに基づき、意図的に一部のページを落丁させております。落丁したページは別冊「落丁本」に纏められております。
大阪大学文学研究科アート・メディア論研究室が発行する本誌『Arts and Media』は、アートとメディアの原初の関係に改めて注目し、芸術をもう一度、情報伝達の手段として見てみたい、そんな熱望から生まれた雑誌である。あるいは逆に、現在、情報伝達のツールとして生まれ、活用されている様々な手段が、今まさにアートへと変貌しつつあるその瞬間を切り取ってみたい。
収録される論考は、映画や写真、絵画、建築、文学、マンガ、新聞・ラジオ、演劇、博物館学などなど、実に多彩だ。この「祝祭的な混沌」が生み出すジャンル不明性こそは、ただ本研究室にのみ醸成可能な知的テンションであると自負するものである。
遺伝子の多様性が生命の安全装置として機能するように、我々は文化の多様性を保つことこそが、現代社会に対するある種のセーフティネットになるものと心から信じている。 文だの理だのといった狭隘な専門跼蹐の殻を打ち破り、百学連環の知の饗宴をとくと愉しんでいただきたい。
編集長 桑木野幸司
[巻頭言]
桑木野幸司
[巻頭特集]メディア考古学 in Japan
福島可奈子|はじめに
佐藤 洋|モノを信じすぎてはいけない、声を信じすぎてもいけない──アマチュア映画の研究について
山端健志|新発見の紙フィルム映画「月星フィルム」の印刷と録音について
かねひさ和哉|フライシャーと私
福島可奈子|忘れられた小箱のなかの私的イメージ──キノーラとタキシフォート
松本夏樹|印刷メディアと象形文字の大いなる業
[論文]
鈴木聖子|音楽芸能の記録における音と映像の関係──日本ビクターの音響映像メディアのアンソロジー(後編)
小池陽香|欧州評議会美術展──共通アイデンティティ創出のための展覧会
金 蘊灵|宝塚『虹のオルゴール工場』のマンガ化における物語の変容──一九七〇年代宝塚の性格変化に照らして
城 直子|都市空間におけるあいまいさ──交易路にサードプレイスは存在するのか
李 依茗|是枝裕和の映画作品における身振りの意味作用──『万引き家族』を中心に
北島 拓|近代化産業遺産におけるローカルな音楽実践とノスタルジア──名村造船所跡地を活用した市民向けイベントを事例に
片岡浪秀|放送界と石井光次郎(占領期〜戦後篇)──NHK会長人事への介入と朝日新聞の目論見
[研究ノート]
秋田奈美|メディアミックス作品の概念モデル作成の手法検討──『ヒプノシスマイク Division Rap Battle』を例に
大槻陽香|表現ジャンルとしての絵本の特質研究──ミロコマチコはなぜ絵本作家になりたかったのか
[インタビュー]
中村莉菜|映画と戯れ、映画を広げる人:井戸沼紀美インタビュー
奥野晶子|コンクリート・ポエトリーの系譜:砂田千磨氏インタビュー
[エッセイ]
城 直子|みえない暴力と連鎖──映画『ガス燈』とガスライティング
[教員研究動向]
東 志保|シネマ・ヴェリテの源流としてのケベックのドキュメンタリー映画
古代より幾何学的な真理の中には、宇宙の謎を解く鍵と神の啓示が潜んでいると考えられてきた。人々は探求し、そしてその探求の成果を神々への捧げ物である神殿や、神殿を彩る装飾、絵画、都市の設計などに生かしてきた。いつしかその秘儀は忘れ去られたが、ルネサンスなどの節目の時代に驚きとともに再発見されてきた。本書は古代エジプト、ギリシア、古代イギリス、イスラムなどに例をとり、不思議な幾何学を科学する。
なぜ人間には、社会には、「芸術」が必要なのか?三島由紀夫、村上春樹、宮崎駿、小津安二郎、大瀧詠一など、ジャンルを超えて語る!
ホキ美術館コレクションシリーズ最新刊。写実絵画の殿堂「ホキ美術館」の所蔵品から紹介する精緻で、超リアルな『風景画集』 。
神の似姿の表現を冒涜として禁じたイスラム教は、神の「みわざ」をこの世で表現するものとして、精妙な幾何学模様を選びとった。平面をシンメトリカルに分割し、複雑に織りなすデザインを作り出すことで、無限や森羅万象のゆるぎない中心という概念を豊かに作り出したのだ。そのあまりの複雑さにめまいするイスラムの幾何学模様だが、著者はいくつかの幾何学的原則を知っていれば、だれもがやすやすと描けることを明らかにする。
ガチで凄い現代の彫刻家だけを揃えた究極の作品集です。
デッサンの基本的な描き方から、人物クロッキーの方法、作品化の過程まで、ステップアップするためのコツを順を追って紹介します。
日本列島のほぼ中央、日本海に突き出た能登半島の先端に位置する珠洲市。さいはての地・奥能登を舞台に、2017年にはじまった奥能登国際芸術祭は、この秋『奥能登国際芸術祭2020+』として第2回展が開催されます。今回の芸術祭では、珠洲市内のお宅約70軒から1500点を超える民具などの「地域の宝」を収集する「珠洲の大蔵ざらえ」が行われました。集められた民具たちは、今回新たにオープンする世界初の劇場型民族博物館「スズ・シアター・ミュージアムー光の方舟」にて、アーティストたちがそれぞれの手法でインスタレーションします。その他、磯辺行久による、偏西風や海流などの珠洲独特な風土を可視化するなど、ユニークなプロジェクトが目白押し!
本書は『奥能登国際芸術祭2020+』のアートに関する情報はもちろん、珠洲の交通情報・飲食・宿泊まで完全網羅した、旅に必携のハンディなガイドブックです。
〈参加アーティスト〉
青木野枝、浅葉克己、石川直樹、磯辺行久、シモン・ヴェガ、大岩オスカール、ディラン・カク、河口龍夫、キムスージャ、スブード・グプタ、さわひらき、サイモン・スターリング、デイヴィッド・スプリグス、田中信行、中谷ミチコ、南条嘉毅、カールステン・ニコライ、原広司、ひびのこづえ、フェルナンド・フォグリノ、ムン・キョンウォン&チョン・ジュンホ、力五山他
[奥能登国際芸術祭2020+開催概要]
会期 2021年9月4日(土)〜11月5日(金)
会場 石川県珠洲市全域(247.20km²)
作家 16の国と地域から53組(うち新作47組)
※2021年7月15日時点
主催 奥能登国際芸術祭実行委員会
まるごと一冊モーさま! 永久保存版。繊細な画と豊かな文学性でマンガ界に新たな地平を拓いた萩尾望都。貴重なインタビューやアトリエ訪問記で創作の現場に迫り、撮りおろし原画や秘蔵のクロッキー帳などファン垂涎の画も一挙公開。「ポーの一族」から「王妃マルゴ」までデビュー50年を経て、いまなお現役をひた走る天才マンガ家のすべて、最新版にして決定版!
志望校攻略に欠かせない大学入試過去問題集「赤本」
実技試験や小論文など、標準的な解答例を示すことができない科目については、問題や試験内容のみを掲載しています。
掲載内容についてのお断り
・音楽学部の「音楽」については,学力検査や基礎能力検査など,主に試験当日に課題が与えられるもののうち掲載が可能なものを掲載しています(2020 年度の基礎能力検査は中止されたため収載していません)。
・著作権の都合上,2021 年度の音楽学部「英語」大問1の英文・全訳を省略しています。
大学情報
傾向と対策
●問題編・解答編
2020・2021年度
【美術学部:前期日程】
実技・小論文(解答省略)
英語
日本史
世界史
【音楽学部:前期日程】
音楽
英語
国語
小論文(解答省略)
「朝食が甘いって本当?」「イタリア人はマザコンが多い?」「マフィアってイタリア中にいるの?」イタリア人の友達や先生に聞きたいけれど…。そんな今さら聞けない基本的なことから、長年勉強していても今ひとつ納得できないでいたことまで、100の疑問を解消します! 知りたくて読むからリーディングスキルがつく! すぐに使える会話例も掲載。
志望校攻略に欠かせない大学入試過去問題集「赤本」。3カ年分収載。
掲載内容についてのお断り
・推薦入試,一般入試A方式第2期およびN方式は掲載していません。
・著作権の都合上,下記の内容を省略しています。
2019年度:映画・美術・文芸・デザイン学科「英語」〔5〕の英文・全訳
2018年度:映画・美術・文芸・デザイン学科「英語」〔3〕の問題・解答
大学情報
傾向と対策
●問題編・解答編
2018〜2020年度
【一般入試A方式第1期】
英語
国語
学科別専門試験(解答省略)
人間の「個」の精神世界の語り得ぬ深奥──人間の内なる「野性」の発見。
アフリカのセヌフォ族や中国雲南省ナシ族との共同生活、沖縄やスペインそして日本各地での十数年にわたるフィールドワークをとおして得た貴重な体験──文字化されない人間のエッセンス──を言語化することができた初めての書。シャーマニズム的世界とアートに共通して認められる「創造空間」に言及した研究書。「野性の論理」と「愛の論理」を、透徹した優しい眼差しで、美術にたずさわるすべての人々に、自分探しに悩む若者に贈る!
本書に寄せてーーシャーマニズム研究の視点から/朴善姫
序
第一講 サバンナの啓示ーーアフリカ
introduction --「目に見えるもの全て完璧」
「勘」と勘違いーーモダニストたちの素朴について
仮面儀礼と鍛冶屋の火ーー文化の両義性について
第二講 亜熱帯の精霊ーー琉球
地球は女で回っている?--性差と性力について
仮面儀礼とシャーマニズムーー秘祭「アカマター神事」の諸相
第三講 高原の思考ーー中国
神話の詩学ーー陶酔と「外」の論理
最後のシャーマンーー即興的パロールと象徴的恋愛のジェネシス
第四講 砂漠民の遺産ーースペイン
「楽園」形態の諸相ーー芸術家と修行者の「実践知」的世界観
オリエントの化石ーー都市生態から診る聖地の構造
第五講 飽和地帯のアルスーー日本
芸術は野性であるーー「他者」と「内なる他者」について
「職芸民」と天文ーー眼力=身体性=暗黙知、あるいは「神人」のイストワール
「巫術師」と人文ーー移入=官能性=変性意識、あるいは心の「一性」について
第六講 「現代アー卜」の民俗(一)
未決定的かつ超決定的な……--アー卜とシャーマニズムの相似性について
観賞は解釈か、体験か、--有責性と無責性について
温室の植生学ーー批評=仮想現実=「個」、あるいはシステムと私性の在処
第七講 「現代アー卜」の民俗(二)
〈私美術〉作家たちーー内的衝動と絶対的個への超脱
声の向こうのもう一つの声ーー通過儀礼としてのアートセラピーと私史について
創造の秘密ーー「愛」と「忘却」と「反経験」の空間
解説に代えてーー美術と内なる野性/三頭谷鷹史
あとがき