人は一人だけでは生きられない.かといって,人がしっかり結びついていた古い共同体は戻ってこない.ばらばらの状態で世界を寄る辺なく漂う現代人にとって,生きる意味はどこにあるか.本書は,大阪大学大学院人間科学研究科の教員たちが,学生に向けて,人とモノ,人と自然,人と人,さらには人と死者をつなぐ共生(共に生きる)の方向に人間再生の可能性を求め,これからの生き方と新しい文明のあり方を探る.
はじめに (志水宏吉)
序 共生学は何をめざすか (河森正人・栗本英世・志水宏吉)
第1部 共生のフィロソフィー
1 共生の人間学〈矛盾〉を生きること (檜垣立哉)
2 共生のドラマトゥルギー (藤川信夫)
3 格差社会と教育における公正 (志水宏吉)
4 共生社会におけるジェンダー公正 (山本べバリー・アン)
5 フェミニズムとマルチカルチュラリズム -「帝国のフェミニズムへの挑戦」から考えるー (藤目ゆき)
6 国際協力とグローバル共生 (中村安秀)
7 異文化接触と共生 (宮原暁)
8 「敵」との共存ー人類学的考察 (栗本英世)
第2部 共生のサイエンス
9 多文化社会の心理学 (ドン・バイサウス)
10 高齢者における共生の重要性 (権藤恭之)
11 国際協力と人類学 (白川千尋)
12 腎臓ドナーは何を語るのか -医療技術と人体組織の経済をめぐる共生学的試論ー (島薗洋介)
13 中国・中央アジアの健康格差と共生 (大谷順子)
14 現在の日本と世界における地域創世について (住村欣範)
15 霊長類のコンフリクトと共生 (山田一憲)
第3部 共生のアート
16 利他主義と宗教のアクションリサーチ (稲葉圭信)
17 被災地における共生のグループ・ダイナミックス (渥美公秀)
18 多文化・異文化との共生 -『共通認識』を育み、心の壁を取り払えー (近藤佐知彦)
19 共生のためのコミュニケーション・ツールとしての音楽 (千葉 泉)
20 発展途上国の教育開発、国際協力、住民自立 (澤村信英)
21 ケアのコミュニティをつくる (河森正人)
あとがき (河森正人)
執筆者紹介
会計・監査の研究方法は理論研究から実証研究と変化してきたという背景のもと、会計、監査、そして会計教育の3つのテーマに主眼をおいて、気鋭の研究者がそれぞれの課題を検討する。
解題 会計・監査研究のパラダイムシフト
第1章 コンピュータ利用監査技法の変遷と今後の展望
第2章 大学における会計教育と日本の経済発展
第3章 会計における割引計算
第4章 Case Study on International Audit Quality Assessment of Chinese High-tech Enterprises
第5章 負ののれん発生益と利益マネジメント
第6章 「米中の監査に対する監視権の争い」がBIG4-中国の監査法人の監査の質にどのような影響を与えていたのか?
第7章 実証的監査報酬研究の展開と課題
第8章 社会における会計制度の利用と国際標準化
第9章 海外市場への重複上場と損失認識の適時性
第10章 会計上の保守主義とアナリスト予想
シングルマザー、ステップファミリーなど家族形態が多様化した現代において、家庭教育の場としての「家庭団欒」を見直すことで、子どもが幸せに育つ家庭の在り方を考える。
本書では、実際の事例や具体的な方法論を軸に、「社員教育は経営戦略である」という視点を徹底的に解説。また、読者特典としてー各章に対応したワークショップやワークシートをPDFで提供。すぐに現場で活用できるツールを手にすることで、社員の意識ややる気に左右されない、「誰がやっても成果が出る」教育の仕組みを実感いただける。教育が変われば、社員が変わる。社員が変われば、行動が変わる。行動が変われば、組織が変わる。組織が変われば、未来が変わる。感情を起点に、構造で支える。精神論ではなく戦略へ。
老年学的概念(人口統計学、老化学説、薬物の影響、加齢に伴う心身の変化、高齢者リハビリテーションの基礎と臨床など)から臨床の実際、高齢者の人権や施設の管理・運営などを詳説。EBMをボックスの体裁で紹介。より詳細な知識を求める人のために出典も明記。各章の重要事項が「ポイント」として冒頭にまとめられていて、理解に役立つ。
保健医療現場の第一線のソーシャルワーカーと、実践後教職に就いたものたちの協働によって成った本書は、社会福祉士などの専門職養成のための実習指導のテキストである。実習指導の実践の蓄積をもとに述べられている本書は、第1章実習指導概論、第2章実習マネジメント、第3章実習プログラミング、第4章実習スーパービジョンと、実習指導者に必要な理論と視点と教育方法論とから構成されている。保健医療分野の実習指導のみならず、社会福祉士や精神保健福祉士実習指導のための必読の書。
南アフリカ共和国西ケープ州の学校教育でなされるカリキュラムや実践を具に分析。多文化社会と「共生」のための教育の方途を探る。
序章 問題の所在と研究の目的
第1章 「共生社会」論の理論的検討と「共生教育」の定義
第2章 南アフリカ共和国における 「共生社会」 のための取り組みの歴史的変遷
第3章 南アフリカ共和国におけるポスト・アパルトヘイト時代の教育改革ーー高等学校段階の必修教科Life Orientationに着目して
第4章 高等学校段階のLife Orientationの教授/学習内容の具体例ーー任意の教科書を手がかりとして
第5章 西ケープ州の公立学校の高等学校段階における「共生教育」の定性的分析
第6章 西ケープ州の公立学校の高等学校段階における「共生教育」の定量的分析
第7章 西ケープ州の公立学校の高等学校段階における「共生教育」の総合的考察
第8章 「共生社会」論と「共生教育」論の理論的補強ーー西ケープ州の公立学校の高等学校段階における取り組みをもとに
終章 研究のまとめと限界および今後の課題
参考文献・参考資料
あとがき
Brexit(英国のEU離脱)、トランプ米大統領就任、保護主義、益々、先の読めないグローバル社会で、何を学ぶべきか!
人類は群を作って共同生活を行い、身の回りの自然を変えて快適な生活を実現しながらその文明を進歩させてきた。こうした歴史の背後では、群れが多様な個により構成されてきたことが有効に作用してきたのであろう。しかし反面、そうした多様性は異質性として受け止められ、区別・差別の対象となってきたことも否定できない。本書では、そうした人間の多様性を、進化生物学・行動科学・哲学といった個別学問分野の視点から再考すると共に、教養教育院に関わる教員の異文化体験を手掛かりに、多様性を踏まえた異文化理解のあり方を展望する。
はじめに 多様性は何を生みだすか 滝澤博胤
第一部 多様性と現代
第一章 進化的視点からみる人間の「多様性の意味と尊重」 河田雅圭
第二章 多様性と多文化共生ー社会学の視点からー 佐藤嘉倫
第三章 多様性と主体ー自分らしくあるためにー
Tout est un, tout est divers, (Pascal, Pensees) 座小田豊
第四章 教養教育における多様性の問題
-他者への共感が求められる時代の教養教育ー 花輪公雄
第二部 異文化理解への眼差し
第五章 異文化の体験 “coffee or tea? ” 山谷知行
第六章 学生には旅をさせよ
-プエルトリコおよびスペイン語との関わりを振り返ってー 志柿光浩
第七章 「臨床宗教師」の展開にみる異文化理解 鈴木岩弓
第八章 異文化を「異文化」化する社会 米倉等
あとがき ウチとヨソの相克の中で 鈴木岩弓
日本高次脳機能障害学会サテライト・セミナープロシーディングの大好評企画「伝導失語」「注意と意欲の神経機構」に続く,待望の第3弾!
「超皮質性失語」の歴史と今日的意義を改めて立ち返るべく編纂され,いずれも失語症研究の第一人者である著者が「超皮質性失語」の病態機序や各臨床型の特徴について熱く論じています。
「Broca領域失語」「word meaning deafness」「反響言語」「力動性失語」など気になるトピックスについても詳細に解説。「超皮質性失語」に対する理解が深まる必携書です!
■はじめに 松田 実 v
第1章 序章
超皮質性失語 ─歴史と今日的意義 小嶋 知幸, 故大東 祥孝 3
第2章 超皮質性失語の臨床型
1. 超皮質性運動失語 能登谷晶子, 原田 浩美 21
2. 超皮質性感覚失語 中村 光 35
3. 語義失語 小森憲治郎 49
4. 混合型超皮質性失語 浦野 雅世 73
第3章 超皮質性失語の評価と訓練
1. 超皮質性失語の評価 種村 純, 宮崎 泰広 85
2. 超皮質性失語の訓練・回復 中川 良尚 107
第4章 トピックス
1. Broca領域失語と前頭葉性超皮質性感覚失語 大槻 美佳 123
2. word meaning deafness 田中 春美, 松田 実 151
3. 「意味」の意味 ─貯蔵とアクセスの問題 船山 道隆, 小嶋 知幸 171
4. 自動言語,特に反響言語・補完現象の基底
─意味と形式─ 古本 英晴 185
5. 力動性失語 鈴木 則夫 205
第5章 終章
超皮質性失語の病態機序や神経基盤をめぐって 松田 実 219
■一世一代の代演 ─あとがきに代えて 小嶋 知幸 253
■索引 256
企業(カシオ計算機)と大学(武蔵野美術大学)が連携し、ドキュメンタリー映像を制作、発表するという産学共同プロジェクトを紹介。キャリア教育としての日本語教育の可能性を探る。社会全体で学び合う環境をつくるヒントがここに。
■「はじめに」より
本書は、カシオ計算機株式会社(以下、カシオ)と武蔵野美術大学(以下、ムサビ)による産学共同プロジェクトの3年間の歩みを記録したものです。本プロジェクトは、日本語教育の一環として取り組まれ、留学生、日本人学生、教員、企業、そして社会全体が学び合いながら多文化共生とは何か、多文化化する社会において私たちにできることは何かを考えていくことを目的としています。
私たちは、「にっぽん多文化共生発信プロジェクト」と銘打ち、日本の多文化社会を支えている人たちへの取材を通し、現場の声、そして、自分たちが感じたことや発見したことを映像にして発信してきました。このプロジェクトを通じて私たちが学んだことを共有すること、さらに本書による発信を通じて、学び合いの場を拡張し、一人でも多くの方が多文化社会に主体的に参加し、その一員として共に生きる社会をつくっていくことが本書の目的です。
第1章 社会でことばを学ぶ、社会がことばを学ぶ
多文化共生への「もうちょっとの勇気」(小川宗之)
第2章 MAU日本語学習支援プロジェクト2017
日本語教育による多文化共生への一歩(トウ・キショウ)
過去を足場に、現在に立ち、未来を考える(イ・ヨンゴン)
産学連携から企業も学ぶ(小川宗之)
第3章 にっぽん多文化共生発信プロジェクト2018
誰でも自分のストーリーの主人公(エン・シャクカン)
尖った部分をさらに極める(シン・ハンソプ)
現場の取材を通した学びと感動(吉田修作)
第4章 にっぽん多文化共生発信プロジェクト2019
芸術で社会に与えられることは何か(内田久美子)
「ひとつなぎ」から始まる多文化共生(梶野結暉)
どっぷり入り込んで見えてきたこと(大塚 功)
ありのままの違いを認める(キム・ドヒ)
第5章 映像とことばの関係性
チームワークって多文化共生ですね(西村茉理子)
第6章 [座談会]カシオにとっての産学、ムサビにとっての産学
第7章 言語教育としての産学共同プロジェクト
なぜ私たちは子どもに絵を描かせてきたのかー児童の「感受性」と「創造性」の起源を問う。
ISO45001やISO45100が発行され、それに準拠した日本版のJIS Q45001、JIS Q45100も2018年9月に公表され、いよいよ2019年7月1日より施行される。JIS規格の適用対象がこれまでの鉱工業的業種からIT産業、サービス業、第三次産業等の全業種にまで広がった。本書では、リーダーシップ、コミュニケーションの強化、インシデント対応、リスクアセスメントの充実、教育訓練の強化、アクティブラーニング、アンガーマネジメント等々も記載し、人材育成のための本でもある。「ミレニアム世代」を部下に持つ人に待望の指南書!
高い離職率のなか、優秀な社員を率いてチャイナ・ドリームを実現させる方法。
言語表現の背後には、普段あまり意識されることがない多種多様な要因が複雑に絡み合っています。本書は主に英語を考察対象言語とし、好まれる表現と好まれない表現について、語・句・節・談話の各レベルに加え、文化的側面にも踏み込んだ研究を含むものです。形式化には馴染みにくい、構造構築のレベルを超える接近手法の面白さと可能性を感じていただければ、執筆者一同の喜びです。
第1章 大津由紀雄・吉田研作
第2章 尾島司郎・中川右也
第3章 柴田美紀・冨田祐一
第4章 白畑知彦・松村昌紀