特集 井戸茶碗
「伝統」を守った男は、なぜ「ポルノ」映画の監督になったのか。豪放と虚栄、奢侈と零落…芸術の落とし子は自らが時代を体現していた。
2020〜2022年に国内で刊行された、芸術・言語・文学分野の翻訳図書8,123点の目録。「著者名索引(ABC順)」付き。
現代抽象絵画を代表する作家マーク・ロスコ(1903-70)。様々な色の矩形が浮かぶ独自の様式に至る以前、ロスコ自ら綴った草稿を編んだのが本書である。1940年代前半、自身の芸術がいまだ確立しない苦しみの中にあったロスコは、一時的に絵筆を置き、それに替えてペンを執った。そこに残されたのは、画家としてではなくオブザーバーとして造形芸術を語り、現代と古代のあいだをわたりながら記された、美術の〈リアリティ〉の系譜である。数年後に再び画布に向かった時、彼の作品は、現在ロスコの到達点として認められる純粋な抽象画へと変化を遂げる。挫折であると同時に、ロスコがロスコになる転回点ともなった時代の貴重なテキストー死後永らく埋もれていた草稿が今、60余年の時を経てその息子の手によって甦る。
大改革者にして大趣味人ー新たなる松平定信伝の試み。
本書においてシーガルは,夢と芸術という魅力的な素材を通じて,最近その重要性が認識されるようになった「クラインの象徴化理論」を生き生きと記述し発展させている。
その論理構成はすこぶる明快である。シーガルはまず読者をフロイトの夢理論へと導入し,彼女自身の臨床例を提供する。その上で精神的,感情的活動の基本をなす無意識の幻想について子細に語り,象徴作用の考察を経て,夢と自我の病理的記述(5章),芸術をめぐる考察(6,7章),白昼夢,想像力,遊びをめぐる考察(8章)へと展開してゆく。その興味の幅広さと分析家としての並々ならぬ力量は,随所に見られる、臨床的卓見に反映されているが,その基盤には,彼女が自ら開拓し応用した,厳密な理論的枠組みが置かれている。
クライン学派(英国学派)の代表的な精神分析家,ハンナ・シーガルの最新の論考。
序文(ベティ・ジョセフ)
■第1章 王道
■第2章 幻想
■第3章 象徴作用
■第4章 心的空間と象徴作用の諸元素
■第5章 夢と自我
■第6章 フロイトと芸術
■第7章 芸術と抑欝態勢
■第8章 想像力,遊び,芸術
国家や民族から脱する“越境”の夢は、グローバル化の中で悪夢へと変わるのか。演劇的なるものの可能性と限界を考察し、ナショナリズムの内なる特異点に迫る。
愛好家(ディレッタント)こそ理想の芸術家ーー
日々の糧のためでなく、純粋に芸術を愛し実践した彼らは近代的な理想的芸術家像の原形となった。包括的研究がされてこなかったディレッタントたちの芸術活動に美術史、音楽学、文学、美術教育学など多様な視点から迫る。
序章 ディレッタント研究のために
ディレッタント研究序説ーーその歴史と展開の見取り図 8
佐藤 直樹
1章ディレッタント前史ーー工房、宮廷、サロン
ルネサンス期における最初のディレッタント肖像画、あるいは素描を教えるベルナルディーノ・リチーノ 36
ウルリヒ・フィステラー 岩谷 秋美 訳
王族たちの美術活動ーーザクセン宮廷の素描と旋盤細工 60
佐藤 直樹
一八世紀フランスのディレッタンティズムーー美術愛好家による作品制作をめぐって 83
船岡 美穂子
2章 ディレッタンティズムの転換点
ヴァイマル古典主義の文脈におけるディレッタンティズムの様相 112
ヤナ・ピーパー、トルステン・ファルク 橘 由布季 訳
ヴァイマル公妃アンナ・アマリア作曲《エルヴィンとエルミーレ》を巡って 128
大角 欣矢
愛好家のための方法ーー一七六〇〜七〇年代におけるアルファベット式芸術事典 170
山口 遥子
ゲーテのディレッタンティズムーー「収集家とその友人たち」と「ディレッタンティズムについて」 190
眞岩 啓子
一八〇〇年頃の侯爵夫人と女性市民階級ーーディレッタンティズムにおける共通点はあるのか? 218
コルドゥラ・ビショッフ 杉山 あかね 訳
3章 「天才=ディレッタント」
作曲家メンデルスゾーンの素描と水彩画ーースイス旅行を例にして 244
星野 宏美
ディレッタントの芸術としての「ランドスケープ・ガーデニング」--ピュックラー=ムスカウと『親和力』の世界 277
尾関 幸
カール・グスタフ・カールスのディレッタンティズムと近代社会 303
仲間 裕子
終章 「新しい芸術家=ディレッタント」の未来
教育学から見たディレッタンティズムの可能性 338
小松 佳代子
あとがき 363
人名索引 1
資料:フリードリヒ・フォン・シラー「ディレッタンティズムに関する見取り図」 6
引用図版出典一覧 8
Die ersten Dilettanten-Porträts der Renaissance, oder: Bernardino Licinio unterrichtet im Zeichnen 12
Ulrich Pfisterer
Erscheinungsformen des Dilettantismus im Kontext der Weimarer Klassik 24
Jana Piper | Thorsten Valk
Vereint im Dilettantismus? Fürstinnen und Bürgerinnen um 1800 33
Cordula Bischoff
神話とか古典文学とか歴史とか、昔のお話はお好きでしょうか?カビが生えたような退屈な話なんて見ちゃいられないよ、と思う人もいるかもしれません。だがしかし、です。昔の話は退屈どころか、なかなかにエグくて過激なものが多いのです。
グリム童話が残酷であるのは有名な話ですが、残酷や理不尽はグリムの専売特許ではありません。今回は昔のことばっかりつぶやいている私が一生懸命探した、世界中の残酷なお話を皆様にご紹介しようと思います。心臓をえぐり出されたり、顔をネズミに食われたりとややきつい表現もあるとは思いますが、きっと大丈夫。少女漫画の絵師様が綺麗な絵でヴィジュアル化してくれていますので、心臓が弱い人でも多分…問題ないはずです。それでは、存分にお楽しみください!(「はじめに」より)
5人の漫画家による名画や童話の闇を暴くアンソロジーをご堪能ください!
第1章 血にまみれたグロテスクな話
第1話「ギスムンダと恋人の心臓」 作画:陽向シズク X:@hinata_shizuku…P.7
第2話「ピエール・アベラールの悲恋と悲劇」 作画:みなみ X:@minami_152133…P.19
第3話「メディア」 作画:CHIHIRO Instagram:@chihiro21865527…P.29
第4話「ティアボルトとドラリス」 作画:みなみ X:@minami_152133…P.41
第2章 誰かしらが死ぬ恋愛話
第5話「梁山泊と祝英台」 作画:CHIHIRO Instagram:@chihiro21865527…P.53
第6話「パオロとフランチェスカの悲恋」 作画:みなみ X:@minami_152133…P.65
第7話「カッサンドラー」 作画:陽向シズク X:@hinata_shizuk…P.75
第3章 いくら何でもあんまりな話
第8話「青髭」 作画:棘茸bot X:@togekinoko12…P.92
第9話「リップ・ヴァン・ウインクル」 作画:CHIHIRO Instagram:@chihiro21865527…P.107
第10話「毒婦ロクスタ」 作画:みなみ X:@minami_152133…P.119
第11話「ネズの木の話」 作画:ねおきてる X:@neoki_teru…P.129
第12話「緋文字」 作画:棘茸bot X:@togekinoko12…P.143
芸術を〈記号システム〉として解読する
▼絵画、音楽、ダンス、文学、建築……芸術へのアプローチを根本的に転換した20世紀美学の最重要著作。
▼20世紀アメリカを代表する哲学者、ネルソン・グッドマンは、美学、論理学、認識論、科学哲学の分野において多大な影響を及ぼした。グッドマンの主著である本書は、1968年の刊行以来、現代美学の記念碑的著作として読みつがれている。
ここでグッドマンは、芸術の基本的諸問題を考察することから出発し、芸術における記号の一般理論の構築へと向かう。芸術がある対象を「再現」するとはどういうことなのか。再現と表現はどうちがうのか。絵画における遠近法とは、写実性とは何か。ホンモノと完全な贋作を見ることにちがいはあるのか。楽譜とか何か。ダンスは記譜できるのか。芸術と科学の真理は異なるのか。
本書は、芸術における記号と記号システムの研究であり、われわれの知覚と行動、さらにわれわれの世界創造とその理解において、それらがどのように機能しているかを明らかにしている。この考察は、心理学、言語学、認識論、科学哲学などの領域を横断しつつ、われわれを、絵画、音楽、ダンス、文学といったあらゆる芸術形式の深い理解へと導いてくれる。
序文
序論
第一章 現実の再制作
1 指示
2 模倣
3 遠近法
4 彫刻
5 フィクション
6 トシテ再現
7 創意
8 写実性
9 記述と描写
第二章 絵の響き
1 対象領域の違い
2 方向のちがい
3 例示
4 サンプルとラベル
5 事実と比喩
6 図式
7 転移
8 隠喩の諸方式
9 表現
第三章 芸術と真正性
1 完璧な贋作
2 答え
3 贋作不可能なもの
4 理由
5 課題
第四章 記譜法の理論
1 記譜法の主機能
2 統語論的要件
3 符号の合成
4 準拠
5 意味論的要件
6 記譜法
7 時計と計数器
8 アナログとデジタル
9 帰納的な翻訳
10 図表、地図、モデル
第五章 譜、スケッチ、書
1 譜
2 音楽
3 スケッチ
4 絵画
5 書
6 投射可能性、同義性、分析性
7 文字
8 ダンス
9 建築
第六章 芸術と理解
1 絵と文
2 調べることと見せること
3 行為と態度
4 感情の機能
5 美的なものの徴候
6 価値の問題
7 芸術と理解
用語解説
概要
訳者あとがき
人名索引
事項索引
晩年を信州で過ごした天衣無縫の異才画家の生きた時代と人々-。その交流の軌跡が市民グループ(横井弘三オモチャン会)によって掘り起こされた。
デッサン、絵画、彫刻から『赤の書』まで芸術家ユングのすべて。
分析心理学の創始者であり、20世紀を代表する思想家であるユングは執筆と同様に創作にも多くの情熱を注いできた。その視覚芸術の実践は生涯にわたり、デッサン、絵画、彫刻など幅広いジャンルで行われてきたが、ユング自身の「芸術家」を名乗りたくないという思いから知られることはなかった。しかし、2009年に出版された『赤の書』により、ユングの視覚芸術とその豊穣なイメージに注目が集まることとなった。本書では未発表の芸術作品も数多く紹介し、その変遷と芸術的意義を明らかにする。
地獄絵や浮世絵、仏教建築などの古典美術から、現代美術の池田満寿夫や日本画の加山又造、人形の四谷シモン、舞踏の土方巽、状況劇場の唐十郎など、日本の芸術について澁澤が書いたエッセイをすべて収録した集成。「おのれの城に閉じこもり、小さな壁の孔から、自分だけの光輝く現実を眺めている、徹底的に反時代的な画家」だけに興味を抱いた著者の世界観をたどる。