アメリカというダイナミックな文化に展開する最近のフェミニズム批評を、文学批評の流れの中にたどるアンソロジー。いま、フェミニズム批評が見えてくる。
若い女、中年の女、母親、主婦…孤立させられた女たちが声をあげたリブ。制度や意識の変化を経ても、性愛から老いまで、いまだ「名前のない問題」と向き合い生き抜く思想は終わらない。「女であること」と格闘し掴み取られて来たひとつひとつの価値を、手渡す/受け取るというセカンドステージへ。
ヒロインたちの境遇を描き分けることで、近代夜明けの女の生き難さをくっきりと浮かび上がらせた女性作家・樋口一葉。〈性差の規範〉を超えゆこうとした表現の全体像を「女性の視点」でとらえた画期的論集。
誤解や無知によってせっかく与えられている本当の快楽を味わう事なく過ごしてしまうのは、もったいないことだと思います。本書は、性の初歩的な疑問、性のテクニック、現実の悩み、男女の性愛の違いなどに明快に応えております。巷に氾濫する珍説、俗説、医学的説、伝説、錯覚の類いまで網羅し、正しい性知識を身に付けるように配慮しました。
いま、フェミニズム再燃のとき!
〈戦後女性文学〉の軌跡を辿る
敗戦後から1980年代末まで、近代の断絶と連続という複雑な時代を背景に、様々な生の可能性を、多様な表現で描出した女性文学の豊かな全容を検証する画期的な試み。
宮本百合子❖中本たか子❖林芙美子❖正田篠枝❖大田洋子❖松田解子❖円地文子
小林美代子❖壺井栄❖大原富枝❖佐多稲子❖阿部静枝❖石垣りん❖野溝七生子
吉屋信子❖幸田文❖森茉莉❖野上弥生子❖秋元松代❖倉橋由美子❖有吉佐和子
石牟礼道子❖大庭みな子❖高橋たか子❖茨木のり子❖津島佑子❖増田みず子
干刈あがた❖山田詠美❖李良枝❖〈沖縄〉の女性作家
1────戦争の傷痕/占領下からの出発
2────戦後を生きる女たちの記憶
3────多様な表現/制度への揺さぶり
4────女性戦後派の挑戦
5────近代幻想からの越境
❖ 執筆者
秋池陽子 阿木津英 アダム・グレグッシュ 有元伸子 伊原美好 岩淵宏子 内野光子 遠藤郁子 王晶 岡野幸江 菊原昌子 北田幸恵 高良留美子 小林裕子 小林富久子 小林美恵子 近藤華子 但馬みほ 永井里佳 中島佐和子 沼田真里 野田敦子 橋本のぞみ 長谷川啓 羽矢みずき 藤木直実 松田秀子 溝部優実子 矢澤美佐紀 吉川豊子 与那覇恵子 羅麗傑 和佐田道子 渡邊澄子 渡邉千恵子
いま、なぜ『青鞜』か。「新しい女」を生んだ『青鞜』とはどんな雑誌だったのか。創刊から約90年、女性たちを取り巻く状況はどう変わり、何が変わらないのか。女性問題を論じた先駆としてのみならず、近代女性文学の成果として、多角的に発掘・再評価する本邦初の試み。23人の気鋭による決定版評論集。
私たちは忘れない!
書くことが女にとって解放とともに
呪縛となった「あの時代」を
関東大震災からアジア・太平洋戦争へ。激動の時代に、
女性作家はどのように生き、何を表現したのか。
3・11以降の、戦後七〇余年を経た危機的な「今」、あらたな視点で問い直す。
忌まわしい過去を再来させないために
本書の構成を、「1 関東大震災以後のモダニズム」、「2 プロレタリア文学ーー労働・闘争・抵抗」、「3 帝国の〈外地〉と〈内地〉」、「4 戦争とジェンダー」、「5 女性文学の成熟と展開」の5章としたのは、かつてない激動の時代の中で複雑かつ多様な女性たちの表現や活動を捉えようとしたためである。
───「はしがき」より
林芙美子❖岡本かの子❖宇野千代❖尾崎翠❖ささきふさ❖中本たか子❖平林たい子佐多稲子❖八木秋子❖宮本百合子❖小山いと子❖牛島春子❖川上喜久子森三千代❖田村俊子❖大田洋子❖阿部静枝❖野上弥生子❖真杉静枝❖岡田禎子中河幹子❖辻村もと子❖原阿佐緒❖大谷藤子❖吉屋信子❖網野菊❖矢田津世子
離れる他に、できることはないのだろうか。病理/非病理、偽物の愛/真実の愛、不幸/幸福、支配・従属/支え合いなど、多くの両義性を抱える「共依存」をめぐる言説を分析。そこに存在する倫理観を暴き出すことで、臨床の専門家や各領域の理論家が見逃してきた倫理と現実を提示する。
動物をめぐる思想はここまで到達した
いまや動物にとどまらず、あらゆる存在の解放をめざす包括的正義の理論へと至った批判的動物研究を始めて本格的に紹介。理論水準を大幅に引き上げるとともに、実践へと誘い、シンガー『動物の解放』以来の衝撃をもたらす力作。
19世紀にはじまり、ピーター・シンガー『動物の解放』をもって本格化した動物擁護、動物解放の理論はその後、多様な社会運動や学問との協力・批判を経て、種を越えたあらゆる抑圧と差別に反対し包括的正義の実現を目指す、強靭な理論=実践へと鍛え上げられた。批判的動物研究と呼ばれ、世界的な隆盛をみせるその潮流は、いまやどんな思想も理論も無視できないものとなっている。本書では批判的動物研究を主に哲学、社会学、ポスト人間主義、フェミニズムの観点から整理、検証し、諸正義を結ぶ領域横断的な解放理論として描き出す。動物をめぐる数々の翻訳を手掛けてきた著者が、渾身の力で放つ初の著書。
◎目次
謝辞
序論
批判的動物研究
本書の構成
第一章 動物たちの現状
食用利用
肉用牛/乳用牛/豚/乳用牛/産卵鶏/魚介類
動物実験
行動研究/医学研究/製品試験
動物園と水族館
ペット産業
第二章 道徳哲学
功利主義革命
理論の重要性/功利主義アプローチの問題
動物の権利
内在的価値と生の主体/尊重原則から権利の導出まで/
権利論の実践的帰結/救命ボートの事例
新福祉主義
新福祉主義の実害/新福祉主義の元凶
廃絶主義アプローチ
単一争点の活動/平和的な脱搾取の啓蒙活動
第三章 社会学
抑圧理論
資本主義
商品化/物神崇拝
疎外
構造的暴力
労働者の逆境/環境破壊
動物産業複合体
エコテロリズム
第四章 ポスト人間主義
人間学、人間主義、人間中心主義
人間の名、動物の問い/生贄構造
生政治
生政治と生贄構造/動物生政治
ポスト人間主義の倫理
ポスト人間的状況/差異と応答/未分化と変成
資本・労働・抵抗
動物労働論/接触地帯/紛争地帯
第五章 フェミニズム
父権制と自然
女性・動物・自然/二元論の形成
父権的抑圧
残酷への意志/暴力の正当化/生殖支配/性と肉食…
「救い」は仏様でなくフェミニズムがくれた
「お寺のおくさん」は献身して当たり前? お坊さんと結婚して飛び込んだ仏教界は違和感だらけ。モヤモヤの日々に救いをくれたのは仏様よりもフェミニズムだった。日本のお寺の持続可能性を問いかける当事者エッセイ。
推薦:深沢潮さん(作家)
初めて眼鏡をかけたとき、視界がはっきりとして、世界が明るくなった。
一方、影にも気づくようになった。
フェミニズムは眼鏡のようなものだと思う。
自尊心を回復させてくれて、心が晴れ晴れとすると同時に、
理不尽な構造を知り、苦しくなる。
「寺族」という言葉を知らなかった。
なんという男性都合のシステムか。
足元からお寺の矛盾を見つめ直す森山りんこさんのように、
私たちも目を凝らしたい。
1章 私が「お寺のおくさん」になるまで
Before 寺/「結婚」が始まる/二人の、ではなく寺の結婚式/何を着たものか……/信仰心は誰のもの?/お寺での日常/自分の職業がわからない/心のバランスが崩れてしまった/お寺の運営講座を受けてみた
2章 「私」に帰る
モヤモヤの正体/家のふりをした宗教組織/私が失っていたもの/「お寺のおくさん」 への日々/二度目のグリーフケア/前進/お寺のブログ/語学で広がった世界/「ただの私」になると決めた
3章 フェミニズムが教えてくれたこと
ジェンダーギャップ指数なるものを知ってしまった/フェミニズムと私/答え合わせ/母のこと/寺での子育て/「お母さんの請求書」/妻は無能力者?/妻たちをこれ以上利用するな
特別対談 仏教界のジェンダー平等とお寺のこれから 西永亜紀子 × 森山りんこ
「“ポスト”フェミニズム」とは何か?精神分析学、ポスト構造主義、ポストモダニズム、ポストコロニアリズム等の批評理論と交差しながら、理論をさらに先鋭化・深化させ、新たな領野を切り拓いていくフェミニズムの新段階のことである。先鋭化・深化を進める“ポスト”フェミニズム理論の図解による初の入門書。ラカン、フーコーから、バトラー、セジウィックまで。
この世には二つの尺度がある。男の尺度と女の尺度である。私たちは、男の尺度=客観の前提を打破し、新しいフェミニスト英文学史を創造しなければならない。
コロナ禍があぶり出したのは、もともとそこにあった不公正だった。
ケア労働、職業格差、デジタル性犯罪、性的マイノリティ差別ーー。
韓国のフェミニスト13人が、長年見過ごされてきた「誰かを搾取することで成り立つ社会」の歪みに切り込み、ケア・共存・共生を軸とした、「誰も踏みにじらない未来」を提言する。
【目次】
日本語版出版に寄せて
韓国語版序文 パンデミックと新自由主義を乗り越えるフェミニズムを模索しながら
本編を読む前に知っておきたいできごと
PART1 誰が「女性」なのか?
01 私は女じゃないんですか?
「女性とは誰か」をめぐるフェミニズム論争_キム・ウンシル
02 女性は潜在的な被害者なのか?
「無害な存在」というイデオロギーを超えて_クォンキム・ヒョンヨン
03 対抗的公共性
マジョリティに対抗する開かれた場としての女子大を目指して_キム・ヨンオク
04 フェミニズムとトランスジェンダーが手を取り合う未来
つながり拡がるフェミニズム運動を夢みて_ソン・ヒジョン
PART2 フェミニズムが構想するポストコロナ社会とは?
05 コロナの不平等
資本と男性中心の解決策に抵抗する_キム・ヒョンミ
06 パンデミックと女性労働者
最前線で闘う人々のために_シン・ギョンア
07 感染症と弱者のフェミニズム
不安と向き合うためのより良い方法を考える_チョン・ヒギョン
08 防疫監視社会のキスとセックス
「正常」を強制する社会で性的マイノリティの自由を擁護する_チェ・ヒョンスク
09 フェミニスト・グリーン・ニューディール
コロナ禍と断絶を乗り越えるための方法_チャンイ・ジョンス
PART3 新自由主義的フェミニズムを超えて
10 n番部屋は新種の犯罪なの?
顔のジェンダー政治_キム・チュヒ
11 安全の商品化とフェミニズム
被害と安全に対するフェミニズムからの問い_ミン・ガヨン
12 「悪いフェミニスト」の政治学
「パイ」の分配を超えて、より多くの連帯へ_イ・ヒョンジェ
13 フェミニズムの大衆化を再考する
女性の個人化のジレンマ_チョン・ヒジン
解説「脱植民地化とインターセクショナル・フェミニズム」梁・永山聡子
訳者あとがき
本編に登場する主な人物紹介
現代の韓国フェミニズム年表 主なできごと
竹中恵美子を知っていますか?竹中恵美子の「女性労働研究」に出会った人たちが、その出会いをどう受けとめ、自身の実践や人生にどのような影響を受けたのか、熱く語る。
「NPO法人女性と仕事研究所」等で女性の労働・仕事およびNPOをテーマに長年活動してきた著者が、趣味として創作活動を行ってきた油絵・絵画と生涯のテーマであるフェミニズムとの関係を問い直す。ヌード絵画と女性の問題等を深く考察し、まとめた一冊。
人類学、社会学、教育学、歴史学、心理学、文学などさまざまな視点から、オーストラリア社会における女性の地位を考察。
フェミニズムの理論状況を概観し、女性の日常的経験と意識を中心にすえた新しい社会科学の方法論を確立する問題提起。