中世写本画の傑作“ユトレヒト詩篇”の表現主義的線描はどのようにして生み出されたのか。
ヨーロッパ芸術の黄金時代はイメージや言葉をめぐる「論」の時代でもあった。新たな芸術観を切り拓いた重要テクストが今、原典からの翻訳によってよみがえるーー。下巻には、代表的な文学・音楽・演劇論から、コレクション論や図像論、遠近法論や比例論、さらには反芸術論までを収録。
凡例
コレクション論
17 マルカントニオ・ミキエル
美術品消息
図像論
18 ガブリエーレ・パレオッティ
聖俗画像論(抄)
インプレーサ論
19 パオロ・ジョーヴィオ
戦いと愛のインプレーサについての対話(抄)
遠近法論
20 ピエロ・デッラ・フランチェスカ
遠近法論(第一書)
比例論
21 ヴィンチェンツォ・ダンティ
完全比例論
俗語論
22 ピエトロ・ベンボ
俗語論(第一書)
修辞論
23 ロレンツォ・ヴァッラ
ラテン語の典雅(序文)
悲喜劇論
24 ジャンバッティスタ・ジラルディ・チンツィオ
悲劇と喜劇の創作をめぐる談話あるいは書簡
抒情詩論
25 ポンポニオ・トレッリ
抒情詩論(第七講)
叙事詩論
26 フランチェスコ・パトリーツィ
ルドヴィーコ・アリオスト擁護
音楽論
27 ジョゼッフォ・ザルリーノ
ハルモニア教程(抄)
28 ヴィンチェンツォ・ガリレイ
古代と当代の音楽についての対話(抄)
演劇論
29 スーズダリのアヴラアミイ
スーズダリのアヴラアミイの出立
反芸術論
30 ジローラモ・ベニヴィエーニ
カンツォーネ「来たれ、主がおられる」についての註解(抄)
扉図一覧
訳者一覧
「どの町、どの村を訪ねてみようと、
そこにはアンダルシアならではの青い空、白い壁、紅い花があり、
大気のうちには、たぶん明るすぎるゆえの哀しみなのだろうか、
説明のつかないひとつの哀愁が漂っている」
──本文より
日本を代表する音楽評論家で
スペイン文化研究家の濱田滋郎による待望の新著。
スペイン文化をもっとも色濃くたたえ、
東西の文明の交錯する「秘法の地」──アンダルシア。
その地誌、歴史、民族、そしてその地に花開いた
フラメンコをはじめとする芸能・芸術の魅力を、
美しい写真とともに、かつてないスケールで描いた唯一無二のスペイン文化論。
「愛よりも深いまなざしをスペインに向けておられる濱田先生と、
紀元前から現代までの流れを、アンダルシアを柱に味わう贅沢!
後世に残るべき名著が今ここに生まれました!」
──村治佳織さん(ギタリスト)
「これだけの情報量と深い洞察を
一人の信頼のおける著者の視線と価値観にもとづいて得られるのは、
なんと恵まれていることかと感謝の念を禁じえない」
──解説:川瀬佑介(美術史家、国立西洋美術館主任研究員)
※本書は1999年4月から2001年8月まで『パセオフラメンコ』(パセオ)に連載された「約束の地、アンダルシア」を単行本化したものです。
巻頭特集:細密銅版画 線刻の魔術師たち
「細密画」とは、細部まで緻密に描かれた小型の絵画のことをいいます。16世紀の西洋で「小型の(ミニヨン mignon)」という語と混合して、写本の挿絵や装飾文字、装身具などに描かれた小型の絵を指す「ミニアチュール」の訳語とされるようになりました。ミニアチュールというのは、はじめは朱色の鉛丹(ミニウム minium・羅)で描かれたことに由来しています。
細密画は文字通り「細部まで緻密に描かれている」ことが前提となりますが、その場合、「線描」によるディテールの描写が決め手となります。すると、それを描くための道具はペンや鉛筆、より鋭く硬質な線描を得意とする銅版画が主流となってきます。
本特集では、エッチングやエングレーヴィング(ビュラン)技法を主とする線刻による銅版画を「細密銅版画」として紹介します。その手数の多さから、時に職人的、超絶技巧という言葉で片付けられてしまう細密銅版画ですが、現在活躍している若い銅版画家の中には、あえてその技法に取り組んでいる者も少なくありません。本特集では4章に分けて、今現在、細密銅版画を制作している日本の作家と、そのルーツとなった西洋の歴史について紹介しています。
第1章「今 注目される若き細密銅版画家」では40代以下の作家4名を取り上げ、各々の細密銅版画の技法や表現のこだわり、作品のテーマについてインタビューを行いました。第2章「細密銅版画家傑作選」では、ベテラン作家5名と、これまで小誌に登場する機会が少なかった作家8名の、合わせて13名の作品を、3つの質問への回答とともに紹介します。第3章「細密銅版画のルーツ」では、アルブレヒト・デューラーに始まる16世紀以降の西洋の、特に細密描画によって制作された銅版画の流れを紹介し、第4章「現代欧州の細密銅版画家たち」では、1970年代以降に活躍したヨーロッパ・東欧の作家、フィリップ・モーリッツやニコライ・バタコフらの作品を掲載します。
細密銅版画というテーマの通り、密度の濃い特集です。是非じっくりと誌面に顔を近づけて、緻密な線の織りなす迷宮を堪能してください。
掲載作家:池田俊彦、謝敷ゆうり、齋藤悠紀、増田奈緒、坂東壮一、久保卓治、蒲地清爾、尾崎ユタカ、林 由紀子、片岡外志子、馬場 恵、生熊奈央、藤田典子、木村遥名、初田有以、山根一葉、雨宮ひかる
マルティン・ションガウアー、アルブレヒト・デューラー、ルーカス・ファン・レイデン、ゼバルト・ベーハム、ジョルジョ・ギージ、ピーテル・ブリューゲル(父)、ジャック・カロ、ヘンドリク・ホルツィウス、コルネリス・ホイベルツ、ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ
フィリップ・モーリッツ、ニコライ・バタコフ、カロル・オンドゥレイチュカ、カレル・デメル、エリック・デマジエール
世界を認識する心の感動が芸術に表現され、芸術がその感動を再現させる。心は脳の働きであり、芸術を理解することは、脳の働きそのもの。芸術を通した新しい視点から、素晴らしい脳の働きを理解しようという、国際高等研究所の研究会をもとに、参加研究者が書きおろした。芸術を生み出し芸術に表現される、時間、空間、名前、錯覚などを、脳の研究者と芸術の研究者が快い文章で描きだし、編者がコラムで読者をナビゲートする。
人類に発生した「心」の起源に迫る野生のサイエンス。人文諸学の再構築を目的とした芸術と人類学の創造的な融合。前人未到の表現空間が今、ここに拓かれる。
日本の現代美術史上、最大の問題作、「犬」は、なぜ描かれたのか?作者自らによる全解説。これは「ほぼ遺書」である。「もちろん分かっているーー美術作品の解説なんて作者本人はしない方がいいことは。だからこんな悪趣味は一生にこれ一度きりとする。本来無言の佇まいが良しとされる美術作品に言葉を喋らせたらーーいったんそれを許可してしまったらーーたった一作でもこれくらい饒舌になるという、最悪のサンプルをお見せしよう。ついてこれる人だけついてきてくれればいい。」(本文より)日本を代表する現代美術家会田誠の23歳の作品「犬」は、2012年の森美術館展覧会での撤去抗議はじめ、これまでさまざまに波紋を呼んできた。その存在の理由を自らの言葉で率直に綴る。人間と表現をめぐる真摯な問い。
美と知が交響するーー。西洋芸術が華やかに開花したそのとき、美術家や知識人は何を考え、どのような言葉を交わしていたのか。本邦初訳の貴重なテクストを多数含む待望のアンソロジー。上巻には、代表的な絵画・彫刻・建築・工芸論から、模倣論やイデア論、庭園論や色彩論、さらには自伝やパトロン論までを収録。
凡例
解説 イタリア・ルネサンス芸術論(池上俊一)
美学
1 ジョルダーノ・ブルーノ
紐帯一般について(抄)
模倣論
2 ジュリオ・カミッロ
模倣について
イデア論
3 フェデリコ・ズッカリ
画家・彫刻家・建築家のイデア(抄)
理想都市論
4 アントニオ・フィラレーテ
建築論(第二書)
建築論
5 セバスティアーノ・セルリオ
建築七書(第四書)(抄)
庭園論
6 アゴスティーノ・デル・リッチョ
王の庭について
色彩論
7 フルヴィオ・ペッレグリーノ・モラート
色彩の意味について
絵画論
8 レオン・バッティスタ・アルベルティ
絵画論
9 ジョヴァン・パオロ・ロマッツォ
絵画神殿のイデア(抄)
彫刻論
10 ポンポニオ・ガウリコ
青銅の鋳造術について(第一章)
パラゴーネ
11 フランチェスコ・ドーニ
素描論(第六章)
工芸論(陶芸)
12 チプリアーノ・ピッコルパッソ
陶芸三書(第一書)
工芸論(金銀細工)
13 ベンヴェヌート・チェッリーニ
金銀細工論(抄)
印刷術・書体論
14 アルド・マヌーツィオ
関連史料
芸術家自伝・伝記
15 ロレンツォ・ギベルティ
コンメンターリ(第二書)
パトロン論
16 画家とパトロン
関連史料
扉図一覧
訳者一覧
問うこと、考えること、語り合うこと。はじめの一歩に。
シリーズ累計23万部。フランス発、世界中で翻訳された「哲学絵本」最新刊。
推薦します! ……平田オリザさん
「美しいってどういうこと?」「誰がそれを決めるの?」…
さぁ、これは大問題。
子どもと時間をかけて対話するのが苦手なお父さん、お母さん。
対話の体力をつけるための訓練に、最も適した本です。
私も子どもと、この絵本を手に、早く話がしたいな。
うつくしさについて、かんがえることは、みんなおなじ?
うつくしいものって、なに?
うつくしいもののこと、きちんとりかいするべき?
ぼくたちみんな、芸術家?
芸術家なら、自由に作品をつくれるの
芸術って、なんの役にたつ?
この本には、美と芸術って、なに?を考えるための大きな問題が6つ。
いろんな考えをあれこれ組み合わせたり、ふだんは見えていないところをのぞきこんだりしながら、
ほかのだれにもたどりつけない、きみだけの答えをさがしてみよう。
こども哲学は、自分について、人生について、世界について、
あたまいっぱいの疑問と向き合うことになったこどもたちが、
はじめの一歩をふみだすための羅針盤です。
どこかで聞いたことのある答えでお茶をにごすのではなく、
こどもと本気で語りあい、いっしょに考えてみたい。
そう願うすべてのおとなたちにも、ぜひ手にとってほしいシリーズです。
特別付録:日本版監修・重松清の書き下ろし掌篇「おまけの話」が本の最後についています。
芸術とは何か、人間とは何かーこのストレートで根源的な問いに答えたのが、本書です。「絵画に余白は必要か?」「作品の価格はどう決まるか?」「インターネットは芸術をどう変えたか?」「芸術家は才能か技術か?」「人間はなぜ絵画を描くのか?」など147の質問に、画家・千住博がていねいに答えます。また、「究極の日本画5作品」「究極の西洋画5作品」などをカラーで紹介、「美」を楽しみながら、その本質に迫ります。
起立工商会社は、明治時代初期、主として日本の美術工芸品を世界へ輸出した、日本の貿易会社。
明治6年のウィーン万国博覧会を契機に現地で結社され、明治7年に銀座で創業。
会社経営を通じた支援・育成により日本近代美術史、日本近代史に名を残す画家、工芸家、美術商を輩出したが、明治24 年に解散。
幅広い読者を持つ代表的な芸術総合雑誌
一人でオーケストラを再現する、その目的を果たすため作った奇妙な楽器で、狂気じみた演奏を行う音楽家ガンバラ。唯一、酔ったときにだけ、天才的な演奏をすることができるとわかり、ある企てに巻き込まれていく…。フランスで本格的に音楽を論じた最初の小説といわれる表題作ほか、「音楽」と「狂気」が交錯する4篇を収録。
不朽の古典を超・現代語訳で気軽に楽しむ!ピンチになったときこそ、読めば心が軽くなる。名著『高校生が感動した「論語」』の著者が送る、人生に役立つ珠玉の言葉たち。