巻頭特集:細密銅版画 線刻の魔術師たち
「細密画」とは、細部まで緻密に描かれた小型の絵画のことをいいます。16世紀の西洋で「小型の(ミニヨン mignon)」という語と混合して、写本の挿絵や装飾文字、装身具などに描かれた小型の絵を指す「ミニアチュール」の訳語とされるようになりました。ミニアチュールというのは、はじめは朱色の鉛丹(ミニウム minium・羅)で描かれたことに由来しています。
細密画は文字通り「細部まで緻密に描かれている」ことが前提となりますが、その場合、「線描」によるディテールの描写が決め手となります。すると、それを描くための道具はペンや鉛筆、より鋭く硬質な線描を得意とする銅版画が主流となってきます。
本特集では、エッチングやエングレーヴィング(ビュラン)技法を主とする線刻による銅版画を「細密銅版画」として紹介します。その手数の多さから、時に職人的、超絶技巧という言葉で片付けられてしまう細密銅版画ですが、現在活躍している若い銅版画家の中には、あえてその技法に取り組んでいる者も少なくありません。本特集では4章に分けて、今現在、細密銅版画を制作している日本の作家と、そのルーツとなった西洋の歴史について紹介しています。
第1章「今 注目される若き細密銅版画家」では40代以下の作家4名を取り上げ、各々の細密銅版画の技法や表現のこだわり、作品のテーマについてインタビューを行いました。第2章「細密銅版画家傑作選」では、ベテラン作家5名と、これまで小誌に登場する機会が少なかった作家8名の、合わせて13名の作品を、3つの質問への回答とともに紹介します。第3章「細密銅版画のルーツ」では、アルブレヒト・デューラーに始まる16世紀以降の西洋の、特に細密描画によって制作された銅版画の流れを紹介し、第4章「現代欧州の細密銅版画家たち」では、1970年代以降に活躍したヨーロッパ・東欧の作家、フィリップ・モーリッツやニコライ・バタコフらの作品を掲載します。
細密銅版画というテーマの通り、密度の濃い特集です。是非じっくりと誌面に顔を近づけて、緻密な線の織りなす迷宮を堪能してください。
掲載作家:池田俊彦、謝敷ゆうり、齋藤悠紀、増田奈緒、坂東壮一、久保卓治、蒲地清爾、尾崎ユタカ、林 由紀子、片岡外志子、馬場 恵、生熊奈央、藤田典子、木村遥名、初田有以、山根一葉、雨宮ひかる
マルティン・ションガウアー、アルブレヒト・デューラー、ルーカス・ファン・レイデン、ゼバルト・ベーハム、ジョルジョ・ギージ、ピーテル・ブリューゲル(父)、ジャック・カロ、ヘンドリク・ホルツィウス、コルネリス・ホイベルツ、ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ
フィリップ・モーリッツ、ニコライ・バタコフ、カロル・オンドゥレイチュカ、カレル・デメル、エリック・デマジエール
レンブラント、フェルメール、ウォーホル、フリーダ……実証主義を超え、真実らしさを求めた映像が挑んだ、新たな芸術家の詩的真実に迫るスリリングな映画論。
「家」が「人生」を語ってくれる…『週刊文春』の人気連載「家の履歴書」(現「新・家の履歴書」)において、著者・斎藤明美(『高峰秀子との仕事』)が「週刊文春」記者時代から今日まで、のべ1200人にわたって取材して来た中からセレクトし、3巻に収録。著者の巧みな聞き書きによって、著名人たちが語る「家」と「わが人生」の物語=数々の感動的なエピソードがあらためて甦る。
2019年で生誕120年を迎える映画史上の名匠アルフレッド・ヒッチコック。「サスペンスの神様」という呼称だけではおさまらない、その特異な作品の魅力、オブセッションを考察する。
<b>「地域の文化を継承し、芸術鑑賞に新たな道を開く」取り組みの事例</b>
日本の各地域に存在する有形・無形の文化・芸術資産は、そ
の保存や維持・継承において、自然災害や人手不足、維持費
用など困難な課題が増え続けており、存続自体が難しくなり
つつあります。
一方、こうした現状を打開すべく、最新のデジタル技術やICT
を活用し、文化資産等の存続と活用を図る新しい取り組みが
進められています。
本書は、地域の文化・芸術を守り、活かし、多くの人と共有
して広げていこうとする志を持つ人々の取り組みをクローズ
アップした事例集です。
<b>●本書掲載の事例(一部)</b>
・一般開示が困難な収蔵文化財の高精細レプリカを作成し、
時と場所を選ばず展示可能にした博物館
・コロナ禍で、劇場とネット配信を融合させたオンライン・
リアルという新たな演劇スタイルに挑戦した公演主催者
・警備員不足の課題を抱える「花火」開催に、ICTによる混雑
の可視化を取り入れ、人員の最適配備をめざす自治体
・名画を鑑賞できるくつろぎ空間を設け、入居者に憩いの場
の提供をめざす介護施設・デジタル版の浮世絵展示と和室空
間を設け、海外客に日本文化の再体験を提案する空港ラウンジ
・その他ユニークな事例を豊富なカラー写真とともに紹介。
志望校攻略に欠かせない大学入試過去問題集「赤本」
本書の著者は、ライト、ル・コルビュジエ、アスプルンドなど近代建築を造型した俊英たちの著作を、永年にわたり良質かつ純度の高い芸術的筆致で我が邦語にもたらした業績で知られる。
「地中海精神の幾何学的造型」から「生活の場の芸術としての建築」や「自然と人間の調和的対応」など、多彩な創造性の真意を現代に知らしめてきた心意が、著者自身の心優しく叡智溢れる言葉で語られる。
「労働可能であること」を福祉提供のメルクマールとしたドイツ社会国家において、女性や子どもはどのように位置づけられたのか。ドイツ社会国家の展開過程を近代家族の視点から読み解く。
めくるめく8つのイメージの技法。
文化・芸術と市場経済が出会ったとき、果たしてそこでは何が起こるのだろうか。市民の文化的生活の洗練化と芸術の堕落という結末が想定できるとしても、経済は本当に芸術を貶めることに繋がるのだろうかーーこの文化経済学の基本的で重要な問いをテーマに、経済学の基本的な考え方を振り返りながら、バロック期を起点にオペラ・バレエなどの芸術と経済が相補的な関係にあった歴史を辿る、文化経済学の魅力が詰まった講義録。
[目次]
はじめに
文化経済学講義録partI
文化経済学講義1 「バロック」という概念に関する予備的考察
文化経済学講義2 文化経済学の基本テーマと基本概念
文化経済学講義3 文化経済学のための市場理論と企業者論
文化経済学講義4 エジソンのフォノグラフと市場経済
文化経済学講義5 エジソンのフォノグラフと市場経済(2)
文化経済学講義録part2
文化経済学講義6 ルイ・ヴェロンの「パリ・オペラ座」改革とその顛末 その概要
文化経済学講義7 オペラの誕生についての考察
文化経済学講義8 王侯貴族とオペラ
文化経済学講義9 市民社会とオペラ
文化経済学講義10 ルイ・ヴェロンの経営戦略
文化経済学講義録part3
文化経済学講義11 オペラ《カルメン》の考察(1)
文化経済学講義12 オペラ《カルメン》の考察(2)
文化経済学講義13 文化企業者S.ディアギレフの仕事(1)ディアギレフのバレエ・リュスとは? その紹介、文化的インパクトについて
文化経済学講義14 文化企業者ディアギレフの仕事(2)具体的内容の紹介
文化経済学講義15 文化企業者ディアギレフの仕事(3)
19-20世紀転換期のウィーンで花開いた〈世紀末ウィーン〉と精神分析。価値観をゆるがす二つの文化が、近代化の進むこの中欧の都において同時に興ったのは、偶然ではない。
本書で俎上に載せられるのは、〈世紀末ウィーン〉を体現する芸術家の面々とその代表作である.クリムトの描く女性たちとヒステリーや神経衰弱の身体表象、分離派館(オルブリッヒ)とプルカースドルフ・サナトリウム(ホフマン)の白い建築と「近代生活からの避難所」、「芸術的な改良服」と「モードかスタイルか」の議論、造形における装飾(分離派)と無装飾(ロース)の論争とセクシュアリティ、ココシュカのアルマ人形と「投影」、クービンの夢と記憶「二次加工」--このように、芸術と精神医学の関係性が入念な資料読解のもとに跡づけられ、さらにその先へと考察がおしすすめられてゆく。
気鋭の美学研究者が、西洋美術史における〈モデルネ〉の分析に挑む、清新な世紀末ウィーン論。
絵画、彫刻、文学、建築などの作品においても、理論や批評の言説においても、多面的かつ国際的な拡がりをもつキュビスム。「幾何学」的表現の誕生・深化から、二度の世界大戦を経て、歴史的評価の確立へと至る曲折に満ちた展開を、美術と〈現実〉との関係を軸に描ききる。
序 章
第1部 幾何学による解剖・解体と「概念の現実」の誕生
第1章 キュビスムをめぐる言説
-レアリスムとの関係からの考察ー
1 プロト・キュビスムから分析的キュビスムまで
2 幾何学をめぐる言説と「概念の現実」
3 キュビスム以前の「現実」への問い
第2章 現実の解剖、解体
-分析的キュビスムへの展開ー
1 美術解剖学における図式と抽象
2 ピカソと美術解剖学ーー解剖学から「概念の現実」へ
3 ピュトー・グループにおける様式的展開
4 キュビスム作品における女性身体像
第1部結論
第2部 キュビスムの文法と詩学
第3章 芸術と詩的アナロジー
-総合的キュビスムの文法ー
1 二次元と三次元の対話
2 形態的なアナロジーから詩的なアナロジーへ
3 「キュビスム文学」と挿絵本
第4章 機械の詩学
-身体のメカニズムの探求からメカニックな身体へー
1 レジェとグリスにおける生物と無生物のアナロジー
2 デュシャン兄弟、クプカ、ピカビアにおける身体表現
3 ヴォーティシズムにおける「現実」と機械のイメージ
第2部結論
第3部 キュビスムと第一次世界大戦
第5章 前衛と前線
-大戦の「現実」と視覚芸術ー
1 前線の風景と従軍画家たち
2 前線の身体とキュビスム
第6章 古典主義とナショナリズム
-第一次世界大戦前後の芸術理論と実践ー
1 キュビスム理論におけるナショナリズムと第一次世界大戦
2 第一次世界大戦前後のピカソの古典主義
第3部結論
第4部 新たなる「秩序」へ向けて
第7章 秩序への回帰
-大戦間期の美術史モデルとかたちの「生命」-
1 キュビスムの歴史化と見出された「原理」
2 キュビスムの理論的な批判と普遍的な理論の追求
3 キュビスム以降の芸術における新たなる「現実」
第8章 キュビスムの形態学
-近代のユートピアと前衛芸術ー
1 キュビスム以降の芸術家たちと近代都市
2 ユートピアの創出、あるいはユートピアへの回帰
第4部結論
第5部 第二次世界大戦前後の政治社会とキュビスム
第9章 大戦の影と文化的地勢図
-展示・論争におけるキュビスムの位置づけー
1 1930年代のフランスにおける現代美術史研究と美術展示
2 レアリスム論争の背景と展開
3 第二次世界大戦下のキュビスム
第10章 キュビスムの生と死
-戦後の社会とフランス文化の復興ー
1 フランス文化の再建
2 サロン・デ・レアリテ・ヌーヴェル
第5部結論
終 章
1 見ることと知ることーー認識メカニズムの表現としてのキュビスム
2 理論と歴史ーーキュビスムと価値システムの構築
3 言葉とイメージーー諸現実の地層の再配置
あとがき
初出一覧
注
図版一覧
事項索引
人名索引
仏文要旨
仏文目次
日常生活の中で最も身近な器である「食器」作りの基本を1冊に。毎日使う器だからこそ、使い勝手が良いように作ることが大切。食器作りの定評のある4人の陶芸家が基本的な形から、トンカツ皿、湯呑、ポット、深鉢、徳利、片口、飯碗、カフェオレボウル、マグカップ、高台小皿など目的にあった器の作り方を紹介。
特集:茶人・千 宗屋と現代の茶碗
現代の陶芸家の多くが最も作りたいものとして「茶碗」を挙げますが、使い手との交流が少なくなり、鑑賞用の存在になってきています。
本特集では、新しい時代の茶の湯を牽引する茶人・千 宗屋氏に現代の茶碗に求めることを語っていただきます。
対談 千 宗屋(武者小路千家家元後嗣)×川瀬 忍(陶芸家)
千 宗屋が選ぶ現代の茶碗 他
吝嗇家の夫との田舎暮らしの虚しさを埋めるため、詩を書きはじめたディナ。それが話題となり、批評家ルーストーの愛人となった彼女は、とうとう夫を捨て、パリへと出てくるが…。ジョルジュ・サンドを彷彿させるような女作家を主人公とした表題作など、「文学」と「狂気」が交錯する2篇を収録。すべて新訳の新シリーズ第3弾。
特異な創造性の芽生えが、この国のここかしこ、様々な領野でみられるようになっている。それを、「藝」の字の由来(「植物に手を添え土に植える」)に鑑み、とりあえず「藝術2.0」と名づけ、「藝術家2.0」たちの営みを探索することを通して、人類が未だ知らない新しい創造性の在りか、思想、精神を見究めてゆく。限界を迎えていたアート界に現れたニューウェーブを捉える挑戦的な論考。