本書は執筆陣に極小主義の先鋭的研究を推進する研究者を集め、生成文法研究の最先端の動向を見渡せる構成をとった。前半の概説では最適演算性について経済性の数学的な視座を提供し、ラベル理論以降ボックス理論までの議論を端的にまとめている。後半では、事象の本質を簡潔なものに帰着させる研究論文を揃え、構造構築を担う演算システムの本質に切り込んでいる。探究の知的刺激を求める読者に読んでいただきたい一冊である。
執筆者(五十音順):石井透、大宗純、北田伸一、後藤亘、小町将之、杉本侑嗣、刺田昌信、豊島孝之、中島崇法、林愼将、Blümel, Andreas、宗像孝。
第I部 概説 -演算メカニズムの成り立ちと諸概念:昨今の動向と枠組みー
序論 生成文法における経済性 豊島孝之
第1章 言語構造の構築を特徴づける要因
第1節 第三要因 小町将之
第2節 併合を中心とした概念の説明 石井透・後藤亘
第3節 併合の形式及び適用様式について 中島崇法
第2章 SMT が形作る構造の派生
第1節 コピー形成の最適化に基づく統辞研究の諸相 宗像孝
第2節 SMTの促進的役割 小町将之・宗像孝
第3章 SMTと新たな方向性
第1節 最小探索 林愼将・大宗純・小町将之
第2節 ボックス理論 大宗純・杉本侑嗣
第I部 参考文献
第II部 研究論文 -構造構築の演算と言語事象における原理的説明への挑戦ー
A. 併合をめぐる諸問題
第1章 なぜ「併合」は二項なのか? -その背後にある原理を探るー 石井透・後藤亘
第2章 コピーの区別に対する表示的分析とその帰結 -「派生的」制約とECPの導出ー 林愼将
第3章 作業領域に基づく等位接続構造の構築 中島崇法
B. コピー形成に基づく演算メカニズムの特徴と言語事象
第4章 命題領域の構築から節領域における叙述構造の形成 宗像孝
第5章 メモリのない統辞計算とフェイズ理論 剌田昌信
第6章 コピー形成による同族目的語構文 北田伸一
第7章 ボックス理論における残部移動 Andreas Blümel・後藤亘・杉本侑嗣
C. 第三要因に由来する探索の帰結
第8章 ボックス理論での一致と束縛 大宗純・小町将之
第9章 ΣAgreeとwh移動現象 大宗純
認知言語学が用法基盤アプローチとして不十分であることを指摘する声は少なからずあるが、その原因は、英語や日本語、あるいは標準変種や書き言葉などの高度に理想化されたレベルでの研究が多く見られたことにある。本論文集では、社会・相互行為の文脈から言語使用を考察し、極度の理想化から脱却した新しい認知言語学の在り方を探求する。
執筆者:遠藤智子、大谷直輝、木本幸憲、木山直毅、渋谷良方、土屋智行、中村文紀、中山俊秀、名塩征史、堀内ふみ野、横森大輔、吉川正人、李嘉、李イク琨、Ash L. Spreadbury
はしがき
序 認知言語学と言語の理想化
渋谷良方・吉川正人・横森大輔
Part 1 コーパス分析からのアプローチ
WANT交替
確率文法によるアプローチ
渋谷良方
Have to be or hafta be or gotta be, that is the question.
認知的・社会的要因から変異形の選択問題に迫る
吉川正人
多義性研究におけるテキストジャンル
RUN構文を例に
木山直毅
better off notかnot better off か
否定辞notを含むbetter off構文に関する認知社会言語学的研究
大谷直輝
Part 2 新規表現・逸脱表現からのアプローチ
補文標識like とthat の競合における多層的動機付け
言語変化における革新と伝播の観点から
中村文紀
認知と社会の両面から見るインターネット表現の機能と変化
Ash L. Spreadbury
「打ちことば」の連体修飾構造に見るモード依存の構文化
堀内ふみ野・土屋智行・中山俊秀
Part 3 談話・相互行為からのアプローチ
補文節を好む言語・避ける言語
言語類型論から話し言葉を見てわかること
木本幸憲
会話における思考の引用
中国語会話を例に 遠藤智子・李イク琨・李嘉
「超かわいいんだけど!」
「けど」中断節構文による肯定的評価と言語内バリエーションへの相互行為的アプローチ
横森大輔
活動の中の相互行為と主体の認識
三味線の稽古における「教える」話しぶり/「学ぶ」話しぶり
名塩征史
索引
編者・執筆者紹介
主体性のありかとしての自分を出発点とし、日英語を比較対照しながら、ことばによる自己表現の本質に迫る。話し手を、思考主体としての私的自己と伝達主体としての公的自己に解体し、言語の自己中心性のありかを突きとめる話し手解体論と、言語使用は状況把握、状況報告、対人関係の三層に分かれ、言語によって三層関係が異なるとする三層モデル論からなる。著者の長年にわたる主体性研究の全体像をわかりやすくまとめた渾身の一冊である。
学習心理学と言語心理学を1冊で学べる概説書。「学習・言語心理学」のテキストとしても最適。基本的に見開き2頁完結の形で構成しており、見やすく、読みやすくなっている。
序
第1章 学習と言語の心理学
第2章 生得的行動・初期学習・馴化
第3章 古典的条件づけ1
第4章 古典的条件づけ2
第5章 オペラント条件づけ1
第6章 オペラント条件づけ2
第7章 さまざまな学習
第8章 言語の諸相
第9章 言語の獲得
参考図書ーより深く学びたい人のために
引用文献
本書は、21世紀の言語・コミュニケーションの課題に「境界」と「周縁」の視点から迫る。ジェンダー、翻訳通訳、危機言語、移動する人々、方言やマイノリティ言語、言語実践のリアリティなどをテーマとする11の論考は、「境界」と「周縁」の恣意性、曖昧性、政治性、暴力性、潜在するイデオロギーを多様な論点と方法で顕在化させ、新たな研究の地平を照らしだす。
執筆者:新井保裕、新垣友子、井上史雄、尾辻恵美、木本幸憲、熊谷滋子、クレア・マリィ、寺尾智史、坪井睦子、滕越、三宅和子
名詞句の分布と移動の性質に説明を与えるラベル付け理論と種々の局所性を統一的に捉えるフェイズ理論は、極小主義統語論の中核をなす。本書は、この2つの下位理論を背景とともに概説した上で、日英語の相違をも説明しうる形に発展させることを試みる。特に、自由語順、多重主語、多様な名詞修飾節、項省略、広範な適正束縛効果など、日本語に特徴的な現象を取り上げて、極小主義アプローチに基づく分析を提示する。
第1章 序
第2章 句構造とX'理論
第3章 名詞句の分布と移動現象
第4章 Chomskyのラベル付け理論
第5章 日本語における{XP, YP}構造のラベル付け
第6章 ラベル付けによる日本語分析の帰結と課題
第7章 フェイズ理論と局所性
第8章 フェイズの定義再考
第9章 日本語の分析に対する帰結
第10章 結論
本書は人間のことばの習得と脳などとの関わりについて取り扱う「言語心理学」という研究分野について、コンパクトに概説したものである。全6章から構成されており、前半の3章では、主に母語習得について概観し、後半の3章では主に第二言語習得について概観をしている。様々な言語学の分野の観点や視点から、言語習得という人間の基本的本能と言われる内容に関して解説を簡潔に行っており、よりダイナミックな内容となっている。
目次
第1章 音声・音韻の獲得と喪失
1.1. 音声学・音韻論とは何か
1.2. 音声・音素の獲得とは
1.3. 臨界期仮説(Critical Period Hypothesis)について
1.4. 言語の音節構造
1.5. 言語のリズムの構造
1.6. 失語症患者の音喪失
1.7. 言語音声の知覚とマガーク効果
1.8. 休止の役割
1.9. まとめ
第2章 語彙の獲得・喪失と生物言語学
2.1. 語彙習得とは何か
2.2. 語彙習得に関する基本概念
2.3. 心的辞書の役割について
2.4. 弁別素性と語彙の喪失について
2.5. 生物言語学
2.6. まとめ
第3章 統語・意味の獲得
3.1. 統語論の情報処理について
3.2. 文理解の意味と認知
3.3. まとめ
第4章 第二言語習得のプロセス
4.1. 用語の整理
4.2. 臨界期仮説
4.3. 音声の習得
4.4. 語彙の習得
4.5. 文法形態素の習得順序
4.6. 統語の習得順序
4.7. まとめ
第5章 第二言語習得理論
5.1. 習慣形成
5.2. インプット、インタラクション、アウトプット
5.3. 自動化
5.4. 社会文化理論
5.5. 用法基盤理論
5.6. まとめ
第6章 第二言語習得の個人差
6.1. 動機づけ
6.2. Willingness to Communicate(WTC)
6.3. 言語不安
6.4. まとめ
言語学の知識を既に身に付けている読者を対象として、「目で見る生活様式(文化)を持つろう・難聴コミュニティで自然に発生した言語」の研究の基本的な知識と近年の動向について日本語で情報を得ることを目的として作られた一冊。
■「まえがき」より
各章は 【基礎編】 と 【最前線編】 の二部構成となっている。【基礎編】でトピックに関する基本的な概念を導入したうえで,【最前線編】 でより専門性の高い内容が提示される。「第1章 イントロダクション」では,手話言語学という分野を概観する 【基礎編】 に続いて,近年の研究の展開の一例として手話音韻論を取り上げた。音韻のトピックは「第3章 プロソディ」にも含まれている。「第4章 複合語」では形態論のトピック,「第5章 文末指さし」「第6章 削除」では統語現象,「第7章 焦点」「第8章 メタファー」では意味に関わる現象がテーマとなっている。「第2章 類型論」と「第9章 手話の発生」では手話の多様性を扱う研究成果が提示されており「第10章 マウス・アクション」は複数の分野にまたがる事例研究である。
■執筆者一覧
浅田裕子(昭和女子大学 グローバルビジネス学部 准教授)
今西祐介(関西学院大学 総合政策学部 教授)
上田由紀子(山口大学 人文学部・人文科学研究科 教授)
内堀朝子(東京大学大学院 工学系研究科 准教授)
岡田智裕(総合研究大学院大学 複合科学研究科 情報学専攻 博士課程在学)
坂本祐太(明治大学 情報コミュニケーション学部 専任准教授)
相良啓子(人間文化研究機構 人間文化研究創発センター 特任助教)
下谷奈津子(関西学院大学 手話言語研究センター 研究特別任期制助教)
高嶋由布子(国立障害者リハビリテーションセンター研究所
脳機能系障害研究部 高次脳機能障害研究室 流動研究員)
富田 望(フレーミングハム州立大学 外国語学部 助教)
平山仁美(慶應義塾大学 商学部 専任講師)
前川和美(関西学院大学 手話言語研究センター 研究特別任期制助教)
松岡和美(慶應義塾大学 経済学部 教授)
矢野羽衣子(関西学院大学 手話言語研究センター 客員研究員)
*各章は、基礎編と最前線編の2部立て。
基礎編には見出しタイトルがありません。
各章の2行目は最前線編のタイトルです。
第1章 イントロダクション(松岡和美)
手話言語学の発展:音韻研究を例として
第2章 類型論(相良啓子)
数詞の類型論
第3章 プロソディ(下谷奈津子・前川和美)
日本手話のうなずきとその習得ー母語話者と学習者の比較
第4章 複合語(浅田裕子)
動詞由来複合語の統辞分析ー日本語と日本手話の観察から
第5章 文末指さし(内堀朝子・今西祐介・上田由紀子)
文法的一致を示すものとしての文末指さし
第6章 省略(坂本祐太)
空項の理論的分析:動詞残余型動詞句省略か、項省略か、空代名詞か?
第7章 焦点(平山仁美)
手話言語の焦点の意味論・語用論的分析
第8章 メタファー(高嶋由布子・富田望)
手話のメタファー分析の試み
第9章 手話の発生(矢野羽衣子)
宮窪手話の言語学的特徴
第10章 マウス・アクション(岡田智裕)
マウス・アクションの使用実態の分析
★あの名著をわかりやすい新訳で再び読み解く
1906年から1911年までジュネーブ大学でおこなわれたフェルディナン・ド・ソシュールの講義内容をまとめ、言語学や現代思想に大きな影響を与え続けている『一般言語学講義』(Le Cours de linguistique generale, 1916年)の待望の新訳。原著の内容を忠実に移しながら、現代言語学の知見も取り入れ読みやすい翻訳を実現した。ソシュール研究の第一人者によるわかりやすい新訳と詳しい脚注によって、あの名著を再び読み解く。
〈目次〉
序文
序 論
第1章 言語学小史
第2章 言語学の資料と課題ー隣接諸学問との関係
第3章 言語学の対象
第4章 ラングの言語学とパロールの言語学
第5章 ラングの内的要素と外的要素
第6章 文字によるラングの表記
第7章 音韻論
付録 音韻論の原理
第1章 音の種類
第2章 発話連鎖における音素
第1部 一般原理
第1章 言語記号の性質
第2章 記号の不変性と可変性
第3章 静態言語学と進化言語学
第2部 共時言語学
第1章 総論
第2章 ラングの具体的な実体
第3章 同一性、実在、価値
第4章 言語的価値
第5章 連辞関係と連合関係
第6章 ラングの機構
第7章 文法とその下位区分
第8章 文法における抽象的な実体の役割
第3部 通時言語学
第1章 総論
第2章 音声変化
第3章 音声的進化の文法的帰結
第4章 類推
第5章 類推と進化
第6章 民間語源
第7章 膠着
第8章 通時的な単位、同一性、現実性
第3部と第4部への付録
A 主観的分析と客観的分析
B 主観的な分析と下位単位の確定
C 語源学
第4部 言語地理学
第1章 言語の多様性について
第2章 地理的多様性の複雑化
第3章 地理的多様性の原因
第4章 言語的な波の伝搬
第5部 回顧的言語学の諸問題 結論
第1章 通時言語学の2つの観点
第2章 最古の言語と原型
第3章 再建
第4章 人類学と先史学での言語の証拠
第5章 語族と言語類型
訳者あとがき
めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に(紫式部) あれから、1000年。いかがお過ごしですか。本書は、『百人一首』を基に、古代日本語の性質を解明していきます。日本語の特質や起源に、自分なりの答えが出せるかもしれません。キーワードは、「一致」。人称、活用、係り結び、移動。韓国語、シンハラ語、タミル語、トルコ語、ビジ語、モンゴル語も顔を出します。競技かるたの練習にも。著者の音声は、HPよりダウンロード。
1章 はじめに:大事なこと
4つのことだけ心に留めて
2章 を主語:日本語とモンゴル語
親戚に見える
3章 人称の区別:が・の
日本語の中に英語を見た
4章 文の主語
日本語の中に英語を見た+
5章 係り結び
英語を超えて
6章 疑問文
寂しがり屋で奔放で
7章 連体形仲間
親戚がいっぱい
8章 まとめ:百人一首で学べること
一致がいっぱい
言語には異なるモード(話しことば、書きことば)や変種(地域的、社会的)が存在する。本書は、統語分析の対象から外されることが多い標準から逸脱した変種であっても、信頼できるデータを十分に観察すれば、言語現象を適切に分析できることを解き明かす。多彩な実例から言語の本質に迫ろうとするアプローチは、記述文法のみならず、形式文法においても十二分に価値を持つ。丁寧な訳注とコラムも付いて、新たな文法研究に挑む醍醐味を実感できる一冊。原著:Jim Miller (著)A Critical Introduction to Syntax。
40万部以上の実売を誇る名著『聞く技術』がついにマンガ化されて登場。
柊(ひいらぎ)家という架空の5人家族それぞれが、日常のなかで失敗をして悩んでいるときにピカッとスマホが光り、魔法使いトーザン(じつは原作者の東山先生)が登場する。そして「何を落ち込んでいるのか?」と事情を聞き、「それは聞き方が悪いからだ」「こんなふうにするとうまくいくよ」と具体的に聞き上手になるための極意をアドヴァイスする。
パパさんは、40代の中堅サラリーマン、ママさんは専業主婦、長男なつきは受験を控えた中学3年生、長女かえでは小学校4年生、次女はるは幼稚園の年少組。さて、この5人の日常にどんな事件が起こり、魔法使いトーザンから何を教えてもらうのか、お楽しみに。
もくじ
プロローグ
1 聞き上手は話さない
2 相づちを打つ
3 避雷針になる
4 聞き上手に上下なし
5 素直に聞く
6 説明しない
7 Listenせよ、Askするな
エピローグ
言語学や法学を学び始めた大学生や、法と言語に関心のある市民がその要点を知り、この分野の基本事項や考え方を気軽に入手できる「法とことば」の教科書。15ある「学習室」では法と言語に関する様々な豆知識を得ることができる。
■まえがきより
本書はどのように読むべきであろうか。3つの方法を提案したい。
第一に,「法と言語」または「法言語学」の教科書として,シラバスで取り上げられる内容に該当する章を予習・復習したい。復習の折には,章末の課題を解いたり,代表的な関連文献に目を通すとよいだろう。
第二に,「応用言語学」や「社会言語学」などの併用読本として,シラバスが本書のような構成で展開しなくとも,関連図書として併読するに値する。その他の類似の講義や演習においても,課題図書に指定し得るだろう。
第三に,「法と言語」の要点を知るために,この分野の基本事項や考え方を気軽に入手したい向きにも役立つ。章や節の見出し,キーワード,リード文は,要点を把握する上で必読である。「学習室」は豆知識を得るのに格好な小部屋である。しかしながら,「法と言語」や「法言語学」のすべてを書き込んだわけではないので,各章末に掲げた推薦図書も読んで,この分野の学際的な見方を膨らましていただきたい。本書はこの道の出発点であり,行先を示す道標である。
序 章 法と言語を学ぶ前に
◇第1部 法言語へのいざない
第1章 法律のことば
第2章 日本国憲法のことば
第3章 裁判のことば 法言語学の元祖の研究
第4章 裁判員裁判のことば 裁判官と裁判員のコミュニケーション
第5章 司法通訳 正確さと公正さを期して
◇第2部 法言語学の課題
第6章 ことばの犯罪(1) 特殊詐欺のことば
第7章 ことばの犯罪(2) 偽証・名誉毀損
第8章 ことばの証拠(1) 筆跡鑑定・文書分析・話者同定・剽窃
第9章 ことばの証拠(2) 商標の類否と識別力
第10章 ことばの誤解 意味内容の解釈をめぐる争い
第11章 ことばが記憶を変える 目撃者の記憶の変容
◇第3部 法と言語と社会
第12章 言語権・言語法と言語政策
第13章 法言語教育
第14章 法言語学の成立と展開
終章 法と言語 まとめ
比較言語学の目的は、言語間の系統関係の確立にとどまらず、系統関係にある諸言語の祖語を再建し、各言語が祖語の状態から現在の状態に至るまでにどのように変化を遂げてきたのかを解明することにある。文献に記録のない言語史を、比較言語学の手法によってどのように再建するのか。日琉諸語の例に基づいて解説する画期的な書。
まえがき
第1章 言語史研究における比較方法の位置づけ
1.1 最も古い文献に在証されるものが言語的に古いとは限らない
1.2 諸方言を上代語の子孫と考えることの問題
1.2.1 古典作品の本文批判と原文復元を例に
1.2.2 言語の場合
1.2.3 言語変化に関する前提
1.3 日本語史を文献資料のみによって研究することの問題
1.4 文献以前の日本語の歴史を明らかにする
第2章 言語変化
2.1 言語は変化する
2.2 音の変化
2.2.1 音変化とは何か?
2.2.2 条件変化と無条件変化
2.2.3 音声変化と音韻変化
2.2.4 音変化の類型
2.2.5 音韻変化
2.2.6 連鎖推移
2.3 語彙の変化
2.3.1 派生と複合
2.3.2 借用:漢語・外来語
2.4 類推・再分析
2.5 統語変化
2.6 意味変化
第3章 比較方法
3.1 比較言語学とは
3.1.1 比較言語学の目的
3.1.2 祖語の再建は虚構ではなく仮説
3.1.3 記録のない時代の言語を再建する
3.2 系統関係の確立
3.2.1 言語間の歴史的なつながり:系統関係と借用関係
3.2.2 音対応
3.2.3 音変化の規則性
3.3 日琉語族と他の諸言語との系統関係
第4章 内的再建
4.1 異形態の交替
4.2 内的再建の適用例
4.2.1 連濁とハ行子音
4.2.2 音便と清濁
4.2.3 露出形と被覆形
4.3 内的再建の限界
4.3.1 過度の一般化
4.3.2 内的再建と「発達史」観
4.4 内的再建と比較方法
第5章 系統樹の推定
5.1 類型分類と系統分類
5.2 派生形質の共有に基づく系統分類
5.3 距離行列法による「系統分類」
5.4 琉球諸語の系統分類
5.5 系統関係に由来する形質を見つけるには
5.6 借 用
5.7 並行変化
5.8 改新と保持の区別
5.9 系統樹モデルの限界
第6章 祖語の再建
6.1 音対応から再建される祖形と音変化
6.2 琉球祖語*e,*oの再建
6.3 日琉祖語*uiと*əiの再建
6.4 日琉祖語*eと*oの再建
第7章 方言学的なアプローチと文献資料を用いた日本語史研究
7.1 方言学・言語地理学における言語史の再建
7.1.1 方言区画論:共時的分類として
7.1.2 方言周圏論と言語地理学
7.1.3 逆周圏論と並行変化の問題
7.1.4 言語地理学と比較言語学の関係
7.2 文献資料を用いた日本語史の研究
7.2.1 文字から音声・音韻を推定する方法
7.2.2 写本・校定・原文
7.2.3 古語辞典における在証形と推定形
7.2.4 影印の問題
参考文献
あとがき
索 引
英語学・言語学にはじめてふれる学生にもわかりやすく、英語言語学の全体像を紹介。統語論、意味論、形態論、音声学・音韻論、語用論のほか、英語史、社会言語学、心理言語学、第二言語習得の全領域をカバー。
本書は、日本のある大学の、学生と教員の会話。二人は、言語学の授業で出会った。二人の会話のさわりだけ。
(順)日本語と朝鮮・韓国語って、まだ、その帰属がわかってないそうですね。
(牧)え、そうなの?
その起源を追い求め、二人は旅に出る。グレート・ジャーニー。本書の鍵。狛犬、DNA、三重構造仮説。トルコ語、ビジ語、タミル語、シンハラ語に出会う。ワトソンとクリック、ドーキンズ、ジョーンズ卿、チョムスキーにも。
1章 はじめに
問題の起源
2章 百済と日本
はにわ
3章 狛犬
シルクロード
4章 アイルランドと日本
信仰
5章 DNA
「ニッポンジン」の過去と今
[コラム1]ワトソンとクリック
6章 グレート・ジャーニー
アフリカ
7章 語彙
タミル語・韓国語・モンゴル語
8章 係り結び
古語・シンハラ語・タミル語
[コラム2]ドーキンズ
9章 対格性
モンゴル語・トルコ語・カザフ語
10章 能格性
ウルドゥ語・チベット語・ビジ語
11章 話題助詞
韓国語・延辺語・モンゴル語・ウイグル語・チベット語・ビジ語
12章 属格主語
モンゴル語・トルコ語・カザフ語・ウルドゥ語・ベンガル語・ビジ語・延辺語
[コラム3]ジョーンズ卿
13章 連体形
モンゴル語・トルコ語・カザフ語・ウルドゥ語・ベンガル語・シンハラ語・タミル語・ビジ語・韓国語・延 辺語
14章 活用
古語・日本語・韓国語・モンゴル語・ベンガル語・トルコ語
15章 直接疑問文
日本語・モンゴル語・韓国語・シンハラ語・古語 vs.トルコ語・中国語・ビジ語・タミル語
16章 間接疑問文
日本語・韓国語・シンハラ語・古語 vs.モンゴル語・トルコ語・中国語・ビジ語
[コラム4]チョムスキー
17章 敬語
古語・日本語・韓国語・チベット語・モンゴル語・トルコ語
18章 主語格助詞
古語・日本語・韓国語
19章 状態述語
日本語・韓国語
20章 おわりに
DNA地図と言語地図
[コラム5]Why Japanese People?
Russellの記述理論の意義と限界を解き明かす最新研究。合理論の立場から、言語哲学の問題を言語学的・文法的に分析する。意味論・語用論・統語論を多角的に論じ、日・英語の豊富な言語事実にもとづき綿密な論証を展開する。Russellの知識観とChomskyの言語獲得観、Fregeの述語論理、Russell・Strawson・Donnellanの論争、PutnamやKripkeの議論なども取り上げる。