プロレタリア作家として、階級格差の原因に気づいた佐多稲子は、同時に男女差別の因ってきたる構造にも目覚めていったのではないか。「くれない」の佐多稲子はこのようにして生まれた。この論集を編むことによって、その道筋が佐多の小説の行間から立ち上ってくるように思った。──────あとがきより
佐多稲子小伝─他者という鏡
1 詩から小説へ
詩からの出発─仮面から素面へ
小説への転身
2 プロレタリア文学の中の女たち
「女工」もの五部作─走る、泣く、揺れる「女工」たち
「煙草工女」の語りの構造─母の顔と党員の妻の顔
「別れ」─乳を搾る女
3 戦争前夜の模索
「牡丹のある家」の位置─「くれない」につながる転換点
「樹々新緑」─目覚めと苦悩
「くれない」─政治、生活、文学の転機
4 戦後日本の時空間
敗戦直後の評論活動─使命感とともに
「みどりの並木道」─空虚な明るさ
「夜の記憶」─二つの夜の明暗
「渓流」(一)─ある女系家族の終焉
「渓流」(二)─〈わが家〉はなぜ失われたのか
「黄色い煙」と「ばあんばあん」─時事問題の取り込み
5 同時代の女性作家
若杉鳥子(一)─階級格差と男女格差
若杉鳥子(二)─闊達な女語りの魅力
壺井栄「廊下」─逆境の下での夫婦愛
大谷藤子「須崎屋」─母子幻想の崩壊
■【特集】ジェンダー平等と多様性で男性優位の社会を変えよう
「育児休暇や時短勤務を活用して子育てをするのは『女性』の役目」「残業も厭わず働き、成果を出す『女性』は立派だ」─。働く女性が珍しい存在ではなくなった昨今でも、こうした固定観念を持つ人は多いのではないか。
今や女性の就業者数は3000万人を上回り、男性の就業者数との差は縮小傾向にある。こうした中、経済界を中心に、多くの組織が「女性活躍」や「多様性」の重視を声高に訴え始めている。これ自体は歓迎すべき動きと言えるだろう。
だが、肝心なのは、中身である。内閣府が2022年に実施した世論調査では、約79%が「男性の方が優遇されている」と回答したほか、民間企業における管理職相当の女性の割合は、課長級で約14%、部長級では8%まで下がる。また、正社員の賃金はピーク時で月額約12万円の開きがある。政界でも、国会議員に占める女性の割合は衆参両院で16%(23年秋時点)と国際的に見ても極めて低い。
女性のエンパワーメントとジェンダー平等を目的に活動するHAPPY WOMAN(東京都港区)の小川孔一代表は「『SDGs(持続可能な開発目標)』や『ジェンダー平等』などの言葉は広く浸透し、いかに実装していくかというフェーズに入っているが、“やっているフリ”は逆に世間からの評価を下げる方向に働くだろう」と語る。
女性たちの声に耳を傾けると、その多くから「日常生活や職場でアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み、偏見)を感じることがある」という声があがり、男性優位な社会での生きづらさを吐露した(21頁に詳報)。
アンコンシャス・バイアスは、性差に限らずあらゆるところに存在するが、行き過ぎれば、社会発展の“障壁”になる。
3月8日は女性の生き方を考える「国際女性デー」だ。この日を前に、歴史を踏まえた上での日本の現在地を見つめるとともに、多様性・多元性のある社会の実現には何が必要なのかを考えたい。
時代は昭和でも、平成でもなく、令和である。ジェンダー平等と多様性の実現で、男性優位の社会を変えていくことが、より良い社会を築く足がかりになると信じたい。
文・佐藤千矢子、湯澤規子、高崎順子、石井妙子、得能摩利子、與那覇 潤、ブレイディみかこ、藤原章生、編集部
PART 1 納得感なきジェンダー平等 日本は「オッサンの壁」を壊せ
佐藤千矢子 毎日新聞社 論説委員
COLUMN 1 気づいていますか? 女性たちが感じるジェンダー
編集部
DATA データで見る男女平等 これが日本の“現在地”
編集部
PART 2 「わたし」としての人生を生きる 日本でも「静かな革命」を
湯澤規子 法政大学人間環境学部 教授
PART 3 女性を“忘れた”時代からフランスが転換できた理由
高崎順子 フランス在住ライター
COLUMN 2 女性参画で生まれたヒット商品 大切なのは“利用者の視点”
編集部
PART 4 拝啓 令和を生きる女性たち 今、学ぶべきは女性の歴史
石井妙子 ノンフィクション作家
INTERVIEW 1 男だから、女だからではない 価値を生む多様性の本質
得能摩利子 三菱マテリアル 社外取締役、フェラガモジャパン 元CEO
COLUMN 3 女性採用を契機に脱皮を果たしたある中小企業の挑戦
編集部
PART 5 スローガンが氾濫する日本 唱えるからには中身の吟味を
與那覇 潤 評論家
INTERVIEW 2 相互理解と共存の鍵握る能力「エンパシー」をどう育むか
ブレイディみかこ コラムニスト
PART 6 アフリカの旅で考えた差別意識の出どころ
藤原章生 毎日新聞記者、ノンフィクション作家
■WEDGE_SPECIAL_OPINION
・ウクライナ侵攻から2年 日本人に問われていること
PART 1 “20世紀型”はもはや限界 長期戦見据え抑止力の再構築を
宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所 理事
PART 2 欧米に見られる「支援疲れ」 今こそ日本流で独自の貢献を
廣瀬陽子 慶應義塾大学総合政策学部 教授
Column ウクライナでも稼働! 世界に誇る日本の「モバイル浄水器」
編集部
PART 3 本音と諦観が渦巻くロシア 大統領選でルビコンを渡るか
黒川信雄 産経新聞社 元モスクワ特派員
■WEDGE_OPINION 1
・「賃金と物価の好循環」実現で「金利のある世界」に備えよ
渡辺 努 東京大学大学院経済学研究科 教授
■WEDGE_OPINION 2
・医療費46兆円の時代 単価でなく受診回数抑制の改革を
成瀬道紀 日本総合研究所調査部 主任研究員
■WEDGE_ REPORT
・地震防災対策に長寿命化 あなたのマンションは大丈夫?
中西 享 ジャーナリスト
■連載
・商いのレッスン:事業の“あり方”と“やり方”(笹井清範)
・偉人の愛した一室:堀 辰雄 「奈良ホテル」(奈良県奈良市高畑町)(羽鳥好之)
・MANGAの道は世界に通ず:実はみんな女性になりたがっている? VRによる制約の解放(保手濱彰人)
・インテリジェンス・マインド:ソ連への内通者「モグラ」を探せ! CIA対KGBの戦い(小谷 賢)
・誰かに話したくなる経営学:「ただの石」を「重要資源」に 半導体製造を支えているもの(岩尾俊兵)
・時代をひらく新刊ガイド:『老化は治療できるか』 河合香織(稲泉 連)
・近現代史ブックレビュー:『戦時下の演劇 国策劇・外地・収容所』(編)神山 彰(筒井清忠)
・フィクサー:第二章 箝口(真山 仁)
・モノ語り。:コーヒー豆の「エルドラド」 イフニコーヒー(水代 優)
●一冊一会
●各駅短歌 (穂村 弘)
●拝啓オヤジ (相米周二)
●読者から/ウェッジから
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■キャンペーン期間:7/23(木)〜10/31(土)
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シリアルNOを入力し、応募フォームに必要事項を入力してご応募ください。
・お一人様何度でもご応募できますが、キャンペーンシール1枚につき1回のご応募となります。
・同じシリアルNOで複数回の応募は無効となりますので、ご注意ください。
・携帯電話からのご応募の場合、機種によっては一部応募できない場合があります。予めご了承ください。その場合は、パソコンからサイドご応募お願いたします。
・商品デザイン、機種、仕様等は変更になる場合がございます。
・抽選結果は2015年11月中旬〜下旬の発送をもって当選と替えさせていただきます。
・キャンペーン運営:ハピキャン事務局 info@hapican.com 応募に関するご質問は左記アドレスまでメールにてお問い合わせくださいませ。
〈尋ね人〉13歳の先生が迷子の生徒を探しています。グレイのシャツの男の子。教室で一番わんぱくだけど、今はとても心配しています。遠い遠い空の下、元気でいてね、迎えにいくから。
男と女の境界が無くなるとき・・・バロック・オペラは盛り上がる。
CD2枚にたっぷり盛り込まれた、超絶のメゾ、ジェノー、美麗カウンターテナー、ザッゾの
華麗なるアリアの競演
バロック時代、イタリア・オペラの舞台では、女性の役が男性のカストラートもしくは女性によって演じされることは日常茶飯事でした。カストラート歌手は、最初は女性役として歌いましたが、遅くとも1630年代以降は、彼らは男性役としてソプラノ・パートを歌い演じていました。女性歌手は女性と男性の両方の役柄を歌いました。
バロック・オペラにおけるこうしたジェンダーの越境こそが、2017年にヘンデル賞を受賞した超絶のコロラトゥーラ・メゾ、ヴィヴィカ・ジュノー、堂々たる王者の風格を漂わせる美麗なカウンターテナー、ローレンス・ザッゾと、ヴォルフガング・カチュナー率いるラウテン・カンパニーがお届けする2枚組の新録音『バロック・ジェンダー・ストーリーズ』のテーマです。ここには、ヘンデル、ヴィヴァルディ、ハッセ、ガルッピ、トラエッタ、そしてヴァーゲンザイルらによるオペラからのアリアと二重唱、そして器楽曲がたっぷり収められており、ジェノーとザッゾがジェンダーを行き来しつつ、バロック・オペラの華麗な声の共演を聴かせてくれます。
中心に位置するのはペルシャの皇太子を主役に据えたオペラ『シロエ』で、最も有名なヘンデルだけでなく、ガルッピ、ヴァーゲンザイル、トラエッタ、ハッセと合計5人の作曲家による作品が収録されています。ハッセのオペラ『シーロのアキッレ』では主人公アキッレ(アキレス)がトロイ戦争に参加せずにすむように女装し、ヘンデルの『セルセ』の二重唱では、ジェノーがペルシャ王の役でザッゾがセルセの嫁となるアマストレ役を歌うなど、ジェンダーの越境がいとも簡単に行われるのがバロック・オペラの面白いところ。バロック・オペラの旗手であるジェノーとザッゾの華麗かつ豊麗な歌唱を、カチュナーが率いるラウテン・カンパニーの躍動感あふれるオーケストラが彩っていきます。人間の声の究極の魅力と輝かしさを味わえる楽しさ満載の濃密な2枚組です。(輸入元情報)
【収録情報】
Disc1
1. ハッセ:歌劇『ペルシャ王、シロエ』よりシンフォニア
2. ガルッピ:歌劇『シロエ』より、エミーラのアリア「Rendimi l'idol mio」
3. ランプニャーニ:歌劇『セミラミスの確認(セミラーミデ)』より、セミラーミデとシタールチェの二重唱「Crudel morir mi vedi」
4. ランプニャーニ:歌劇『セミラミスの確認(セミラーミデ)』より、タミーリのアリア「Tu mi disprezzi」
5. ポルポラ:歌劇『セミラミスの確認(セミラーミデ)』より、セミラーミデのアリア「Il pastor si torna aprile」
6. ヘンデル:歌劇『セルセ』より、アマストレのアリア「Cagion son io」
7. ヘンデル:歌劇『ペルシャ王、シロエ』より、シロエのレチタティーヴォ・アッコンパニャート「Son stanco, ingiusto numi」
8. ヘンデル:歌劇『ペルシャ王、シロエ』より、アリア「Deggio morire, o stelle」
9. ヴィヴァルディ:歌劇『狂えるオルランド』より、オルランドのレチタティーヴォ「Insolito coraggio」
10. ヴィヴァルディ:歌劇『狂えるオルランド』より、レチタティーヴォ・アッコンパニャート「Orlando, allora il ciel」
11. ヴィヴァルディ:歌劇『狂えるオルランド』より、アリア「Nel profondo cieco mondo」
12. バルダッサーレ・ガルッピ:歌劇『シロエ』より、シロエとエミーラの二重唱「Ah non fuggirmi, ingrate」
Disc2
13. ヘンデル:歌劇『ペルシャ王、シロエ』序曲
14. ヘンデル:歌劇『セルセ』より、セルセとアマストレの二重唱「Gran pena e gelosia」
15. ヘンデル:歌劇『アルチーナ』より、アリア「E gelosia」
16. ヘンデル:歌劇『セルセ』より、セルセのアリア「Se bramate d'amar chi vi sdegna」
17. ヴァーゲンザイル:歌劇『シロエ』より、シロエのアリア「La sorte mia tiranna」
18. ハッセ:歌劇『シーロのアキッレ』より、アキッレのアリア「Risponderti vorrei」
19. ヴァーゲンザイル:歌劇『シロエ』より、エミーラのアリア「Esci, crudel, d'affanno」
20. トラエッタ:歌劇『シロエ』より、エミーラのアリア「Che furia, che mostro」
21. ヘンデル:歌劇『デイダミア』より、デイダミアとウリッセの二重唱「Nell'armi e nell'amar」
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|特集1|DEI経営の実践●同調圧力に屈しない個と組織をつくる経営戦略としてのDE&IEY Japan チェア・パーソン兼CEO 貴田守亮●誰もが活躍できる職場を目指してDEIを推進する企業は4つの「自由」を追求すべきであるバージニア大学 ダーデンスクール・オブ・ビジネス 准教授 ローラ・モーガン・ロバーツ●[インタビュー] 予算削減や無関心層の拡大DEIの実現を阻むものは何か前 ヴァイス・メディア チーフピープルオフィサー デイジー・オージェ=ドミンゲス聞き手=『ハーバード・ビジネス・レビュー』エグゼクティブエディター アニア G.ウィエッコースキー●文化、ジェンダー、世代別の対応法フィードバックと多様性:従業員の本音を引き出し、組織に活かすINSEAD 教授 エリン・メイヤー●[インタビュー] 創業の精神を受け継ぎながら組織文化を育むジョンソン・エンド・ジョンソンはクレドーを羅針盤にDE&Iを推進するジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループ 人事統括責任者 関根祐治●2人のダウン症児を持つ親が創業した障害者が中心となって働く会社:ビティ・アンド・ボウズ・コーヒーの挑戦ビティ・アンド・ボウズ・コーヒー 共同創業者 エイミー・ライトビティ・アンド・ボウズ・コーヒー 共同創業者 ベン・ライト|特集2|従業員の「不安」に対処する●認知行動療法に基づく3ステップ心の不調を抱える従業員を支援する方法カウンセリング心理学者 キラン・バッティケンブリッジ大学 ジャッジ・ビジネススクール 教授 トーマス・ルーレット●評価ではなくチームのパーパスを原動力にせよ「他者からどう見られるか」という不安がパフォーマンスを低下させるパフォーマンス心理学者 マイケル・ジャーヴェイス●あなたは部下を信頼できているかマネジャーは不安ゆえにマイクロマネジメントに陥る神経心理学者 ジュリア・ディガンジ|Idea Watch|●営業担当者のパフォーマンスを上げる方法『ハーバード・ビジネス・レビュー』/編●若い時に見ていたテレビが起業家精神をさらに駆り立てるフローニンゲン大学 教授 ミヒャエル・ウィアウイッチ|EI[Emotional Intelligence]|●シェイクスピアに学ぶ、人が成長するための条件INSEAD 客員上級教授 デクラン・フィッツシモンズ|Life & Work|●ファッションデザイナー ノーマ・カマリ
社会的・文化的に構成された性=ジェンダーの視点から、普段気にもとめていなかった自分たちの性とそのあり方を問い直していきます。ジェンダー論の意味と女と男をめぐる日本の現状を、平易な文体で身近な問題から説き明かしました。
力で押さえつけようとする先生には子どももほかの先生もウンザリ。性差別をなくして、学校をゆとりある明るい場所にかえる実践を紹介。
男性スポーツ集団に深く関わりつつもその一員にはなりきれない、「境界」を生きる存在-女子マネージャー。新聞・マンガなどのメディア分析、関係者へのインタビューを通して、その誕生の背景、議論を呼びつつも増加していった理由、アイデンティティの不思議に迫る。
フェミニズムや男性学が無視する独身男性、あるいは「もてない男」の立場から漱石、谷崎潤一郎、志賀直哉、シェークスピアなどを論じて日本恋愛文化論にいたる。
本書は、2002(平成14)年3月に開催された日本弁護士連合会両性の平等に関する委員会シンポジウム「司法における性差別-司法改革にジェンダーの視点を」の基調報告書である。
遺伝子技術をはじめとする現代科学の生命観はいかなる文化的・社会的起源を有するものなのか。言語をめぐる問題を視野に収めつつ、「ジェンダーと科学」論の第一人者が新しい科学と生命観の可能性を提示する。
「音楽する」中で“性”はどのように語られ、意味づけられ、女性性・男性性に作用するのか。寮歌、歌謡曲の恋、漫画主題歌、アイドル、転身歌唱、ロックバンド、ファンetc.現場から考える。
「ジェンダーに関わる多領域をカバーする」「女性の人生の節目を取り上げる」「最新の法律等の情報を盛り込む」ことを基本方針として、女性をめぐる現代社会における問題について、ドラマやマンガ等を用いながら分かりやすく解説した1冊。
「男女共同参画」でフェミニズムの課題は解決するのか。そもそもフェミニズムとは何か。「男なみ」をめざすことで袋小路に入り込んでしまった(リベラル)フェミニズムの思想的な落し穴を指摘し、国家暴力と対抗暴力とを問わず、社会のなかの暴力的な構成=男仕立ての「死ぬための思想」を根源的に批判。国家、暴力、ジェンダーという問題系をめぐる近年の議論を再構成し、「弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想」としてのフェミニズムの立場から、人間らしく生きるために今なにが問われているのかを明晰に論じる。幅広い活動を展開する著者の問題関心を結節するとともに、その思想的な中核を浮彫りにする重要な一冊。