1:ワルツ「芸術家の生活」(「芸術家の生涯」) Op.316
「芸術と認知」の研究所ハーバード・プロジェクト・ゼロにおけるガードナーを中心とした理論と実践は、いま世界を席巻している。本書の詳細な研究に見る、すでに大きな刷新をもたらしている芸術教育に加え、そのMI(多重知能)理論、創造性理論は、わが国の幼児教育から高等教育に至るまで、それぞれの個性に最適な方向発見と、それに即応した教育方法の開発、レッジョ・エミリアとの共同研究はじめ、教育全分野の抜本的革新へ向け、絶大な可能性を秘めている。
「美」や「芸術」を理解しようとする初学者のために、それを論ずる場での具体的な方法論や歴史的観点の事例を紹介しつつ、トータルな人間の生の営みのなかに「芸術」を把握するてがかりの一端を開示した一書。さまざまな芸術分野のなかでも主として絵画・彫刻・建築などの「美術」、すなわち物理的な素材を用いて空間のなかに形を造る「美術(造形芸術)」を取り上げ、時空の座標軸の中心にはイタリア・ルネサンスを据えた。内容的には、西洋世界における「美術」と「美術家」という概念の成立や変遷過程を、美術作品、美術文献、文学作品、社会制度、学問としての美術史の成立過程などとの関係のなかに立体的に検証することを意図している。
[2015年4月にオープンした大分県立美術館館長による極上芸術案内]
ニューヨーク、パリ、京都、ウィーン、大分、アムステルダム…各地を飛び回って展覧会準備をするキュレーターの新見隆。さぁ、何を見る? 誰に会う? 晩御飯は? お土産も買わなくちゃ! ほんとうは家で寝そべり、ショパンやシューベルトを聴いていたい著者による〈つくる・見る・聴く・読む・味わう〉旅、究極のガイドブック。
ニューヨークーー摩天楼の向こうに「花嫁」の浮かんで
尾道ーーユートピアの肉体
パリーー戻らなかった放蕩息子のために
東京ーーショパンの亡霊の降る「首都」
京都ーー五感の庭を彷徨う孤独
ウィーンーー水紋の果て、エロスの行方
大分ーー世界は白半分、黒半分、僕の未来のヴィーナスに
アムステルダムーー人間主義の風土、オランダ賛歌
那須ーー我らの未来道場
シューベルトの庭
未来の娘たちに
主題の喪失、消費文化と電子工学的メディアの出現を前にした60年代的危機感から、あらためて芸術の言語性を問い直しつつ創造への原点を目指す。巨匠アングル、ユゴー、ゴッホ、ピカソあるいは同時代人デュビュッフェ等々を論じ,造形芸術と文学に共通する諸問題を原理的に追求したピコンの批評の世界。
建築がいかに芸術として成立しうるかを、具体的な要素を分析しながら解明した入門書。
2025年のNHK大河ドラマ「べらぼうーー蔦重栄華乃夢噺」の主人公、蔦屋重三郎とは何者か。日本美術史と出版文化の研究者による決定版解説書。サントリー学芸賞受賞作。
江戸中期の出版界に彗星のごとく登場し、瞬く間に頂点にまで上り詰めた版元・蔦屋重三郎、通称「蔦重」は、作家や絵師の才能を見抜く眼力と、独創的企画力を併せ持ち、山東京伝、滝沢馬琴、喜多川歌麿、東洲斎写楽らを育て、黄表紙、狂歌絵本、浮世絵等に人気作を連発、時代の寵児となった。浅間山の噴火と大飢饉、田沼意次と松平定信の抗争などを社会背景に、天明・寛政期に戯作文芸や浮世絵の黄金期を創出した奇才の波瀾の生涯を追う。
作家、画家、版元仲間などのさまざまの人間模様を描き出し、この時期の文芸の展開を社会史的に捉えた意欲作にして、必読の定番書。「単なる出版「業者」ではない「江戸芸術の演出者」としての蔦重の歴史的役割を明らかにしてみせた。」(高階秀爾氏、サントリー学芸賞選評)。図版も多数掲載。新版刊行にあたり、あらたに池田芙美氏(サントリー美術館学芸員)が巻末に解説を執筆。
〔原本は日本経済新聞社、1988年刊。2002年に刊行された講談社学術文庫版の新版〕
目次
プロローグ
一 吉原時代ーー創業
二 通油町進出
三 黄表紙出版と筆禍事件
四 美人画の制覇ーー喜多川歌麿
五 役者絵への野望ーー東洲斎写楽
六 次代を透視してーー死
学術文庫版あとがき
解説(池田芙美)
プロローグ
一 吉原時代ーー創業
二 通油町進出
三 黄表紙出版と筆禍事件
四 美人画の制覇ーー喜多川歌麿
五 役者絵への野望ーー東洲斎写楽
六 次代を透視してーー死
学術文庫版あとがき
解説(池田芙美)
作品よりも作品を作る精神の機能を探求しつづけたポール・ヴァレリー。明晰な批評意識をもつがゆえに〈ヨーロッパ最高の知性〉と呼ばれた詩人は近年、知性と感性の相克に懊悩するその実像が明らかになっている。
本書では、ヴァレリーの肖像に迫る第1部にはじまり、〈他者とエロス〉の問題に肉薄する第2部、そして第3部〜第5部では芸術論の三つの諸相(絵画、音楽、メディウム)に焦点をあて、新たな読解の道筋を切り開く。
デューラーに対する限りない敬愛、ラファエロ、ミケランジェロなどイタリア画家たちへの深い共感、そして音楽へのオマージュが奏でられる。
第1部(昔のドイツの芸術家たちは、どのように生きたかについての叙述、その際例として、アルブレヒト・デューラーとその父である先代アルブレヒト・デューラーがあげられる
イタリアの書物から翻訳された物語
ラファエロの肖像
ミケランジェロの最後の審判
聖ペテロ寺院 ほか)
第2部 ヨゼフ・ベルクリンガーの数編の音楽論稿(裸の聖者の不可思議な東洋のメールヒェン
音楽の不可思議
あらゆる芸術における様々なジャンルについて、とりわけ教会音楽の様々な方法について
ヨゼフ・ベルクリンガーの手紙の断片
音楽独特の内面的本質と現代器楽音楽の心理学 ほか)
ロシア・ウラル地方の鉱山で発見されて皇帝の名を与えられた宝石「アレクサンドライト」、妖しい光を放つチェコの紅柘榴石。神秘的な石に魅せられた人間が誘い込まれる物語とは…。冷酷な地主にさからえないおかかえ劇団の女優と腕のいい美容師「髪結いの芸術家」が命がけの駆け落ちをはかったその先に待ち受けていた運命とは…。物語作家として名高いレスコフの持ち味が存分に発揮された新訳作品集。
芸術論の古典十五篇を収録。『教訓抄』『洛陽田楽記』『作庭記』『入木抄』『古来風躰抄』『無名草子』『老のくりごと』『君台観左右帳記』『珠光心の文』『専応口伝』『ひとりごと』『禅鳳雑談』ほか。
ついに「システム」はモスクワ芸術座の指針に採用され、劇団内部の対立は解消されたかに見えた。一九一七年ロシア革命勃発、戦乱に巻き込まれた芸術座はまたも二つに分断され…。激動の時代を生き延びた巨大な演劇人の後半生。
稀代の哲学者、その思想の淵源へ
世界が大きく変わる時代に、あらゆる領野を、その独自の思想で切り開き、後世に多大なる影響を与えたジョルジュ・バタイユ。彼が携わった雑誌『ドキュマン』を中心に、第一人者が不世出の思想家に迫る。
「劇場」が建築であり空間であるとする考えが一般的な中、本書ではそれを総合芸術の一つとして様々な創造作品の前提環境となる「劇場」と定義し、舞台芸術の歴史について考察。現代において「劇場」が「ハコモノ」と揶揄される事に強い違和感を覚えていた。日本の公立文化施設が本書で定義した「劇場」である必要があると語る時、それは運営上必要なソフトウェアがハードウェアとセットで議論・計画・実施される事を意味しなければならない。このような問題意識を踏まえ、副題を“劇場芸術の境界線から読み解く”とした。演劇や舞踊、劇場研究の先達たちから作品創造に対する知恵に感銘を受けてきた事はもとより、劇場の現場で活躍する演劇人や舞踊家、劇場人との対話により理解を深めたこと等を講義内で学生に伝えた内容や自作のクリエイションについてもまとめている。「劇場」が研究領域において見過ごされてきた境界を結ぶ重要な場となる事を考察した一冊。
序 章 第一章 舞台芸術研究の理論と実践の方法論 第二章 帝国劇場の「前舞台領域」から捉えた舞台芸術 第三章 劇場改革ー新たな風景の発見 第四章 劇場芸術の境界線ー自作の舞台作品を事例として 第五章 創る観客論に立脚した現代の劇場モデル 終 章 「劇場」の拠点性が紡ぐ劇場文化