たった一台のクレーン車のリース業から身を起こし、あっという間に年間130億円の売上げ規模にまで押しあげたその人物は、また豪快に遊びまくり、好色を地で行く男だという。これは脆弱な現代人に捧げたい、昇り行く龍のような男・才賀紀彦の物語である。
ここには八つの科学的寓話がおさめられている。寓話という言いかたがお気にめさなければ、シュプレッヒ・シュティンメの書法で書かれた、八つの科学的モデルがおさめられている。話題は多岐にわたっているようにみえるが、じっさいにはどれも同じひとつのテーマしか語っていない。それは両義性の記号からの脱出、あるいはその破壊というテーマだ。
「面白くない」と背番号7の宇野人形は文句をつけた。「あいまいだわね」と『石野真子』ちゃんも同調した。「うるさい、どんな話をしようとわたしの勝手だ」-というわけで、お話は続きます。信じようと信じまいと。9人の金子光晴、アメリカに行くための地図、伊藤整の「日本文壇史」、「ハッピイ・エンド」など、文学史上初の豪華8大付録つきで贈る、ポップでキュートなポストモダン新物語。
「すごいわ…」アスレチックジムの受付で、パットはとまどっていた。豪華な設備…。ふだんのつつましやかな生活が嘘のようである。オロオロしているパットに、ステキな男性が近づいた。彼の名は、マイク・テイラー。その彼が実は、このジムのオーナーで、有名なオリンピックの選手だったとは…。パットの中で、ときめきの胸さわぎがはじまった。
信濃国伊那谷は杖突峠の頂で、驟雨にでも遭ったのか、まるで虹を背負うように突っ立つ素っ裸に下帯一本という格好の若い浪人者に、鳥追い笠の旅の女芸人お妻が声を投げた。浪人の名は羽鳥重四郎という。許婚者千鳥の消息を尋ねて高遠を目指していたが、高遠藩士に追われて一人の女が山中に斬殺されるところへ二人は通り合わせた。殺されたその女は高遠藩の御側御用掛田川十内の娘浪路の命を受けて、江戸へと急ぐ密使であった。高遠藩には“猿屋敷”と呼ばれるものがあり、その名を口にすることは御禁制という。その秘密にひかれて城下に姿を現した羽鳥重四郎は城内に導かれて、美しい側室お蘭ノ方に拝謁した。
ボストンの法律事務所で弁護士を目指して働くローラ。そんなローラのもとに、何と母が逮捕されたという知らせが飛び込んできた。とるものもとりあえず駆けつけてみると、もう辣腕弁護士が身受けしていったというではないか。その弁護士とは、ボストンでは知らない人はいないという存在、ケイシーだった。古きよき街並を守るために、現在D・J・K社の地域開発計画を阻止しようと戦っている彼に、ローラは正義感の強かった前夫の姿をだぶらせる。2人は互いに惹かれ合うが、そこには意外な落し穴が待ち受けていた。
絵本『虹伝説』の続編。人間愛を描きだした絵本。
大下の“青バット”と川上の“赤バット”のホームラン合戦は、まさにプロ野球復活の狼火であった。昭和27年、西鉄入りした大下は、知将三原脩監督と共に、高倉・豊田・中西・稲尾といった若獅子たちを従えて、西鉄ライオンズの黄金時代を築く…。戦後プロ野球復興史に重ねて描くその華麗にして破天荒な人生。
背徳と反逆の光輝を放つ極彩色の刺青に護られ、北国の海辺でぎりぎりの日々を生き抜く真昼の銀次。濁世にうごめく人間達の悲喜劇から霊魂の領域まで、森羅万象を書き尽くす世紀末日本文学の「極限」。
広告代理店に勤務する田畑麦四郎は、35歳の今、プロゴルファーを目指し会社を辞めた。無謀な夫の行動に妻は反発する。だが彼は妻子と別居、往年の名手・猿渡の指導の元、厳しいトレーニングを始める。そんな折かつての同僚OLと関係をもった彼は、女をめぐる賭けゴルフに巻き込まれ、波瀾に満ちた人生の第一歩を印すことになる。挑戦する男の、不屈の闘志を描く長篇ゴルフ小説。