大学の経営管理の実際において、組織理論の理解がいかに大切であり有効であるか。高等学校教育機関がいかに機能するかということについての考えを変えるような提案をしている本書は、大学の指導者や管理運営に携わる人々が職務を効果的に遂行するために、多くの情報と洞察、刺激を与えてくれる。
異質との共存・共生社会、平和な世界の実現のためには、さまざまな課題がある。日本とドイツ両国の努力や試みの展開を、理論と実践の両面から比較対照的に提示し、考察する。両国がかかえる国際化時代の教育課題とパースペクティブ。
1960年代の「黄金時代」後、停滞と再編成期を迎えたアメリカ高等教育のポスト大衆化の実態。カーネギー高等教育調査データの分析。
知識・情報の世界システムとしての大学が、欧米、特にアメリカを中心にして形成されている現状を、歴史的・比較的手法により解明する。国際的な「知」のネットワークのファクターとしてこれまであまり取り上げられることのなかった、教授言語=英語、学術誌、大学図書館、データベース、大学出版部、大学教科書、海外援助、助成財団、留学生、外国人研究者などの観点から、知識の生産と流通をめぐる「中心ー周辺」・「支配ー従属」構造を鮮やかに分析している。
本書は、まず、1870年代の日本でたいへんな人気を得た、サミュエル・スマイルズの『セルフ・ヘルプ』(邦訳『西国立志編』)を分析する。そして、教育を受けて、俸給生活者になるという、立身出世の理想像がその後の数十年間に、一部の士族層から一般へと広がっていく中で生じたさまざまな変化を描きだす。これはある意味では思想史である。しかしそれは、特定の個人を取り上げるような普通の意味での思想史ではなく、すべての日本のインテリが経験したある体験の変容をたどり、彼らが学校へ行き、職を得る中で共通に身につけたエートスを扱うものである。注目するのは、日本人全体ではなくて、近代日本の政治的・経済的・文化的リーダーになることをめざしていた若者たちである。本書はまた、日本の「新中産階級」の登場の物語であり、拡大していくこの集団に加わろうとする若者たちの奮闘と挫折の物語でもある。
教育をコモン・グッド(=共同社会の善)の実現のために役立てるにはどのようにすればよいか。この遠大なトピックを十五項目にわたる諸価値について論議することにより、明らかにしていく。
本書は、自由主義、市場経済、信教自由の西側と社会主義、計画経済、宗教統制の東側との冷戦にかわって、政教分離の国家を奉じるナショナリズムと祭政一致の国家を奉じるナショナリズムが対決する新しい冷戦の時代に入っていくのではないか、という問題提起の書物である。
技術史教育を歴史的・社会的視野から考察した論考と大学、高専、中・高校の教育の場で先行的に行われてきた実践例の紹介を集成し、技術の歴史に学ぶ技術史教育の重要性を訴える。
「感染症」を中心とした構成。その他「高血圧の治療」、「リハビリテーション医療」、「初期救急の対応」、「肝炎・肝癌治療のトピックス」など、我々の日常診療に身近な話題を取り入れている。さらに、産業医研修会の講演も収録。
本書はコンピュータサイエンスの初心者が問題を研究したり、解決の方法を探ったり、選択したりするのに役立つ手段を提供することを目的として書かれたものである。その特徴としては、実際に動くプログラムを多数示してあることである。これらのプログラムは学習に配慮して基礎的なものから高度なものへと並べられている。これらのことは初心者にとってはありがたい。なお、プログラムはすべてANSI規格のC言語で書かれている。
中国はどのような基礎的条件をもって、どのような足どりで21世紀に踏み込んでゆくのか。また次の世紀に中国はどのような発展を遂げ得るのか。世界の激しいランキング争いにどのような変化が起こるのか。こうしたことを本当に知りたければ、実際人口に問うしかない。人口が中国の将来の発展にどのような制約あるいは推進的役割を演じるのかを問うことによって、大国であることの困惑から脱出し、希望を現実に変える道をさぐる。これこそが『大国の難』を執筆した初志である。
本書は、高等教育政策に焦点をしぼり、戦後から1999年末までの高等教育政策を、政策評価という観点から検討したものである。本書の成立の背後には、1996(平成8)年より三年計画で実施された、当研究部の共同研究の蓄積がある。すなわち、現在21世紀に向けて策定され、具体化されつつある政府の高等教育政策の全体を、歴史的検証と国際比較の観点から評価し、さらには現状分析と有識者の意見調査等を通しての未来予測と事前評価という観点から、あらためて総合的な評価と展望を試みようとしたのである。
この本は、一八二五年から一八七五年の五〇年間に描かれたアメリカ風景画を「この時代の文化的文脈のなかでとらえ、絵画を考察するのと同じくらい深く文化的文脈ー哲学的、精神的、科学的ーを解明」しようと試みた初めての研究書である。