世界中から届いた手紙が語る、カズの人生。
生まれついての聴き屋体質の大学生・柏木君が遭遇した四つの難事件。芸術学部祭の最中に作動したスプリンクラーと黒焦げ死体の謎を軽快かつロジカルに描いた表題作をはじめ、結末が欠けた戯曲の謎の解明を演劇部の主演女優から柏木君が強要される「からくりツィスカの余命」、模型部唯一の女子部員渾身の大作を破壊した犯人を不特定多数から絞り込んでゆく「濡れ衣トワイライト」、そして深夜の温泉旅館で二人組の泥棒とともに“いったいここで何が起こったか”を推理する力作書き下ろし「泥棒たちの挽歌」の四編を収録。聴き屋の柏木君ほか、誰よりもネガティブな性格の先輩、推理マニアの美男子学生作家など、文芸サークル部第三部“ザ・フール”の愉快な面々が謎解きを繰り広げる快作。
1627年、魔女狩りの嵐が吹き荒れるドイツ・レンスで10歳の少女マリーは、「アンチ・キリスト」と遭遇する。2022年、近未来のシンガポールで、青年のディッキーは、かつて絶滅したはずの「少女」という生物と出会う。そして、2007年、鹿児島。私は、青い空の下にいたー。三つの空を見た、ある少女にまつわる物語。
故郷の田舎町を嫌い都会へと飛び出した勝ち気な弟・猛と、実家にとどまり家業を継いだ温厚な兄・稔。対照的な二人の関わりは、猛の幼なじみである智恵子の死をきっかけに大きく揺らぎはじめる。2006年に公開され数々の映画賞を受賞した同名映画を監督自らが初めて小説化。文学の世界でも大きな評価を受けた。
殺人容疑で逮捕されたいとこを無実とみたライムは、冤罪と思しき同様の事件の発生を突き止める。共通の手掛りが示したのは、膨大な情報を操る犯人像。真相を究明すべく、ライムのチームは世界最大のデータマイニング会社に乗り込むがー。データ社会がもたらす闇と戦慄を描く傑作!巻末に著者と児玉清氏の対談を特別収録。
一冊の辞書(『明解国語辞典』)をともに作ってきた二人はなぜ決別したのか?なぜ一冊の辞書が二つ(『三省堂国語辞典』『新明解国語辞典』)に分かれたのか?-昭和辞書史最大の謎がいま、解き明かされる。NHKで放映された傑作ノンフィクション(ATP賞最優秀賞)。
オリジナル生地から服を作り上げる独自のファッションブランド「ミナペルホネン」。温かな手触りと空気感に満ちたコレクションからは、どこか壊かしい心象風景が立ち上がってくる。魚市場で働いていた若き日々から、駅伝のようなチームワークの現場まで、クリエイションの源を静かに語った宝物のような一冊。
音楽の才能は普通だが、世渡り上手なワタル、高みを目指すゆえ周囲と妥協できない礼二。中学で出逢った二人は、文化祭でバンドを結成するが、その後、それぞれ違う道を歩み続ける。女子の青春小説でも定評のある著者が、今度は、二人のロック少年の苦悩と成長を描く。ほろ苦く切ない、青春ロック小説。
二〇〇七年のある日、ウォールストリートの二軍カナダロイヤル銀行のブラッド・カツヤマは、さっきまで画面にあった売り注文が、買いのボタンを押すと、蜃気楼のように消えてしまうことに気がついた。その謎をとこうとパズルのピースをあわせて見えてきたのは、コンピュータ化された市場で常態化した巨大な八百長、ミリ秒、マイクロ秒、そしてナノ秒のしのぎを削って私たちを先回りするフラッシュ・ボーイズの姿だった。唖然、呆然、これでは一般投資家は絶対に勝てない。
1996年、わたしと弟の陵はこの家に二人で戻ってきた。ママが死んだ部屋と、手をふれてはならないと決めて南京錠をかけた部屋のある古い家に。夢に現われたママに、わたしは呼びかける。「ママはどうしてパパと暮らしていたの」-愛と人生の最も謎めいた部分に迫る静謐な長編。読売文学賞受賞作。
ゴシキヌマの水をよこせー突如として謎の外国人テロリストに狙われることになった相葉時之は、逃げ込んだ映画館で旧友・井ノ原悠と再会。小学校時代の悪友コンビの決死の逃亡が始まる。破壊をまき散らしながら追ってくる敵が狙う水の正体は。話題の一気読みエンタメ大作、遂に文庫化。本編開始一時間前を描く掌編も収録!
バレたら仕事も地位も家族も金銭も失うとわかっているのに、なぜ人は不倫をやめられないのか?社会が過剰な不倫バッシングに走りがちになるのはなぜなのか?最新脳科学の知見をもとに、進化の過程で人類が選択した「生存戦略」、「社会的制裁」の謎に迫る!
単独で麻薬密売ルートを探っていた刑事が銃殺された。千葉県警刑事部捜査一課の高頭班が捜査にあたるが、事件の真相を知った警部・高頭冴子は真犯人に陥れられ、警官殺しの濡れ衣を着せられる。自分の無実を証明できるのは、事件の目撃者である八歳の少年のみ。少年ともども警察組織に追われることになった冴子が逃げ込んだ場所とは!?そして彼女に反撃の手段はあるのか!?息をもつかせぬノンストップ・ミステリー。
タピオカ抗争、ラブホ強盗、バースデイコール詐欺、児童虐待マニアー世の中嫌になることばかりだけどマコトたちがいれば大丈夫だ。I/W/G/P第16弾!
海沿いの町を訪れた一人の大学生。彼は夜な夜な街中を徘徊し、不審の目を向けられるが…。驚愕と慟哭の青春ミステリー。
夢破れて、故郷の長崎へ戻る亮二は荷物をまとめて空港へ。似顔絵画家の老紳士と出会い、思わぬ言葉をかけられる。(『旅立ちの白い翼』)。「本は魔法でできているの」小さな書店を営んでいた祖母の言葉。いま空港の書店で働く夢芽子が出会う、ちょっと不思議な物語。(『それぞれの空』)。恵と眞優梨は三十三年ぶりに空港で再会する。少女の日のすれ違いと切ない思い出を名香の香りに乗せて。(『夜間飛行』)。老いた奇術師幸子は、長い旅の果て、故国の空港に降り立つ。自分の人生が終わりに近いことに気づき、来し方を振り返る。(『花を撒く魔女』)。
生き別れになった、大好きな「おじさん」に、もう一度会いたい。高校生たちの一日限りの冒険。第169回芥川賞候補作。
レポートの役割は、事実や情報を取捨選択して整理し、それについての作成者の意見を加えて、読み手にわかりやすく伝えることである。そのためには、事実と意見を区別することを学ぶとともに、伝達手段としての言語技術の訓練が欠かせない。『理科系の作文技術』で話題をよんだ著者が、豊富な具体例をもとに、そのノウハウをわかりやすく説く。
女は藪で蛇を踏んだ。踏まれた蛇は女になって、食事を作って待っていた…母性の眠りに魅かれつつも抵抗する若い女性の自立と孤独。第115回芥川賞受賞。