渋い二枚目俳優として知られる葉崎裕一郎は、ラブホテルにミユキという名のコールガールを呼んだ。大柄で豊かな乳房と尻を持つ彼女は、葉崎にとって、理想的な“生贄”だった。彼は歓喜の極みに震える女の首を一気に絞めにかかった。陶酔の余韻のなかで復讐の儀式を終えたが、彼の内に潜む悪魔は、次なる“生贄”を求めて疼き出した。謎と恐怖のサスペンス・ロマン。
夢か現実か。現実の世界に非日常が入りこむ時、そこには無限の闇が…。4人の作家による4つの恐怖。あなたは、この恐怖に耐えられるか。豪華メンバーで贈る、ファンには絶対見逃せないホラー・アンソロジー。
ホラー・ラジオ・ドラマのBGM集。トランペッター・近藤等則のインプロヴィゼーションを効果音的に配したサウンドが、不気味な雰囲気を表現している。彼はオープニングでは作詞・作曲に加え個性的なヴォーカルもとっており、それがまた妙に怖かったりして。
生き残った機長が明かす衝撃の真実。事故の真相はかく隠蔽された。ハイテクシステムの予期せぬ欠陥と巨大企業と国家の黒い思惑-。名パイロットが綴る孤独な闘い。
宮崎県都井岬の断崖で映画の撮影中、男優の一人が転落、死亡した。男は燃えるような夕焼けの空に突然両腕を突き上げ、耳を掩うと絶叫し眼下の岩礁に落下してしまったのである。「熱演のあまりバランスを失った」事故と事件は片づけられた。しかし彼の妻は、この忌まわしい十一月二十九日という日が、ここ数年夫を苦しめ続けていた日であったことに気づく。夕焼けと死には密接な関わりが隠されていたのだ。
トムは、友だちのディマーをつれて、バンクーバーの祖父母のところへ遊びにきている。市内のガスタウンはむかし、貧民街だったところで、いまも麻薬密売人がいるとの噂がたえない。トムの探偵熱がムクムクと頭をもたげる。家出少年のようなふりをして、ガスタウンにもぐりこもうとしたトムはたちまち事件にまきこまれるー。
「ああいやだ。またあの夢を見てしまった」六歳のころから一年に何度か見る、あのへんな夢。交通事故にあって脳の手術をうける夢なんて、気持ちわるいったらない。そして十二歳の誕生日を前にしてもっと恐ろしい夢が。「目ざめよ、唯。あたえられた使命をはたせ」ぶきみな声がくりかえされる。いったいどういうことなの。小学校高学年以上から。
法月綸太郎のもとに深夜かかってきた電話。救いを求めてきたのはあのアイドル歌手畠中有里奈だった。ラジオ局の一室で刺されたはずの自分は無傷で、刺した男が死体で発見される。恐怖と混乱に溢れた悪夢の一夜に耐えきれず、法月父子に助けを願い出た。百鬼夜行のアイドル業界で“少女に何が起こったか”。