イスラム世界においてモスクとはどういう存在なのか?それは単なる「祈りの場」ではない。人々の社交の中心であり、教育施設、宿泊所、そして政治活動の舞台など、多様な役割を担ってきた。こうして人々の生活のなかに深く根づいてきたモスクには、イスラム世界の精神性のあらゆる歴史が刻み込まれている。その建築史的変遷、社会における機能の変化をたどれば、ときには政治史の常識が覆るような発見に出会うこともある。140点の図版とともに、壮麗なモスク建築の見方を説き、イスラム世界の深層を浮き彫りにする。
生きものの関わり合いを見つめる生命誌。分子も、細胞も、個体も…。もちろん人間も関わり合って生きている。
キリマンジャロ西斜面の山奥にあるルカニ村。「世界農業遺産」に認定されるほどの魅力的な農林畜複合経営が、「コーヒー危機」の影響で崩壊したが、フェアトレードの取り組みにより復興しつつある。2002年〜2013年における農家の経営行動を観察し、「アフリカ型」の貧困削減・農村開発のあり方を探る。
第1部 農家経済経営・農村発展の分析の枠組みと課題
第1章 タンザニア農村における貧困・開発の分析枠組み: 「アフリカ型」農村開発をめぐって
第2章 「制度派」農家経済経営学序説:混成性の経営目標・成果の分析枠組み
第2部 キリマンジャロの農家経済経営の基礎構造:現金現物日記帳の分析
第3章 現金現物日記帳に基づく農家経済経営行動と基礎構造の解明
第3部 農家経済経営の実態:品目ごとの経営行動
第4章 コーヒーの価格形成と小農民のアップグレーディング:流通制度改革・協同組合・フェアトレードの役割
第5章 トウモロコシ・豆をめぐる経営行動の特質:コーヒー危機にともなう「男性産物」の多様化と所得安全保障
第6章 牛をめぐる経営行動の特質:農家経済経営リスクと家計安全保障
第7章 バナナをめぐる経営行動の特質:「女性産物」が追求する家計安全保障
第8章 農林畜複合経営と材木ビジネスの実態:私的利益追求と社会経済目標を重ねる森林再生への道筋
第4部 農家経済経営を取り巻く社会制度の実態:ローカル社会経済と相互扶助
第9章 キリマンジャロ西部の社会経済構造と地域経済圏:農民市場を媒介にした農畜産物の地域内循環
第10章 相互扶助システムと拡大家族経済:伝統的社会(安全)保障制度の実態
第5部 農家経済経営・農村開発の成果の評価:フェアトレードの役割
第11章 貧困削減とフェアトレードの経営成果「貧困と開発の概念図」「ケイパビリティ・アプローチの概念図」に基づく貧困・開発の評価
第12章 利益追求・家計安全保障の経営成果:農家経済経営の基礎構造に基づく経営・フェアトレードの評価
日本の漁業の生産量・生産額はこの30年減り続けている。魚の消費量もこの20年右肩下がりだ。漁業の未来への活路はあるのか。
電子技術時代の日本語表記と印刷・伝達形式を考えるとともに、コンピューター以前の書き言葉のあり方を見なおし、新しい技術を歴史的文脈において評価する。
ナシア・ガミーが現代の気分障害医療に鋭く斬り込む!正常なうつと異常なうつ、正常な幸福と異常な幸福とは?これからの精神科医療にとって優れた羅針盤となる一冊!
どこでも活躍できる人材をつくる!7つの考え方×20の能力×4つの環境の方程式で会社は強くなる。
GAFA等に対する日米欧中競争法規制の動向を第一線の研究者が解析。巨大プラットフォームは、今や経済活動に不可欠である。その各国規制の動向を経済法、経済学・経営学等の多様な角度から各研究者が論じる、現代経済社会分析と企業法務、経済法・独占禁止法研究に必読の一冊。
建築家の希望はどこにある?槇文彦の問いに伊東豊雄、塚本由晴、藤村龍至ら17名が答える。
生物の多様性を保全するための理論と実際をわかりやすく解説。
教育的配慮が行き届いた学部生向けテキストの9年振りの改訂.細胞生物学の基本原理(各章タイトルの前半に提示)を身につけることに重点を置き,細部の知識に留まらず,細胞の総合的な理解を促す.第3版では,この分野の研究の進展が反映され,進化の視点も取り入れられている.また,教育経験豊富な共著者が加わり,本書の特長がより強化された.コラムの各種BOXは充実し,章末問題は大幅に追加されている(解答は巻末に掲載).本来の細胞生物学の魅力を学生に伝える好著.
第1章 生命とはチームスポーツであるーー細胞の多様性の進化
第2章 DNAは生命の教則本であるーー核酸の構造と組織化
第3章 タンパク質は進化の原動力であるーーポリペプチドの構造と機能
第4章 膜は区画の境界を定める複雑な流動体であるーーリン脂質と膜構造
第5章 細胞骨格は生命の構造的複雑性のための構築基盤を形成するーー中間径フィラメント,微小管,アクチンフィラメント
第6章 多細胞性の台頭ーー進化上の重大な転機
第7章 核は細胞の頭脳部であるーー核の構造とDNA複製
第8章 RNAはDNAの情報をタンパク質の活動に結びつけるーー転写翻訳タンパク質の選別
第9章 内膜系はほとんどの高分子の搬入と搬出のための装置として働くーー膜交通
第10章 化学結合とイオン勾配は細胞の燃料であるーー細胞の代謝とエネルギー貯蔵
第11章 シグナル伝達のネットワークは細胞における神経系であるーーシグナル伝達と細胞のコミュニケーション
第12章 タンパク質複合体は細胞の意志決定装置であるーー遺伝子発現の制御
第13章 細胞周期の進行時は細胞の一生のなかでもっとも傷つきやすい時期であるーー細胞の誕生と死
第14章 人間の活動は進化におけるパラダイムシフトを誘発するーーバイオエンジニアリングと人為的な選択の探求
私たちの身のまわりにあるさまざまな水辺。河川や湖はもちろん、人が管理する水田にも、あまたの種類の生物が暮らしています。水中で生活する魚類をはじめ、両生類や鳥類、甲殻類、昆虫、植物など、水辺とその周辺の環境で見られる生きものは数えきれないほどです。これらの生きものたちは、生息する水辺の環境に適応して、たくましく生きています。
ひとくちに水辺といっても、いろいろな環境があり、その多さに驚かされます。そこで本書ではまず、河川や湖沼、湿原、水田といった水辺の特徴を紹介します。それらの特徴を知ったうえで、生きものたちの暮らしぶりを見ていきます。とくに身近な河川と水田については、研究者直伝の観察や採取の方法も紹介します。
水辺では、生物同士が互いに影響しあい暮らしていますが、人間活動の影響も無視できません。本書は、生きものたちを保全する取り組みも説明しています。生きものたちを守る際のヒント満載です。
本書を読めば、ただ何となく見てきた水辺の環境にも、いろいろな特徴があり、それらに対応するように生きている生物たちの複雑なドラマがあると、思わずにはいられないでしょう。水辺に生きる動物や植物を観察するために役立つ知識を整理した、観察には欠かせない一冊です。
第1章 そもそも水辺とは
第2章 さまざまな水辺の環境
第3章 水辺の環境と生物の危機的状況
第4章 川の流れやかく乱に適応した生物
第5章 水田稲作に適応した生物
新芽を広げ、花を咲かせ、実をつける。植物の季節的な現象(フェノロジー現象)は魅力的であるが、日常生活における風景としか捉えられないことが多い。 しかしながら、その現象は、じつに豊かで複雑で、面白さにあふれている。
本書は、そんな植物のフェノロジー(特に、開花フェノロジー)に着目した初めての和書である。植物生態学・分類学の専門家で、国立科学博物館の現役キュレーターである著者が、写真や図を豊富に用いて、過去の研究、野外調査や仕事の様子を紹介しながら、前提知識なしでも理解できるよう易しく解説する。
本書は、「卒論提出3か月前テーマ変更事件」が発生したところから始まる。読者に語りかけながら話は進んでいき、随所に散りばめられたこのようなエピソードから、著者の人柄が伝わってくるような構成となっている。
フェノロジーは近年、地球温暖化との関連からも、国際的に注目されているトピックである。フェノロジーに興味のある方はもちろん、植物学全般に興味をもつ方にも広く薦められる書籍である。
1 植物のフェノロジー
1.1 私とフェノロジー研究の出会い
1.2 フェノロジーとは
1.3 植物の様々なフェノロジー
2 いつ花を咲かせるのか?
2.1 植物が作る四季?
2.2 花の季節
2.3 フェノロジーの段階
2.4 樹木と草で違う?
2.5 「定量的に比較する」とは
3 植物の種多様性を知る
3.1 東南アジア研究のきっかけ
3.2 ベルトトランセクト法
3.3 熱帯植物調査の壁
3.4 分類学との出会い
3.5 未記載種か否か
3.6 調査地への恩返し
4 ところかわれば花かわる
4.1 未知のフェノロジー記述に挑む
4.2 ベトナムの熱帯山地林のフェノロジー
4.3 種間で同調する?
4.4 フェノロジーの緯度勾配
5 過去をさかのぼる
5.1 暖冬だと早く咲く?
5.2 ハーバリウムとは
5.3 標本の保管
5.4 標本の存在意義
5.5 標本の整理
6 伝え広めるために
6.1 研究者のアウトリーチ活動
6.2 オンラインでの発信
6.3 子どもに伝える
6.4 伝える発信
6.5 広める発信
7 研究者って何者?
7.1 なぜ研究するのか
7.2 研究者をめざしたいあなたへ
7.3 研究者の資質
7.4 博物館学芸員と研究
引用文献
あとがき
植物フェノロジーの研究と博物館キュレーターへの招待(コーディネーター 巌佐 庸)
索引
時代を駆け抜け、時代をリードし、世界のポピュラー音楽を牽引した405人のミュージック・ヒーローたちーその歴史と全容、始まりつつある変容を追う。