公務員として知っておきたい、芸術センス・行動美学・人生の機微・その他。
マボロシの雑誌『季刊フィルム』『芸術倶楽部』一挙解凍。1968年10月〜1972年12月に刊行された『季刊フィルム』(全13号+臨時増刊「アニメーション特集」号)、1973年7月〜1974年6月の間に第9号まで刊行された『芸術倶楽部』(いずれもアートフィルム社発行)の2誌に掲載された記事をセレクトし、そのまま再録したもの。
かつてこの街で科学を学んだ
今、この街で芸術にふるえる
●かつて研究修業時代に勤務したニューヨーク・ロックフェラー大学。
ひたすら研究に打ち込んだ日々は、私にとっての決定的な出発点(エートス)となった。
そのロックフェラー大学に、私は25年ぶりに客員教授として滞在することになる。
母校のキャンパスは、一見何も変わっていなかった。
一方、その研究は最先端のバイオテクノロジーに様変わりしていた。
記憶に作用するホルモン、未知の巨大ウイルスの発見、動物行動を制御する驚異的な脳科学のテクニック、腸内細菌の役割の再発見……。
アメリカの科学はそのエネルギーを保ち、変わらないために、変わり続けていたのだ。
そして日々の生活に目を転じると、ニューヨークの文化、生活、芸術にもまた、一切の滞留、不変を許さないダイナミズムが満ち溢れていたーーアメリカそのものも、変わらないために変わり続けている。
●福岡ハカセが2013年からのアメリカで過ごした2年間の思索と冒険をノスタルジックにつづるエッセイ集。科学という営み、NYの片隅で見たフェルメールの清明さ。
発見と叙情に満ちた筆致に、あなたの心もふるえるはず。
【目次】
第一章 修業時代の母校ふたたび
第二章 世界の生命科学最前線
第三章 異国で文学を思う
第四章 食文化差の理科的考察
第五章 ニューヨークの自然観察
第六章 自由と違和感のアメリカ文化
第七章 滞在二年目だからわかること
第八章 世界を股にかけフェルメール巡礼
作品に映る近代日本の精神を考察。高橋由一から岡本太郎、寺山修司まで、芸術家たちが造形してきた近代日本の精神と、原発問題に象徴されるテクノロジーの暴走、一見かけ離れた両者の交叉点を哲学的に探る。
明末清初,狂唖を装って韜晦し,亡国の痛哭を書画に仮託した八大山人の全貌は,急速に明らかにされつつある。原著を訳出解題し,訳者新編の詩鈔・年譜を付す。
「土地」との絆/切断は芸術にとって何を意味するのか?絆を称揚するラスキンの思想を出発点に、国家主義的な時代を背景としつつも、独創的な小説美学をつくりあげていくプルースト。その思考の足どりを、美術館やモニュメント、書物などの主題のうちにたどり、新たな言葉の生成に立ち会う。
ポストモダンの原理を東洋的なナチュラリズムに探る。世界観の東西ーナチュラリズムとヒューマニズム/茶道と宗教ーキリシタンの見た日本の茶湯/藝術における解脱ー小林太一郎とショーペンハウエル、の三章53項目で構成。
国策としての観光に果たす芸術の役割とは?世界で活躍する芸術家たちが語る藝術の本質。
日本のほぼ中央にそびえ立つとともに、日本人の心の真ん中にそびえる美しい山・富士山。富士山は古来より日本人の精神の拠り所として、また、文化の源泉として、常に私たちとともにありました。そして、そんな富士山がもつ高い文化的価値の全貌を初めて明らかにし、世界の人々に強く訴えかけたのが、「認定NPO法人 富士山を世界遺産にする国民会議」および「富士山世界文化遺産登録推進静岡・山梨両県合同会議」によって、そのモットーである「いつまでも富士山を世界遺産に」公式本として刊行された本書でした。
芸術文化の政策について、歴史・制度・経済理論等の視点から解説。
芸術文化政策の理念を理解し、計画・実施・評価に必要な知識や考え方となる基礎を学ぶ。
【主要目次】
第1章 日本の文化政策の歴史的展開
1 第二次世界大戦前の文化政策
2 終戦直後の文化政策
3 高度経済成長期の文化政策
4 低成長時代の文化政策
5 1990年代の文化政策
第2章 21世紀における国と地方の芸術文化政策
1 20世紀末までの文化政策の課題
2 文化芸術振興基本法の制定
3 「新しい公共」の担い手づくりに向けた改革
4 補助金制度改革
5 第4次基本方針と基本法改正
6 地方自治体における文化政策の新たな展開
第3章 芸術文化政策の経済理論
1 経済学の考え方とその政策的意義
2 財政の役割
3 経済学の限界と価値財
4 芸術文化政策の手段
第4章 文化施設をめぐる制度と課題
1 日本における文化施設の整備
2 指定管理者制度
3 劇場・音楽堂等の活性化に関する法律(劇場法)
4 公立文化施設整備のあり方
第5章 芸術文化政策における課題と展望
1 芸術文化政策における政府の立ち位置
2 芸術文化政策の評価
3 コロナ禍と芸術文化政策
4 産業・職業としての芸術文化に対する政策
5 芸術文化政策と民主主義
ケルト人が紀元前5〜紀元後1世紀のヨーロッパで生み出し、現在まで遺産として伝わる作例と、5〜12世紀にブリテン島のアングロ=サクソン系以外の地とアイルランドで創造された作品とを鑑賞し、美術的な伝統について考察する。さらにケルトの初期キリスト教美術が19、20世紀の芸術に与えた影響を観る。他の西洋美術とは異質で、装飾的でありながら深いシンボリズムを含む特性をカラーを含む212の図版で読み解く。
『シミュレーショニズム』『日本・現代・美術』をはじめ、膨大な執筆活動を通じて日本の現代美術論の言説を構築してきた椹木野衣による本書は、美術のジャンル解体と新たな批評を切り拓いた『後美術論』(2015年)、3.11後、震災や災害の多い風土から「日本列島」の美術を捉え直した『震美術論』(2017年)に続く第3部であり、ウェブマガジン『ART iT』での連載「美術と時評」で書かれた15年に及ぶ批評選集である。
3.11以降、東日本大震災と福島第一原子力発電事故を起点に評論を行なってきた筆者にとって、振り返ればそれらはすべて、人類の歴史が終焉を迎えたあとの時代へ向けて投げかけられた「末世の芸術」をめぐる批評であったという。
この無人類のための芸術を見据えていた先達として、本書ではまず中原佑介、石子順造、花森安治、浅田孝、磯崎新の営みを取り上げている。ついで核/原子力をめぐる思索と制作を行う岡本太郎、飴屋法水、Chim↑Pom from Smappa!Group、また3.11により故郷を失った赤城修司や、見に行くことができない展覧会「Don’t Follow the Wind」の展開など、核災害と表現との関係についての考察を深めていく。そして本書の中心部では、1985年の日本航空墜落事故を扱った批評的戯曲『グランギニョル未来』を含め、映画作家の大林宣彦、成田亨、三上晴子、そして岡崎京子や村上春樹の小説まで、死者や声なき人々、様々な分野の人々との批評的交感を試みた。
グローバル化した世界を前提とする今日のアートに疑義を投げかけ、「真の意味でドメスティックであること」を無人類のための芸術の条件に据えた本書は、そこから日本の美術を新たな視点で立ち上げ直そうとする試みの軌跡である。
巻頭特集「リトグラフ150年 商業印刷から版画へ」
「リトグラフ」とは18世紀末にアロイス・ゼネフェルダーによって発明された印刷技術です。
描いたものをそのまま紙に写し取ることができ、日本でも明治末頃から多くのラベルやポスターを印刷するために普及しました。
かつては商業印刷のための技術として、全国、全世界でで扱われていたリトグラフですが、現在では版画家やアーティストたちの間で作品制作のための技法のひとつとなっています。
その一方で、近年はミュシャやロートレックなど、もともとはリトグラフによる商業印刷物であったポスターが美術品として美術館などで展示されるようにもなっています。
本特集では「印刷」と「版画」両方の性質をもつリトグラフについて、そのふたつの側面から注目し、過去の作品や歴史、現代に活躍する作家たちを紹介します。
巻頭特集 リトグラフ150年 商業印刷から版画へ
今すぐ買える版画の逸品「版画マーケットプライス」
版画芸術オリジナル版画・アートコレクション制作 松村 宏(シルクスクリーン)
期待の新人作家 田中 彰(木版)
写真芸術の世界 宮本隆司
話題の展覧会 メスキータ展
展覧会スポットライト
没後40年 星 襄一展
全国版画展スケジュール紹介(2019年6月〜8月)
公募展結果発表・公募展募集要項
版画インフォメーション
木版画技法実践講座 素材を活かした作品制作(講師 多摩美術大学版画科教授・古谷博子)
はじめてでも版画がわかる! 版画用語辞典ハンドブック