自身を絶対悪に染めあげるため、虹の刺青を背負った銀次だが、死が周辺の人間に相次ぐ事態に直面して、魂が揺らぐ。生にも死にも見限られ、その狭間であがくアウトローが最後に対決した相手とは…。想像力と言語表現の限りを尽くした豊饒な文体と、従来のハードボイルドを寄せつけない凄まじい緊張の世界が、読む者を圧倒する。人跡未踏の小説世界を築いた丸山文学の傑作長編。
リサは映画プロデューサーをめざす野心家の女性。恋人のケンが念願のレストランをオープンした日、彼女は大物プロデューサー、ティレルから仕事の誘いを受ける。願ってもないチャンスとばかり、リサはその仕事に飛びついた。たとえケンと離れ離れになっても、キャリアを集むほうが大事だった。五年後、彼女は苦しい生活を送っていた。ティレルの会社が倒産し、彼の薬物疑惑がリサの身にも飛び火して、満足に職に就けない有様だ。一方、ケンは高級レストランを次々オープンし、時代の寵児に。マスコミからレストラン内を撮影させてほしいと取材が殺到している。取材陣の中に、かつての恋人が紛れ込んでいるのにケンは気づいた。藁をもつかむ思いでリサが彼を頼ってきたのだ。苦い再会を果たす二人。愛憎の狭間で二度目の恋の幕が上がった。
終戦直後の日本ー父の病と過ちを理由に、周囲から仲間外れにされていた小学生・真の孤独を癒してくれたのは、父からもらった一羽の子うさぎ・虎吉だった。しかもその虎吉も奪われ、そしてー。虎吉の仇討ちを誓った真は、やがて上級生の富夫との邂逅の中で、本当の強さと優しさを知る…。物がなく、飢えた時代。貧富の差は、子供同士の立場にも微妙な影を落としていた。そんな時代の子供たちの姿を活き活きと、ときに赤裸々に描き出した、岡本泰生の意欲作。
虹の端っこを探しに行こう。今は天国にいるお父さんとの約束を叶えるため、美空は友だちと虹の端を探しに行きます。そうして水玉模様の不思議な蛙に出会いますが、その蛙の正体はというとー。父親を亡くしながらも懸命に明るく生きようとする少女の姿を郷愁溢れる文章で綴った傑作小説。大人のためのファンタジー!第二回「追憶」出版化奨励作。
どしゃぶりの雨のときもあるし、キラキラ輝いているときもある。雨のあとの空に虹が出るように、私の心にも大きくてきれいな七色の虹がかかるよ。
独自の画風を貫き描きためた作品集。
ねえ、忘れてしまったの?あなたにつばさのあったことを。美しいことばに彩られたやさしさあふれる詩集。
赤、橙、黄、緑、青、藍そして紫。若く沈潜する眼差しが生み出した、官能の匂いたつ九十一首。
「ぼく、ぜったいにかえしてみせるよ!名前だって決めたんだ。ニジコっていうんだよ」空から落ちてきたタマゴを受け取ったはるちゃん。家にいる時も、お散歩の時もいっしょ、いつも大切にあたためていると、不思議なほど楽しい出会いがあるのです。小学校中学年から。