1956年に吉田千鶴子、岩見禮花らを中心に結成された「女流版画会」は、当時男性が中心であった版画界において、女性作家の活躍の場を広げました。女流版画会には南桂子や、内間俊子といった海外を活動の場とした女性作家や、現在も第一線で作品の制作と発表を続ける柳澤紀子も参加していました。同会は1966年のニューヨーク展を最後に解散しますが、10年の活動期間を通じて日本の女性版画家の存在感を国内外に強く印象付けます。
同会の活動は、2020年にアメリカ・ポートランド美術館で展覧会が開催されるまで、日本の版画史を語るうえでもほとんど見落とされてきました。本特集の第1部では女流版画会の創立メンバーを中心に、個性豊かで魅力的な作品を紹介し、改めて再評価の光を当てるものです。また、第2部では柳澤紀子や山本容子など、1970年代に活発な発表活動を行った女性作家たちを紹介し、現代に繋がる版画の新たな道を切り拓いた「パイオニア」たちを紹介します。
掲載予定作家:吉田千鶴子、岩見禮花、内間俊子、小林ドンゲ、南 桂子、松原直子、野中ユリ、柳澤紀子、辰野登恵子、山本容子 他
サイードが高く評価した稀有な黒人革命家。クリケットを愛し労働者階級と植民地の解放をめざして戦争と革命の世紀を疾駆した、思想家の生涯!
特集 越境陶芸 日本で活躍する外国人作家
土や木などの天然の「素材」を用い、伝統を踏まえた高い「技術」で作る日本の陶芸は、他の国にはない独創的なものとして、高く評価されている。日本陶芸の革新的な表現は、外からの刺激も受けて育まれてきた。近代においては、イギリス出身のバーナード・リーチがスリップウェアなどの西洋陶器と東洋陶磁器の技術を融合させた作風を確立し、日本の陶芸家たちに刺激を与えた。近年は、日本の美術大学などで学ぶ留学生が増えてきている。彼らは、なぜ来日して陶芸を学び、そして日本で制作を続けているのだろうか? 本特集では、帯状にした土で、オブジェから器や茶陶まで無限の形を生み出し、国内外で注目されているハンガリー出身のアーグネス・フス、轆轤で成形した端正なフォルムに彫りを入れ、表情豊かな刻文を施した青白磁・白磁で日本の伝統美を追求するアメリカ出身のピーター・ハーモン、そして陶芸のみならず絵画や版画の制作も手掛け、色彩に満ちた自由な作品世界を作り上げるスペイン出身のラファエル・ナバスをはじめ、20代から60代までの10名の作家を紹介する。境界を越えて融合する、新時代の「越境陶芸」の魅力に迫ると同時に、日本の陶芸・文化の魅力を再発見する。
2020年、新型コロナ・ウイルスの災禍は美術界にも打撃を与えた。計画していた展覧会は軒並み中止または延期され、作品の陳列や検証などの研究成果を公開する機会がことごとく奪われた。
半世紀にわたり美術館運営に従事してきた著者もまた、ウイルスという眼に見えない相手を前に、館長職を務める美術館を切り盛りし、美術評論や普及活動に奔走する日々をコラム等で発信してきた。『鞄に入れた本の話』(2010年)『鍵のない館長の抽斗』(2015年)に続いてそれらをまとめた本書は、先行き不透明な当世を照らす、美術界泰斗によるすぐれた洞察にあふれている。
「書名は『芸術の補助線』とした。簡単な幾何の問題をまえにして、いくつも補助線を引き、躍起になって解いていた十代半ば頃のことを想いださせるが、これは不透明な時代のなかに生じる、さまざまな事象の意味を、まさに補助線を引くようにして探りを入れているーーいまの私につながっている気がする。」(本書あとがき)
美術館の仕事をめぐって、通勤途中や旅先でふと考えた事がらを小さなスケッチブックに書き留めてきた“館長の雑記帖”最新版。解説・武田昭彦。
I
一字違いのこと
顔というものは 松田正平氏を訪ねて
レッテルを貼る ビル・トレイラーの絵
ある彫刻家の虫籠
時の溜まりにーー桑原甲子雄の写真
買いそびれた蜂蜜ーー信濃デッサン館再訪
劉生日記の一言
十円硬貨 松江行
杖と車椅子
献本 鶴見俊輔氏を悼む
プッポウソウ 音威子府の森
ゴンサレスの鉄彫刻
土偶と文化の地熱
表現と「母語」
師弟 萩散策
吾妻兼治郎氏の思い出
洞爺湖の砂澤ビッキ
植物の神経 津久井利彰氏への手紙
若林奮と旧石器時代への想像
益子行
吉田一穂を語る
展覧会余話
大原美術館にて
鴉と桃と柳原義達
寝床の読書
物書きの編集者・長谷川郁夫
II
米倉斉加年氏を偲んで
長蛇の列
カフェ・クーポールでの集合写真
佐伯彰一氏のこと
スティーブンソンと吉田松蔭
XとY
装幀をめぐって
ヒトとチンパンジー
安藤忠雄氏の挑戦
ノグチと収容所の日本の庭
展覧会の挨拶
素敵なふたり
車椅子の山ロ勝弘さん
不便利益のすすめ
バスキア展で
幻の展覧会
III
風雪という名の鑿をもつ砂澤ビッキ
画家としてのル・コルビュジエ
ドナルド・キーン氏との出会い
消えた巨大な土の塊
関根正二にまつわる話
カラヴァッジョの名を耳にすると
中原悌二郎賞をめぐって
イサム・ノグチのパートナー
記憶・尾道・志賀直哉
わたしの宝物
椅子にはじまる彫刻論
先用後利
野性の境界
山頭火にあやかって
あとがき
解説 武田昭彦
生活経験を芸術的経験に連続させる教育方法を「芸術的構成活動」として理論化し、誰もが参加できる新しい芸術の教育方法として提起。
旺盛な活動を行なった文人にして、魯迅の実弟。ナショナリストにして“漢奸”。「生を求める意志」を持ち悩み苦しむ現世的な人間=頽廃派をキーワードに、近現代の日中文化をつなぐ要注意人物、周作人の思想に迫る。
巻頭特集
木口木版(こぐちもくはん)とは黄楊や椿など、目の詰まった堅い木を輪切りにした面を、「ビュラン」という彫刻刀で彫っていく木版画の一種です。
18世紀末のイギリスで発明され、当時は書籍の挿絵として用いられていました。
日本へは明治20年に伝わり、やはり書籍や新聞の挿絵のために使われます。
やがて印刷の技術が発展するにつれて木口木版は廃れていきますが、1960年代に日和崎尊夫(ひわさきたかお)という一人の版画家が、独学でこの技法をよみがえらせました。そして、日和崎も一員であった木口木版画のグループ「鑿の会」(のみのかい)の活躍に影響を受けて、木口木版は日本で流行します。
本特集では「鑿の会」以後、現在活躍する作家18名の紹介と、木口木版発祥の19世紀の作家・作品をそれぞれご紹介します。
緻密で美しい小品世界のもつ魅力を、隅から隅までご紹介する決定版です。
巻頭特集/木口木版 日本の現在と西洋の起源
現代木口木版の作家たち
宮崎敬介・二階武宏・林 千絵・齋藤僚太
柄澤 齊「年輪と星星 木口木版見聞記1974〜1979」
西洋木口木版の起源と発展
佐川美智子「西洋の木口木版ーその魅力」
今すぐ買える版画の逸品「版画マーケットプライス」
注目の作家/星野美智子
版画芸術オリジナル版画・アートコレクション制作/銅版画家・古本有理恵
期待の新人作家/村上 早
写真芸術の世界/杉本博司
話題の展覧会より/埼玉県立近代美術館開催 辰野登恵子展
福岡アジア美術館開催 闇に刻む光 アジアの木版画運動1930s-2010s
展覧会スポットライト「九州・沖縄版画プロジェクト2018」
「没後30年 城所 祥展」
「版画のコア core 2」
全国版画展スケジュール紹介(12月〜2019年2月)
公募展結果発表・公募展募集要項
版画インフォメーション
木版画技法実践講座/木口木版(講師 多摩美術大学版画科教授・古谷博子)
はじめてでも版画がわかる! 版画用語辞典ハンドブック
[商品について]
芸術における身体は何を表現するのかーー。
本書は、現代舞踊(コンテンポラリー・ダンス)という身体アートの世界に身を置いた著者が、手掛けた舞台の台本や演出ノート、エッセイ、座談会を通じて、現代舞踊の魅力を、ひいては芸術における身体の魅力を表現しようと試みる「現代アートの文字版」である。
時代の影響を強く受ける現代舞踊の在りし日と今を知る上で、また身体芸術の評論として、読み応えのある内容となっている。
感度の高い芸術諸氏にお勧めしたい一冊。
[目次]
まえがき
第1ラウンド 制作メモ
1 評論
上演まえの短いDISCOURS
かくされた部分七景
《旅》よ よみがえれ!
傍白
ほか
2 省察
≪演出ノート≫から 「ジ・アビス〈深淵〉」
レフレクション「信田の森の物語り」
ほされた日常の風景
影のうら側
ほか
第2ラウンド 人と芸術
江口博氏を悼む
どこにもあって、どこにもない『エレホン郷』
石井漠に見る三つの舞踏態
マーサー・グラハムの偉大とモダン・ダンスの古典
ほか
第3ラウンド ドキュメンタリー
あるスタッフから見たこの十五年と昨今
ドイツの夏 現場からの報告
追跡「ヴィトリオ・ローシー」
新たな舞踊年鑑の刊行に寄せて
第4ラウンド エッセイ集
短歌と舞踊
パン屋さん探し
腰痛と注射
バイリンガル
ほか
第5ラウンド 座談会
《詩と現代舞踊》をテーマに
《ザ・ユニーク D・ナグリン》を語る
《歴史を学ぶ、歴史を語る》
《コンテンポラリーダンスの二〇年間》対談
第6ラウンド 創作戯曲
歴史劇『近衞公の死』四幕十二場
あとがき
著者略歴
[出版社からのコメント]
芸術が私たちに非日常の世界をもたらすものであるとして、舞台芸術の中にある身体の日常性はどの様に捉えられるのでしょうか。
「文化」としての芸術が、歴史や社会の影響を受けながら発信してきた表現は、私たちの日常をどの様に変えていったでしょうか。
本書は現代舞踊に視点を当てた作品ですが、その評論やエッセイ、戯曲は、芸術や文化を貫く射程を持ち、読者に思索という運動を促す懐の深さを持っています。
著者の人生の半身でもある身体芸術の魅力を、じっくりと味わっていただければ嬉しく思います。
[著者プロフィール]
日下 四郎(くさか・しろう)
1930年 京都市に生まれる 戸籍名:鵜飼宏明
1948年 旧制第三高等学校文科丙(フランス語科)を修了
1953年 新制東京大学第1期生として文学部ドイツ文学科を卒業
経歴:放送 JOKR(ラジオ)からTBSテレビで番組制作 〜1979年
舞台 DANCE THEATER CUBICで創作活動 台本&演出 〜1991年
教職 淑徳短期大学/日本女子体育大学の非常勤講師 〜1997年
評論 現代舞踊を中心とする創作作品の批評と審査 〜2013年
以上ダンス関係の仕事にはペンネーム日下四郎(くさかしろう)を用いた。
【主な著作と作品】
●鵜飼宏明名の著作
『太陽と砂との対話:西アジアのシルクロード』(1983 里文出版)
『東京大学・学生演劇七十五年史:岡田嘉子から野田秀樹まで』(1997 清水書院)
『さすが舞踊、されど舞踊』(2005 文芸社)
『ナナとジャン : 昭和20年代が生んだ青春の譜 上下巻』(2016 青嵐舎)
●日下四郎名の著作
『モダンダンス出航』(1976 木耳社)
『竹久夢二の淡き女たち』(1994 近代文芸社)
『現代舞踊がみえてくる』(1997 沖積舎)
シリーズ『ダンスの窓から』(2003-2012全3冊 安楽城出版)
翻訳本『ルドルフ・ラバン』(2007 大修館書店) その他
●ビデオ制作(全6巻 各1時間 台本・演出および解説パンフレット)
『第1巻 開拓期の人々』〜『第6巻 戦後世代の展開』(1988-2005CDAJ)
著者は世界的な陶磁学者で陶芸家の小山冨士夫の内弟子となって修業の後、独立・開窯した。本書は、著者が陶芸作家になるまでの苦闘を赤裸々に語り、夢を捨てない生き様を描く。また著者は地域の人々の協力でNPO法人「瑞浪芸術館」を設立し、館長として文化活動に取り組み様々な分野の芸術家とも交友する。その興味深い活動も語られる。
《主な内容》
第一章 陶芸への道
幼がたり╱旅立ち╱小山冨士夫先生に師事╱独立・開窯╱ 初窯の苦闘と初商い╱窯場の整備╱火事╱瑞浪芸術館の創立╱私の陶芸観
第二章 忘れ得ぬ人とことども
サム・フランシス氏╱荒川豊蔵氏╱新井英一氏╱宮城まり子さん╱ソンコ・マージュ氏╱出口直日さま╱ルーシーリーさん╱石黒宗麿氏╱鎌田真吾氏╱久田勘鷗氏╱中村嘉津雄氏╱横井照子さん╱浜美枝さん
第一次大戦を経て、時代はパラダイム転換期キュビスム小説『ベビュカン』で表現主義の寵児に前へ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダーッ、表現の最先端へ1920年代をもって、「二十世紀」の芸術と銘打つ越境する芸術理論、切れ味鋭いアクチュアルな批評大家を容赦なく斬り、アヴァンギャルドの心性に注視現代美術の祖型はすでにここにーある発表当時、センセーショナルな議論を巻き起こしたモダニズム芸術の基本書、待望の初訳。
生命軽視・自然破壊を生んだ功利主義の価値観を拝し、美の固有価値の復権を初めて唱えた書。