無動機的にみえる大量殺人や異常な性犯罪が世間を驚かせる現代。犯罪と非行に関する心理療法のあらゆる技法とアプローチについて多面的・理論的に述べている本書は、そうした事件の解明を進め、犯罪者を理解する上で非常に貴重な指針を提供してくれる。司法心理療法に携わる者はもとより、さまざまな分野の人たちの関心に応える、価値ある一冊である。
糖尿病治療は、患者、医師、看護師、栄養士、運動トレーナー、薬剤師、臨床検査技師、臨床心理士などが一体となり作り上げていくものであると思います。この作り上げていく過程の中で個々人の患者に合った、いわゆるオーダーメイドの糖尿病療養指導も必要となってきます。しかし、オーダーメイドの糖尿病治療を行う上でも糖尿病療養指導の基本は必要となります。太田西ノ内病院糖尿病センターの医療スタッフが、糖尿病療養指導に携わってきた中で、患者さんからの質問や医療スタッフからの疑問点を出し合いながら、1つの回答例をあげる形式で本書は構成されています。回答は、1つの例でありさまざまな回答の仕方があると思われますが、回答をなるべく簡潔に実践に即した内容にしてあります。
現在、われわれを取りまく社会には、災害、戦争、犯罪、暴力、交通事故、レイプ、虐待等、外傷後ストレス障害(PTSD)の原因となる事象が急増している。本書に記述した治療ガイドラインは、国際トラウマティック・ストレス学会理事会が1997年に設置した「PTSD治療ガイドライン特別作業班(Task Force)」により作成されたものであり、その目的は、過去の広範な実証研究データの批判的検討に基づいて、外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された患者に対して提供しうる、最良の治療法を示すことである。DSMによる診断を出発点とし、治療効果において臨床的エビデンスの蓄積されたさまざまな治療技法をその領域のエキスパートが解説している。現段階でエビデンス上もっとも有効とされるのは、薬物療法ではSSRIであり、精神療法では認知行動療法である。しかしそれにとどまらず、エビデンスのレベルを呈示しながら、他のさまざまな治療法の可能性についても紹介している。クライエントに対して治療法をどのように選択し、また各種の技法をいかに組み合わせるか、そして重度の合併障害、顕著な自殺の危険にどう対処するか、フォローアップや治療抵抗性、失敗例の理解など、あらゆる臨床的課題が盛り込まれている。
本書は、長年「対人恐怖」の治療に携わってきた著者が自らの臨床的研究の成果を集大成したものである。多彩な病態を呈する対人恐怖、社会不安障害の概念と診断を整理し、多くの症例をまじえながら、治療面接の進め方、薬物療法のコツが詳しく解説されている。対人恐怖症患者の援助に携わる精神保健専門職には卓越した治療ガイドラインであり、またこの病態に悩んで普通の日常生活を送れなくなっている当事者やその家族にとっても恰好の指導書といえよう。
本書の目的は、人が誕生してから一生を終えるまで、すなわち妊娠や分娩、加齢などに伴う人体の構造や機能の変化、栄養状態の変化などについて理解し、さらに栄養状態の評価や判定(栄養アセスメント)の基本的な考え方を習得することである。また、健康維持・増進および疾病予防のために栄養素の機能等を十分理解し、健康に影響を及ぼすリスクの管理について基本的な考え方や方法を習得することを目的としている。
ふだん何気なく使っているさまざまな用字・用語についてのエッセイ。月刊誌「チャイルドヘルス」の創刊号から6年間にわたって連載された「ことばの散歩道」を単行本化。医療、保育、育児、生活の場で使われていることばの意味、ルーツ、使い方、エピソードなどについて改めて読み解いたユニークな読みもの。
本書は、栄養士・管理栄養士教育を含めた現場に熟達した執筆者が、人のライフステージ別の、また各種生活環境および特殊条件下の、栄養学に関する最新の知見を提供するように心がけて書きあげた。