最高の音で楽しむために!
幼なじみのジュード・レントンにあこがれ、一度は彼と深い仲になったシャーロット。だがわけあって二人は辛い別れを経験し、別々の道を歩んだ。ロンドンに出て旅行代理店でキャリアを積んだシャーロットは、その後同僚と一緒にストラトフォードの町で旅行代理店を始める。一方ジュードは映画俳優としてデビューし、成功を収めていた。町の観光名物シェイクスピア生誕祭の行列で、シャーロットは七年ぶりにジュードの姿を見て胸が痛んだ。彼のことはもう忘れたと思っていたのに…。大丈夫よ、大スターになったジュードと私が会う機会などないわ。ところがその日の記念昼食会で、二人は顔を合わせることになってしまった。
その日の朝、ホテルのテラスで出会った無礼な態度の男がエドワード・カーライルだと知って、ジュリエットは茫然とした。彼は二カ月前に亡くなったカーライル不動産の社長の長男で、遺産として会社の経営権を五十パーセント受け継いでいる。残りの権利は社長の個人秘書だったジュリエットが譲り受けた。だが、エドワードの承諾なしには何も決定できないのに、国際的ホテルチェーンの社長である彼は、会おうともしない。ジュリエットは仕方なく、エドワードがこのホテルに来るという情報を頼りに捜していたのだ。彼はわたしが誰か知ったうえで、不意をつく機会を狙っていたんだわ。でも、こんな魅力的な男性だとは…。そのとき、彼女の心に七年前の悪夢のような出来事がよみがえった。
マーゴは平凡な顔立ちをした心のやさしい牧師館の娘だ。ある夜、道で困っている家族を助けようとしていたとき、車で通りかかったドクターにすっかり世話になった。体格がよく、ゆったりと落ち着いていて、美しい青い目をしたドクター。このガイス・ファン・ケッセルが、どこからともなく現れては消えたとき、マーゴの心の中で何かが揺らいだ。なんとなく結婚するつもりでいた青年との婚約も破棄した。その後ガイスとは何度か会う機会があったが、彼は有名な小児外科の大権威ーどこまでいっても遠い存在…。ところがマーゴの人生に、考えられないほど大きな悲しみが襲いかかった。彼女はガイスの肩で思いっきり泣くことになる。そしてガイス・ファン・ケッセル教授は、マーゴにプロポーズした。
幼い時に両親を失ったグレイスは孤児院で育った。十八歳でイギリスを去り、イタリアへ渡った彼女は、名家で大富豪ヴィトーリア家の長男ドナードに見そめられ、十九の時に結婚した。財力、名声、容貌、知力、すべてに最高のものを備えたドナートが、どうしてわたしのような何もないおずおずした少女を妻に?それでも彼は熱愛してくれた。夢のような一年、彼女は身ごもった。玉のような男の子パオロに恵まれたころは、幸せの絶頂だった。しかし、その大切な赤ちゃんに突然の死が襲いかかる。悲しみのどん底に落ちたグレイスの、心の傷が癒える間もなく、夫ドナートの裏切りが。グレイスはイギリスへ逃げ帰った。だが、そのままですむはずもない。
クランシーはウエディングドレスの箱を見て満足げなため息をついた。スチュアートとの結婚式は数週間後。昼休みに愛車のBMWで式のドレスを取りに来た彼女にとって、今心配なのはオフィスに戻るのが遅くなることだけだった。だから交差点の手前で信号が黄色に変わったとき、ついアクセルを踏んでしまったのだ。反対方向から猛スピードで車が向かってくるなどと思うはずもない。クランシーは悲鳴をあげ、死を覚悟したー。病院で目を覚ましたクランシーの人生は一変していた。ふたたび歩ける可能性は五分五分だと医者に告げられ、病室にやってきたスチュアートには婚約を破棄される。絶望するクランシーの前にかつての恋人ミッチが現れた。警官の制服を着たミッチが事故現場にいたのを、クランシーはかすかに思い出した。
ミリアムを信じてニューヨークを発ったのは間違いだったかしら。キムは不安を胸にコロラドへ向かう飛行機の中にいた。五ヵ月前に父が亡くなり、義母ミリアムとともに残されたけれど、彼女には一度として母親らしく接してもらったことがない。そんなミリアムが故郷で一緒に新しい生活を始めようと言い出した。「向こうには弟のマークがいるわ。もう一度家族の絆をつくるのよ」キムはその言葉を信じたかった。そして、父の遺した家を売却するという彼女より一足先に出発した。弁護士をしている義理の叔父とはどんな人だろう。空港で出迎えたマークは驚くほど魅力的な若い男性だった。だが、厄介者扱いの彼の態度にキムの胸は再び不安に襲われて…。
交通事故で記憶を失ってしまったレベッカ・マッカスキー。彼女はサマーと呼ばれた。身元のわからない彼女に救いの手をさしのべたのは、衝突した相手、超売れっ子の作家のブラッケン・バーノンだった。かれの屋敷で暮らすうちに、サマーは魅力的なブラッケンに惹かれ、恋におちる。だが、ある日、彼女の婚約者だという男に出会う。記憶は戻らないものの、サマーの過去は明らかになった。ブラッケンを深く愛してしまった彼女の心は揺れ動く。記憶をとり戻す日はくるのか…。
二十五歳になったら、信託預金が自由になる。そうしたらパリに行って、わたしのプリンスと出会い、愛の竜巻に巻き込まれるのだー。二十五歳の誕生日を二カ月後に控えたカイラは、その日の来るのが待ち遠しくてならなかった。子供のころからの夢がいよいよ実現するのだ。だが、ひとつ気がかりなのは、彼女が勤める動物クリニックの雇い主であり、隣人であり、そして親友でもあるパトリックのことだった。わたしがいなくなったら、彼は寂しい思いをするかもしれない。そうならないためにも、彼に素敵な恋人を見つけてあげなくては。そしてカイラはいいことを思いついた。自分にそっくりの三つ子の姉エリッサとパトリックをカップルにしたてあげようとー。
近親相姦のタブーに挑んだ意欲作!-人妻の愛した男は、別れ別れに生きてきた異父姉弟だった!揺れ動く心理と魂の昇華を描いた長編ロマン。
旧友の愛娘、教え子、そして何よりも、最愛の女性-そのプリルが人生の春に命を散らせてしまうとは!しかも何者かの手によって。ニール・ケリー教授の喪失感はたとえようもないほど大きかった。妻を病で失って7年、ようやく心の拠り所を見出したと思っていたのだが…。プリルが殺害されたのは、図書館で毎春行われるコンサートの最中だった。何者かに殴られて書架の後ろに倒れているのを発見されたのだ。状況から判断して犯人は大学内の人間と考えられた。だが、いったいどんな理由で誰からも愛された彼女が殺されたのか?プリルの両親から懇願され、ニールは絶えざる苦悶に苛まれながらも、捜査を担当するスカーリー署長に協力して周囲を調べ始めた。大学内に渦巻く愛憎、そして現実と過去の狭間から現れた事件の真相とは?洗練された比喩をちりばめた知的な文体で描く愛と殺人-MWA,CWA賞候補の本格傑作。
年下の画家・章司と暮らす和実は、たまたま見かけた異端の天才画家エゴン・シーレの作品「哀しみの女」に、自分の未来の姿を予感する。そして、彼女は、モデルであり画家の愛人でもあった女の薄幸な人生に、自分の運命を重ね合わせていた…。ウィーン世紀末の画家とモデルとの退廃的な関係を現代に重ねて、男の野心と女の愛を描く大人のための恋愛小説、ネオ・シティ・ロマン。
戦後の樺太=サハリン。日本人だけを乗せて出港する引揚船を見送りながら、朝鮮半島出身者たちは一日も早い帰郷を夢見た。なぜ、半世紀を経た今日まで、彼らはサハリン島に閉じ込められたままなのか。「もう命の時間はない、せめて故国の地に眠りたい」という悲痛な叫びを聞きながら、冷静に事実を追い、国と国との軋轢と、無関心の狭間に取り残された人々の五十年の軌跡をたどる。
ユダヤ人として生きた人々の生と死、愛と哀しみ、希望、悲嘆、そして勇気を透明な眼差しで描く感動のノンフィクション。
あの人なしにどうやってこれからの人生をやっていけるのだろう。配偶者に先立たれた人は、人生の旅路のなかでももっとも暗く険しい峠にさしかかっている。しかし、亡き人との関係を意味のあるものとして生きていくためにも、死別の“悲嘆”を乗り越えていく必要がある。暗闇の道で途方に暮れている人々に一条の光をともす一冊。
容疑者は3人の愛人。毒殺事件は意外な展開に…。十津川警部シリーズ最新刊。