初めて乗った飛行機で、少年は兄の無事を一心に祈っていた。空は神様に近い分、願い事が叶う気がしてー。機上で、田舎の駅で、恋人が住んでいた町で。ささやかな、けれど忘れられない記憶を描いた12の短編と、東南アジアから北欧まで、6つの町で出会いをつづったエッセイの詰め合わせ。ANAグループ機内誌『翼の王国』人気連載をまとめた、懐かしくいとおしい、旅情を誘う作品集。
高校生の美嘉は、あるきっかけから同級生のイケメン・ヒロと知り合う。見た目は派手だけど中身は誠実で真面目なヒロに惹かれていく美嘉。まるで運命に導かれるようにヒロと美嘉は恋人同士になり、楽しくて幸せな毎日を過ごしていた。これからもそんな日々が続くと思っていたのに、数々の衝撃的な出来事が美嘉を襲って…?
「見知らぬ町に出かけ、飲屋街をぶらぶらするのが無上の楽しみだ。」という著者の言葉に導かれ、旅先でふらりと入った川端の老舗居酒屋。店のおかあさんに、まず奨められた白バイ貝。濃い目に炊かれたそのあてに舌鼓を打つ。なんと熱燗に合うことか。「その町に何十年と続く居酒屋はコミュニティであり、個性ある文化だ。」という言葉そのままに、地元でしか味わえない「至福の時間」を堪能する。酒を飲むにはワケがあると知る。そして、それがやみつきになった。この本を読んで旅をするもよし、思いを馳せるもよし。日本全国、見知らぬ町に出かけよう。
三重野杜夫は、1945(昭和20)年8月6日の朝に投下された原子爆弾により、12歳5か月の命を落としました。両親とふたりの姉は、1週間、広島の街のなかを必死で彼をさがし求めました。でも、杜夫を見つけ出すことはできませんでした。戦争は、たくさんの命をうばいました。未来のある子どもを失った家族の心の傷も消えることはありません。戦争さえなければ、原子爆弾の投下もなかったのです。これは、杜夫とその家族のかけがえのない日々と、愛しい者をうばわれた悲しみの記録です。命を失い、「平和を守って」という声を出すことのできなくなった人たちからのメッセージでもあります。
12歳の主人公タイガーは、知的障害をもつ両親と、愛情ぶかい祖母との4人暮らし。しかし祖母が急死し、あこがれのおばから「都会でいっしょに住もう」と誘われる-。多感な思春期の少女の、心の葛藤と成長を描いた感動作。ボストングローブ=ホーンブック賞オナー賞受賞作。
本巻は、インドにおける中観思想の成立から、チベット・中国における展開に至るまで、主たる中観派の学匠について個別にたどりつつ、大乗仏教における空とは何かを論究する。
フェルコーは貧しい母親と二人暮らし。少年が、野原の花の汁でつくった青い絵の具で空を描くと、その空にほんものの太陽や月や星が輝きだしました。少年は、つぎつぎと不思議な出来事にめぐりあいます。みずみずしいハンガリーの名作。小学4・5年以上。
19世紀後半・イタリアの国境に近いスイスの小さな村。少年ロミオは家族とともに、貧しくも幸せに暮らしていた。しかしある日、平和な村に「死神」と呼ばれる人買いルイニが現れる。ルイニの陰謀で、畑を失ってしまう一家。ロミオは、家族のために自らを人買いに売り、ミラノで煙突掃除夫となる。きつい煙突掃除の仕事や、親方一家の厳しい仕打ち、不良グループ「狼団」との争いなど、想像以上につらい生活。しかし同じ煙突掃除夫の親友・アルフレドや仲間たちと助け合い、屋根の上から見えるミラノの美しい青空にも励まされ、日々をのりこえていく。いつしか強い絆で結ばれたロミオたちは、「黒い兄弟」を結成し、友情を誓い合うのだったー。過酷な状況でも希望を失うまいとする少年たちの、熱い友情と勇気の物語。
病気や災害、自死などで親を亡くした遺児の進学を支えているあしなが育英会。経済的な支援だけではなく、深い傷を負った子どもたちの心のケアにも力を入れてきた。本書は、東日本大震災遺児たちがケアプログラムの一環として綴った10年分の作文を中心に、手記やインタビュー、手紙をまとめた作文集だ。子どもたちの素直な言葉の数々から、彼らが何に悩み、傷つき、力を得て、前を向き歩んできたのか、心の軌跡をたどる。