沸騰する大衆のエネルギー
〈プロレタリア文化運動〉は、1920年代初めから30年代前半にかけておこなわれた芸術運動・大衆啓蒙運動・地方文化運動である。
本書は、近年発掘されたガリ版刷りのビラ、チラシ、チケットなど運動の最前線で使われた多様な資料を駆使しながら、文学・運動理論・演劇・美術・宗教・メディア・ジェンダーの側面から検討し、近代資本主義の矛盾と対峙した人々の足跡を明らかにする。モダニズム研究の新局面。
【序論】プロレタリア文化運動研究のために=中川成美
【1 資料をたずねて】
「小樽資料」「浦西資料」との出会い=伊藤純
小樽文学館と小林多喜二と池田壽夫旧蔵書=玉川薫
大原資料の特徴=立本紘之
【2 文化運動の諸相】
[総論]日本プロレタリア文芸聯盟の設立と〈プロレタリア文化運動〉=村田裕和
[文学1]プロレタリア文化運動における組織の問題=内藤由直
[文学2]地方のプロレタリア文化運動──関西を中心に=和田崇
[文学3]文戦派の文化運動=鳥木圭太
[運動理論]「プロレタリア文化運動」の理論化の意義と諸問題=立本紘之
[演劇1]小山内薫と「築地小劇場」=伊藤純
[演劇2]プロットと移動劇場=正木喜勝
[演劇3]新協劇団と『月刊 新協劇団』──左翼と国策のあいだ=鴨川都美
[美術]地方のプロレタリア美術──移動展と地方支部=足立元
[宗教]プロレタリア文化運動における宗教の位置づけ=池田啓悟
[メディア]戦旗社支局における謄写版刷りニュースの発行──指導方針と読者の間で=武田悠希
[ジェンダー]プロレタリア文化運動における「婦人」の位置付け──コップの婦人政策を中心として=泉谷瞬
【3 附録】
参考文献目録=池田敬悟(編)
団体名および略称一覧
左翼演劇公演一覧表=村田裕和(編)
日本プロレタリア文化運動組織変遷図[1921─1934]=村田裕和(編)
あとがき=村田裕和
稀代の哲学者、その思想の淵源へ
世界が大きく変わる時代に、あらゆる領野を、その独自の思想で切り開き、後世に多大なる影響を与えたジョルジュ・バタイユ。彼が携わった雑誌『ドキュマン』を中心に、第一人者が不世出の思想家に迫る。
ついに「システム」はモスクワ芸術座の指針に採用され、劇団内部の対立は解消されたかに見えた。一九一七年ロシア革命勃発、戦乱に巻き込まれた芸術座はまたも二つに分断され…。激動の時代を生き延びた巨大な演劇人の後半生。
金箔を切って貼る截金の技法を、名工・松久真やが現代に蘇らせた。截金の基本技法を救世観音で、瑠璃観音・雛人形で着彩した上に截金を施す応用技法を、さらに仏画で平面に施す技法を示す。伝統文様、創作文様の図案も多数収録。
作家、画家、音楽家、哲学者たちはなぜ破綻において自由となったのか。ランボー、アルトーらのはるかなる嫡子であり詩人思想家にして炸裂的な文学者がその営為のすべてを結晶させた思考のアラベスク。
神話とか古典文学とか歴史とか、昔のお話はお好きでしょうか?カビが生えたような退屈な話なんて見ちゃいられないよ、と思う人もいるかもしれません。だがしかし、です。昔の話は退屈どころか、なかなかにエグくて過激なものが多いのです。
グリム童話が残酷であるのは有名な話ですが、残酷や理不尽はグリムの専売特許ではありません。今回は昔のことばっかりつぶやいている私が一生懸命探した、世界中の残酷なお話を皆様にご紹介しようと思います。心臓をえぐり出されたり、顔をネズミに食われたりとややきつい表現もあるとは思いますが、きっと大丈夫。少女漫画の絵師様が綺麗な絵でヴィジュアル化してくれていますので、心臓が弱い人でも多分…問題ないはずです。それでは、存分にお楽しみください!(「はじめに」より)
5人の漫画家による名画や童話の闇を暴くアンソロジーをご堪能ください!
第1章 血にまみれたグロテスクな話
第1話「ギスムンダと恋人の心臓」 作画:陽向シズク X:@hinata_shizuku…P.7
第2話「ピエール・アベラールの悲恋と悲劇」 作画:みなみ X:@minami_152133…P.19
第3話「メディア」 作画:CHIHIRO Instagram:@chihiro21865527…P.29
第4話「ティアボルトとドラリス」 作画:みなみ X:@minami_152133…P.41
第2章 誰かしらが死ぬ恋愛話
第5話「梁山泊と祝英台」 作画:CHIHIRO Instagram:@chihiro21865527…P.53
第6話「パオロとフランチェスカの悲恋」 作画:みなみ X:@minami_152133…P.65
第7話「カッサンドラー」 作画:陽向シズク X:@hinata_shizuk…P.75
第3章 いくら何でもあんまりな話
第8話「青髭」 作画:棘茸bot X:@togekinoko12…P.92
第9話「リップ・ヴァン・ウインクル」 作画:CHIHIRO Instagram:@chihiro21865527…P.107
第10話「毒婦ロクスタ」 作画:みなみ X:@minami_152133…P.119
第11話「ネズの木の話」 作画:ねおきてる X:@neoki_teru…P.129
第12話「緋文字」 作画:棘茸bot X:@togekinoko12…P.143
20世紀の大指揮者クレンペラーの最晩年の姿を通して人間における音楽のもつ意味を浮かびあがらせる好著である。
哲学者キェルケゴールのいう美的・倫理的・宗教的領域への深まりをクレンペラーの具体的な演奏を通して明らかにする著者渾身の作。
はじめに
序 章
第1節 本書執筆の背景と目的
第2節 オットー・クレンペラーと晩年
第3節 先行研究と本書の意義
第1章 オットー・クレンペラー 人と生涯
第1節 生涯略歴
第2節 人物像概要
第2章 晩年の創造とその分析
第1節 創造の構成 ─再現と表出の芸術─
第2節 1967~69年の創造内容
第3節 創造にみられる3つの特徴
第3章 マーラーへのオマージュと創造
第1節 マーラーへのオマージュ
第2節 マーラー交響曲第2番演奏の意義
第4章 民族性と宗教性の問題と創造
第1節 クレンペラーの民族性と宗教性の問題─内在する神をめぐって─
第2節 思想的傾向と創造
第5章 生と死の意識と創造
第1節 晩年の活動と遺された言葉
第2節 作曲活動にみる晩年の死生観─声楽曲創作の源泉となった詩からの考察─
第3節 マーラー第9交響曲とクレンペラー
第4節 晩年における生と死の意識と創造
終 章
参考文献・参考資料
あとがき
人名索引
個人の営み・個性の表現である芸術は、一方で社会のなかに生まれ、社会によって変化し、社会にはたらきかける力を持つ存在でもある。その芸術は、いかなる政治的・経済的環境のもとで生み出されたのか。それはなぜ受容者に受け止められ、それを必要とした社会は何を求めていたのか。本書は、社会の多様な位相における影響関係のなかで、近代の西洋、東アジア、日本の芸術を再考する。
1 芸術体験の現場
本願寺絵所について──西山別院本堂障壁画を中心に (大原由佳子)
美術展覧会場としての商品陳列所 (三宅拓也)
初期文展時代の芸術と社会 (高階絵里加)
展覧会会場から床の間へ──大正中期から昭和初期における表展出品作の分析を通して (多田羅多起子)
フランス美術の「伝統」──包括と排除のレトリック (大久保恭子)
2 社会と共振する芸術
『道房公記』にみる「九条家代々御影」について (國賀由美子)
戦前の日本における近代ベルギー美術の受容 (山田真規子)
国画創作協会展の鑑査にみる大正期の美術界──前期国展(第一回〜第三回)を中心に (藤本真名美)
村山龍平、朝日新聞社と展覧会──天平文化綜合展覧会を中心に (郷司泰仁)
京都におけるフランス文化受容の一側面──関西日仏学館の美術部・音楽部を例として (藤野志織)
近代絵画における引っかきへの試論──パブロ・ピカソの絵画を中心に (孝岡睦子)
3 芸術とメディアの接近
明治・大正のメディアにおける〈芸用モデル〉──スキャンダルの種から職業、そして画題へ (ホルカ・イリナ)
明治大正名作展の基礎的考察 (中野慎之)
アウラの夢と噓──W・ベンヤミンの『複製技術時代の芸術作品』をめぐって (高階秀爾)
板垣鷹穂の映画論と社会──国家メディア戦略と「機械美学」の接近 (竹内幸絵)
新しい日本映画思想史のために (花田史彦)
4 危機の時代の芸術ト
疫病と美術──イタリアのペストを中心に (宮下規久朗)
セザンヌと社会 (永井隆則)
スペイン・インフルエンザと美術──忘却の淵から甦ったパンデミック (河本真理)
拡張するノスタルジー、切迫するディストピア──第一次世界大戦とオペレッタ (小川佐和子)
戦時下の「前衛画家」たち──北脇昇と小牧源太郎、⽭盾のなかで「⽣きる」こと (清水智世)
中国の「新興絵画」と社会、そして戦争──『美術雑誌』にみる何鉄華のモダニズム芸術理論について (呉 孟晋)
本書においてシーガルは,夢と芸術という魅力的な素材を通じて,最近その重要性が認識されるようになった「クラインの象徴化理論」を生き生きと記述し発展させている。
その論理構成はすこぶる明快である。シーガルはまず読者をフロイトの夢理論へと導入し,彼女自身の臨床例を提供する。その上で精神的,感情的活動の基本をなす無意識の幻想について子細に語り,象徴作用の考察を経て,夢と自我の病理的記述(5章),芸術をめぐる考察(6,7章),白昼夢,想像力,遊びをめぐる考察(8章)へと展開してゆく。その興味の幅広さと分析家としての並々ならぬ力量は,随所に見られる、臨床的卓見に反映されているが,その基盤には,彼女が自ら開拓し応用した,厳密な理論的枠組みが置かれている。
クライン学派(英国学派)の代表的な精神分析家,ハンナ・シーガルの最新の論考。
序文(ベティ・ジョセフ)
■第1章 王道
■第2章 幻想
■第3章 象徴作用
■第4章 心的空間と象徴作用の諸元素
■第5章 夢と自我
■第6章 フロイトと芸術
■第7章 芸術と抑欝態勢
■第8章 想像力,遊び,芸術
2024年、20年ぶりに日本のお札のデザインが刷新されることが発表されました。渋沢栄一・津田梅子・北里柴三郎の3人が新しいお札の顔として注目を集めています。本書は日本だけでなく、世界の国々でお札になった偉人たちの、それぞれの人生や功績を紹介する学校図書です。偉人伝としても楽しく読むことができますし、お札に関するコラムやトリビアも満載。知識の本として、子どもたちのお札に関する調べ学習としても役立ちます。
カップなんて、だれでももっているような、ごくありふれたもの。
偉大な芸術家たちも、ごくありふれたものをえがきました。
この本では、ピカソやゴッホ、草間彌生など、9 名の芸術家たちの作品をもとに、
さまざまなしかけを施されたカップが登場します。
何かを、新しいやり方、思いがけないやり方で表現する。
それがアートのおもしろさです。
自分ならどうえがくか、偉大な芸術家になったつもりでページをめくってみませんか?
1日目、イヴ・サンローランに蟻を描いた。
COVID-19の流行により渡仏が延期になり、
緊急事態宣言が発令された4月7日から、
家に閉じこもって毎日1作品を制作し続けた。
FENDIとのコラボなど世界で活躍する
アーティスト・小川貴一郎が、
45日間にわたって向き合い続けた芸術の記録。
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芸術家とは、
自分自身の中から生み出されたものでしか、
自分を守ることはできない。
ーー小川貴一郎
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*この本は英語と日本語の両方で書かれています。
This book is written in both English and Japanese.
芸術生成の新たなトポスミュージアムを全開する。「作品」は観客の眼を通じて初めて「芸術」として開花する。作品と観客出会いの場・ミュージアム等に見る、芸術と社会の新たな関係性。日本学術振興会人社プロジェクトの成果。
ルネサンスを彩った天才から凡才まで、80人の芸術家の数奇な物語!レオナルド、ミケランジェロ、ラファエロ──ルネサンス期イタリアで光を放った天才たち。そしてアルプスを越えれば、デューラー、クラーナハ、ファン・エイクらの巨匠たちがいた。しかし彼らならびたつ天才の陰には、数多の凡庸な芸術家の姿があった。
愛好家(ディレッタント)こそ理想の芸術家ーー
日々の糧のためでなく、純粋に芸術を愛し実践した彼らは近代的な理想的芸術家像の原形となった。包括的研究がされてこなかったディレッタントたちの芸術活動に美術史、音楽学、文学、美術教育学など多様な視点から迫る。
序章 ディレッタント研究のために
ディレッタント研究序説ーーその歴史と展開の見取り図 8
佐藤 直樹
1章ディレッタント前史ーー工房、宮廷、サロン
ルネサンス期における最初のディレッタント肖像画、あるいは素描を教えるベルナルディーノ・リチーノ 36
ウルリヒ・フィステラー 岩谷 秋美 訳
王族たちの美術活動ーーザクセン宮廷の素描と旋盤細工 60
佐藤 直樹
一八世紀フランスのディレッタンティズムーー美術愛好家による作品制作をめぐって 83
船岡 美穂子
2章 ディレッタンティズムの転換点
ヴァイマル古典主義の文脈におけるディレッタンティズムの様相 112
ヤナ・ピーパー、トルステン・ファルク 橘 由布季 訳
ヴァイマル公妃アンナ・アマリア作曲《エルヴィンとエルミーレ》を巡って 128
大角 欣矢
愛好家のための方法ーー一七六〇〜七〇年代におけるアルファベット式芸術事典 170
山口 遥子
ゲーテのディレッタンティズムーー「収集家とその友人たち」と「ディレッタンティズムについて」 190
眞岩 啓子
一八〇〇年頃の侯爵夫人と女性市民階級ーーディレッタンティズムにおける共通点はあるのか? 218
コルドゥラ・ビショッフ 杉山 あかね 訳
3章 「天才=ディレッタント」
作曲家メンデルスゾーンの素描と水彩画ーースイス旅行を例にして 244
星野 宏美
ディレッタントの芸術としての「ランドスケープ・ガーデニング」--ピュックラー=ムスカウと『親和力』の世界 277
尾関 幸
カール・グスタフ・カールスのディレッタンティズムと近代社会 303
仲間 裕子
終章 「新しい芸術家=ディレッタント」の未来
教育学から見たディレッタンティズムの可能性 338
小松 佳代子
あとがき 363
人名索引 1
資料:フリードリヒ・フォン・シラー「ディレッタンティズムに関する見取り図」 6
引用図版出典一覧 8
Die ersten Dilettanten-Porträts der Renaissance, oder: Bernardino Licinio unterrichtet im Zeichnen 12
Ulrich Pfisterer
Erscheinungsformen des Dilettantismus im Kontext der Weimarer Klassik 24
Jana Piper | Thorsten Valk
Vereint im Dilettantismus? Fürstinnen und Bürgerinnen um 1800 33
Cordula Bischoff