「用の美」と鉢そのものの美しさ。時代や素材の質感が醸し出す深遠な世界観や、釉薬と窯変で表現される陶匠の美など、土と炎が織りなす神秘によって気鋭の盆栽家・小林國雄を虜にした盆器の数々-。
半世紀を経て、ついに日本語版が誕生。オリヴァー・スタットラーが出会った29人の版画家たち。
特集 変幻自在の織部
織部(焼)は、桃山から江戸時代にかけて、美濃で焼かれた斬新奇抜なやきものとして知られている。同心円状の単純な丸ではなく、歪みがあったり、あるいは扇や千鳥などの形のバリエーションを持ち、そこに幾何学文や吉祥文が生き生きと描かれている。そして、その多くに緑の釉薬が掛けられている。やきもの愛好家をはじめ、料理人や海外のコレクターなどファン層は幅広く、志野と並んで人気のある様式(技法)である。作り手は美濃や瀬戸を中心に全国におり、現代の織部に取り組んでいる。即興的に見える織部の文様に制作論理を見出す者、緑釉を現代的な感覚で捉え直す者、自由さを自分なりに表現する者など、多彩な解釈による現代の織部表現を紹介する。また織部は、武将茶人・古田織部の好みを反映して、同時代に生産されたものだと言われるが、その通説を再考する。
絵画・庭園・建築まで視野に入れた英国美術入門書
ホガース、ブレイク、モリス、コンスタブル、ターナー、レノルズから、イングリッシュ・ガーデン、教会建築、最新の都市デザインに至るまで一貫して見出される、英国らしさとは何か。広いパースペクティヴで英国的なるものの特質と精神を解明する、イギリス美術・文化の入門書。
目次
I 芸術地理学
II ホガースと人間観察
III レノルズと囚われることのない自由な精神
IV 垂直様式の英国
V ブレイクと炎の線
VI コンスタブルと自然の追及
VII 絵のように美しい英国
<著者紹介>
ニコラウス・ペヴスナー (Nikolaus Pevsner) (1902〜83) ドイツに生まれ、1934年にイギリスに移住した美術史家。英独の大学で美術史・建築史を講じ、その関連の著作も多数。邦訳で現在購入可能なものは、『モダン・デザインの展開ーーモリスからグロピウスまで』(みすず書房)、『世界建築事典』(鹿島出版会、共著)。
蛭川久康 (ひるかわ ひさやす) 1931年生まれ。東京大学教養学部教養学科イギリス科卒。武蔵大学名誉教授(英文学・英国美術)。著書に『ジェイン・オースティン』(英潮社、1977)、『アイリス・マードック』(冬樹社、1979)、『バースの肖像』(研究社出版、1990)、『イギリス文学地名辞典』(編著、研究社出版、1992)、『ロンドン事典』(編著、大修館書店、2002)。
ミュシャなどのアール・ヌーヴォーやアール・デコ、ロシア構成主義、シュルレアリスムなどさまざまな芸術運動と印刷技術の発達を関連させて作品を解説する。美術史的・デザイン史的に重要なポスターを100点以上収録。
日本再生の鍵は、芸術文化による立国にある! 人気劇作家の著者は、芸術文化行政についての論客。こころ、経済、教育等の面から芸術の必要性と、実効性ある芸術文化政策を提言するヴィジョンの書。第7回AICT(国際演劇評論家協会)演劇評論賞受賞作。
竹久夢二、柴田是真、川瀬巴水、河鍋暁斎まで
画家が腕をふるった千代紙、ぽち袋、絵短冊……
「紙」小物への「偏愛」を支え続けた、はいばらの200年の歴史
高級和紙舗として栄えた江戸期から激動の近代化のなかにあっても、常に時代の求めに沿った「紙」にまつわる製品を考案し、人々の生活を彩ってきたはいばら。本書は、その200年の歴史を豊富なビジュアルで紐解く。竹久夢二、柴田是真、川瀬巴水、河鍋暁斎らとの深い交流、画家の腕が冴えるモダンで鮮やかな図案の千代紙約50点をはじめ、200点余のアイテムを収録。
江戸から明治の榛原
Haibara in the Edo and Meiji periods
千代紙
Chiyogami
四季のうつろいと和紙
絵短冊
Washi and the Four Seasons
Tanzaku (paper strips)
四季のうつろいと和紙
大小暦
Washi and the Four Seasons
Daishoreki (calendars)
四季のうつろいと和紙
団扇・団扇絵
Washi and the Four Seasons
交わす、贈る
美しく可憐な小間紙たち
絵封筒・便箋類
Pretty little paper items to give away or exchange
Illustrated envelopes and letter paper
交わす、贈る
美しく可憐な小間紙たち
熨斗(のし)
Pretty little paper items to give away or exchange
Noshi
交わす、贈る
美しく可憐な小間紙たち
祝儀袋・ぽち袋
Pretty little paper items to give away or exchange
Shugi-bukuro and Pochi-bukuro
画家たちとの交流
Exchange with painters
エッセイ
榛原(はいばら)
江戸時代から日本橋に店舗を構え200年以上にわたり和紙や小間紙(小間紙とは装飾を施した紙製品ー千代紙、団扇、便箋などのこと)を商ってきた老舗の和紙舗。手仕事によって生み出されたそれらの数々は、時代ごとの需要に応じて人々の生活を支え、交流を彩るコミュニケーションツールとしての役割を果たしてきた。
年に1回、上野の美術館で開催されていた読売アンデパンダン展。それは、出品料さえ払えば誰でも出品できる無審査の展覧会で、1960年代には絵の具とガラクタと青年たちの肉体と頭脳とが灼熱した坩堝だった。当時、出品作家でもあった著者が、目撃者として、作品や読売アンデパンダンで培養されつつあった不確定性の芸術〈ハプニング〉について描く。
青磁 自然を映す青
青磁は青いやきもので、玉や空などの自然の色を理想として作られたと考えられている。わずかに鉄分を含んだ釉薬を厚く掛けて還元焼成することで、奥行きを持った青になる。その色合いは実に多彩で、「天青」(空のような淡い青)、「翡色」( 翡翠のような青緑)など、様々な言葉で表される。中国で生まれた青磁は、日本では高級舶来品「唐物」として平安時代以降、受容されたが、江戸時代に肥前でようやく生産できるようになった。その後、主に宋代の青磁を目標として、多くの陶芸家たちが青磁の制作に取り組んできた。近年は絵付や象嵌を施したもの、造形的なフォルムを持つものなど、作家たちが目指す青磁の幅が広がってきている。本特集では、今後を担う60歳以下の作家を通して、現代青磁の多彩な様相を紹介する。作品と共に「自身の考える青磁の定義、現代を生きる作家としてどのような青磁を作りたいか」についての作家コメントも掲載する。
芸術創造の長い歴史のうえで芸術の保護者たるパトロンの果たした役割は大きい。富と権力を誇るルネッサンスの王侯貴族や教会、新興の近代市民階級、コレクターや画商、現代の政府・企業。彼らは芸術のあり方にどんな影響を与えたのか?美術館や展覧会が登場した意味とは?社会的・経済的担い手とのかかわりに光をあてるユニークな美術史。
特集 焼締め陶の未来
焼締め陶とは、土を高温で焼締め、素材そのものを活かしたやきものである。釉薬を掛けたり、装飾を施したりはしないが、土の種類や焚き方による表情の違い、薪窯焼成による木の灰が溶けた「自然釉(自然降灰釉)」など、実は見どころに富んでいる。近年はデザイン的な作品が増え、現代陶芸の新しい傾向として受容される一方、土本来のあたたかみや、焼成によって表れた焼締め陶の表情に惹かれ、器として使ったり、花をいけたり、生活の中に取り入れたいという声も強くある。焼締め陶の持つ力強さや優しさは、我々を癒してくれる。また、焼締め陶は日本のみならず海外にもファンがおり、普遍的な魅力を持っている。信楽や備前など「六古窯」として知られる窯業地での薪窯による伝統的な焼締めをはじめ、それ以外の土地でガス窯や電気窯も用いながら、作家が自由に土を構築していく造形もあり、焼締め陶の表現がいま豊かに広がりつつある。本特集では、東北から九州まで日本各地で焼締め陶に取り組む作家の作品を通して、現代において土を焼締めるという原初的な技法で制作することの意味を探り、焼締め陶の未来を考える。
公務員採用試験国家一般職(大卒程度)、地方上級対応。出題実績に基づいて合格に必要な知識のみを集約。豊富な図表と楽しい語呂合わせでスッと頭に入る。短い時間で膨大な範囲から要点だけを一巡できる。
特集 大きな陶芸 みなぎる造形力
特集 大きな陶芸 みなぎる造形力
井上雅之
井上雅之のやきものはなぜ大きいと呼べるのか
文・藤井 匡(東京造形大学教授)
秋山 陽
「完璧な未完」がもたらす内と外の往還
文・米田晴子(姫路市立美術館学芸員)
三輪龍氣生
切実なる自己の探求ー三輪龍氣生の時空的スケール
文・外舘和子(多摩美術大学教授)
星野 曉、吉川正道、川口 淳、八代清水六兵衞、中井川由季
齋藤敏寿、南野 馨、五味謙二、塩谷良太、小笠原 森
「古典と現代」青磁2
若尾 経
古典から派生する「現代青磁」
フォーカス・アイ 中里浩子
植物の「いのち」をかたちに表す
文・高田瑠美(菊池寛実記念 智美術館学芸員)
期待の新人作家 高島聡平
現代工芸の作り手たち 第24回 ガラス 神代良明
変容する「極み」のかたち
文・土田ルリ子(富山市ガラス美術館館長)
時代でたどる日本の陶芸 第15回 昭和時代中期3
文・外舘和子(多摩美術大学教授)
展覧会スポットライト ホモ・ファーベルの断片 人とものづくりの未来
文・入澤聖明(愛知県陶磁美術館学芸員)
展覧会スポットライト 安倍安人展 思考する備前
文・重根弘和(岡山県立博物館学芸員)
展覧会スポットライト 静中動:韓国のスピリットをたどる 開かれた陶のアート
文・ハイ 洙淨(滋賀県立陶芸の森 陶芸館学芸員)
展覧会スポットライト 丹波焼誕生 はじまりの謎を探る
文・松岡千寿(兵庫県立考古博物館学芸員)
展覧会スポットライト 止原理美展 現在形の陶芸 萩大賞展5大賞受賞記念
文・柿添康平(山口県立萩美術館・浦上記念館専門学芸員)
展覧会スポットライト 73 中田ナオト 松藤孝一
文・大西佑一(瀬戸市新世紀工芸館企画展担当)
陶芸公募展レポート 第14回現代茶陶展
文・伊藤嘉章(愛知県陶磁美術館総長・町田市立博物館館長)
陶芸公募展レポート 第4回瀬戸・藤四郎トリエンナーレ 瀬戸の原土を活かして
文・坊田智寿瑠(瀬戸市美術館学芸員)
陶芸実践講座 陶でつくるいきもの造形 第7回 キリン
講師・のぐちみか
陶芸マーケットプライス
展覧会スケジュール
HONOHO GEIJUTSU English Summary
他
M.C.エッシャー、ロブ・ゴンサルヴェス、ジョン・ラングドン、サンドロ・デル=プレーテ、イシュトヴァン・オロス、ヨス・デ・メイ、オクタビオ・オカンポ、北岡明佳、金井良太まで、古典的作品から複雑なグラフィック作品まで関連アートを網羅。
ソビエトの心理学、児童学、精神病学、障害学、教育学、言語学、文芸学などに大きな影響を及ぼした、
ヴィゴツキー(1896-1934)の『芸術心理学』を全訳。
「情動的矛盾の発展過程を経て、感情の昇華『カタルシス』が生じる」。
現代心理学の基礎理論から、文学、心理学、教育学等幅広い分野への示唆に富む名著。
1970年代、有機的な組替えやズラしによって、外の空気を浸透させ他を受け入れる作品を精力的につくり、あるがままをアルガママにする仕事をした「モノ派」、その運動の柱として知られ、国際的に活躍する李禹煥の著作を集める。そして著者自身の芸術について、セザンヌやマチスに始まり、ゲルハルト・リヒター、ペノーネ、若林奮、白南準ら現代芸術の旗手たち、古井由吉や中上健次などの作家たちについて、そして、ものと言葉について…自分と、自分をとりまく外の世界。その境界にあたらしい刺激的な見方を開く。