フォスラーは、人間のすぐれて精神的な活動である〈ことば〉を〈もの〉のように扱う実証主義者に、クローチェの美学をもって対決し、音・形態・統辞のあらゆるレベルに美的創造のはたらきを認めた。〈いかに微弱な人間の心にも、なおかつ独自の自由な言語の神のひらめきがある〉とは、彼の言語学的思索のライトモティーフである。かくして、彼の《言語美学》により、言語研究は文体論へと還元され、言語史は表現の歴史として文化史の一部門となった。
人間とその世界を総体的に認識するためのモデルとしての物語。構造主義、文化記号論はこの物語論を1つの核として展開し、様々な知の領野の発展を促した。物語が人間の心に根ざし、人間の心が物語に根ざすものである以上、物語と物語論は今後も人々の心を騒がせ続けるにちがいない。
ヴィトゲンシュタインの言語ゲームをモデルに、仏教を運動として記述する。
会話は学び、訓練して身につけるべき“技術”だと考えなければならない。自然に身につくと考えるのは、錯覚なのである。何事を目指すにしろ、事を成そうとする人間は、会話の技術を学ばなければ、“よい生き方”ができなくなるだろう。本書は、そういう人たちに、多くのヒントを整理した形で提供しようと考えたものである。
解禁された欲望、浮遊する意味、無限に増殖する〈記号〉。そして、緩慢な死が漂う-。わたしたちは、どこへ連れてこられたのか?錯綜たる現代思想を読み解く、〈思考〉の基本書。
言語・身体・図像。「はなす」「かたる」「うたう」といった言語行為を成り立たせている言語共同体の「相互主体性」の検討へと深化する思考の結晶群。
構造言語学そして一般記号学の創始者という以上に、19世紀から20世紀への知のパラダイム変換をなしとげた革命家ソシュール。精神分析学をも視野に入れつつ、このスイスの偉大な言語学者の、通時態の概念、システムをひき起こすその〈盲目的な力〉に着目し、ソシュール像の転換を図る気鋭の言語理論家の野心的論考。
もう、人前で話すのが苦にならない!仕事に役立つ話、朝会むきの話、心があたたまる話など、人の心を打つ94の話を厳選。話上手になるための話材を満載した書。
20世紀の科学に残された最大の謎といわれる脳をめぐる研究は、いま急転回をみせている。本書は〈第1部〉で、神経生理学から機能局在説の歩みが、また認知科学から強システムである脳機能の総合的捉え方が、そして数理工学から神経モデリングの試みが報告される。これをもとに〈第2部〉で、脳と機械、記憶とは何か、「心」をどう見るかなどをめぐって討論され、複雑な脳への科学的アプローチの方法と成果が総合的に提示される。
1920-30年代のロシアで言語学・詩学・文芸理論に活躍したミハイル・バフチンは、ながらく忘れられた存在であった。だが、構造主義・ロシア記号論の先駆者として光をあてられるとともに、バフチン・ルネサンスが沸き起こった。資料の掘り起しと研究は、彼の思想が今日もつアクチュアリティを生き生きと甦らせたのである。〈対話〉と〈民衆の笑い〉(カーニバル)をキーワードとして、バフチンの全体像を描きだす
この本はスピーチのネタ本です。そして、次の2点で今までの祝辞や揆拶の本とちがっています。第1は、結婚披露宴や祝賀パーティーでのスピーチだけでなく、職場、交際、家庭での日常会話もすべてスピーチの中に含めたこと。第2は、理屈を抜きにして、人を笑わせ、楽しいムードを作る話の材料を、ふんだんにおさめたことです。あらゆるスピーチに生かして使ってください。
急速に脚光を浴びる分野となり、次第に重要性を増しつつある「語用論」。本書は、この分野を明晰にまとめあげた、現代望みうる最高の入門書。
時代をリードする素粒子物理学、分子生物学の将来は?そしてテクノロジー、コンピューター、科学者たちはどう変わるか?人類の未来を担う研究の現状と可能性を明快に説く。『科学朝日』連載“ファインバーグ博士のソリッド・クルーズ”。