重要機密書類を持ったまま航空機墜落事故から奇跡的に助かった鶴見浩二。数名の生き残りとともに灼熱の大砂漠からの死の脱出行が始まった。そして宿命の対決をすべく後を追う山沖修介は。山本周五郎賞受賞作家渾身の大型冒険小説。
内蔵された高炸薬もろともに突入、敵艦を屠る人間魚雷「回天」-。鋼鉄の棺の中に己れの青春を封じ込め、生還ゼロパーセントの攻撃に三たび出撃、空しく帰投した不屈の男が、僚友たちの奮戦と苦悩をつづる大海底戦記。
1975年、アメリカ軍は、ベトナムからでていきました。何年もつづいたベトナム戦争が、ようやくおわりをつげたのです。しかし、戦争は、その時だけではおわりませんでした。いまも、戦争ちゅうにアメリカ軍によってまかれた枯葉剤の被害に苦しむ人びとが、おおぜいいるのです。本書は、大石芳野がベトナムでじっさいに会ってきた人びと、ひとりひとりの、生の声の記録です。小学中級以上むき。
銃殺刑に処す、執行は24時間以内ー。スターリン粛正を生き抜き、60年ぶりに故郷の土を踏んだ日本人の手記。
チャップリンからジャームッシュまで、〈画面〉自体によって再構成される新しい映画論の冒険。密度、フレーム、モンタージュ…。刺激に満ちた5つのエッセー。
温暖化のなかの冷夏、相次ぐ台風、長雨と干ばつの併存。気象の異常は続く。原因は温室効果か、エル・ニーニョか、火山爆発か。60年代、世界に先駆けて異常気象を指摘した著者は、80〜90年代を数万年に一度の超異常気象の頻発期と捉え、太陽活動の変化にその原因を求める。一方、オゾンホール拡大など人間活動の増大による環境悪化が進行、対策は足踏み状態にある。地球環境は今後どう変動するのか。気象学の第一人者による臨床的診断。
なぜ読むのか?そしてどのように読むのか。なぜ書くのか。そしてどのように書くのか。
雪深い越後・春日山城から、日光東照宮、奈良、高耶の故郷・松本・仙台、京都、米沢の上杉祭りまで『炎の蜃気楼』の舞台を求めて西へ東へ。雑誌『COBALT』の好評連載エッセイに書き下ろし米沢編を加えたトラベル・エッセイ・コレクション。
東京都立中央図書館の相談係には年間6万件の質問が寄せられる。内容は日常生活の中で感じたちょっとした疑問から,仕事上の調査、学問の研究など、多岐にわたっている。この本は、こうしたレファレンスの質問・回答の実態を現場職員の日記スタイルで記したものである。率直にありのままに再現された記録からは、日本人の知的実態が浮かびあがる。
20数年前、気鋭の詩人・劇作家が受験雑誌「高3コース」を舞台に〈ジ・アザー・ハイスクール〉を開講し、高校生との激論を交わしていた。この本は寺山修司から、いま高校生のきみと連載当時高校生だったあなたへの、エキサイティングな贈りものである。
死者は常に尊く美しく、生き永らえた者たちは常に彼らへの回想をわすれない。作家豊田穣は、かつて二十三歳のみぎりソロモン海上空で乗機被弾、漂流の後、苦渋の時をへて生還。戦後、作家となり直木賞を受賞。それから十余年、全国を行脚して同期の若桜たちを描き、不惑の時代を生きて逝く。本書は感動の紙碑。
広大なアラビア半島の砂漠地帯にあってメッカ、メディーナのイスラーム二大聖地を抱える国、サウジアラビア。世界の石油情勢の動向を支配するこの国の理解なしに中東と石油を理解するのは不可能である。それにもかかわらず、自由な取材活動が制限されていることもあり、そのイメージは依然として砂漠の王国の域を出ない。本書は建国から湾岸戦争後の今日に至るこの国の実像を、可能な限り広い視野からダイナミックに描き出す。
間違いだらけの敬語、正しい使い方ポイント集。人間関係をスムーズにする敬語を知り、正しい敬語の使い手になるための一冊。
不沈の潜水艦長として謳われた海の王者ー赤貧洗うがごとき家庭に生まれ、画家になるのを夢見た少年時代、躍動する連合艦隊の黒鉄の美しさに魅せられて海兵にはいり、“どん亀”とさげすまれていた潜水艦乗りをめざし、己れの信ずるところにしたがって生きた指揮官の青春の奔流を綴る感動のノンフィクション。
県民の四人に一人が死んだ沖縄戦。その最大の犠牲者は住民だった。“鉄の暴風”の下、人々はいかなる日々を生き、かつ死んでいったかー。初めて公刊される一住民・一家族の克明な体験記録。
直江の景虎への想いが虚しく漂う…表題作他2編収録の「炎の蜃気楼」番外編。
自殺未遂と精神病院への入退院を繰り返しながら、苦悩と錯乱の日々を闘い抜き、ついて家族の絆と心の平安を取り戻した少女が綴る、感動の闘病ドキュメント。