2018年の岡本太郎現代芸術賞最高賞を受賞するなど、現代芸術シーンで注目が高まる、さいあくななちゃん。本書には、これまでの創作活動で生まれた2000点に及ぶ作品からセレクトした約500点を収録するほか、2万字に及ぶ自伝を収録。現代芸術家・さいあくななちゃんの学生時代から今現在までの6年間を凝縮した計320ページに及ぶ渾身の1冊。
すべての人がアートと共に生きる世界をめざす「Art in You」
宮島達男の最新の芸術論が詰まった箴言集
1988年、最も権威ある国際美術展「ヴェネツィア・ビエンナーレ」の若手作家部門「アペルト88」にて世界の注目を浴びて以来、国際的な活躍を続ける宮島達男。1999年のヴェネツィア・ビエンナーレでは日本代表として参加し、その評価を確実なものにしました。これまでの作品発表は、世界30カ国250カ所以上に及びます。
2000年代に入ってからは、2006年〜2016年に東北芸術工科大学副学長、2012年〜2016年に京都造形芸術大学副学長と教育の現場に立ち、後進の指導にあたってきました。
とりわけ教育に関わったこの10年は、作品発表とは違って、「言葉」を用いてメッセージを伝えることが多く、それをまとめたいという想いからできあがったのが、この書籍です。
構成は、大きく3つの章にわかれています。
第1章「哲学の深淵を語る」は、宮島が信頼を置く編集者・東晋平によるインタビューをもとに、新たに書き下ろされました。宮島の作品に通底する「3つのコンセプト」=〈それは、変化し続ける/それは、あらゆるものと関係を結ぶ/それは、永遠に続く〉の解説にとどまらず、さらにその深層にありながら、これまで発表されてこなかったフランス思想や仏教思想のルーツにまで迫った、まさにアーティスト宮島達男の核となるテキストです。
第2章「日々の言葉」では、2010年〜16年までの宮島のツイートから、「アーティストとしての心得」や「考えるためのヒント」などが平易な言葉で語られ、第3章「芸術と平和」では、2001年〜15年に新聞などに寄稿したテキストの数々などをまとめました。
また、作品制作の過程で生まれるアイデアスケッチやドローイングなど、書籍初収録となる貴重な図版も多数掲載し、言葉のみならずビジュアルでも、宮島芸術の根幹に触れることができる書籍となっています。
近年、宮島は前述の3つのコンプトに加え、「Art in You」という概念を提唱しています。これは、アーティストだけがアートの主体者ではなく、あらゆる人にアート的な感性があり表現が可能であるという意味であり、すべての人がアートを通じてよりよい人生を送ることを提示しているのです。この本を通じて、読者のみなさまがそれぞれの「Art in You」を体得するきっかけになりますように。
1 哲学の深淵を語る
「それ」とは何か
三つのコンセプト
作品(ドローイング)
2 日々の言葉
アーティストとして生きる君へ
創造の海
思考する石
3 芸術と平和
被爆「柿の木」二世根づく
旭日興年
芸術と評価
卒業
子どもにもっと芸術を
アーティストとして生きること
教育に携わる理由
作品の名前
マチュピチュと東北R計画
エイズ孤児と芸術の出会い
冬は必ず春となる
Art in You
枯山水における「見立て」
芸術と平和学
ドローイングとデッサン
作品の永遠性と保存
アーティストの未来
作品リスト
あとがき
日本において、洋画家や日本画家の間で工房や刷師との協働による「版画」制作への関心が高まり出したのは、ようやく戦後になってからのことでした。戦前にもその機運がなかったというわけではありませんが、もっぱらそれは自画・自刻・自摺の創作版画や、浮世絵版画の延長に位置づけられる「新版画」(伝統木版画)の分野に向けられていました。
1954年に、刷師・女屋勘左衛門(おなやかんざえもん)と12人の洋画家によるリトグラフ集《セルクル・ド・ラ・グラヴール・デュ・ジャポン》(日本の版画クラブ)が明治書房から発行されます。こうした取り組みや、戦後に開催されたピカソやミロ、シャガールらの展覧会に出品された版画を目にする機会が増えたことから、次第に日本でも画家による版画制作が盛り上がり始めます。
やがて海外のコンクールで日本の版画が高く評価されるようになると、1970年代頃からにわかに版画ブームが興りました。美術品としての版画の刷りを専門に行う工房が爆発的に増え、画商や企業がこぞって画家たちに版画の制作を依頼し始めます。依頼を請けた画家たちは、試行錯誤を繰り返して、版画ならではの表現を追い求め、魅力的な作品が数多く生み出されました。その一方で、加熱する市場のニーズに応えるように、既にある絵画を原画とした、「複製版画」(エスタンプ)の制作も加速していきました。
本特集では日本画家による版画を紹介していますが、掲載した作品はすべて、画家が直接版に描画した、または版画のために下絵を描いた「オリジナル」です。本画の印象とは異なる版画や、これまでに制作した点数の多さに、新鮮な驚きが得られることでしょう。
第1章で「全版画」を掲載した田渕俊夫は、日本絵画の伝統につながるような線描や、水墨画のようなモノクロームの静謐な世界を確かな描写力で描き表します。2021年に画業60周年を迎えた日本画家です。田渕は初期から自分自身が版に描画することにこだわりをもっており、78点の版画のほぼすべてが自身の描版によるものです。
第2章では、片岡球子、東山魁夷、杉山 寧、高山辰雄、加山又造、平山郁夫、上村淳之、中島千波、河嶋淳司、千住 博ら10名の日本画家たちが、挑戦と苦心の末に作り上げた版画の名品を紹介しています。
シェイクスピアもオペラも当初はポピュラーだった。ラップの分析etc.を通し、高級/ポピュラー、本物/偽物、純粋/不純の区分を退け、アートを経験と捉えて生の全体へと拡張する。
演劇論でも舞踊論でもない世界的に類を見ない舞台芸術そのものに焦点を当てた全く新しい論考。舞台芸術とは何か、そのあり方を根本的に探り、総合的舞台芸術作品の姿をあぶりだす。1982年から独自の手法で次々と新しい作品を制作し続けながら、世界的知名度を得てきた著者による画期的新著。
前衛芸樹が生まれた19世紀末から20世紀初頭は動乱、革命、戦火の時代だった。1907年のキュビスムのセンセーション、1909年の未来派宣言、1916年チューリヒ・ダダを嚆矢とする世界的なダダ・ムーブメント、1924年ブルトンによるシュルレアリスム宣言。1930年瀧口がブルトンの『超現実主義と絵画』を訳出して以来の、中井、針生、岡本、中平へと続く前衛芸術受容の日本的困難と屈折を、社会的事象とともに論じる。
1.瀧口修造と前衛写真
物質の夢
写真的触覚一ーー瀧口修造と前衛写真1938-40
フォトジェニックとは/写真のシュルレアリスム/触覚の二次元的表現/科学と総合芸術
写真的触覚二ーー瀧口修造と前衛写真1953-56
触覚的記憶ーー写真と版画/リアリズム論争の時代/オブジェ=事物と、幻想/客観と主観のダイナミクスに生成するもの
2.中井正一の史的構図
現実感覚とユートピア/対話的コミュニケーションの〈場〉/映画ーー動いていく時間の壁/リズムとモンタージュ
3.岡本太郎 その歴史的位置
はじめに/奇妙なイズムとしての対極主義/対極主義、アヴァンギャルド、縄文土器/近代市民社会と芸術家/日本的なものと西洋的なもの
4.針生一郎の批評的原点
保田の美学と左翼民衆主義/戦後美術への視座/戦後精神としての対極主義/「サドの眼」から〈現実〉へ/花田清輝の「あるがままの林檎」/ドキュメンタリー芸術のゆくえ/日光東照宮と岡本太郎/二元論的思考からの拘束
5.写真家 中平卓馬
はじめに/アジェーー写真を見ることへの問い/シュルレアリスムーー政治と芸術/美的自由と国家ーーマルクーゼの理論/「風景」をめぐってーー写真とそのイメージ/「植物図鑑」とは、いったい何であったか/おわりに
芸術文化の政策について、歴史・制度・経済理論等の視点から解説。
芸術文化政策の理念を理解し、計画・実施・評価に必要な知識や考え方となる基礎を学ぶ。
【主要目次】
第1章 日本の文化政策の歴史的展開
1 第二次世界大戦前の文化政策
2 終戦直後の文化政策
3 高度経済成長期の文化政策
4 低成長時代の文化政策
5 1990年代の文化政策
第2章 21世紀における国と地方の芸術文化政策
1 20世紀末までの文化政策の課題
2 文化芸術振興基本法の制定
3 「新しい公共」の担い手づくりに向けた改革
4 補助金制度改革
5 第4次基本方針と基本法改正
6 地方自治体における文化政策の新たな展開
第3章 芸術文化政策の経済理論
1 経済学の考え方とその政策的意義
2 財政の役割
3 経済学の限界と価値財
4 芸術文化政策の手段
第4章 文化施設をめぐる制度と課題
1 日本における文化施設の整備
2 指定管理者制度
3 劇場・音楽堂等の活性化に関する法律(劇場法)
4 公立文化施設整備のあり方
第5章 芸術文化政策における課題と展望
1 芸術文化政策における政府の立ち位置
2 芸術文化政策の評価
3 コロナ禍と芸術文化政策
4 産業・職業としての芸術文化に対する政策
5 芸術文化政策と民主主義
ソ連崩壊後次第に明らかになってきた資料が示すスターリン時代の芸術家たちの赤裸々な真実。権力との関係において、創造的知識人はどうあるべきかを、今あらためて鋭く問いかける一冊。
それはどのようにして始まったか
社会主義リアリズムへの道における造形芸術の巨匠たち
革命の演劇あるいは演劇の革命
民族的な表現形式と国際的な内容
「革命の告知者」の懐柔
アンドレイ・プラトーノフー「富農の記録」の作者の幸せと不幸せ
人を恐れさせるためには身内を打てーある日記の物語
デミヤン・ベードヌイー「有害な男」から「無害な男」への変身
詩の反抗
ピリニャークー先延ばしされた死
エフゲニー・ザミャーチンー自由へと放たれて
ロシア・プロレタリア作家協会からソヴィエト作家同盟へー画一化の始まりにおける文化の再編
アレクセイ・トルストイー焼きポテトと善の希求
ショーロホフー『静かなドン』の作者で、三〇年代の弾圧のはずみ車
ブルガーコフー保存しておけ、だが、印刷はするな
コリツォーフー「拳銃を持ったジャーナリスト」の死
メイエリホリドー「愛と政治の三角関係」
セルゲイ・エイゼンシテインー『戦艦ポチョムキン』から『イワン雷帝』へ
ミハイル・ゾーシチェンコー日が沈む前に
巻頭特集:篠田桃紅 墨いろの百年
水墨画家・篠田桃紅の活動は多岐にわたり、107年の生涯を通じて水墨はもちろん何百点にも及ぶリトグラフの制作や、増上寺やホテルのための壁画制作、随筆家としても広く知られ、第一線で活躍してきました。
本特集では「墨象」と「リトグラフ」それぞれの作品を初期から最晩年まで年代を追って紹介。過去の『版画芸術』に掲載された本人によるエッセイや、ロングインタビューも再録します。
篠田桃紅作品をより深く知り楽しむための1冊です。
巻頭特集 篠田桃紅 墨いろの百年
第1章 墨象 渡米前から晩年まで
第2章 リトグラフ イメージ、そして文字への回帰
第3章 建築と作品 作品としての空間を生み出す
再録テキスト
「リトグラフと私」 小誌55号初出
「アトリエの画家たち 一本の線、一瞬の生」 小誌95号初出
総論「画家・篠田桃紅」 宮崎香里(岐阜現代美術館学芸員)
付録 篠田桃紅年譜/関連展覧会・施設紹介
版画家ヒストリー 柳澤紀子(銅版)
「版画アートコレクション」の作家 小林文香(水性木版)
写真芸術の世界 北井一夫
話題の展覧会 前川千帆(千葉市美術館)
近代日本のアール・デコ 第8回 小村雪岱のアール・デコ
展覧会スポットライト
ポール・ジャクレー展/杉浦非水展
版画で作るオリジナル・グッズ 第7回 木版画でルアーを作ろう
講師・田中 彰
今すぐ買える版画の逸品 版画マーケットプライス2021年6月〜8月版
版画展覧会スケジュール 2021年6月〜8月版
公募展募集要項
版画インフォメーション
HANGA GEIJUTSU English Summary
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「私は絵を描きながら死にたいんだ」
(セザンヌ)
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山田風太郎の不朽の名著、
『人間臨終図巻』から古今東西の
芸術家125名を選り抜き、
その死にざまを漫画化!
芸術家ならでは?
それとも意外と庶民的?
いずれにしても驚きに満ちた
彼らの「死」に何を思う。
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芸術家の死に際の言葉
葛飾北斎
「せめてあと五年の命があったなら、
ほんとうの絵師になれるのだが」
ルノワール
「くそっ、
なんてこの世は美しいんだ!」
岸田劉生
「マチスのバカヤロー!」
ドストエフスキー
「ずっと考えていたんだが、
きょう僕は死ぬよ」
山下清
「人間、死んだら何もできなく
なるもんな、やっぱり」
カフカ
「僕の遺稿の全部、中身を
読まずに焼却してくれたまえ」
高村光太郎
「僕は智恵子とふたりで
いつも話しあっている」
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1973年に創刊された版画芸術は、本号で創刊50周年・第200号の刊行を迎えました。「版画」という単一のテーマで刊行されてきた本としては、世界でもほとんど例のない、かつ最長の季刊誌となります。
創刊当初、日本の美術界は「版画ブーム」の真っ最中で、多くのコレクターと版画を取り扱う画廊が全国的に増えた時期でもあります。活況に沸く版画業界の中で、小誌はとりわけ同時代の版画を「現代版画」と呼び、多く紹介してきました。
しかし、「現代版画」は、制作時期や作品傾向から傾向が規定されている「浮世絵版画」「創作版画」「新版画」とは異なり、一言で言い表すことができないほどの多様性に富んでいます。そこで、本特集では「現代版画の名作100選」と銘打ち、戦後から2000年頃までの、約50年間に制作された版画の中から、各年代における名作と考えられる100点を編集部で選定することで、未だ評価の定まらない「現代版画」について、一つの見方を提示しています。
戦後、国際展でいち早く評価され、日本の特色を世界に打ち出したジャンルである版画。本特集では100点の版画を辿りながら、50年間の「版画芸術」の内実を回顧します。
芸術学の概念は最も広い意味では、芸術一般の理論的研究、そしてまた美術史学、文芸学、音楽学、演劇学、映像学等の諸特殊芸術の研究を包括するが、本来は美術学、つまり造形芸術についての理論的、歴史的研究を意味していた。もともと諸特殊芸術学も、その研究の方法論をこの美術学に負うているところが少なくない。さてこの本は、造形芸術の理論的研究、とくに西洋美術史の研究を志す人たちのために編まれた手引書である。
ドイツ最大の画家アルブレヒト・デューラーの作品には、ネーデルラント絵画とイタリア絵画という、相反する美的原理を調和させようとする絶え間ない戦いが読み取れる。本書では、デューラーの初期から後期の代表的作品を取り上げ、その芸術がいかに形成されたかを考察する。「比較と記述」によるユニークなデューラー論。
生誕百年目に斎藤喜博の授業の真髄をその芸術性にみる。
北アルプス国際芸術祭は、長野県大町市を中心に2017年6月4日から7月30日まで開催される国際アートフェスティバルです。土地固有の生活文化を表現する「食」と、地域の魅力を再発見する「アート」の力で、北アルプス山麓の地域資源を世界へと発進する芸術祭。全作品・イベントの情報を網羅した、信濃大町の食とアートをめぐる旅必携のガイドブックです。