特集 越境陶芸 日本で活躍する外国人作家
土や木などの天然の「素材」を用い、伝統を踏まえた高い「技術」で作る日本の陶芸は、他の国にはない独創的なものとして、高く評価されている。日本陶芸の革新的な表現は、外からの刺激も受けて育まれてきた。近代においては、イギリス出身のバーナード・リーチがスリップウェアなどの西洋陶器と東洋陶磁器の技術を融合させた作風を確立し、日本の陶芸家たちに刺激を与えた。近年は、日本の美術大学などで学ぶ留学生が増えてきている。彼らは、なぜ来日して陶芸を学び、そして日本で制作を続けているのだろうか? 本特集では、帯状にした土で、オブジェから器や茶陶まで無限の形を生み出し、国内外で注目されているハンガリー出身のアーグネス・フス、轆轤で成形した端正なフォルムに彫りを入れ、表情豊かな刻文を施した青白磁・白磁で日本の伝統美を追求するアメリカ出身のピーター・ハーモン、そして陶芸のみならず絵画や版画の制作も手掛け、色彩に満ちた自由な作品世界を作り上げるスペイン出身のラファエル・ナバスをはじめ、20代から60代までの10名の作家を紹介する。境界を越えて融合する、新時代の「越境陶芸」の魅力に迫ると同時に、日本の陶芸・文化の魅力を再発見する。
近年よく耳にする“インフォグラフィック”とは、どのようなものなのか?その機能や効果だけでなく、何をどう表現をしたら“インフォグラフィック”とみなされるのかという点に切り込むべく、誕生の歴史的背景から今後の活用展望について、芸術や科学の様々な分野を交えながら、その輪郭を浮き彫りにする。
「線」を愛し、「線」ですべてを感じ、理解し、表現する世界を代表する25人のアーティスト。その作品とは?その奥義とは?
美術史の再構築に向けて
芸術作品に内在する解釈への誘いに耳を傾け、作品を生成するさまざまな力の緊張関係を描き出すことで、美術史の知のあり方をダイナミックに再編する。シャピロ、レヴィ゠ストロース、バクサンドール、そしてクロウ自身の実践を通じて、芸術作品の知的探究が秘める可能性を解き明かす、もう一つの美術史への招待。
謝辞
第1章 芸術の知性
第2章 戦時下ニューヨークの象徴の森
第3章 星割れ、あるいは、終わりの感覚
第4章 犠牲と変形
註
索引
訳者あとがき
富士山は2013年に世界文化遺産に登録された。その構成資産は、山域の遺構・神社、富士五湖、三保松原など25にのぼり、多くは自然環境と一体となっている。現在、富士山頂には毎年30万人近くが登り、ふもとを周遊する来訪者を入れるとじつに2千万人が訪れており、保存管理が最大の課題となってきた。本書は、登録5周年を記念して、信仰の対象、芸術の源泉として世界に価値を認めたれた富士山の魅力を再確認し、次世代に伝えていくためのロードマップ「富士山ヴィジョン」を紹介する。
目次
2 巻頭言 世界遺産 富士山の魅力を生かすために 西村幸夫
第1章 世界遺産富士山の概要(歴史・信仰・芸術)
10 信仰の対象としての富士山 秋道智彌
33 芸術の源泉としての富士山 遠山敦子
47 世界遺産「富士山──信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産 富士山世界文化遺産協議会
第2章 座談会
66 信仰の山としての富士山を見つめ直して 清雲俊元、松浦晃一郎、岩槻邦男、五十嵐敬喜、西村幸夫
第3章 富士山の自然と文化的景観
82 富士山の文化的景観とその背景としての自然 岩槻邦男
100 富士山の文化的景観とは何か 五十嵐敬喜
114 世界遺産 富士山の自然保護問題 吉田正人
第4章 富士山の魅力を生かす視点
126 富士山ヴィジョンへの取り組み 富士山世界文化遺産協議会
136 未来を担う子供たちへ 富士の国づくりキッズ・スタディ・プログラム 青柳正規
146 自然遺産から複合遺産へ マオリの聖地、「信仰の対象」としてのトンガリロ山 岡橋純子
158 富士山ヴィジョンを通していかに「顕著で普遍的な価値」を高めるか 西村幸夫
被爆体験から立ち上がり、文化による平和を旗印に世界を奔走する日本画家・平山郁夫。シルクロード、中国、北朝鮮…と、その行動力は、外交官を顔色なからしめるほど。武力によって世界は平和にはならない。終末的な文明衝突を避けるために、日本が芸術と文化によって、世界に対して未来に向けて何ができるか。著名文化人18人との対論から、行動の芸術家の素顔と思想が明らかになる。
桑原武夫といえば、俳句に関わる人なら、すぐに「第二芸術」を思い浮かべる。彼の評論「第二芸術」を、同時代の俳人たちは真正面に受け止めた。この評論をめぐる論争が一つの結節点となり、俳句は新たに出発した。もし、『第二芸術』が書かれなかったとすれば、その後の俳人たちはどのような試みをしただろうか。
桑原武夫の没後30年以上が過ぎ、「第二芸術」の発表からは70年以上経った。今や「俳句用語」として整理されているかに見える「第二芸術」は、どのような文脈で書かれたのだろうか。
1946年発表の桑原武夫「第二芸術」を、もう一度書かれた時代と場所に置きなおし読み直す。
仏教美術と時代精神・信仰形態との関連に着目し,美術史研究に新たな領野を示唆する試論。
序 章 仏教美術の思想史的研究
第一章 八世紀後半における木彫発生の背景
第二章 八・九世紀の七仏薬師像
第三章 悔過の芸術
第四章 山越阿弥陀図の仏教思想史的考察
第五章 北野天神縁起日蔵六道巡りの段の成立
あとがき
ライブとは何か。
ネットで音楽を聴くとき、われわれは何を体験しているのか──。
メタバース時代の音楽をラディカルに問う!
2020年9月19日深夜、
無観客、アーカイヴなしのオンライン配信で開催され、
コロナ下最大の音楽的事件となった
「三輪眞弘祭」(サントリー音楽賞、佐治敬三賞をダブル受賞)を起点に、
哲学、バイオアート、科学技術史、メディア論、音楽学の専門家が結集し、
これからの音楽実践のありかたをラディカルに問いなおし、定義する。
メタバース時代の音楽の可能性はここにある!
はじめに
岡田暁生|音楽聴のシンギュラリティ2020?
伊東信宏|すべてはここからはじまった 19 September 2020 (Sat), 22:00 open, 23:00 start, 26:00 end ── 一聴取者によるイベント・レポート
I ライブと「そこにいない誰( 何)か」
山崎与次兵衛|二分心崩壊以後/シンギュラリティ以前の展望からみたライブの可能性
編集会議バックヤードより
岩崎秀雄|音楽はどこまで「生きている」のか──「音楽≒生命」メタファーから「音楽≒ウイルス」メタファーへ
編者独白
II 配信芸術の考古学
編者口上
瀬戸口明久|機械化時代における音楽・科学・人間──兼常清佐のピアノの実験
編者口上
松井 茂|中継芸術の系譜──テレビジョンをめぐる配信芸術前史
III 「立ち会うこと」と配信芸術──映像作家 前田真二郎氏を囲んで
IV 〈いまーここ〉の存在論と亡霊
編者口上
佐近田展康|「亡霊機械」と〈いまーここ〉の生成
編集会議バックヤードより
編者独白
佐藤淳二|〈仮死〉と〈亡霊〉の配信──三つの神学の彼方へ
編者独白
おわりに
三輪眞弘|配信芸術、あるいは「録楽」の未来
付録|サラマンカ宣言──ぎふ未来音楽展2020 三輪眞弘祭 ─清められた夜─
MUSICA CRAS GIFU 2020 Masahiro Miwa Festival - Purified Night -
石川県で開催される舞台芸術祭「いしかわ舞台芸術祭」の公式ガイドブック。「人間はおもしろい説。」をテーマに、ミュージカル、演劇、ダンス、音楽など様々な観劇の魅力を発信する。本書では、全21プログラムの出演者や作り手へのインタビューを交えながら、舞台芸術に対する想いを深く掘り下げる。
俳優、お笑い芸人、タレント、オペラ歌手、ミュージカル俳優など、第一線で活躍する出演者の貴重なインタビューと撮り下ろし写真。また石川県を拠点に活動する演劇団体の紹介も多数掲載し、演劇の奥深さが感じられる一冊。
[特集]
・いしかわ舞台芸術際 2025アンバサダー梅津瑞樹さんに聞く舞台芸術の魅力
・我ら宇宙の塵 EPOCH MAN 小沢道成×梅津瑞樹
・東映ムビ×ステ 死神遣いの事件帖 終(ファイナル)鈴木拡樹×安井謙太郎(7ORDER)
・special interview 田淵累生
・あの夏、君と出会えて〜幻の甲子園で見た景色〜 藤井直樹×岡崎彪太郎
・劇団四季 三代川柚姫
・オペラ「高野聖」演出 原純
・Golpe2025 今井翼
・ENGEKI WORK SHOP 新田さちか
・ダウ90000 第7回演劇公演「ロマンス」
・「山里亮太の140」山里亮太
Contents
いしかわ舞台芸術祭2025アンバサダー
03 梅津瑞樹さんに聞く 舞台芸術の魅力
13 我らの宇宙の塵 EPOCH MAN
小沢道成 × 梅津瑞樹
東映ムビ×ステ
17 死神遣いの事件帖 終(ファイナル)
鈴木拡樹 × 安井謙太郎
Special interview
21 田淵累生
24 「あの夏、君と出会えて」
〜幻の甲子園で見た景色〜
藤井直樹 × 岡崎彪太郎
27 劇団四季[三代川柚姫]
29 オペラ「高野聖」
原 純
Special interview
31 Golpe2025
今井 翼
ワークショップ&トークライブ
33 “Healing Harmony Project”[由水南]
35 いしかわ人形劇フェスティバルinあなみず
37 謎解き「バック・トゥ・ザ・バックステージオンファイア」
〜失われた市民の声(レジスタンス)〜
41 金沢学院大学演劇部・金沢大学劇団らくだ
43 劇団アンゲルス
45 chiroru market
47 演劇ユニットMasa&Kou
49 大杉ミュージカルシアター
51 パルケ・血パニーニャ
53 劇団羅針盤
55 演劇ユニット浪漫好ーRomance-
57 meototo
59 朗読小屋浅野川倶楽部
いしかわストリートシアター
59 toRmansion/刀祭
ワークショップ
63 ENGEKI WORK SHOP
新田さちか
67 第7回演劇公演「ロマンス」
ダウ90000
Special interview
70 「山里亮太の140」
山里亮太
73 大場さやかエッセイ
81 いしかわ舞台芸術祭2025公演プログラム 公式グッズ
モネ、ミュシャ、マグリット、アンソール、モリス、ドラン、デ・キリコほか、芸術家が生活と制作のために築き上げた美的センスあふれる「家」を紹介。
芸術活動と労働について現況をさまざまな視点から捉え、芸術と労働、芸術と社会との関わりを考察し、その行方を探る試み。
自然界の神秘的な美を体現する盆栽に心を奪われ、その技を極めるとともに、専門美術館まで建てた気鋭の盆栽家・小林國雄。その集大成となる、多数の盆栽を網羅した作品集。
古代ギリシアから20世紀まで、古今東西のあらゆる芸術家、哲学者、思想家、評論家、作家が芸術について語る151篇の「名言」。
ル・コルビュジエは評論家、画家、建築家という3つの顔を持っている。これらは不可分で、相互に影響し合ってル・コルビュジエという1つの人格を形成している。本書では、彼の3つの顔を総合的に捉え直すことで、動的なル・コルビュジエ像を炙り出し、総合芸術家としてのル・コルビュジエ誕生のプロセスを明らかにしている。
メルロ=ポンティの思索を起点として,能動でもなく受動でもない第三の態である「中動態(相)」という,本来は言語学の概念をキーワードに,受容(鑑賞)のみならず制作の側面からも芸術体験を解読。さらに「中動態(相)」を足掛かりに,作者(あるいは作品)がいかに作者(あるいは作品)たりうるかを,オートポイエーシス論にも依拠しつつ考察。