本書はエヴァンズ博士によるThe Language Mythの全訳である。ここでいうMyth(神話)とは根拠のない仮説が広まり通訳となったもの、とりわけ言語生得説や言語普遍説などを指す。筆者は、言語は独立した本能として存在するのではなく、実際の運用を通して文化的に学習・継承されるものであること、すべての言語を超越した抽象的な普遍文法なるものは存在しないことを、具体的な言語事実と最新の諸科学の知見をもって多角的に論証していく。
人が話す「ことばの音」にはどのような特徴があるのだろうか。音声学の巨星ピーター・ラディフォギッドが、自身の長年に渡る実験音声学の研究成果に基づいて、世界中の言語をフィールドワークした経験とその時のエピソードを織り交ぜながら、調音、音響、音声認識など音声学に関わる様々なトピックを、初学者に向けてエッセイ風の語り口で分かりやすく解説。音声の理解に関して必ずや何かの「きっかけ」を与えてくれる至極の入門書。
認知言語学の基礎概念をできるだけわかりやすく。認知言語学の研究領域で議論されてきた英語の現象を中心に最先端の知見を含めた認知言語学の基礎概念を紹介。第2巻から第7巻で展開される「認知言語学的観点からの日本語分析」への橋渡しに。
あなたの頭の中の声は、どんなスピードで語りますか?脳内の語りをつねに使って思考しているのに、私たちはこんな素朴な問いにさえ答えられない。本書は、内なる声(内言)や聴声(幻聴)の本質を探り、それらと思考や意識との関係を捉えなおす試みだ。
音韻論と他の部門とのインターフェイスは、句や文の広範な音韻現象と統語論、意味論、語用論との関わりを解明することを目的として言語理論ともに発展してきたダイナミックな研究分野である。本書では、対象を音韻論と統語論のインターフェイス(第1部)と英語の抑揚をめぐる諸問題(第2部)に絞り、現在までの研究の流れを整理し、それぞれのテーマについての2人の著者の研究成果も提示しながら今後の研究の展望を示す。
なぜ皆、こんなにも「させていただいて」いるのか?さまざまな分野の言語学者が各々の視点から語る、「させていただく」研究のフルコース!
文献資料の電子化が進んだ20世紀の終盤以降は、英語史研究においてもコーパスや各種データベースが標準的に利用されるようになり、英語文献研究は飛躍的な展開を遂げた。英語史研究と現代英語研究が合流して英語学の分野間の連携が進んだのも、この時代の特徴である。本書はこの潮流の変化を捉えながら、音韻論・綴字・形態論・統語論を中心に最新の英語史研究を紹介するとともに、研究に有用な電子的資料についても情報提供する。
本書は問診や具体的な診察手技の解説と、主な認知症疾患での診察のポイントを提示。
比較言語学の目的は、言語間の系統関係の確立にとどまらず、系統関係にある諸言語の祖語を再建し、各言語が祖語の状態から現在の状態に至るまでにどのように変化を遂げてきたのかを解明することにある。文献に記録のない言語史を、比較言語学の手法によってどのように再建するのか。日琉諸語の例に基づいて解説する画期的な書。
来たるべき社会をヴィジョンするためのナレッジとマインド。テクノロジーと人を深く考察する論点をここに凝縮。
最近の言語学と関連諸科学の研究成果をふまえながら、生きたことばの構造・心理・社会・文化の側面を捉えて、ことばと人間の関係をトータルに鳥瞰したもの。
「ポストモダン」と形容される状況の中で、社会を考えるための枠組はどうあるべきか。「近代」的な社会像がもはや有効性を失って久しい。本書がめざすのは、ポストモダン状況に対応しうる新たな社会像の提示である。著者は、言語哲学・レトリック・文学理論などの知見を大胆に導入して、従来の実証主義的な社会科学の虚構性を暴き出し、社会を「テクスト」として、つまり実体ではなく言語による構築物として捉えることを提唱する。かつ、抽象論に自閉することなく、あくまで生活世界への視線にもとづいて、社会学の主題を組みなおしてゆくのである。