現代物理学の最もめざましい成果は、極小の世界を扱った量子論と、極大の世界を論じたアインシュタインの相対性理論であるといえる。本書ではこの二つを手がかりに、私たちの身の回りの世界からそれらを取り囲んでいる宇宙まで、どれほど奇妙で驚きに満ちたものであるかを、実例を挙げつつわかりやすく解説する。多重宇宙、量子コンピュータ、量子テレポーテーション、ビッグバン理論、ブラックホール、タイムトラベル、インフレーション宇宙、ダークエネルギーなど、話題のトピックも満載。
かつてはどこにでもいた生きものたちや、むかしながらの景観が失われつつあるー。「生物多様性」とはなんだろう?その問いにこたえるべく、環境省の若きレンジャーたちが、日本の生きもの、そして日本の自然保護行政の歩みについて、わかりやすくかつ科学的にリポートする。
イームズ・チェアなどで知られる20世紀アメリカ最高のデザイナー・イームズ夫妻の自邸を徹底解剖。ありえない敷地にたつこの住宅の秘密を推理小説のように読み解く。撮りおろし写真、秘蔵図面を多数収録。
海洋生命系の変動は人類に何をもたらすか?自然変動する海の生物資源の生態を理解し、資源再生産の場である海洋環境保全、それぞれの種の生態にあった資源の利用方法を考える、現代海洋生命科学の集大成。自然変動する海洋生物資源との共存の道をさぐる。
フィールドワークに憧れて現場に飛び込んだものの、実体験と理論のギャップに立ちすくむ…。そんな状況を打ち破るために「国際協力」という可能性を提示する。より良い世界への架け橋をめざして。
1992年の市場統合の完成、EUの成立、経済通貨同盟の発足に伴うECBによる金融政策の実施、単一通貨の発行、そしてEUの中東欧への拡大はEU経済成長への起爆剤となっているが、同時に域内での経済格差が拡大し、金融、財政制度の脆弱性を露呈している。本書は欧州委員会、各国政府、EU市民間での政策決定メカニズムなど重要課題を指摘・提言する。
本書は中国・上海に展開する寿司店へのインタビュー調査を基に、現地に適応するかたちで独自の発展を遂げる寿司文化を描き出す。従来、グローバル化は「マクドナルド化」すなわち画一化現象として記述されてきたが、上海の事例から見えてくるのは多様性を内包したグローバル化という現実であり、本書ではこれを生み出す社会的条件を探っていく。グローバル化への見方に転換を迫る意欲的研究の成果。
農地ができると「害虫」が生まれる。人類は、農耕生活を開始して以来、さまざまな害虫の被害に悩まされてきた。その防除を目指して、農薬をはじめとしてさまざまな手法が用いられてきた。しかし、「殺虫剤の逆理」という言葉に示されるように、単に「駆除」を目指したのでは、農業生態系を構成する生物群集の多様な機能を損なうだけで、害虫による被害を抑えることは難しい。生態学の最近の研究成果に基づき、生物間に働く多様な相互作用を利用した害虫管理によって農作物への被害を経済的に許容できるところまで抑制する道を探り、その基礎とその方向性を示す。
アジアにおける生物資源の持続的利用のあり方をさまざまなフィールドからさぐる.生物資源学と環境学という2つの座標軸で生物資源生産が直面する課題をとらえ,その解決に向けた方法論について解説.さらに遺伝資源としての生物資源の特性と,その未来を語る.
はじめに(則定真利子・小島克己)
序章 アジアの生物資源と環境(小島克己)
第I部 生物資源の多面性と持続的社会
第1章 荒廃地に森を作る(則定真利子)
第2章 農業生産システムを生態系として捉える(大久保悟)
第3章 木質資源を活用する(井上雅文)
コラム 木の長所を伸ばす材料開発(足立幸司)
第4章 地域を保全する(堀 繁)
第II部 遺伝資源としての生物資源
第5章 作物の遺伝資源を掘り起こす(根本圭介)
第6章 野生植物を利用する(高野哲夫)
第7章 地下から森林を見つめ直す(奈良一秀)
コラム 外生菌根共生系における物質転流を可視化する(呉 炳雲)
第8章 遺伝子を通して個体群を捉える(練 春蘭)
コラム 外来樹種ニセアカシアの分布拡大経路を遺伝子から推定する(木村 恵)
第III部 生物資源の持続的利用
第9章 農業生産システムを選択する(鴨下顕彦)
第10章 沿岸海域の環境を保全する(福代康夫)
コラム バラスト水とアジアの水生生物(都丸亜希子)
第11章 熱帯泥炭湿地を保全しながら利用する(小島克己)
コラム <i>Melaleuca cajuputi</i>の営み(山ノ下卓)
第12章 地域と地球を結ぶ(山ノ下麻木乃)
終章 生物資源環境学のめざすもの(小島克己)
おわりに(則定真利子・小島克己)
第1部 基礎編
第1章 金融とは?
第2章 金融取引の阻害要因(1)-情報の非対称性
第3章 金融取引の阻害要因(2)-契約の不完備性
第4章 金融市場と金融機関
第5章 銀行中心のシステム
第6章 市場中心のシステム
第2部 応用編
第7章 金融システムの改革
第8章 金融機関と市場
第9章 企業経営と市場
第10章 資産運用と市場
第11章 バブルと実体経済
第12章 金融、法、そして政治
第13章 システム改革をめざして
海辺に咲く花の名前を知っていますか?万葉集に詠われて以来、源氏物語、枕草子にも登場する、日本人に最も親しみ深い海流散布植物ハマユウ(ハマオモト)を主な題材に、黒潮が運んだ海岸植物に秘められたふしぎの数々を、植物生態学者にして漂着物学の第一人者である著者が丹念に読み解く。
緑なす大自然の中に展開される鳥と昆虫の生存をかけた壮絶な闘いー。敵をあざむき威嚇する虫たちの擬態そして寄生など、生きのびるための驚異のテクニックと自然界のドラマを活写する。虫好き・鳥好きのための驚嘆のナチュラル・ヒストリー。
かつてスクリーンを取り巻いていた、多彩な音のありようを拾い集めるかつてない試み!
映画館ではスクリーンの沈黙を覆い隠すように、サイレント時代から現代にいたるまでさまざまな音響が響き続けてきた。「サイレント映画」の時代にはサイレント映像に弁士や楽隊が実演で音響実践を行なっていたが、その後のサウンド映画の時代にはサイレント映像に録音で音響を流すようになった。しかしスクリーンの前に聞こえてくる音響の種類が変わったということだけではない。映像そのものも変化するなかで、映像がともなう音響も、映像と音響の関係性も変化してきたのである。
サイレント映画の時代、日本の映画館では弁士(あるいは説明者、解説者)と呼ばれた語り手が台詞や解説を語り、音楽家たちが映画の伴奏音楽を生演奏していた。この音楽家たちは映画の上映中だけでなく、上映の合間に余興演奏を行なう場合もあった。当時の映画館は洋楽受容の拠点として、西洋音楽が鳴り響いたことはよく知られているが、それだけではなく、囃子鳴物、長唄、琵琶唄、浪花節、義太夫節、新内節、さらには西洋音楽と日本音楽が折衷された和洋合奏という合奏形式も人気を博していた。しかし、現代の日本の映画やドラマで日本音楽が出てくることはきわめて稀である。むしろオーケストラが流れている方が耳馴染みがあるような気さえする。それほど西洋音楽的な音楽語法が現代の映画体験にとって標準になっている。
本書では、サイレント時代からトーキー初期の日本の映画館でスクリーンを前にどのような音が鳴り響いたのかを問い、それが歴史のなかでどのような音文化を織りなしていたかを明らかにしようとする試みである。具体的には戦前の東京の事例を手がかりに、日本の映画館における音文化の歴史を多角的に明らかにする。
残された言説や限られた資料をつぶさに掘り起こし、日本映画と外国映画、弁士と楽士、邦楽と洋楽、実演とレコードなど、様々な事象が入り交じって豊穣な文化を作り出していた実態を描き出した力作。
本書は「生命シリーズ」の第4巻として「生物学」の基礎について講じたものである。生物学は生命あるものたち(生命体・生物)とその営み(生命現象)に関する科学で、この地球上で現に生きているものたちと、かつて生きていたものたちのみを対象として、「生きている」とはどういうことかを理解しようとするものである。
「社会的企業」という新しい概念から、EU全15カ国の事例を詳細に分析、ポスト福祉国家におけるサードセクターを再定義して、経済と社会の転換と再生を理論的実証的に展望する意欲作。