「もしかしたら、ノスタルジアこそ、あらゆる芸術の源泉なのである」(澁澤龍彥)。「記憶」の断片から「芸術」のはじまりを紡ぎ出し、人間の根源的な営みを解きほぐしてゆく。美学、文学、美術史、演劇、観光人類学、オブジェ制作等をめぐって第一線の論者たちが織りなす知の饗宴。【寄稿】谷川渥/宮下規久朗/水沢勉/北川健次/小針由紀隆/萩原朔美/進藤幸代/海野弘/高遠弘美/丸川哲史/秋丸知貴
まえがき
I
記憶と芸術──二重螺旋の詩学 【北川健次】
壁に掛けられた小さな風景画──イタリアの自然と画家たちの記憶 【小針由紀隆】
絵画の時間性 序説 【谷川渥】
+記録/+記憶──あるパフォーマーのこと 【水沢勉】
歴史画と集合的記憶 【宮下規久朗】
2
生の織物 【海野弘】
ポール・セザンヌと写真──近代絵画における写真の影響の一側面 【秋丸知貴】
ハワイ・ポノイを歌うこと 【進藤幸代】
意味を逃れる 【萩原朔美】
《幕間》
澁澤・種村時代を語る──谷川さんと午後五時にお茶を 【谷川渥×中村高朗】
3
「引用的人間」の記憶について 【高遠弘美】
W・B・イェイツとシェーマス・ヒーニーをめぐる記憶 【虎岩直子】
芸術創造のプロセス──「さまよえるユダヤ人」伝説をめぐって 【中村高朗】
戦前の記憶と戦後の生──太宰治における天皇・メディア・死 【丸川哲史】
あとがき
現代抽象絵画を代表する作家マーク・ロスコ(1903-70)。様々な色の矩形が浮かぶ独自の様式に至る以前、ロスコ自ら綴った草稿を編んだのが本書である。1940年代前半、自身の芸術がいまだ確立しない苦しみの中にあったロスコは、一時的に絵筆を置き、それに替えてペンを執った。そこに残されたのは、画家としてではなくオブザーバーとして造形芸術を語り、現代と古代のあいだをわたりながら記された、美術の〈リアリティ〉の系譜である。数年後に再び画布に向かった時、彼の作品は、現在ロスコの到達点として認められる純粋な抽象画へと変化を遂げる。挫折であると同時に、ロスコがロスコになる転回点ともなった時代の貴重なテキストー死後永らく埋もれていた草稿が今、60余年の時を経てその息子の手によって甦る。
金箔を切って貼る截金の技法を、名工・松久真やが現代に蘇らせた。截金の基本技法を救世観音で、瑠璃観音・雛人形で着彩した上に截金を施す応用技法を、さらに仏画で平面に施す技法を示す。伝統文様、創作文様の図案も多数収録。
個人の営み・個性の表現である芸術は、一方で社会のなかに生まれ、社会によって変化し、社会にはたらきかける力を持つ存在でもある。その芸術は、いかなる政治的・経済的環境のもとで生み出されたのか。それはなぜ受容者に受け止められ、それを必要とした社会は何を求めていたのか。本書は、社会の多様な位相における影響関係のなかで、近代の西洋、東アジア、日本の芸術を再考する。
1 芸術体験の現場
本願寺絵所について──西山別院本堂障壁画を中心に (大原由佳子)
美術展覧会場としての商品陳列所 (三宅拓也)
初期文展時代の芸術と社会 (高階絵里加)
展覧会会場から床の間へ──大正中期から昭和初期における表展出品作の分析を通して (多田羅多起子)
フランス美術の「伝統」──包括と排除のレトリック (大久保恭子)
2 社会と共振する芸術
『道房公記』にみる「九条家代々御影」について (國賀由美子)
戦前の日本における近代ベルギー美術の受容 (山田真規子)
国画創作協会展の鑑査にみる大正期の美術界──前期国展(第一回〜第三回)を中心に (藤本真名美)
村山龍平、朝日新聞社と展覧会──天平文化綜合展覧会を中心に (郷司泰仁)
京都におけるフランス文化受容の一側面──関西日仏学館の美術部・音楽部を例として (藤野志織)
近代絵画における引っかきへの試論──パブロ・ピカソの絵画を中心に (孝岡睦子)
3 芸術とメディアの接近
明治・大正のメディアにおける〈芸用モデル〉──スキャンダルの種から職業、そして画題へ (ホルカ・イリナ)
明治大正名作展の基礎的考察 (中野慎之)
アウラの夢と噓──W・ベンヤミンの『複製技術時代の芸術作品』をめぐって (高階秀爾)
板垣鷹穂の映画論と社会──国家メディア戦略と「機械美学」の接近 (竹内幸絵)
新しい日本映画思想史のために (花田史彦)
4 危機の時代の芸術ト
疫病と美術──イタリアのペストを中心に (宮下規久朗)
セザンヌと社会 (永井隆則)
スペイン・インフルエンザと美術──忘却の淵から甦ったパンデミック (河本真理)
拡張するノスタルジー、切迫するディストピア──第一次世界大戦とオペレッタ (小川佐和子)
戦時下の「前衛画家」たち──北脇昇と小牧源太郎、⽭盾のなかで「⽣きる」こと (清水智世)
中国の「新興絵画」と社会、そして戦争──『美術雑誌』にみる何鉄華のモダニズム芸術理論について (呉 孟晋)
生まれついての聴き屋体質の大学生、柏木君が遭遇する四つの難事件。芸術学部祭の最中に作動したスプリンクラーと黒焦げ死体の謎を軽快に描いた表題作、結末のない戯曲の謎の解明を演劇部の主演女優から柏木君が強要される「からくりツィスカの余命」などを収録する。文芸サークル第三部“ザ・フール”の愉快な面々が謎を解き明かす快作、ユーモア・ミステリ界に注目の新鋭登場。
1956年に吉田千鶴子、岩見禮花らを中心に結成された「女流版画会」は、当時男性が中心であった版画界において、女性作家の活躍の場を広げました。女流版画会には南桂子や、内間俊子といった海外を活動の場とした女性作家や、現在も第一線で作品の制作と発表を続ける柳澤紀子も参加していました。同会は1966年のニューヨーク展を最後に解散しますが、10年の活動期間を通じて日本の女性版画家の存在感を国内外に強く印象付けます。
同会の活動は、2020年にアメリカ・ポートランド美術館で展覧会が開催されるまで、日本の版画史を語るうえでもほとんど見落とされてきました。本特集の第1部では女流版画会の創立メンバーを中心に、個性豊かで魅力的な作品を紹介し、改めて再評価の光を当てるものです。また、第2部では柳澤紀子や山本容子など、1970年代に活発な発表活動を行った女性作家たちを紹介し、現代に繋がる版画の新たな道を切り拓いた「パイオニア」たちを紹介します。
掲載予定作家:吉田千鶴子、岩見禮花、内間俊子、小林ドンゲ、南 桂子、松原直子、野中ユリ、柳澤紀子、辰野登恵子、山本容子 他
作家、画家、音楽家、哲学者たちはなぜ破綻において自由となったのか。ランボー、アルトーらのはるかなる嫡子であり詩人思想家にして炸裂的な文学者がその営為のすべてを結晶させた思考のアラベスク。
1日目、イヴ・サンローランに蟻を描いた。
COVID-19の流行により渡仏が延期になり、
緊急事態宣言が発令された4月7日から、
家に閉じこもって毎日1作品を制作し続けた。
FENDIとのコラボなど世界で活躍する
アーティスト・小川貴一郎が、
45日間にわたって向き合い続けた芸術の記録。
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芸術家とは、
自分自身の中から生み出されたものでしか、
自分を守ることはできない。
ーー小川貴一郎
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*この本は英語と日本語の両方で書かれています。
This book is written in both English and Japanese.
沸騰する大衆のエネルギー
〈プロレタリア文化運動〉は、1920年代初めから30年代前半にかけておこなわれた芸術運動・大衆啓蒙運動・地方文化運動である。
本書は、近年発掘されたガリ版刷りのビラ、チラシ、チケットなど運動の最前線で使われた多様な資料を駆使しながら、文学・運動理論・演劇・美術・宗教・メディア・ジェンダーの側面から検討し、近代資本主義の矛盾と対峙した人々の足跡を明らかにする。モダニズム研究の新局面。
【序論】プロレタリア文化運動研究のために=中川成美
【1 資料をたずねて】
「小樽資料」「浦西資料」との出会い=伊藤純
小樽文学館と小林多喜二と池田壽夫旧蔵書=玉川薫
大原資料の特徴=立本紘之
【2 文化運動の諸相】
[総論]日本プロレタリア文芸聯盟の設立と〈プロレタリア文化運動〉=村田裕和
[文学1]プロレタリア文化運動における組織の問題=内藤由直
[文学2]地方のプロレタリア文化運動──関西を中心に=和田崇
[文学3]文戦派の文化運動=鳥木圭太
[運動理論]「プロレタリア文化運動」の理論化の意義と諸問題=立本紘之
[演劇1]小山内薫と「築地小劇場」=伊藤純
[演劇2]プロットと移動劇場=正木喜勝
[演劇3]新協劇団と『月刊 新協劇団』──左翼と国策のあいだ=鴨川都美
[美術]地方のプロレタリア美術──移動展と地方支部=足立元
[宗教]プロレタリア文化運動における宗教の位置づけ=池田啓悟
[メディア]戦旗社支局における謄写版刷りニュースの発行──指導方針と読者の間で=武田悠希
[ジェンダー]プロレタリア文化運動における「婦人」の位置付け──コップの婦人政策を中心として=泉谷瞬
【3 附録】
参考文献目録=池田敬悟(編)
団体名および略称一覧
左翼演劇公演一覧表=村田裕和(編)
日本プロレタリア文化運動組織変遷図[1921─1934]=村田裕和(編)
あとがき=村田裕和
芸術生成の新たなトポスミュージアムを全開する。「作品」は観客の眼を通じて初めて「芸術」として開花する。作品と観客出会いの場・ミュージアム等に見る、芸術と社会の新たな関係性。日本学術振興会人社プロジェクトの成果。
日本を代表する現代美術家・会田誠による「犬」は、二〇一二年森美術館展覧会での撤去抗議をはじめ、数々の批判に晒されてきた。裸の少女の“残虐〞ともいえる絵を、会田はなぜ描いたのかーー? 作者が自作を解説することの禁を破り、動機、意図を初めて綴る。歴史を背負い、不完全な人間を表現することのジレンマ。ほぼ「遺書」ともいえる告白。
日本の版画は明治期から戦後に至るまで、海外から高く評価されてきました。
近年も再び訪日外国人観光客の増加に伴い、版画への注目も集まっています。そこで本特集では、主に海外へ向けて版画の紹介を積極的に行っている日本のギャラリーや団体、版画を中心に取り扱う海外のギャラリーなどにアンケートを行い、回答を元に編集部が選定した注目作家を紹介します。
木版画特有の色面とグラデーションによる抽象作品を制作し、近年アメリカでの人気が高まっている一圓達夫。高い描写力が特徴のリトグラフで知られる園山晴巳は、特に中国の若い世代の間で作品が好評です。昭和の終わりから平成にかけて歌舞伎座に取材し、当時の名優たちの役者絵を手掛けた弦屋光溪は、写楽に連なる現代の浮世絵師として注目を集め、海外の美術館でも個展が開催されました。装幀家・イラストレーターとして培った経験を元に、日本の風景や名所旧跡を現代の感覚で表現する森村玲は、新作が発表されるたび、すぐに完売するほどの人気を誇ります。
その他にも、富士山や花などをモチーフに人気を集める木版画家の河内成幸、関野洋作、本荘正彦。日本の古建築を描く佐野隆夫と乗兼広人。ばれん職人としても活躍する後藤英彦。青柳有華、堂東由佳、花原淳子、武藤彩加ら、版画公募展で注目されて作品が好評な作家も紹介します。
世界に通用する日本の版画のポテンシャルを明らかにする特集です。
動物や世界から切り離された人間はいかにして個としてその生を全うするか。バタイユの絵画論と文学論に共通する地平を「幼年期」への志向に見いだす、新鋭による果敢な読解。
芸術家の年賀に込めた美の世界。個性あふれる芸術家73名の年賀状、277通を一挙公開。
古代ギリシアから20世紀まで、古今東西のあらゆる芸術家、哲学者、思想家、評論家、作家が芸術について語る151篇の「名言」。
「モノからコトへ」時代の、その先へ
長編書き下ろしと7編の論考で探る、「作品」と「制作」の新たなる可能性
現代美術のあり方が、芸術とは何かを問う内的な行為からその外にある現実社会への働きかけへと変化してきているいま、「作品」はどこへ向かうべきなのかーー。芸術とは何か、作品とは何かを根本から問い続け、美術作家としてその時々の自身の答えを作品にあらわしてきた池田剛介による、待望の処女論集!
「ユリイカ」「現代思想」「早稲田文学」「POSSE」等に寄稿した2011年から2017年までの思考の軌跡と、それを束ねる長編書き下ろしで構成。カバー、表紙、扉には本書のために著者本人が制作した新作を実験的方法で印刷し、書物というモノの可能性を追求する。
自身も不確かな世界に身を置き、活動の継続方法を模索し続けてきたアーティストがたどり着いた、「制作」のあり方とは。モノを作ることを志す全ての人必読の、いまを生き抜くためのヒントに満ちた一冊。
chapter 1. 失われたモノを求めて
chapter 2. 干渉性の美学へむけて
祝祭・現実・遊び
虚構としてのフォームへ
セザンヌの中間地帯
保存と解凍
クマと人とが出会う場で
カタストロフの傍らに
収録作品約400点、岡本太郎の集大成!
岡本太郎が残した作品を年代順に紹介する作品集です。絵画や彫刻はもちろんのこと、雑誌の表紙絵やプロダクト商品までを網羅します。収録点数はおよそ400点。貴重なパリ時代から晩年までの作品を掲載します。
作品を年代順に並べることによって、岡本太郎の作品が変遷していく様子がわかります。作品とともに、岡本太郎の言動を時代ごとに解説し、当時岡本太郎がなにを思って作品を残したのかを解き明かします。
また、扱いの大きな作品に関しては解説文をつけ、作品の理解を助けます。岡本太郎本人が解説している作品については、その解説を掲載します。
海外の読者も視野にいれ、作品名、解説文を英訳し、和文に付記します。