ハリウッド弦楽四重奏団の芸術(15CD)
ハリウッド弦楽四重奏団は、レナード・スラットキンの父親で、ヴァイオリン奏者で指揮者のフェリックス・スラットキンを中心に結成された往年のアメリカのカルテット。
メンバー全員がロシア系移民の子孫で、ジュリアード音楽院もしくはカーティス音楽院の出身、全員、ハリウッドの映画スタジオのオーケストラで演奏していたことから『ハリウッド弦楽四重奏団』と名付けられた経緯があります。
彼らがキャピトル・レコードでおこなったセッション録音は、どれもよく旋律を歌わせ、明確な表情付けを伴った魅力的なものでした。
オリジナルの六重奏版での最初の録音となったシェーンベルクの『浄夜』での濃密で美しい演奏は作曲者を魅了したほか、ウォルトンやクレストンの作品でも作曲者を感嘆させた彼らの腕前は素晴らしく、代表作と目されるベートーヴェンとシューベルトでの見事な演奏を筆頭に、聴きごたえある演奏が揃っています。
当セットには、1949年から1958年にかけて制作されたキャピトル音源と、1957年のライヴ音源を収録。ハリウッド弦楽四重奏団がメインとなった録音のほとんどを聴くことができます。
【ハリウッド弦楽四重奏団】
フェリックス・スラットキン[1915-1963]は、カーティス音楽院でエフレム・ジンバリストにヴァイオリンを、フリッツ・ライナーに指揮を師事。卒業後は生地のセントルイス交響楽団に入団しましたが、1935年にはハリウッドボウル交響楽団を初めて指揮、1937年には、ハリウッド黄金時代でギャラの良かった20世紀フォックスのスタジオ・オーケストラで演奏するようになります。
第1期 [1939-1941]
1939年、スラットキンは、ワーナー・ブラザーズのスタジオ・オーケストラ所属でジュリアード音楽院出身のチェロ奏者、エリナー・アラー[1917-1995]と結婚。夫妻はほどなくカルテットの結成を計画。
ヴィオラ奏者に、カルテット経験者でワーナー・ブラザースのスタジオ・オーケストラで演奏していたジュリアード音楽院出身のポール・ロビン[1908-1970]、第2ヴァイオリン奏者に、同じくカルテット経験者で、20世紀フォックスやコロンビア・ピクチャーズなどのスタジオ・オーケストラで活動していたジョアキム・チャスマン[1901-1990]を起用してグループ結成に漕ぎつけ、アメリカ西海岸を中心に、スラットキン、チャスマン、ロビン、アラーの面々でコンサート活動を開始します。
しかし第2次世界大戦にアメリカが参戦すると、スラットキンがアメリカ陸軍航空軍のオーケストラの指揮者になるなど、男性メンバーはエンターテイメント要員として兵役に就くことになったため活動を休止。
第2期 [1945-1955]
戦争が終わるとハリウッド弦楽四重奏団は活動を再開。第2ヴァイオリンはジョアキム・チャスマンからポール・シュアー[1921-2011]に交代。シュアーはカーティス音楽院出身で、フィラデルフィア管弦楽団の楽員を経て20世紀フォックスのスタジオ・オーケストラのアシスタント・コンサートマスターを務めていた人物。
1955年にメンバー変更するまでの10年間は、スラットキン、シュアー、ロビン、アラーの4人でコンサート活動のほか、米キャピトルへのレコーディングをおこなっていました。ちなみに、ピアノ五重奏曲などで演奏しているヴィクター・アラー[1905-1977]は、チェロのエリナー・アラーの兄で、同じくハリウッドのスタジオを中心に活動していました。
この第2期の録音では、以下の作品を聴くことができます。
●ボロディン:弦楽四重奏曲第2番
●ヒンデミット:弦楽四重奏曲第4番
●プロコフィエフ:弦楽四重奏曲第2番
●ウォルトン:弦楽四重奏曲イ短調
●ヴィラ=ロボス:弦楽四重奏曲第6番
●ポール・クレストン:弦楽四重奏曲
●チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番
●ショスタコーヴィチ:ピアノ五重奏曲
●トゥリーナ:闘牛士の祈り
●ヴォルフ:イタリア風セレナーデ
●シェーンベルク:浄夜
●ラヴェル:序奏とアレグロ
●ドビュッシー:神聖な舞曲と世俗的な舞曲
●シューベルト:弦楽五重奏曲
●ブラームス:弦楽四重奏曲第2番
●フランク:ピアノ五重奏曲
●ブラームス:ピアノ五重奏曲
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コンヴィチュニーの芸術(20CD)
往年のドイツの名指揮者フランツ・コンヴィチュニーが遺した録音から注目度の高い演奏を集めたボックス・セット。ステレオが13枚分、モノラルが7枚分の計20枚組で、ステレオ音源の多くはライプツィヒのベタニア教会でセッションを組んで録音されているため音質は良好な水準にあり、当時のゲヴァントハウス管弦楽団の独特な魅力を持ったサウンドを大量に楽しむことができます。また、モノラル音源も状態の良いものが多く、特に、ライプツィヒ放送響とのベートーヴェンの交響曲第4番、第5番、第9番や、シュターツカペレ・ドレスデンの『英雄』、ショスタコーヴィチなど聴きごたえがあります。
【コンヴィチュニーの芸風】
コンヴィチュニーの音楽は、自身の若き日のオーケストラ楽員や弦楽四重奏団員、教育者としての経験に加え、オペラの練習指揮者から叩き上げた指揮者としての揺るぎのない自信が反映されたものと思われ、実際に聴いてみると、楽譜に対して客観的に誠実に取り組んでいるものが多く、ゆったり目のテンポでスケール大きく描きあげられた演奏は、オケの音色もあって実に魅力的。
当時のコンサート・オーケストラは大編成での演奏が主流だったため、存在感ある弦楽サウンドもコンヴィチュニー&ゲヴァントハウス管弦楽団の特徴ともなっており、ベートーヴェンの大フーガやモーツァルトのアダージョとフーガ、そしてブラームスの交響曲第1番など、重量感ある仕上がりが独特の味わいを醸し出しています。また、ライプツィヒ放送交響楽団を指揮した演奏でも同様の傾向があったことが確認できるほか、シュターツカペレ・ドレスデンとの演奏では、さらに柔軟な魅力もあったことがよくわかります。
【コンヴィチュニー・プロフィール】
ヴァイオリンとヴィオラを学んだフランツ・コンヴィチュニー[1901-1962]は、22歳から24歳までの3年間、ライプツィヒ音楽院で勉強しながらライプツィヒの歌劇場やフルトヴェングラー時代のゲヴァントハウス管弦楽団でも演奏経験を積んでいます。
卒業後はウィーンに移り、フィッツナー弦楽四重奏団のヴィオラ奏者として活動する一方、フォルクス音楽院で教職に就いて、ヴァイオリンと音楽理論を教えて過ごしていました。
しかし26歳の時には、コンヴィチュニーは指揮者になることを決意し、まずシュトゥットガルト歌劇場の練習指揮者の職を得ます。下積みを経て頭角をあらわしたコンヴィチュニーは、3年後には同劇場の首席指揮者に就任、32歳でフライブルクの音楽総監督となり、その後、フランクフルトの音楽総監督として劇場と演奏会を指揮、戦後はハノーファーとハンブルクで指揮し、48歳のときにゲヴァントハウス管弦楽団の首席指揮者に就任。60歳の時、演奏旅行先のベオグラードで「ミサ・ソレムニス」のリハーサル中に倒れて亡くなるまで同楽団と充実した活動を展開。
その間、52歳から54歳のときにはドレスデン国立歌劇場の音楽監督とシュターツカペレ・ドレスデンの首席指揮者も兼任、54歳からはベルリン国立歌劇場の音楽監督も兼ねるという東ドイツ最高の指揮者として大活躍していました。
【ゲヴァントハウス管弦楽団のシューマン交響曲全集、序曲集】
オーケストレーションに問題ありといわれるシューマンの交響曲ですが、ここで聴けるぶっきら棒なまでの重みのあるサウンドは、シューマンの音楽のはらむ魅力のひとつでもある野趣をよく伝えています。名手ペーター・ダムらのホルンが見事なコンツェルトシュテュックも聴きもの。ステレオ。
【ゲヴァントハウス管弦楽団のベートーヴェン交響曲全集、序曲集、合唱幻想曲】
シューマンと同じく重量級の往年のゲヴァントハウス・サウンドを楽しめる名録音ですが、一方で第九終楽章のファゴットのリリカルな美しさなども心に残ります。ステレオ。
【ゲヴァントハウス管弦楽団のブラ1、大フーガ、アダージョとフーガ】
ブラームスの交響曲第1番は、重厚長大の見本のような融通の利かない不器用さを地でいく味のある演奏。当時のゲヴァントハウス管弦楽団の弦楽の重みの魅力を感じさせるベートーヴェンの大フーガと、モーツァルトのアダージョとフーガは作品のキャラクターを強調するかのような響き具合がたまりません。ステレオ。
【ゲヴァントハウス管弦楽団のブルックナー交響曲第5番】
コンヴィチュニーの自在な解釈
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「最新名曲解説全集」を作曲家別に増補再編。詳細な解説と豊富な譜例で大作曲家の名曲を的確に理解できる。
ロシアの大地に生まれたロマンと憂愁。没後100年記念出版。
詩的感情と色彩感覚を音にした印象派の巨匠。詳細な解説と豊富な譜例で、大作曲家の名曲を的確に理解できる。
本書で扱う樹種も沖縄産の樹種に絞り込み、培養管理の方法も沖縄での作業に沿って解説されています。内容も詳しく系統的に記述されており、これから盆栽をはじめる初心者はもとより、ベテランの方にも大変参考になります。
1970年代、有機的な組替えやズラしによって、外の空気を浸透させ他を受け入れる作品を精力的につくり、あるがままをアルガママにする仕事をした「モノ派」、その運動の柱として知られ、国際的に活躍する李禹煥の著作を集める。そして著者自身の芸術について、セザンヌやマチスに始まり、ゲルハルト・リヒター、ペノーネ、若林奮、白南準ら現代芸術の旗手たち、古井由吉や中上健次などの作家たちについて、そして、ものと言葉について…自分と、自分をとりまく外の世界。その境界にあたらしい刺激的な見方を開く。
心を魅了し、心を悩ませる存在ー鏡。それは真実への窓となり、現実をあざむき、過去を映し、未来を占う。好奇心の赴くまま、その不思議を探訪する、鏡のエンサイクロペディア。