「何者じゃ」夜回りの老局は思わず誰何した。奥州棚倉の城主、勝田駿河守の上屋敷の闇に男が蹲っている。「土蜘蛛の精…」名乗ったその顔は幽鬼のものであった。折しも婚儀定まった姫を案じて寝所に踏み入った局の見たものは、無惨な姫の姿。姫が自害して果てたのは間もなくである。勝田の家を呪うのは、いったい何者?もと歌舞伎役者の色男、文七が陰謀に迫る。
ご存知、揉め事処理屋・醍醐蘭馬。この美しき魔人にささやかれた女性は皆、恍惚の表情を浮かべ、烈女に変身するー。彼の前に立ちはだかる長年の宿敵は、紅蜘蛛男爵こと紅蓮田十馬。奥秩父に建つ謎の洋館で繰り広げられる毒蜘蛛vs.毒蜘蛛の凄絶な死闘!さしもの蘭馬も絶体絶命の危機に陥る!疾風怒涛の面白さ、傑作スーパー伝奇バイオレンス長編。
メタファーの構造に文化の構造への指標を探る、斬新かつ独創的なアプローチ。蜘蛛の巣のメタファーに、アメリカ文学と文化を生み出した作家たちの根源的衝動を読み解く。
天空から下りてくる不思議な力…戦中、戦後の苦境と波瀾に満ちた生涯を振り返り、平和を希求してやまない体験的人生論。
毒蜘蛛ーそれは凄腕の女殺し屋の呼び名。たぐいまれな美貌と脅迫的なまでに豊かな肢体を武器に男たちをたらし込み、狙った獲物は決して逃さない。その彼女が連続猟奇殺人事件の謎をめぐり、ライバルの殺し屋たちと死闘を展開する!実力派の気鋭が贈る会心作。
余命短い父を看取るため、二十数年ぶりに故郷の田舎町へ戻ってきたロイ。かつて弟が自殺した事件の真相を探るうち、一生を不機嫌に過した父の秘密を知ることになる。そして町を牛耳る保安官の不審な行動。蜘蛛の巣のような家族と地縁のしがらみに搦めとられるロイは、だが次第に復讐のターゲットを見出して行く。
古都の因習に名探偵、惑う!妖艶な和服美人の依頼をきっかけに伊集院は「幻の友禅」を巡る事件に巻き込まれた。
深夜零時。土砂降りのなか飲酒運転していた弁護士フランクは、酔いと仕事への鬱憤から激情に駆られ、自分のBMWをエクスプローラーに追突させる。それにより夫とおなかの子供の命を奪われたFBI捜査官チャーリーは、捜査担当をはずされても犯人を追う。追いつめられたフランクは、狂った糸に操られるように凶行を繰り返し…名手がフロリダを舞台に描く狂熱のサスペンス。
松本清張、島田荘司、有栖川有栖、北村薫、東野圭吾、綾辻行人、法月綸太郎、京極夏彦、高田崇史、殊能将之、舞城王太郎、西尾維新…連綿と連なるミステリーの系譜を、鋭利にそして流麗に斬る。京大ミステリー研にこの人ありと言われた伝説のカリスマ・巽昌章、初のミステリー評論集。
美濃郡上で宿敵・横山佐十郎との決戦を制した音無黙兵衛こと菅郷四郎は、伊之助を伴い、東海道を西に向かった。目的地は、京か奈良か。その行く手を総がかりで阻もうとする伊賀者たち。さらに、謎の幻術師の魔手が忍び寄る。はたして危地は乗り越えられるのか。書き下ろしシリーズ、第二部開幕。
豊かな自然に包まれたカナダの大都会バンクーバー。出張捜査でかの地を踏んだ薬師寺涼子警視は、高圧的な外交官僚を挨拶代わりにおシオキする。続いてハリウッドの超大物プロデューサーから女優としてスカウトされたお涼サマ。ウジャウジャ出てくる悪役相手に、演技ではないスーパー・アクションで戦闘開始。
彫刻家・遠野公彦。独身、四十二歳。頭髪と体型に少々の難あれど、相続資産あり。そんな遠野に巡ってきた、千載一遇のモテモテチャンス。だが、ひょんなミスをしたことが運の尽き。艱難辛苦、抱腹絶倒、めくるめく夜の迷走劇がはじまったー(表題作「蜘蛛の糸」)。他、しょうもなさ天井知らずの男たちを濃厚に描いた全七編。
銀座で見かけた妖艶な和服美人の後を迫って着物の展示会に迷い込んだ伊集院大介。彼女の依頼で「幻の友禅」を探すことになる。そんな折、熱心な着物コレクターが惨殺される。謎の美女、激しく対立する着物作家兄弟、連続する殺人…。事件の輪郭すらつかめない伊集院は惑い、悩む。大人気シリーズ第14弾。
「ささがね」という蜘蛛に掛かる枕詞がある。この枕詞は語義不詳とされ、時代が降るにしたがって、蜘蛛の異称と考えられるようになった。しかし、タミル語でこれを解釈すると、実に適切な意味があぶり出される。本書は古典に残るこれらの未詳語を中心に、タミル語でこれを解釈すると、いかに合理的に理解できるかを指摘したものである。
あたたかき、まどろみの時間。やわらかな日差しのように。優しい視線から紡ぎだされる、珠玉の歌たち。