農地ができると「害虫」が生まれる。人類は、農耕生活を開始して以来、さまざまな害虫の被害に悩まされてきた。その防除を目指して、農薬をはじめとしてさまざまな手法が用いられてきた。しかし、「殺虫剤の逆理」という言葉に示されるように、単に「駆除」を目指したのでは、農業生態系を構成する生物群集の多様な機能を損なうだけで、害虫による被害を抑えることは難しい。生態学の最近の研究成果に基づき、生物間に働く多様な相互作用を利用した害虫管理によって農作物への被害を経済的に許容できるところまで抑制する道を探り、その基礎とその方向性を示す。
地球上には150万もの種が生息するが,これら多数の種はどのようにつくられたのだろうか。ピーター・グラントとローズマリー・グラントの夫妻は,1973年以来40年もかけてこの問いに迫ってきた。その精力的な研究の成果が,32頁におよぶ鮮やかな口絵写真とともに本書にまとめられている。研究対象となったのは,南太平洋のガラパゴス諸島に生息する一群の鳥,ダーウィンフィンチである。
本書では,種分化にかかわる数多くのプロセスが一つ一つ検討され,ダーウィンフィンチの長期野外研究の結果に基づいて検証されていく。たとえば以下のようなものだ。
・何年かに一度,急激に変化する自然環境下で,自然淘汰によりフィンチの嘴の形態とサイズが急速に進化することを,自然淘汰のはたらく条件や原因も含めて詳細に実証した。
・子どもは父親からさえずりを学習する。これは雌による配偶者選択にはたらく。結果,種間の交雑を避けることになり,生殖隔離機構として重要な意味をもつ。また,学習の相手を間違えることで異なる種の間での交雑が生じる。これは鳥類では一般的なことらしい。
・交雑は結構頻繁に生じていて,雑種形成による遺伝子浸透のため種間の区別が消失してしまうこともある。そうでない場合には,交雑は形質の遺伝的なばらつきを増やして自然淘汰がはたらきやすくし,環境への素早い適応的進化をもたらす。
翻訳出版にあたり,グラント夫妻から寄せられた日本語版へのあとがきには,ガラパゴスのダーウィンフィンチのすべての種について,全ゲノムが解読されてわかったことや最近のフィールド調査の成果など,本書を出版した後の研究の進展が書かれている。この分野の研究の進展についての興奮を読者に伝えたいという著者達の意気込みが伝わる。
(ピーター・グラントとローズマリー・グラントの夫妻は,2009年に,基礎科学部門における第25回京都賞を共同受賞している。進化生物学や生態学,動物行動学といったいわゆるマクロ生物学では,京都賞が最高の権威をもつ)
長期にわたる野外研究の重要性とともに,他方でゲノム研究や発生の分子生物学,学習などの進歩と,生態学や動物行動学,地理学などとが結びつくことによって生命現象が深く理解されうることが,本書により実感できるだろう。
[原著:How and Why Species Multiply:The Radiation of Darwin's Finches. Princeton University Press.]
安定性解析と分岐理論のself-containedな実用的入門書
本書は,常微分方程式の平衡点および周期解の安定性と分岐に関する基本的な内容を平易にまとめた後,生物の形態(パターン)形成理論の出発点となったチューリング理論の入門的な解説を行ったものである。数学を専攻していなくても読めるように,本文中で必要とされる予備知識は微分積分と線形代数の範囲にとどまるよう配慮し,それを超えると思われる事項は付録で手短に説明している。
第1章 現象と微分方程式
1.1 はじめに
1.2 生物個体群のダイナミクス
1.3 単振り子
1.4 化学反応に現れる振動
第2章 安定性
2.1 流れとベクトル場
2.2 平衡点の安定性
2.3 中心多様体
2.4 座標変換
2.5 周期解の安定性
2.6 保存系と勾配系
2.7 平衡点の大域安定性とリアプノフの方法
2.8 相平面解析
第3章 分岐
3.1 サドルノード分岐
3.2 トランスクリティカル分岐
3.3 ピッチフォーク分岐
3.4 ホップ分岐
3.5 分岐の基本型の分類
3.6 分岐解析の実例
3.7 n次元常微分方程式における分岐
3.8 不完全分岐とカタストロフ
3.9 チューリング理論
付録A 微分積分と線形代数に関する事項
A.1 ジョルダン標準形
A.2 平面上の点集合
A.3 ランダウの記号
A.4 オイラーの公式
A.5 陰関数定理
付録B 常微分方程式論と関数解析に関する事項
B.1 微分方程式の解の一意存在定理
B.2 ポアンカレ・ベンディクソンの定理
B.3 関数空間
B.4 リアプノフ・シュミット分解
付録C 数値計算法に関する事項
C.1 疑似弧長法
C.2 反応拡散方程式の数値解法
問題のヒントと略解
参考文献
明快なフレームワークに基づいた的確な解説により,定評を得た入門テキストを新版化。マーケティング戦略の立案に必要な知識と手順を説き明かす。電子商取引の発展,コロナ禍の影響など,最新動向も取り入れ,事例やコラムを更新した,新しい時代のスタンダード。
序 章 マーケティングへの招待
第1部 環境分析
第1章 競争環境
第2章 市場環境
第3章 流通環境
第2部 マーケティング戦略形成
第4章 市場機会の探索と評価
第5章 需要多様性への対応
第6章 価値提供と競争優位
第7章 新製品開発戦略
第8章 製品ライフサイクルとマーケティング戦略
第3部 マーケティング・ミックスの策定
第9章 製品政策
第10章 価格政策
第11章 プロモーション政策
第12章 流通チャネル政策
さらなる学習のための文献ガイド
参考文献一覧
単なる就職活動のノウハウではなく、長期的なキャリア形成の指針として大学生や同世代の若者が就活とともに、その後の人生を幸せに送るためのベースになる考え方を紹介する。
グローバル時代における地域の可能性を「コンテンツからコンテクストへ」という視点から学際的に研究する地域デザイン学会の研究論集。今号の特集は「地方と地域&地方と中央」。原田保ら研究者の論文と研究ノートを収録。
『地域デザイン』第25 号の刊行にあたって 3
原田保
巻頭論文
ZTCA デザインモデルの進化と
セラー&バイヤーwith エージェントモデルの構築 11
──マーケティングへの適用をトリガーにしたZTCA デザインモデルのメタモデル化&
エージェントの活用による進化型セラー&バイヤーモデルの形成
原田保 石川和男 西田小百合
論文1
地域価値発現のためのZTCA デザインモデルの精緻化・汎用化に向けた対応 45
── Z を起点にしたモデルの体系化と他要素との関係性を捉えた展開
原田保 石川和男 西田小百合
論文2
中山間地域における「小さな拠点」形成の取り組みとその課題 97
──島根県雲南市の事例を手がかりとして
大江一平
論文3
シェアリングエコノミーの導入による地方公共交通問題の解決とその課題 119
倪卉 野田哲夫
論文4
経済成長の原動力としてのグローバル都市 139
──英、仏、米の大都市圏成長戦略
板倉宏昭
論文5
地域におけるAI の活用処方 その2 149
──地域と生成AI に焦点を当てて
酒井雅裕
研究ノート1 Ⓡ
越境するまちづくり 169
──境界変容の視点から
宮脇靖典
研究ノート2 Ⓡ
東京のクラブ所在地の分布はべき乗則に従う 189
──地域デザインと複雑系科学の接点
石松宏和
一般社団法人地域デザイン学会 2024年度活動報告 209
地域デザイン学会誌『地域デザイン』投稿規定・執筆要領 223
地域デザイン学会誌『地域デザイン』第27号掲載論文の募集について 227
編集後記 228
自衛隊で学んだ、誰でも使える「リーダーの技術」
「部下が思うように動いてくれない、育たない」
「チームが一つにまとまらない」
「上司と部下の板挟みで、どう判断すればいいかわからない」
多様性が重視される時代になった一方で、このような悩みを持つ人はかえって増えたかもしれません。
この悩みを解決するのが、自衛隊の「リーダーの技術」です。
自衛隊は、任務に向かって隊員の心を一つにすることが求められます。
その重要性が強く認識されているからこそ、「リーダーの技術」が生まれ、脈々と受け継がれてきました。
この「リーダーの技術」を習得すれば、たとえ天賦のカリスマ性がなくても、すばらしいリーダーになることができるのです。
本書では、自衛隊を1等空佐で退官し、民間企業でコンサルタントに転身した筆者が、誰でも使える「リーダーの技術」を解説します。
「Bluetooth」は、近距離にあるデジタル機器やツールをつなぐ無線規格です。
「スマホ」や「タブレット」などにも搭載され、「イヤホン」や「キーボード」とつないでいます。
さらに、低電力で通信が可能な「BLE」(Bluetooth Low Energy)が、スマホなど端末同士での通信や、近付くとスマホに直接情報を届ける「Beacon」(ビーコン)、「ウェアラブル端末」との通信手段として使われ、今後一層の普及が見込まれます。
本書は、その「Bluetooth」の「仕組み」から「各規格との違い」まで、最新規格「バージョン6.0」の情報も追加し、詳細に解説しています。
序章 Bluetoothの誕生
■Bluetoothの概要
■Bluetoothの歴史
第1章 コントローラとインターフェイス
■電波と物理層
■ベースバンドとリンク層
■周波数ホッピングとピコネット
■インターフェイス
第2章 ホストとセキュリティ
■論理リンク制御
■サービス層
■接続ルール
■セキュリティ
第3章 プロファイルとアプリケーション
■従来版プロファイル(Ver.1)
■伝統的プロファイル(Ver.2)
■GATTベースのプロファイル
■アプリケーション
第4章 これからのネットワークとは
■ネットワークの多様性
■給電
100年続く大学の森である芦生研究林が、地元美山町の住民と、森と里の共再生を目指し本気の超学際研究に取り組んだ。多様な価値観と立場が交錯する中での協働のコツや苦労、研究者の変化、継続のヒントまで。
【新課程対応版】生物の要点全5章。駿台予備学校講師の板書が見られる。右ページには板書したノートの画像、左ページにはそのテーマに関する講義を掲載。
多くの企業がブランド戦略に取り入れている「パーパス」。
実際の現場では、どう作られ、浸透されているのか。
その実例を紹介する。
川添愛さん(作家・言語学者)推薦!
「変なスポーツ、辞書に載らない単語、世界最低の詩人……。読んで確信した。
無駄と無意味こそが至高であり、豊かさであり、英国文化の真髄なのだと。」
英語を学ぶ人、英国文化を愛する人に捧げる、
知れば知るほど面白いトリヴィア満載の教養エッセイ!
「英語圏、特に英国には優れた文学作品が数多あり、多種多様な伝説があり、諺や成句など面白い表現がいろいろあるーー先に触れた『胡瓜のように冷静な』や『ドア釘のように死んでいる』といった不可解なイディオムも枚挙に暇がない。英国には造園や自然観察、あるいは英国発祥の各種スポーツを始めとして、他国のそれとは一味違った特有の文化があり、英国各地にはその地質や気候の多様性に育まれた独自の地方色がある。英語や英国文化を楽しむためのきっかけとなることを期待して、雑多な『無駄話』を以下にお届けする。」
ーー「はじめに」より
〈目次〉
はじめにーー英語の不規則性と多様性
第1章 知っていても特に役に立つわけではない英語の話
グラマラスな文法、短いシャツとスカート、あるいは塩とソース
コラム 写真はイメージです
試験におそらく出ない英単語
コラム Eを一度も使わずに書かれた長編小説
英国の地名と英語のイディオム
コラム 語尾のyをiに代えて…
第2章 世にも奇妙な英国文化
英国的「スポーツ」に関する無駄話
コラム 栃の実遊び禁止令
ロンドン地下鉄に関するまったく無用な情報
コラム 結婚祝いのジェンダーフリー化
オクスフォード幽霊譚
コラム 学校給食改善運動
ボーンヴィルーーチョコレート工場のために作られた村
コラム 野鳥のための庭
第3章 物語の生まれる国
オクスフォード文学散策
聖フライズワイド伝説ーーオクスフォードの守護聖人の物語
コラム ウィリアム・モリスの庭
ケインブリッジ詩人伝
最低の詩人ーーウィリアム・マゴナゴール
ワーズワースの奇妙な三部作
第4章 留学せずに英語を学ぶ方法
なぜ私は英文学に傾倒あるいは耽溺したのか
『たのしい川べ』とゴダイゴ
ロンドンの第一印象
コラム 英国人児童のための英会話
日本のテレビドラマに見る英語教師像
おわりにーー英語の創造性など
2000年に62歳で斃れるまで、原発の危機を説き続けた「市民科学者」高木仁三郎が、その思想の全容を語りつくした名著、いま蘇る。
植物の不思議な生き様がよくわかる!身近な木々や草花がちょっと違って見えてくる!
第1章 植物のかたちーー基本は根・茎・葉
第2章 植物の生活ーー光合成のしくみと植物の反応
第3章 植物の生殖ーー花と果実の多様性と植物の生活史
第4章 植物の分類ーー被子植物のいろいろ
ヨーロッパのラテン語・ギリシア語とインドのサンスクリット語に共通の祖となる、失われた起源の言語ーー。そんな仮想の言語の話し手として「アーリヤ人」は生み出された。そして、それは瞬く間にナチス・ドイツの人種論に繋がる強固な実体を手に入れる。近代言語学の双生児「アーリヤ人」は、なぜこれほどまでに人々の心を捉えて離さないのか。
言語学誕生の歴史から、「すべての起源」インドに取り憑かれた近代ヨーロッパの姿が克明に浮かび上がる!
「インド学」はインドで発達した学問ではない。18世紀末からサンスクリット語文献を集めてきたヨーロッパを中心に発達してきた。私たち日本人が抱く「インド」イメージもまた、近代ヨーロッパという容易には外しがたい眼鏡を通して形成されている。
植民地インドで「発見」された古典語サンスクリットの存在は、ラテン語やギリシア語との共通性から、ヨーロッパとインドに共通する起源の言語の存在を想像させた。類稀な語学の才に恵まれたイギリス人ウィリアム・ジョーンズ(1746-94年)によるこの「発見」によって、近代言語学は誕生する。同時にオリエンタリズムがヨーロッパを席巻し、『シャクンタラー姫』をはじめとするサンスクリット語文献が次々にヨーロッパで翻訳された。
その奔流のなかで『リグ・ヴェーダ』を英訳したのが、ドイツ出身で英国オックスフォード大学に職を得たフリードリヒ・マックス・ミュラー(1823-1900年)である。彼は比較言語学の成果から、『リグ・ヴェーダ』の成立年を紀元前1200年頃と推定し、「アーリヤ人の侵入」を紀元前1500年頃とした。日本の教科書でもよく知られる記述の源は、ここにある。
19世紀ヨーロッパで言語学とともに誕生した「アーリヤ人」は、20世紀にはナチス・ドイツによるユダヤ人迫害を生み、さらにはインダス文明が発見されたインドに逆流して、考古学的成果と対峙しながらさらなる波紋を生んでいくーー。
近代言語学の双生児「アーリヤ人」は、なぜこれほどまでに人々の心を捉えて離さないのか。なぜ言語は常に民族という概念を呼び寄せずにいられないのか。言語学誕生の歴史をひもとくことで「起源」というロマンに取り憑かれ、東洋を夢見た西洋近代の姿を克明に描き出す。インドの実像に目を開く一冊。(原本:『新インド学』角川書店、2002年)
【本書の内容】
第1章 インド学の誕生ーー十八世紀末から十九世紀初頭のインド・カルカッタ
第2章 東洋への憧憬ーー十九世紀前半のヨーロッパ
第3章 アーリヤ人侵入説の登場ーーー十九世紀後半のヨーロッパ
第4章 反「アーリヤ人侵入説」の台頭ーー二十世紀のインド
第5章 私のインド体験ーーー多様性との出会い
補 章 出版二十年後に
第1章 インド学の誕生ーー十八世紀末から十九世紀初頭のインド・カルカッタ
第2章 東洋への憧憬ーー十九世紀前半のヨーロッパ
第3章 アーリヤ人侵入説の登場ーーー十九世紀後半のヨーロッパ
第4章 反「アーリヤ人侵入説」の台頭ーー二十世紀のインド
第5章 私のインド体験ーーー多様性との出会い
補 章 出版二十年後に
「アメーバ経営」は、京セラを創業した稲盛和夫名誉会長が考案した経営管理手法であり、管理会計システムの仕組みにきわめて優れた叡智が結集されている日本的管理会計を代表する手法の1つである。本書は、アメーバ経営の導入にみる「プロトタイプ(原型)の管理会計システム」と「導入された管理会計システム」との比較分析を行っている。具体的には、アメーバ経営を導入しているホテル2社と、プロトタイプである京セラとの比較考察であり、それらの管理会計システムの「一致」と「相違」を明らかにし、その「多様性」の解明を試みるものである。
甦る日本企業ーーDX時代の戦略経営で価値創造企業に改革する!
近年のデジタル技術革新に、世界から周回以上の遅れがあるといわれる日本企業であるが、精査すると従来日本企業が持つ強みはDX時代に求められる組織能力との親和性が高い。戦略経営の諸理論に対して、日本企業の経営特性は多くの領域で整合し、DX時代の日本型企業再生は「温故知新」で臨む必要がある。価値創造企業に改革するために、日本企業のどの強みを活かすことが有利なのか、経営の標準理論の理解を通して考察する。
第1章 経営理論と戦略経営のフレーム
第1部 企業の本質と企業を経営することの意味
第2章 企業の形態・種類と仕組み
第3章 コーポレート・ガバナンスの考え方と仕組み
第4章 企業のステークホルダーである社会を意識した経営
第5章 企業の境界と中間組織に関する考え方
第6章 日本的経営の特徴とその根底にある要素
第2部 経営戦略に関する諸理論
第7章 戦略と戦略理論の多様性
第8章 規範的な戦略理論
第9章 規範的な戦略理論の限界とダイナミックな戦略理論
第10章 戦略策定へのアプローチ方法
第3部 戦略のマネジメント・コントロール
第11章 戦略マネジメント・コントロールの考え方
第12章 経営における組織理論の進化
第13章 組織の基本構造と組織開発
第14章 グループ経営
第4部 戦略経営を実現するための重要テーマ
第15章 成長志向の経営への転換
第16章 価値創造におけるサービス事業化
第17章 国際事業展開
第18章 イノベーションを加速する経営
第19章 戦略マネジメント・コントロールの高度化
第20章 日本型企業再生のための経営資源と組織能力の進化
不織布の製造と用途全般をやさしく解説。主な不織布メーカーと製品の一覧表付き。