昭和の名人だけど、権助ものがまた巧い。『夏の医者』は田舎の夏の風物詩といった雰囲気の噺で、飄々とした味が何とも言えない。『三年目』もさらりとこなしていて、この人らしい。大作をじっくり語るのもいいが、こういった軽い噺にえも言われぬ面白さが。
名作として知られる『寝床』は53年の収録。母親について子供時代から身についた義太夫の発声をおかしく聞かせるマクラをふって、旦那芸の義太夫“独演会”のてんやわんや。『唐茄子屋』は『唐茄子屋政談』の序にあたる茄子売りを独立させて滑稽話としたもの。
志ん生に入門し、師匠ゆずりの艶噺や廓噺を継承し、手話落語など、独自の世界を作り上げている圓菊の、円熟の人情話。志ん生が得意としたネタを収録。爆笑を誘いほろりとさせる至芸だ。