薔薇に埋もれた城館に住む“姫”と呼ばれる貴族と、それに仕える忠節無比の四人の騎士は、妖物や天災から村を守る一方、命に背く村人を容赦なく惨殺して、長い年月、村を支配下に置いてきた。だが、時の流れはこの村にも貴族の支配に疑念を抱く若者を生み、それに対する姫の側の報復も凄惨の度を増した。そして、惨劇のさなか、Dが村に足を踏み入れた。
足利八代将軍義政の夫人日野富子。政治をおろそかにする義政にかわり、わが子を将軍につかせ、その権威を死守した。11年もの長い応仁の乱の中でたくましく生きた女性のすがた。
旅のあいだは吸血を禁じるとの条件つきで、クラウハウゼンの村へ送ってほしいというバラージュ男爵の護衛依頼を、Dは承諾した。青いマントをまとったその美しい貴族は、西部辺境統制官である父を弑する旅に出るのだ。貴族と貴族を狩るハンター、本来なら到底あり得ぬ奇怪な組み合わせの一行は、間違いなく選りすぐりの刺客たちが待ち受ける危険な街道へと、歩を踏み出した。
至上の愛が時の壁を越えたとき、ふたりが迎えるのは、幸せなゴールか悲しい結末か。ここに、二通りの実験結果をご報告する。そのうちの一つは、もはや「実験」とはいえない、決死の非合法時間旅行。もう一つは、計画的な実験が思わぬ事態を引き起こす。いまや伝説として語り継がれる、感動の涙と危機一髪のスリルに満ちた愛。その軌跡を、ぜひたどっていただきたい。そして、第三の伝説を創るのは、あなたの愛。
20年ぶりのスキー体験、欲望の鬼と化した山菜取り、“オムライス歴訪の旅十日間ぐらいコース・都内名店三店ぐらいめぐり”、熱海へ行って正しい「温泉旅行道」を究める…激動の世の中に疲れてしまった大衆諸君にやすらぎを与える唯一の書。
のらねこだって絵本が大好き。ソクラテスと1年生のカズヒコのゆかいでたのしい物語。スカッとした気分が味わえる。
ついに一行はクラウハウゼンの村に入った。Dは男爵を守り抜き、契約は果たされたのだった。Dと別れた男爵は、最後のそして最大の仕事をやり遂げるべく、己れの呪われた過去が秘められた父ヴラドの居城へと向かった。だがそこには、奇怪な老科学者カリオールに率いられた三人の刺客が待ち受けている。ヴラドの魔手は同時にDにも伸び、辺境の村で凄惨な戦いがはじまろうとしていた。
最初の訪問から70年をへて再度太陽系を訪れた謎の飛行物体ラーマは、それを脅威とみなした人類の核攻撃を受け、破壊されたかに見えた。しかしーラーマは生きていた!人類の調査隊員3人をその内部に閉じこめたまま、ラーマは太陽系を離れ、どことも知れぬ目的地をめざして虚空を飛びつづける。そして深宇宙の彼方でラーマが停止したとき、そこに待ち受けていたのは、人間の想像をはるかに超えた巨大な構造物だった。
ベラスケスからヘルムート・ニュートンまで。古今東西12の裸体画をめぐる対話集。
この光がある限り、生きていける、と僕は思った。毒ガスと殺人兵器で、最終戦争を企てる邪宗パドマ教団。脳に電極を埋め込まれた記憶喪失の青年は、かつて教団の福音の伝道者であった。認識と欲望の交錯する迷宮で、青年を救った光とは!!世紀末を預言する渾身の問題作。
第一次大戦後、苛酷な講和条項の首枷とインフレにあえぐドイツ民衆の前に現われた鉤十字の旗は、巧みな手管で全国土の空に翻った。絢爛華麗な文化を育んだ民主体制の崩壊は、なぜ生じたのかー当時、ドイツに駐在し、ヒトラーとも会談した著者が、国民の心情の移ろいをも交えてナチス支配の道程を克明に描く。