リサイタル、室内楽、オーケストラとの共演、さらにTV・ラジオでの活躍などで、フルートという楽器を多くの音楽ファンに再認識させたのが山形由美。クラシック名曲を中心に編まれたこのアンソロジーで、そんな彼女の魅力の一端に触れることができる。
同じコンビによるベートーヴェンのコンチェルトの場合と全く同じことを言いたい。ただ、こちらはモーツァルトらしく、もう少し軽妙な感じがある。それにしても、80歳を過ぎた人とは思えぬ、ワルターのすばらしい演奏だ。(1)はイザイのカデンツァ使用。
ゆったりと歌いながら確実な歩みでオケが進み、ヴァイオリンが待ってましたとこの上なくつややかに始める。その音色の美しいこと! とても60年代初期の録音とは思えない。この2人のコンビをこんなにいい音で聴けるとは望外の幸せだ。
(2)をシングルにした時点で突き抜けたなと思っていたら、案の定アルバムはより過激になっていた。POPとは過激であってこそ成り立つものだ。少々マンネリしてたYUKIの描く詞の世界とは別格の(3)(6)に見るTAKUYAワールドは、今回もいいフックに。