今回復刻された『東京経済学講習会講義録』は、官民あげての翻訳ブームのなかで登場した経済書翻訳企画である。それは自由主義経済を信奉する田口卯吉が音頭を取って始められたものだが、取り上げられた書物のなかに、アダム・スミス『国富論』やウォルター・バジョット『ロムバード街』など経済学上の名著が含まれていたので、わが国への外国経済学導入の観点から見て、注目に値する。