絵画や音楽、映画、文字を通して他人へ自分の思いを伝えることーーそれが芸術の大きな役割。人と人とが仲良くする知恵でもあるのです。
古くより芸術家は活躍の場を求め、また研鑽を目的に、他国へと旅立った。美術の発展にとって彼らの移動はまちがいなく重要な役割を果したが、それが形象や図版の伝播の根拠として安易に語られてきた面も否めない。その反省の上に立つ時、美術の発展を描く歴史地図に「芸術家の旅」をいかに具体的に書き入れることができるだろうか?芸術家の移動をめぐる、かつてない論集。
絵画・庭園・建築まで視野に入れた英国美術入門書
ホガース、ブレイク、モリス、コンスタブル、ターナー、レノルズから、イングリッシュ・ガーデン、教会建築、最新の都市デザインに至るまで一貫して見出される、英国らしさとは何か。広いパースペクティヴで英国的なるものの特質と精神を解明する、イギリス美術・文化の入門書。
目次
I 芸術地理学
II ホガースと人間観察
III レノルズと囚われることのない自由な精神
IV 垂直様式の英国
V ブレイクと炎の線
VI コンスタブルと自然の追及
VII 絵のように美しい英国
<著者紹介>
ニコラウス・ペヴスナー (Nikolaus Pevsner) (1902?83) ドイツに生まれ、1934年にイギリスに移住した美術史家。英独の大学で美術史・建築史を講じ、その関連の著作も多数。邦訳で現在購入可能なものは、『モダン・デザインの展開ーーモリスからグロピウスまで』(みすず書房)、『世界建築事典』(鹿島出版会、共著)。
蛭川久康 (ひるかわ ひさやす) 1931年生まれ。東京大学教養学部教養学科イギリス科卒。武蔵大学名誉教授(英文学・英国美術)。著書に『ジェイン・オースティン』(英潮社、1977)、『アイリス・マードック』(冬樹社、1979)、『バースの肖像』(研究社出版、1990)、『イギリス文学地名辞典』(編著、研究社出版、1992)、『ロンドン事典』(編著、大修館書店、2002)。
「用の美」と鉢そのものの美しさ。時代や素材の質感が醸し出す深遠な世界観や、釉薬と窯変で表現される陶匠の美など、土と炎が織りなす神秘によって気鋭の盆栽家・小林國雄を虜にした盆器の数々-。
特集 みやびなる京焼
2023年春、文化庁が東京から京都へと移転する。明治以来、初となる中央省庁の移転となる。これを機に、京文化を継承する現代の「京焼」について見直してみたい。華やかな色絵が施された京焼は、誰もが憧れる京都のイメージを体現する、優雅で洗練された雅な表現で注目できる。近年、石川・九谷の細密絵付が話題になっているが、京焼はそれに拮抗する色絵の魅力に満ちあふれている。本特集では、京焼の伝統を受け継ぎつつも、独自に新たな創造を芽吹かせる現代作家と、野々村仁清や尾形乾山といった京焼のイメージを確立させた江戸時代の名工の作品を取り上げる。と同時に、典雅な茶道具だけではなく、時代の要請により様々に姿を変えてきた京焼の歴史まで紹介する。
喜怒哀楽を操り、共同体を再生させ、時に神や亡霊をも呼び出す舞台芸術の魅力は如何に生み出されるのか。ギリシア悲劇を範とし、オペラやバレエへと拡散していく西洋演劇史を踏まえつつ、能、文楽、狂言、歌舞伎といった日本の伝統芸能や中国の京劇、バリ島の舞踏も取り上げ、その真髄を鮮やかに描き出す。自らも演出家として活躍した演劇研究の泰斗が、歴史・理論・実作を一本の線で結ぶ入門書の決定版。
解説・平田オリザ
*本書は、1996年に放送大学教育振興会より刊行された『舞台芸術論』を再編集し、改題のうえ文庫化したものです。
【目次】
はじめに
第1章 演劇 この多様なるもの
第2章 劇場の系譜
第3章 劇場とその機構ーーシステムとしての劇場
第4章 演じる者の系譜
第5章 稽古という作業
第6章 劇作の仕組み
第7章 悲劇と運命
第8章 喜劇と道化
第9章 近代劇とその対部ーー前衛の出現
第10章 東洋演劇の幻惑(一)
第11章 東洋演劇の幻惑(二)
第12章 前衛劇の地平
第13章 理論と実践ーー世阿弥の思考
第14章 オペラとバレエーー新しいキマイラ
第15章 舞台芸術論の現在
おわりに
解説
参考文献
1930年代の新興写真に端を発したモダニズム史観では捉えきれない、日本の写真表現の多様性を念頭に置き、日本の写真の歴史的な展開を読み直す。
建築がいかに芸術として成立しうるかを、具体的な要素を分析しながら解明した入門書。
半世紀を経て、ついに日本語版が誕生。オリヴァー・スタットラーが出会った29人の版画家たち。
特集 進化する小石原焼
「小石原焼」をご存じだろうか? 民藝ブームによって知られるようになった、飛鉋や刷毛目が施された素朴であたたかみのあるやきものを思い浮かべる人が多いかもしれない。小石原焼は、福岡空港から車で1時間半ほどの場所に位置する、福岡県朝倉郡東峰村小石原で作られている。標高1000メートル級の山々に囲まれた、小さな村の中に窯元が40軒以上ある。この地から現代日本を代表する陶芸家が生まれた。2017年、福島善三が小石原焼の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。その作品は褐釉、月白瓷、青瓷など、多岐にわたる釉薬の展開が特徴である。一般的な小石原焼のイメージとは異なるが、福島は小石原焼の窯元・ちがいわ窯の十六代目で、鉄分の多い土など地元の素材を用い、小石原焼に多彩な表現があることを示している。そもそも小石原では、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に連れ帰られた朝鮮人陶工を始まりとする茶陶の高取焼が作られていた。その子孫が小石原地区中野に陶土を見つけて開窯し、中野焼が生まれた。そして昭和に入って小石原焼と呼ばれるようになる。本特集では、福島善三をはじめ、現代の作家たち15名と、その知られざる歴史を紹介する。
戦時下の「文化工作」は、いかに手塚治虫を育んだのか?
戦後に花開いた日本映画の担い手たちは、元をたどれば共通の歴史的・文化的体験を有している。東宝が映画を用いて行った戦時下の「文化工作」もその一つであり、あの手塚治虫もまた、それら先鋭的な映画理論やロシア・アヴァンギャルド運動を貪欲に吸収した人物であった。本書では、種々の新史料の発見を通じて、手塚をそれら戦時下のメディア理論の文脈から新たに捉え直すことで、彼の戦後の営みを再解釈せんとするものである。執筆にあたり助力を得た映画史家・牧野守氏の貴重なインタビューや、氏が執筆したTVアニメ『鉄腕アトム』幻の第一話脚本も収録。
コミカライズも決定した人気作『復讐は合法的に』シリーズ続巻!
美貌の合法復讐屋・エリスは様々な依頼を受ける。
逆恨みで嫌がらせを繰り返すYouTuberはどのような報復を受ける?
死亡事件を起こしたブラック企業への反撃の手段とは?
ある犬の身に起きた虐待事件。犯人の正体と罪の所在は?
そして最後に予想外の事件が起きる。
エリスが復讐を果たす前に、依頼人が殺人容疑で逮捕されたのだーー。
西洋美術ファン必携のヴァザーリ『芸術家列伝』。ルネサンス期の芸術家たち人生をスキャンダルも交えながら描きだした同書をイラストや追加の文章を加えて易しく読めるようにしたシリーズの第2弾。今回は、ボッティチェリとリッピをとりあげます。
何度でも騙されたくなる視覚のエンターテイメント。ウラジーミル・クッシュ、ベヴ・ドゥーリトル、リウ・ボーリン、エリック・ヨハンソン、会田誠など、古今東西のさらなる関連アートを収載した『錯視芸術図鑑』に続く第2弾。
特集 変幻自在の織部
織部(焼)は、桃山から江戸時代にかけて、美濃で焼かれた斬新奇抜なやきものとして知られている。同心円状の単純な丸ではなく、歪みがあったり、あるいは扇や千鳥などの形のバリエーションを持ち、そこに幾何学文や吉祥文が生き生きと描かれている。そして、その多くに緑の釉薬が掛けられている。やきもの愛好家をはじめ、料理人や海外のコレクターなどファン層は幅広く、志野と並んで人気のある様式(技法)である。作り手は美濃や瀬戸を中心に全国におり、現代の織部に取り組んでいる。即興的に見える織部の文様に制作論理を見出す者、緑釉を現代的な感覚で捉え直す者、自由さを自分なりに表現する者など、多彩な解釈による現代の織部表現を紹介する。また織部は、武将茶人・古田織部の好みを反映して、同時代に生産されたものだと言われるが、その通説を再考する。
風土論・宗教論・国家論までも包含した形で呈示する、芸術国家・日本の新しいすがた。
日本に伝わる美術・音楽・文学の傑作を紹介しつつ、独自の視点で日本像そのものを再構築する、壮大な文明論。
第一章 日本の「古典主義」の基礎
第二章 天平のミケランジェロ・公麻呂
第三章 聖武天皇は芸術の都・奈良の大パトロンであった
第四章 奈良の都のオーケストラ
第五章 大画家・光源氏
第六章 親鸞はルターに先駆けている
第七章 運慶と鎌倉「バロック」期の巨匠たち
第八章 日本の大学は西欧より進んでいた
年に1回、上野の美術館で開催されていた読売アンデパンダン展。それは、出品料さえ払えば誰でも出品できる無審査の展覧会で、1960年代には絵の具とガラクタと青年たちの肉体と頭脳とが灼熱した坩堝だった。当時、出品作家でもあった著者が、目撃者として、作品や読売アンデパンダンで培養されつつあった不確定性の芸術〈ハプニング〉について描く。