本書は、最近のミクロ的基礎付けを重視したマクロ経済動学の理論・実証両面にわたる論文集である。
科学の危機を乗り越えるために。人類が月まで行ける科学技術の確立と、大震災やタンカー事故で思い知らされる科学技術の不在。こうした科学のひずみの拡大は人生の中年期の危機にも似ている。著者は、心理学の成果を援用して、科学に女性性を統合する必要を説く…。
本書は、「雑草とは何か?」を自由に考える研究会(雑草学会小集会)の討論課題を補強するかたちで、雑草にかかわる歴史、分類、適応、進化、生活の仕組みといった課題を収録したものである。いずれも専門的な解析に加え、人間の生活とかかわる植物である雑草のたくましい性格を考察している。「雑草」に対する執筆者ごとの解釈の違いは、雑草の認識が、どのように多様であるかを示している。本書では特に雑草に関する歴史や生物学的な特性を人間の文化や生活とのかかわりを踏まえて解説することにつとめている。また、できるだけ広い視点から雑草の種類を含めるようにしている。
本書では、免疫現象の特殊性と普遍性について、まずはじめに「総論」でふれた後、各章においては免疫系に特徴的な現象を分子レベルで理解できるように解説することを試みた。免疫全般を網羅しているのではないが、最近特に新しい進展がみられる分野に重点をおいて免疫学の特殊な現象、機構について紹介、解説し、疾患との関わりについても強調した。
熱帯などの知らない土地で、次から次へと思いもかけぬ形態と色彩を持った虫を採る時ほど無上の喜びを覚えることはない…。全世界に数百万種といわれる昆虫の世界の尽きせぬ魅力を語りつつ、ウォレスやファーブル以来の「虫と人」との関わりの歴史を説く。多様性を重んじる構造主義生物学の視角から、いまだにダーウィン進化論の影響を抜け出せない現代のネオダーウィニズムを鋭く批判した好著。
巨大な脳を手に入れたヒトは、生殖目的のセックスに飽き足らなくなり、自由で気持ちよい性に目覚める。やがて始まった性の逸脱。SM、ロリコン、フェティシズム、若年化、セックスレス…。私達の性はどこまで複雑化するのか。
近年、保健活動はヘルスプロモーションに見られるように、地域住民の思い(主観性)を重視する方向へと発展している。一方、福祉活動においてもノーマライゼーションは対象者の思い(自立性)の重視が基本である。ここに地域保健福祉という理念の根拠がある。とはいえ、地域保健福祉の実践はさまざまな要素が絡み合う複雑な活動であり、そう簡単に割り切れるものではない。本書で提起したのは、複雑な事象を無理に単純化してしまう誤りをおかさないための分析法である。その意味で、地域の保健福祉の従事者が日頃の貴重な体験を客観化し、分析し、表現することに役立つものと考える。また、本書で述べた地域保健活動の展開は「生活者としての多様性を持つ個人と地域社会(コミュニティ)をつなぐ」という今日的な課題に寄与するものでもある。保健・福祉・医療にかかわる人のための基本書。
ヨーロッパから見た東アジアに迫る緊張!日本、大中国、朝鮮半島、アセアンの将来分析。