昭和の戦争の時代に遺された本から、伏流水のような言葉と記憶を書きとどめること。「不戦六十年」を過ぎたいま、この国の自由と「言葉のちから」を問う。
母親に捨てられ、義父の借金のカタとして金融業を営む国枝に引き渡された遙。その美しく儚げな容貌で借金返済のために売春を強要されてきた。男達からの陵辱に耐えるため、固く心を閉ざしていたはずなのに、気まぐれに自分を抱いた国枝の言葉に何故か傷ついてしまう。端整な顔立ちだが冷たい目をした国枝の冷酷さに怯えながらも、垣間見える彼の孤独と優しさに遙の心は揺れ動き…。
年下の恋人・章司と暮らす和実は、異端の画家エゴン・シーレの作品「哀しみの女」に強く惹きつけられる。描かれていたのはシーレのモデルで愛人だったヴァリー。この女性の人生に、和実は自分の運命を重ね合わせていく。大人の女の愛を描いた恋愛小説。
「夜回り先生」と薬物依存の少女との往復書簡。
愛と性をめぐる、おかしくて、せつなくて、奇想天外な超短篇90。『一人の男が飛行機から飛び降りる』のユアグロー、待望の新作。
「生」とはなにか、「死」とはなにか。短くても美しく生きる捨て子ライオン。子どものために死の中に飛び込むヌー。他者の死を悼み弱者をいたわる象…「生」の重さはその長さだけではない。
死別の悲しみにどう向き合うのか、どうすればのり越えられるのかー。積極的に涙を流す、言葉にして苦痛を吐き出す、ひとりで苦しまない、からだを動かす、しっかり悲しむ。最愛の妻をがんで亡くし、自死を考えるほどの最悪の状態から立ち直った医師が、悲嘆に苦しむ人を見守り、支え、あらゆる方法で助けの手をさしのべるグリーフケアについて、自らの体験をもとに綴る、標の書。
「ここにずっといたい」と思わせる、幸福やなぐさめに満ちた空間の数々。「居心地のよさ」をとりいれる工夫でいっぱいの、北欧の美しいデザインを案内します。北欧建築に恋した旅のエッセイ。
きらめく宝石のような日本語に出会える!お子さんと一緒に、ぜひ声に出して読んでみてください。「雨ニモマケズ」「雪国」「枕草子」「サーカス」…小さな子の情緒を育て、生きる力を養う48の珠玉の名文を厳選!
とある町の小さなパチンコ店の前に置かれた一冊の「里親探しノート」。ある日、その店に勤める五郎は、ノートに奇妙なことが書かれているのを見つけた。「ネコは、ごはんを何日食べなければ死にますか?」この書き込みによって、五郎と常連客の宏夢はある事件に巻き込まれると共に、答えのない問題と向き合うことになる。人はどうして生まれたのか?何のために生きているのか?成功とは何なのかー。一冊のノートを介して様々なドラマが繰り広げられていく、全四話の心温まる物語集。
突然の喪失、失われた「普通」の暮らし。求められる被害者遺族像に囚われることなく、社会の物語、大きな物語に引っ張られることのない語りを求めてー
いろんな事件現場になぜかいるゾロリ。ひたすら推理のじゃまになるゾロリ。まじめにふまじめすぎる事件の結末…。まったくあたらしくてけっこう手ごわいミステリー集。
宮廷の栄華、名高き名手の秘密、叶わぬ愛と不実の恋、そして殺人!あの古楽作品誕生の背景には、こんなエピソードがあったー史実をもとに創作した“ある一夜の空想シーン”と、わかりやすい解説。中世・ルネサンス・バロックの音楽がリアルな実体感をもって手に取るようにわかる、これまでになかった「古楽入門」。
ストリートチルドレンを生み出す最大の原因は、貧困です。存在を忘れらた子どもたち。
知られざる「おとなの愛情飢餓」への心理セラピー。過去にケリをつけて前進するヒント33。
『車輪の下』で知られる青春文学の巨匠、ノーベル文学賞作家ヘッセが贈る人生の応援歌。ヘッセの小説、詩、エッセイ、手紙などから厳選した魂の言葉。
「誰でもなれる」「最底辺の職業」と警備員自身が自嘲する交通誘導員の実態を、悲哀と笑いで描き出すドキュメント、警備員の生活と意見。
普通の高校生だった越智葵は、義父の借金から暴力団、宗和会に己の身を売ることになった。友好の証にとロシアマフィアに贈られた葵は、性奴として淫蕩の限りをつくされ、躰を淫らにつくりかえられていく。老齢で葵を抱けないボスは、養子で組織のナンバー2のロジオンに葵を抱かせ、歪んだ欲望を満足させていた。絶望的な境遇の中、優しさを示し、愛称で呼ぶことを許してくれたロジオンに葵は惹かれていくがー。怜悧な美貌のマフィアと日本人の少年のデッドエンド・ラブストーリー。