神経細胞の活動を物理や化学の土台の上に立ってしっかりと理解することを目的とした書籍.初版出版から20年以上,生命科学系・薬学系・医学系・物理系・化学系・情報工学系のバックグラウンドを持つ学部学生〜院生・研究者が,細胞レベルの神経生理学を学ぶ際の教科書・参考書として好評を得てきた.
神経細胞の電気的応答特性を並列等価回路モデルのもとで理解するという初版時からの本書の目的を維持しつつ,第3版の大きな改訂点は,光学的手法による神経科学(光神経化学)の紹介である.第3版では,神経ネットワーク・脳にかかわる7章・8章の内容を大幅に改訂した.7 章では,神経ネットワークの動作原理と情報表現についてのごく基本的な考え方の紹介と,神経ネットワークの動作原理の解明に用いられるようになった光学的な研究方法についての原理の紹介を行った.「神経ネットワーク」という言葉からは,閾値素子を連結した,いわゆるニューラルネットワークによる情報処理あるいは機械学習をイメージされることが多いが,本書では神経系を構成するニューロン・グリアが相互に連絡作用しているウエットな脳組織をイメージしている.また,8章も同様の考え方で改訂し,脳波についての記述を細胞外電位の文脈にまとめ,新たに「エファプティック相互作用」の項目を追加した.加えて,4 章〜6 章にわたって,伝達物質,受容体,神経調節など神経化学的・薬理学的な内容を再整理した.
これから神経科学を学ぼうとする,あるいは周辺領域から神経科学分野に参入しようとする若手研究者にとって,脳・神経系における情報表現の主役であるニューロンの振舞いを理解するために最適の一冊である.
枯れ木の中では多種多様な菌類による「陣地領地獲得合戦」が繰り広げられています。その様子はさながら戦国時代のよう。武将として登場する菌類には,シイタケのような立派なキノコを作る種類だけでなく,顕微鏡を使わなければ見えないようなカビもたくさんいるのです。ただし,カビといっても侮るなかれ。決して雑兵ではありません。そもそも,キノコもカビも同じ菌類の違う姿にすぎないのです。
本書では枯れ木に生息する菌類をすべて「木材腐朽菌」と呼び,森の枯れ木の中で彼らがどのような暮らしをしているのか紹介します。最近の菌類生態学の大きな進歩の一つに,キノコではなくその本体である菌糸の野外でのふるまいに関する知識が急速に増えたことがあげられます。本書では,こういった最新の研究成果を盛り込んだ菌類生態学の解説を目指しました。
第1章 木材腐朽菌と木材
キノコとカビ
木材腐朽菌の多様性
木材の構造
第2章 木材腐朽菌による材分解の多様性
白色腐朽
褐色腐朽
軟腐朽
糖依存
第3章 枯れ木の中は戦国時代
金太郎あめ
木材腐朽菌たちの領地獲得競争
菌種間競争の勝敗に影響する要因
腹が減っては戦ができぬ
第4章 木材腐朽菌の生活史戦略
攪乱依存種
ストレス耐性種
競争依存種
菌類の資源競争モデル
第5章 ブナの原生林へ
ツキヨタケの夜
ブナの死亡判定人
原生林を徘徊
ブナの枯れ木のなかをのぞく
シャーレのビルに埋もれて
第6章 シイタケのホダ木の中をのぞく
シイタケ以外の住人たち
ホダ木ウォーズ
寄生者たちとの戦い
第7章 木材腐朽菌群集と分解機能
種間相互作用と材分解
種多様性と材分解
他の生物と菌類の相互作用と材分解
木材腐朽菌の広域分布と材分解
引用文献・参考文献
あとがき
解説(コーディネーター大園享司)
索引
「病院」が、病気のための建築から健康のための「健院」へと変わりつつある。21世紀・日本の医療施設のパラダイムシフト。
イスラム世界においてモスクとはどういう存在なのか?それは単なる「祈りの場」ではない。人々の社交の中心であり、教育施設、宿泊所、そして政治活動の舞台など、多様な役割を担ってきた。こうして人々の生活のなかに深く根づいてきたモスクには、イスラム世界の精神性のあらゆる歴史が刻み込まれている。その建築史的変遷、社会における機能の変化をたどれば、ときには政治史の常識が覆るような発見に出会うこともある。140点の図版とともに、壮麗なモスク建築の見方を説き、イスラム世界の深層を浮き彫りにする。
CBD-COP15(昆明・モントリオール生物多様性枠組み採択)や生物多様性増進活動促進法制定,TNFD(自然関連財務情報開示)等の動きが目まぐるしい。第1版(2018年刊)で掲げた「環境法は産業法の裏返し」というフレーズは、現実のものとなっている。産業法(漁業・農業・林業)や自然エネルギーも取り上げ、幅広い領域を網羅しアップデートした入門書、第2版。
第1章 自然環境政策の目標と基本的な考え方
第2章 自然環境法の目標と基本的考え方
第3章 環境規制の法的アプローチと規制の仕組み─環境影響評価法─
第4章 自然保護のための訴訟⑴
第5章 自然保護のための訴訟⑵
第6章 公害対策基本法から環境基本法へ
第7章 生物多様性条約および生物多様性基本法
第8章 生物多様性の主流化の広がり
第9章 種の保存・保全・防除に関する法律⑴
第10章 種の保存・保全・防除に関する法律⑵
第11章 自然公園法および自然景観
第12章 自然再生推進法および関係法令
第13章 水系管理に関する法律─河川,湖,海,海岸など─
第14章 漁業に関する法律
第15章 森林と山に関する法律
第16章 土地利用に関する法律
第17章 農業に関する法律
第18章 再生可能エネルギーとESGに関する法律
第19章 動物愛護管理および動物福祉に関する法律
親子間のインタビューにより引き出された様々な人の住経験を通じて、読者に住経験という視点の面白さや可能性を感じてもらう著書。
いまあらゆる組織が,これまでに経験したことのない状況や課題に取り組んでいる。そこで求められる〈先取り志向〉の着想と活動とは,プロアクティブな行動と組織とはいかなるものか。組織心理学,組織行動論のテキストとして,ビジネスパーソンの糧として。
第1章 プロアクティブ組織をめざして(古川久敬)
第2章 経験と対話による人材育成(高橋 潔)
第3章 未来志向の人事評価(柳澤さおり)
第4章 これから求められる効果的で主体的なリーダーシップ(淵上克義)
第5章 チーム力の育成・強化(池田 浩)
第6章 組織コミュニケーションの将来と待ち受ける課題(山口裕幸)
第7章 人材の多様な活躍を支えるワーク・ライフ・バランスが開く可能性(坂爪洋美)
第8章 組織の社会的責任のとり方(杉谷陽子)
主要目次:
1. 免疫学のあらまし
2. 免疫学を担うさまざまな細胞群
3. 食細胞による異物の排除:自然免疫から獲得免疫への橋渡し
4. 抗体の働き:抗原に結合する多機能タンパク質
5. 抗体の構造と種類:多様な機能を支えるタンパク質の構造
6. 抗体を得る方法:アジュバント,ワクチン,モノクローナル抗体
7. 抗体の生合成:多様な抗体を生み出す遺伝子
8. 補体系の働き:抗体に協力する血液タンパク質
9. 抗体と抗原の結合反応:検査試薬としての応用
10.抗体産生におけるT細胞とB細胞の相互作用
11.抗体産生とマクロファージ・樹状細胞
12.免疫担当細胞間のネットワークとサイトカイン
13.細胞性免疫の機構(1):キラーT細胞の働き
14.細胞性免疫の機構(2):細胞内寄生菌との闘い
15.アレルギー:免疫による身体の傷害
16.自己免疫:自己が自己を攻撃する病気
17.移植と拒絶反応:自己と非自己を区別する主要組織適合抗原
18.免疫不全症とエイズ:免疫系の障害による重篤な病気
19.がんと免疫
20.抗体医薬と免疫療法
コラム
わが国のグローバル戦略の一環としての「留学生30万人計画」は、2019年には日本で学ぶ外国人留学生の数が31万人強に達し、数字の上ではクリアした。しかしこの計画の「出口戦略」とも言うべき、留学生の「就職」に関しては、日本人学生と比べてかなり低い就職率となっており、かねてより問題視されている。
本書は、このような状況を受けて、日本の大学・大学院を卒業・修了した外国人留学生の日本企業における採用・活用をめぐる諸問題について、広範な分野の文献研究のみならず、日本企業、大学、そして留学生へのアンケート調査、ヒアリング調査を通して多角的にアプローチし、留学生の採用・活用をめぐる課題を浮き彫りにするとともに、その改革の提言を行っている。
すなわち、留学生を採用・活用することによる企業の「効用」として、「異文化シナジーの創出」「バウンダリー・スパナー(文化の橋渡し役)」「内なる国際化」の3点を挙げ、それらの効用を企業が享受し、新たな価値創造へとつなげるためには、ダイバーシティ・マネジメント(ダイバーシティ&インクルージョン)が求められる、と指摘する。
「組織の多様性の向上」を標榜しながら、外国人留学生の採用・活用に関して悩み模索を重ねている日本企業、また留学生の支援にあたる大学の担当者に向けて、変革へのヒントを提供する。
第1章 国民文化の多様性とそのマネジメントに関する理論的考察
第2章 わが国における外国人留学生の受入れと就職を巡る状況
第3章 日本の大学のキャリアセンターに対するアンケート調査報告ー外国人留学生の「就職状況」と「就職活動支援」についてー
第4章 日本企業に対するアンケート調査報告(1)-外国人留学生の「採用状況」と「採用活動」についてー
第5章 日本企業に対するアンケート調査報告(2)-外国人留学生の入社後の「人的資源管理施策」と「働きぶり」についてー
第6章 外国人留学生に対するアンケート調査報告ー外国人留学生の「就職活動」「就職内定」を巡る状況と「大学・企業への要望」
第7章 外国人留学生に対するヒアリング調査報告ー「就職活動で苦戦する背景」と「大学・企業への要望」及び「後輩の留学生への助言」:M-GTAによる分析ー
第8章 元外国人留学生社員に対するヒアリング調査報告ー「仕事上の苦悩」と「インクルージョンの促進要因」を巡る状況、「経営・人的資源管理に対する不満」及び「キャリア展望」:M-GTA(Modified Grounded Theory Approach)による分析ー
第9章 大学と企業の取り組みに関する事例研究
終 章 本書の総括と大学・企業・留学生に求められる変革
本書は、これまで問題とされてこなかった知財に、知識や組織、戦略に関する既往のフレームワークをあてはめることで、現実の“知財マネジメント”のあり方を浮き彫りにしていく。
本書はチャプレンへのインタビューを通してさまざまな疑問を検証するとともに、さらにスピリチュアルケアという対人援助の臨床構造を明らかにし、実践現場から求められるスピリチュアルケアの考え方や方法を紹介した画期的な本である。
今、日本中の広葉樹林は再び太くなり、伐りはじめられている。
しかし、我々は本当の森の姿を知らない。
本来の日本の広葉樹林は、さまざまな樹種が混ざり合う多種共存の森だ。
時に針葉樹とも混ざり合う巨木の森だったのである。
広葉樹の森づくりでは、全層間伐と天然更新で地域固有の多様性をもつ巨木林をめざす。
樹木の寿命に合わせ、数百年にわたり利用しながら、年々大径化していく木々は、
数世代にわたり山里の人びとの暮らしを支えていくだろう。
森の恵みをていねいに引き出しながら、
森と山里を真の意味で豊かにする森づくりと林業のあり方を提案する。
発達障害、心身症、慢性疾患を持つこどもに対して小児科医として関わるための心構え、診療技法、診断、治療、社会的サポートをBio-psycho-eco-socialな観点から捉える発達行動小児科学の成書。初の日本語訳。
1 発達行動小児科学の基礎
2 ライフステージ
3 こどもの社会的・環境的背景
4 発達および行動に影響を及ぼす生物学的因子・疾患・曝露
5 発達障害
6 行動・学習・情緒・メンタルヘルスにおける多様性
7 医療状況がこどもの発達および行動に及ぼす影響と支援
8 機能的発達領域における多様性と課題
9 発達行動小児科学における評価と測定
10 発達および行動上の問題に対する介入・支援・治療
11 発達行動小児科学における社会的・法的枠組みと支援体制
12 結論
本書の目的は、リテール金融事業における金融機関の競争環境を検証し、あるべき戦略の枠組みを明らかにすることである。考察する視点として、経営学の事業定義や競争理論に加え、金融システムが持つ機能に焦点をあてる。
銀行を中心とする金融機関の経営は、公共性を持つ社会的なインフラという側面が強く意識される一方、私企業としての競争と収益獲得が求められる。
金融機関が、安定的な収益と財務の健全性の両立、競争優位の発揮を志向する場合、個人や中小・零細企業を顧客層とした小口・大量処理を特性とするリテール金融は、1収益の変動性・不確実性が低く、2リスクが分散され、3マクロの個人消費と個人金融資産残高が安定していることから、一義的に魅力ある事業である。
実際、欧米を中心にリテール金融事業を経営の中核に据える金融機関は多くあり、収益力・競争力の観点で一定のプレゼンスを発揮している。
日本では、銀行の不良債権問題が顕在化した2000年代に入ってからリテール金融事業が本格的に注目を浴び始めたが、金融機関は、長引く低金利で預貸収益の低迷に苦しんできた。政府が掲げる「貯蓄から投資」の実現にも時間を要している。更には、先駆的な金融技術を武器とするフィンテックと呼ばれる企業群の事業参入など、既存金融機関から見て、リテール金融事業の競争環境は大きく変化している。発展の途上にあるリテール金融事業の研究は、個別金融機関の経営に留まらず、リテール金融の社会的な重要性の高まりに応える観点からも有意義であろう。
第1章 予備的な考察:金融システムと金融機関の経営
金融機関経営の特質/金融システムの不安定性/金融規制
第2章 全社戦略としてのリテール金融
リテール金融事業の勃興とその背景/リテール金融とホールセール金融/リテール金融事業の定義/日本におけるリテール金融の展開/リテール金融事業の収益の安定性/リテール金融事業と資金循環/主要金融機関の事業ポートフォリオと格付・PBR
第3章 事業戦略としてのリテール金融
リテール金融事業の多様性/リテール金融事業の競争戦略
第4章 機能的視点からのリテール金融事業の分析
機能的視点の有効性/機能的視点のリテール金融事業への適用/機能的視点とレギュラトリー・アービトラージ/機能的視点と比較制度分析論
いかなる環境下でも、生き残るために
新型コロナウイルス感染症の世界的流行を受けてニューノーマルへの移行が求められる状況において、中小企業はいかにして事業継続し、雇用の確保や地域経済の振興・発展に寄与していくべきか。事業の持続性や付加価値生産性を向上させる手法から、事業継続計画/事業継続力強化計画の策定・実施方法まで、中小企業が事業を継続するためのノウハウを詳細に解説。
中小企業の経営者のみならずそのサポートを行う金融機関の担当者、弁護士、税理士にとって必携の1冊!
第1章 事業継続力強化の必要性
1 多様な危機の顕在化・深刻化
2 激変する外部環境
3 脆弱な中小企業の財務基盤
第2章 事業継続力を高めるためには
1 事業継続力とは
2 劣化する内部環境
3 事業の「持続性」の向上
4 事業の「付加価値生産性」の向上
第3章 事業継続に必要な検討・実施事項
1 長期的な事業展開/態勢整備の検討
2 事業・経営上のリスクの評価
3 事業継続力強化計画の策定・実施
第4章 いかなる環境下でも、生き残るために
1 危機の発生は「チャンス」〜これを契機に改革・改善を推進〜
2 必要なのは「想像力」〜過去の経験や前例にとらわれない〜
3 危機の発生は「所与」〜あらゆることを想定し、必要な準備を〜
4 事業継続は「経営者の責任」〜他に依存せず、自律的な取組みを〜
5 事業継続を支えるのは「金融機関の使命」〜地域中小企業と運命を共に〜
世界は原発危機から何を学ぶべきか。
GDPでは計れない真の豊かさ、持続可能性を計測する事ができる新たな指標「新国富指標」とは?この新指標をわかりやすく理解するために、日本の現状を測定し、今日の日本の豊かさ、持続可能性を明らかにするとともに、持続可能性の向上のために今後何をすればよいのかを提言する。