環境を巡る社会のあり方について、生態学、経済学、法学の3つの学問分野から取り上げ、環境問題に関して総合的に解説している。まずは、気候変動の原因と影響、生物多様性と生態系サービス、地域の持続可能性といった地球環境問題を取り上げる。次に、環境政策の経済的手段とポリシー・ミックス、FIT、環境問題と経済成長など、環境と経済を学ぶ。最後に、環境基本法と環境法の理念・原則、個別環境法の仕組みと環境影響評価法、環境訴訟、原発規制と放射性物質による汚染への対処など、環境における法の役割を考える。
1.さまざまな地球環境問題 2.気候変動の原因と影響 3.生物多様性と生態系サービス 4.森林の持続的利用 5.環境問題と地域の持続可能性 6.環境経済学の基礎 7.環境政策の経済的手段とポリシー・ミックス 8.環境政策における経済的手段の理論と実際 9.再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT) 10.環境問題と経済成長 11.環境における法の役割 12.環境基本法と環境法の理念・原則 13.個別環境法の仕組みと環境影響評価法 14.環境訴訟 15.原発規制と放射性物質による汚染への対処
【金融イノベーションの光と影を歴史的に解明】
十字軍遠征、大航海時代の資金調達から始まったお金を回す仕組みは、交易ルートの開拓とともに進化、大規模化していった。それが、君主による私的ファイナンスから国家によるファイナンス(財政)へと国家運営の手段となり、南海会社バブル、異端児ジョン・ローを生み出した。そして産業革命によってファイナンスの巨額化が生じ、その要請に応えるべく近代株式会社が成立。資本と経営の分離が生じた。またコーヒーハウスから発祥した証券取引所は、次第に組織化され、流通市場も拡大し、コーポレートファイナンスの拠点として成長していく。そして、ニューヨークは産業革命後の勢いが陰るロンドンに代わってファイナンス拠点に成長していく。様々なリスクを回避すべく誕生した金融エンジニアリングはリスクの発見から創造へと暴走を始めるようになり、ブラックマンデー、サブプライム・リーマンショックを招く。経済発展の縁の下の力持ちとして成長・進化していったファイナンスが、先進国を破滅の淵に追い詰めるまでを様々なエピソードを交えて興味深く解説する。
ドラマティックな火山噴火は、地球内部で起きているダイナミックな現象と大きく関わっている。それらはどのような因果関係があるのだろうか?本書は、火山学の世界的権威である著者が、火山活動のプロセスと火山学における最新のテーマについて、プレートテクトニクス理論に基づきわかりやすく解説したものである。後半には、噴火予知、噴火が気候へ及ぼす影響、そして最後に火山の恩恵へと、より人類に身近かなテーマに沿った話題が展開される。全編を通じてちりばめられた、読者にとって魅力的であり、またイメージを膨らませる手助けとなる美しいカラー写真とわかりやすい図版は400点にものぼる。本書は地球科学分野の学生や研究者だけでなく、火山に興味のあるすべての人たちにとって、火山や噴火現象への理解を深めたり、またそれらが社会に及ぼす影響や恩恵についての知見を広めることに役立つだろう。
かつては身近な野草でありながら、絶滅危惧植物となってしまったものは数多い。その中のシンボルとも言えるサクラソウを主人公に、野草の暮らしぶりや花の適応進化、虫や鳥とのつながりを生き生きと描き出し、野の花と人間社会の共存の方法を探っていく。保全生態学の入門書としても大好評だった初版に、大型プロジェクト研究による分子遺伝生態学的成果を加え、植物の繁殖と保全の取り組みの方向性を示した。保全生態学の基礎解説も最新の記述に改めた。
ゲノム-プロジェクト研究をはじめとする最近の生命科学の成果は、医療や産業に大きな変化を与えるとともに、生命観や倫理観にも深い変革を迫っている。本書は、このような研究の進展が生物学にもたらした点を重視し、ゲノム(DNA)に基礎をおいて体系的に構成し直した新しいタイプの生物学の教科書・参考書である。遺伝子やタンパク質の配列情報がもつ意味、クローンや生殖医療、地球環境問題、プロテオーム解析、生命倫理など最新の話題に触れながら、生物学全般について解説している。
NHKの総合的な放送研究機関「文研(NHK放送文化研究所)」が、激変する多メディア時代の放送コンテンツについて、年ごとに調査・分析した論文で編纂する逐次刊行物の最新版。マスコミ関係者必携の書。
【内容】
●東日本大震災から10年
--関連テレビ報道の推移を検証するーー
●コロナ禍前後の中学・高校生の追跡調査にみる
家庭におけるデジタル学習とその可能性
●放送アーカイブ活用と肖像権ガイドライン
過去映像に写る顔は公開できるか
--メディアの未来に向けた考察ーー
●放送研究からメディア研究への多様な展開
--「調査研究文献総目録(1996〜2020)」の作成からーー
●東日本大震災から10年
--関連テレビ報道の推移を検証するーー
●コロナ禍前後の中学・高校生の追跡調査にみる
家庭におけるデジタル学習とその可能性
●放送アーカイブ活用と肖像権ガイドライン
過去映像に写る顔は公開できるか
--メディアの未来に向けた考察ーー
●放送研究からメディア研究への多様な展開
--「調査研究文献総目録(1996〜2020)」の作成からーー
生命の誕生した楽園である水中を追われ、過酷な陸上に避難した哺乳類の先祖たち。彼らはどのように環境に適応し、どうしてここまで繁栄できたのか? その秘密は「乳」というシステムにあった。生物の歴史を丹念にたどり、哺乳類、そして人という生き物の本質に迫る。人が生物の頂点に達するまでの壮大な進化の物語。(ブルーバックス・2015年1月刊)
はじめに
第一部 遺伝の仕組みにあった進化の根源
第一章 有性生殖を可能にした進化
第二章 有性生殖と遺伝的多様性
第三章 進化の仕組み
第二部 新天地を求めた動物
第四章 水中から陸上へ移動した生物
第五章 陸棲がもたらした進化
第六章 鳥類で見られる進化
第七章 哺乳類で見られる進化
第三部 進化の究極──乳腺と泌乳
第八章 乳の進化
第九章 乳腺の進化
第一〇章 泌乳制御の進化
第一一章 進化はヒトに何をもたらしたか
おわりに
非線形経済動学の手法を用い、金融構造の変化と経済の不安定性の関係を検討し、構造VARモデルを適用して実証分析を行う。
第1章 ポスト・ケインズ派マクロ動学分析の方法
第2章 構造VARモデル分析の方法
第3章 金融構造の変化とポスト・ケインズ派マクロ動学:展望
第4章 構造変化と金融の不安定性
第5章 Profit Sharing,労動シェア,及び金融構造
第6章 我が国における金融の不安定性:負債,確信,及び金融構造
第7章 金融資産の蓄積による金融化と経済の不安定性
第8章 アメリカ経済における構造変化と金融の不安定性
第9章 開放体系における構造変化と金融の不安定性
第10章 量的・質的金融緩和と日本経済
第11章 地域銀行の多様性戦略:実績と展望
MFCAの静脈産業への適用可能性を検討。資源循環型社会を支える静脈産業が、正の製品のアウトプットによって、産業全体の負の製品の削減に貢献しうることを理論と実証データから明らかにする。
日本学術会議が公表した大学における経済学教育の指針(「参照基準」)を、学会・学派を超えて真摯に検討し、経済学と経済(学)教育の可能性を多面的に追究する。
日本の文字の進化論的図式は正しいのか。
漢字から「万葉仮名」へ、そして平安時代の仮名へ。
『万葉集』を世界の文字史から見ると、7・8世紀の日本の書記や文学の歴史の問題がより明らかになる。
「万葉仮名」は歌を書くなかで生み出されたのではなく、
書くためにふさわしいメディアとして意識的に選びとられたものであった。
『万葉集』を通して世界を見るダイナミックな視点も提示。
古代日本の研究成果が、世界の文字史研究に寄与することを説き、日本古典研究の明日を拓く。
世界的規模の人類文化史的視点から、独自の『万葉集』文字文化の研究を進める気鋭の学者による、講演録。
はしがき(小川靖彦)
講師紹介(小川靖彦)
*
1 はじめに
『万葉集』の書記の多様性
「表音文字」と「表語文字」という視点
2 世界の文字史の伝統的な史観における〈表語〉と〈表音〉の関係
〈表語〉から〈表音〉への〈進化〉という捉え方
アルファベット=〈文明〉という神話
“表語から表音へ”という図式では説明できない
3 表音への〈進化〉とその〈干渉〉という概念が日本に当てはめられる
ディリンジャーの文字史観の限界
「東洋史における悲劇」
当たり前のものでない「言文一致」
「偉大な勝利」として複数のリテラシーの併存
英語のスペリングの表語性
文字制度をどのように捉えるべきか
4 『万葉集』と世界の文字史
表音文字主体の書記の少ない『万葉集』
表語文字主体から表音文字主体へという一九七〇〜八〇年代の定説
歌木簡の発見によって覆った定説
さまざまな要因によって選択された表語文字書記・表音文字書記
表音文字主体書記の多様性
5 おわりに
表語文字の排除という問題
『万葉集』から世界の文字史へ
講演を聴いてーコメントとレスポンス
●コメント(小川靖彦)
講演から想起されたことー日本語の文字の諸相
研究史における講演の位置
三つの質問
●レスポンス(ディヴィッド・ルーリー)
西洋と東洋では反対方向となる文字の神話化
書く行為と読む行為のさまざまなバランス
文字を使ったパフォーマンス
●会場からの質問への回答
⑴
1韓国・朝鮮語のハングルのように制定者が明らかな場合には文字は神話化しないのか
2現代韓国語が漢字でなく、表音文字のハングルを使っていることをどう考えるか
⑵ 資料1ⓐⓑのように同じ歌が別の巻に重複して掲載されているのは、編集ミスによるものか
⑶ 『万葉集』の表音文字主体の歌と表語文字主体の歌とでは、英訳する際に違いがあるのか
○青山学院大学文学部日本文学科主催招聘講演「世界の文字史と『万葉集』」について(山下喜代)
生きものの関わり合いを見つめる生命誌。分子も、細胞も、個体も…。もちろん人間も関わり合って生きている。
すべての道は「線虫」に通ず。
3億年以上にわたって繰り広げられてきた
驚くべき精緻な「生と死」の営み!
著者は日夜顕微鏡と向かいあう線虫一筋の生物学者。2020年に、中部大学の裏山に生息するゴキブリの腸内から新種の線虫を発見。「チュウブダイガク」と命名し、注目された。
線虫は、ほかの生物が生存不可能な極限環境でも生き、ほかの生物に寄生するものもいれば、自活するものもいる。生殖のあり方も多様で、雌雄同体も。昆虫以上に種類も数も多い。人類の健康問題を解決するためのヒントや、人類が自然と共存していくためのヒントを線虫から得ることもできる。
線虫には果てしない可能性がある。この一冊で線虫のすべてがわかる。
序 章 「気持ち悪さ」を超える魅力
第一章 地球上のあらゆる環境に適応
第二章 顕微鏡で見る生命ドラマ
第三章 どの生物グループに属するか
第四章 「生物の基本原理」に迫る
第五章 多様な性と生殖
第六章 進化をもたらした共生と競争
第七章 ヒトを宿主にした驚くべき感染サイクル
第八章 農作物の輸出入で問題となるリスク
第九章 線虫は感じている
農学・生命科学における動物遺伝育種を,統計遺伝学・分子遺伝学の両面から解説した教科書。〔内容〕動物の育種とは/質的・量的形質と遺伝/遺伝子と機能/集団の遺伝的構成と変化/選抜・交配・交雑/ゲノム育種/遺伝的管理と保全/他
マンガ、アニメ、ライトノベル、フィギュア、ゲーム、J-POP…。聴き取り調査やデータを駆使した経営学的な視点から、世界に注目される日本のコンテンツを支える産業構造の現在と未来を描き出す。
バイオサイエンスといえば、誰しもDNAやタンパク質を思い浮かべる。ところが、本書をいったん手にすると、糖や脂質といったこれまで馴染みの薄かった生体成分が実は多彩な生命現象に重要な役割を演じていることを知り驚くに違いない。本書の著者達はこのような信念と熱意をこめて、読者に語りかけている。ヒトゲノム配列の完全決定を目前にして、バイオサイエンスはポストゲノム時代に入ったと言われているが、次の主役は何なのであろうか.糖鎖の世界と脂質の世界は、それぞれの世界で地道に積み上げられてきた知識と技術が、ゲノム科学の成果と融合し、まさに主役の一人に躍り出ようとしている。しかしまだ桜なら2分咲きといったところ、面白そうだからと、これから研究を始めるヒトにとってもまだまだ宝が見つかるはずです。
第1章 糖鎖ワールド
序論 糖鎖構造から糖鎖生物学へ
1-1 シアル酸の分子多様性とその生物学的意味
1-2 糖転移酵素遺伝子によって明らかにされた糖タンパク質糖鎖の役割
1-3 糖ヌクレオチド輸送体
1-4 生体防御と動物レクチン
1-5 ガレクチンーある万能の脇役の物語
1-6 発生における糖鎖情報の役割
1-7 神経系と糖鎖
1-8 先天性グリコシル化異常症
第2章 脂質ワールド
序論 21世紀の脂質研究に期待する
2-1 糖鎖を含むイノシトールリン脂質の生化学
2-2 脂質メディエーターの産生制御
2-3 リポタンパク質と病気
2-4 過酸化脂質と疾病
2-5 スフィンゴ脂質の動態と機能
2-6 膜脂質と情報伝達
2-7 体細胞変異株を用いた膜リン脂質の生合成と機能の研究
2-8 タンパク質の脂質修飾
シリーズ全巻構成はこちら
なぜNPOは失敗するのか?“経験知”と“専門知”が詰まったNPOの実践的ノウハウ本。
平和な未来に必要なのは、哺乳類の本能を知ることだった
[オス脳ミーム]とは「人類社会に通念として伝承されてきた男性優位の社会脳」のこと。
進化学・生物学の研究者である著者が、
今、世界で起こっている戦争の原因と平和社会への道程を
科学的・社会学的観点から考察した現代人必読の一冊。
ジェンダー平等が叫ばれる今だからこそ必要な
人類と社会のあり方を考える新たな知見がここにある。
前書き
第1章 哺乳類の性淘汰(性選択)[オスーオス闘争]
〜 哺乳類の多くの種ではメスよりオスが大きいのはなぜか?
第2章 色覚遺伝子と性淘汰(性選択)
〜哺乳類の[オスーオス闘争]には恐竜が関与!?
第3章 攻撃性・暴力性を特徴とする哺乳類[オス脳(male brain)]による殺傷性
〜種のためではなく自身の衝動・欲求に依存!?
第4章 [オス脳]はアンドロゲン(雄性/男性ホルモン)によって形成される
第5章 [残存オス脳(residual male brain)]
〜 非・低アンドロゲン下でも[オス脳]は維持される
第6章 [オス脳ミーム(male brain meme)]
〜 オス脳を基盤とした社会に継承されてきた男優位の社会脳
第7章 [オス脳ミーム]を介した人類社会の殺人・殺戮・戦争
第8章 [オス脳ミーム脱構築(deconstruction of male brain meme)]へのヒント:非オス脳ミームの人たち
第9章 [オス脳ミーム脱構築]の実現に向けて:ミームシフト(オス脳ミームから多様性寛容の平和ミームへ)
第10章 [オス脳ミーム]という観点からの人類文化・世界の再構築
後書き:平和vs戦争
参考文献
わが国のグローバル戦略の一環としての「留学生30万人計画」は、2019年には日本で学ぶ外国人留学生の数が31万人強に達し、数字の上ではクリアした。しかしこの計画の「出口戦略」とも言うべき、留学生の「就職」に関しては、日本人学生と比べてかなり低い就職率となっており、かねてより問題視されている。
本書は、このような状況を受けて、日本の大学・大学院を卒業・修了した外国人留学生の日本企業における採用・活用をめぐる諸問題について、広範な分野の文献研究のみならず、日本企業、大学、そして留学生へのアンケート調査、ヒアリング調査を通して多角的にアプローチし、留学生の採用・活用をめぐる課題を浮き彫りにするとともに、その改革の提言を行っている。
すなわち、留学生を採用・活用することによる企業の「効用」として、「異文化シナジーの創出」「バウンダリー・スパナー(文化の橋渡し役)」「内なる国際化」の3点を挙げ、それらの効用を企業が享受し、新たな価値創造へとつなげるためには、ダイバーシティ・マネジメント(ダイバーシティ&インクルージョン)が求められる、と指摘する。
「組織の多様性の向上」を標榜しながら、外国人留学生の採用・活用に関して悩み模索を重ねている日本企業、また留学生の支援にあたる大学の担当者に向けて、変革へのヒントを提供する。
第1章 国民文化の多様性とそのマネジメントに関する理論的考察
第2章 わが国における外国人留学生の受入れと就職を巡る状況
第3章 日本の大学のキャリアセンターに対するアンケート調査報告ー外国人留学生の「就職状況」と「就職活動支援」についてー
第4章 日本企業に対するアンケート調査報告(1)-外国人留学生の「採用状況」と「採用活動」についてー
第5章 日本企業に対するアンケート調査報告(2)-外国人留学生の入社後の「人的資源管理施策」と「働きぶり」についてー
第6章 外国人留学生に対するアンケート調査報告ー外国人留学生の「就職活動」「就職内定」を巡る状況と「大学・企業への要望」
第7章 外国人留学生に対するヒアリング調査報告ー「就職活動で苦戦する背景」と「大学・企業への要望」及び「後輩の留学生への助言」:M-GTAによる分析ー
第8章 元外国人留学生社員に対するヒアリング調査報告ー「仕事上の苦悩」と「インクルージョンの促進要因」を巡る状況、「経営・人的資源管理に対する不満」及び「キャリア展望」:M-GTA(Modified Grounded Theory Approach)による分析ー
第9章 大学と企業の取り組みに関する事例研究
終 章 本書の総括と大学・企業・留学生に求められる変革