本書のいう感応現象には、病棟内での患者同士の影響、精神病の母親が子供に与える影響、若者の宗教活動・政治活動への没頭、心中と集団自殺、学生間のヒステリーの流行などが含まれる。歴史的でしかも現代的で興味深い感応現象を、著者は詳細な引用症例15と自験症例7を添えてコンパクトにまとめている。読者は本書を読むことによって、理論と臨床の双方を身につけることができるであろう。
人間は身体的・精神的存在であると同時に社会的存在でもあって、精神疾患も社会状況と密接に関連し合っている。そのなかで中学生のいじめや登校拒否、高校生の不食症や非行も、時代の疾患として登場してきた。児童青年精神医学のトピックスを網羅した本書は、その時代の要請に応えるべく企画編集された。さまざまな病態に臨床家が適切に対処するための指針となることをめざして、第一線の現場にある名古屋大学のグループが症例を中心に、その時代的意義、診断、病因、治療、予後、予防を具体的に述べている。
世の中、性の健康のための基礎知識が欠けている。お医者さんだって性の話は苦手だ。キンゼイ研究所のデータを駆使して、性の悩みに科学的に答えた最新の啓蒙書。
わが国におけるフランス精神医学の第一人者として知られる三好暁光教授はまた、青年期の精神病理と心理療法をはじめ多彩な業績を刻まれている。その該博な知識と温厚な人柄をしたって数多くの研究者・臨床家が、さまざまな領域から三好教授のもとに集い、あるいは親しい交流を続けている。本書は、これらの人々がそれぞれの立場から現代の青年たちのその心の新たな断面を浮き彫りにしようと試みたものである。
思春期妄想症の治療、破瓜病のフロイト、ラカン、ソシュールに拠っての検討、思春期妄想症の類型化試論、非定型精神病概念を青年期例にも有用とする見解、性の角度から行った境界例概念の再検討、笠原提唱のスチューデントアパシーのコフート、ラカンに拠った再検討など、概念と症例にたいする創見にみちたアプローチが展開される。後半では小学生・中学生の年代で問題にされてきた自閉症や、登校拒否や、家庭内暴力の、青年期における病態が論じられ、あるいは青年期に集中する性の病態が、とりあげられる。
母子保健学を図表で解説したマニュアル。第1章の母子保健概論から第19章の小児期の疾病異常と対策まで19のテーマに分けて全て図表でまとめた。第4版の改訂にあたっては総合的な子育て支援の実践の確立を基本理念として保健領域のみの活動でなく医療、福祉、教育領域との連携をはかり、近年問題とされる虐待対策等についても追加した。巻末に事項索引を付す。