鮮烈のデビューを果たし、アメリカ文学界の寵児ともてはやされていた若きカポーティが、自らが暮らし旅した風景と、そこで出会った友人たちとの思い出を透明感あふれる文章で綴ったエッセイ集『ローカル・カラー』。メイ・ウェスト、ジャン・コクトー、ルイ・アームストロングら、著者が一流と認めるアーティストを冷徹にスケッチした人物評論『観察記録』ほかを収録。カポーティの瑞々しい声が聞こえてくる傑作散文集。
ついに日米開戦。マドリードで日系ペルー人として諜報活動を続ける北都昭平とイギリス秘密情報部のヴァジニアとの関係は、困難なものとなる。そんな二人の前に一人の日系米国人女性があわられる。第二次大戦下のスペインを舞台に白熱する情報戦を描いた、『イベリアの雷鳴』『遠ざかる祖国』に続く長編第三弾。
昔のしきたりを大切にし、一生を和服姿で押し通した明治生まれの女性。そこには明治・大正・昭和を凛々しく生き抜き、水産・倉庫・運輸の分野で活躍した企業家の、試練に満ちた歴史があった。「これは世の中に必要な仕事だからどうしてもやらなければ」の一念で、50年前に国産初の冷凍車と、全国定温輸送網を作り、台所への生鮮食品輸送の大改革を成し遂げた福岡運輸の女性創業者・富永シヅの物語。
ダイエット中も甘いものはやめられない!「やせたいけれど、お菓子の誘惑にはやっぱり勝てない」そんな貴方へ贈る手軽に作れて、とってもおいしいスイーツ99品。
虐待を生き延びた子どもたちを、だれが、どのように支えているのか。在米日本人ソーシャルワーカーによる渾身のドキュメント&リポート。
鬼手、赫一号作戦発動。難攻不落を誇る第三帝国アカバ湾要塞を撃滅せよ。新鋭戦車「蒙古」軍団と共に、陸海からの砲撃で強固な海岸砲台を破壊するのだ。緒戦を飾る決戦の帰趨はいかに?大石被弾!総員配置!スエズを封鎖せよ。紅海中央部で激突する連合軍と独地中海艦隊。
日欧同盟によるパナマ閉塞に先立つこと二年ー。太平洋の覇権を巡り日本と敵対する米国は、奪われたフィリピンの救援を目論み、要衝パラオ攻略とミンダナオ島の極東軍救出を図る氷河作戦を策定。軍首脳部が兵の損耗を危惧したにも関わらず、リンドバーグ大統領は頑なに作戦を強行した!優れた速射性能で戦艦をも撃破してきたブルックリン級軽巡擁する米艦隊が侵攻を開始。迎え撃つ高速巡戦「浅間」の初陣は。
太平洋戦争最大の激戦地、「玉砕の島」硫黄島。昭和二六年九月から約一年間、武器回収業務で同島に渡った著者は、置き去りにされた同胞の屍を見過ごすに忍びず、遺骨遺品を収集、遺族への返還に努めた。その過程で発見された資料から、戦闘の模様、玉砕寸前の状況等を赤裸々に綴った、最初期の魂のドキュメント。
個人の主義主張、プリンシプルは誰にも辱められるべきではない。だが…対立は悪という社会構造の日本で、各人のプリンシプルを対等に討議する場は存在し得るのか。後年英国で更なる活躍を遂げた経済学の泰斗が、戦争をどう生きたか。学生時代と海軍時代を綴る自叙伝第1巻。
1台のクルマに“10年もしくは10万キロ”を超えて乗り続ける人々を金子浩久が取材、丁寧に紙の上に載せていく。「10年10万キロストーリー」。
溝口健二没後50年を迎えて開かれた国際シンポジウム「MIZOGUCHI 2006」。海外からは『ミツバチのささやき』『エル・スール』のビクトル・エリセ、『一瞬の夢』『長江哀歌』のジャ・ジャンクーら世界的監督と、世界でもっとも早く溝口を発見した映画評論家ジャン・ドゥーシェが、国内からは井口奈己、柳町光男、山崎貴ら気鋭の監督、芥川賞作家で映画評論も手がける阿部和重、そして溝口健二の助監督を長く務めた田中徳三が、さらに溝口作品を彩った香川京子、若尾文子らスターが一堂に会した。コーディネーターは、蓮實重彦と山根貞男。ヴェネチア国際映画祭で三年連続受賞という快挙を成し遂げ、今なお世界各国の映画監督に影響を与えつづける溝口作品に、「はじめて」出会う人々に向け、その新たな魅力を検証する。巻末に蓮實重彦、山根貞男、木下千花らによる書き下ろし溝口論を収録。
世界各国で活躍するアーティスト/DJが集結、“宇宙で生まれ育った30年後の17歳・LUMI”を想定したコンセプト・ユニットによるシングル。各自が自由自在にアレンジしたタイトル・チューン(3〜9曲目)は圧巻の一言。リミックスの面白さ・可能性を見せつけた一枚。
外務省官僚、高見澤柚月はある日、見覚えのないベッドで目を覚ました。混乱する柚月の前に現れたのは中東の王国アブダヒルの皇太子ラウール。友好親善のため来日したラウールの世話役を務めた柚月は、伽の相手を拒否したことで怒りに触れ、無理やり王国に連れ去られたのだ。望んだものは全て手に入れるーその言葉通り、柚月は全てを奪われハーレムの奥深くに閉じ込められてしまう。しかし、昼も夜も関係なく組み敷かれ与えられる快楽と屈辱に耐えられず、柚月は脱出を試みるが…。
日本敗戦後、オランダとのインドネシア独立戦争に身を投じた元日本兵たち。彼らはなぜ、帰国しなかったのか。“英雄譚”としてでなく、“悲劇の主人公”としてでなく、残留日本兵の等身大の姿を、徹底的なフィールドワークと貴重な一次史料の駆使によって初めて描き出す。歴史の闇を照射し、日本人の歴史観の変転を促す画期的論考。