アウステルリッツ戦で負傷し行方不明だったアンドレイが帰還した夜、妻リーザは男子を出産し死亡する。ピエールは愛のない結婚をして妻の不貞で決闘へ。ロストフ家の恋する若者たちは…様々な人生の一方でナポレオンはロシアを屈辱の講和へ導く。
妻の死後、田舎に隠棲する傷心のアンドレイを甦らせたのはナターシャだった。だが若さゆえの過ちから少女は誘惑者の手に。苦境を救おうと奔走するピエールが冬空に見たのは、ナポレオンとの再対決を予感させる、巨大な一八一二年の彗星だった…。
『みだれ髪』で明治の歌壇に新しい流れを導き、文学殿堂に「黄金の釘」を打ちつづけた与謝野晶子(1878-1942)の歌は、近代を最も近代的に生きた一人の女の軌跡を、余すところなく語っていて感銘深い。本書は、昭和9年までの全歌集から自選した2963首に加え、晩年の歌集『白桜集』より秀歌百首を追補した。
平家滅亡八百年、ロマンのヴェールを剥ぎとる。上巻に引続いて、時代そのものである主人公・宗盛、熊谷直実、重衡、義経、頼朝、建礼門院の六名を配列し、『物語』の真実と虚構を追求する。
ある夏の夕暮、ひとりの少年が大空に身を投げた。少年は、美しい、謎にみちた詩を残していた。「ぼくは/うちゅうじんだ/また/土のそこから/じかんの/ながれにそって/ぼくを/よぶこえがする」青春一歩前で死を選ばせたものは何か。「ひとり/ただ/くずれさるのをまつだけ…」謎はとけない。多くの人びとに深い感動をよんだ詩集に、今回新たに少年死後の、両親と読者との往復書簡を併収し、決定版とした。
くれなゐの二尺伸びたる薔薇の芽の針やはらかに春雨のふるー俳句革新運動における写生論を短歌に適用して、明治短歌革新の急先鋒に立った子規(1867-1902)の歌風は、多様な題材を自由に歌い、子規文学の頂点の一つをなす。全歌集『竹乃里歌』より短歌840首、旋頭歌6首を厳選した子規歌集の決定版。初句索引を付す。
平家都落ちの際、平忠度が藤原俊成に、新しい勅選集に一首なりと選ばれれば生涯の面目と、歌集一巻を託して西へ去ったという話はよく知られている。忠度の歌は読人しらずの一首として本歌集に採られた。全歌1288首。幽艶さの中に静かな寂しさを湛え、その抒情性は次の『新古今和歌集』のさきがけとなった。
ベストセラー「原色牧野植物大図鑑」のポケットサイズ「コンパクト版原色牧野日本植物図鑑」。写真と異なり細密なカラー図版で植物の細部まで確認でき、彩色部分図と部分名により各植物の特徴が一目でわかる。