日本の文字の進化論的図式は正しいのか。
漢字から「万葉仮名」へ、そして平安時代の仮名へ。
『万葉集』を世界の文字史から見ると、7・8世紀の日本の書記や文学の歴史の問題がより明らかになる。
「万葉仮名」は歌を書くなかで生み出されたのではなく、
書くためにふさわしいメディアとして意識的に選びとられたものであった。
『万葉集』を通して世界を見るダイナミックな視点も提示。
古代日本の研究成果が、世界の文字史研究に寄与することを説き、日本古典研究の明日を拓く。
世界的規模の人類文化史的視点から、独自の『万葉集』文字文化の研究を進める気鋭の学者による、講演録。
はしがき(小川靖彦)
講師紹介(小川靖彦)
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1 はじめに
『万葉集』の書記の多様性
「表音文字」と「表語文字」という視点
2 世界の文字史の伝統的な史観における〈表語〉と〈表音〉の関係
〈表語〉から〈表音〉への〈進化〉という捉え方
アルファベット=〈文明〉という神話
“表語から表音へ”という図式では説明できない
3 表音への〈進化〉とその〈干渉〉という概念が日本に当てはめられる
ディリンジャーの文字史観の限界
「東洋史における悲劇」
当たり前のものでない「言文一致」
「偉大な勝利」として複数のリテラシーの併存
英語のスペリングの表語性
文字制度をどのように捉えるべきか
4 『万葉集』と世界の文字史
表音文字主体の書記の少ない『万葉集』
表語文字主体から表音文字主体へという一九七〇〜八〇年代の定説
歌木簡の発見によって覆った定説
さまざまな要因によって選択された表語文字書記・表音文字書記
表音文字主体書記の多様性
5 おわりに
表語文字の排除という問題
『万葉集』から世界の文字史へ
講演を聴いてーコメントとレスポンス
●コメント(小川靖彦)
講演から想起されたことー日本語の文字の諸相
研究史における講演の位置
三つの質問
●レスポンス(ディヴィッド・ルーリー)
西洋と東洋では反対方向となる文字の神話化
書く行為と読む行為のさまざまなバランス
文字を使ったパフォーマンス
●会場からの質問への回答
⑴
1韓国・朝鮮語のハングルのように制定者が明らかな場合には文字は神話化しないのか
2現代韓国語が漢字でなく、表音文字のハングルを使っていることをどう考えるか
⑵ 資料1ⓐⓑのように同じ歌が別の巻に重複して掲載されているのは、編集ミスによるものか
⑶ 『万葉集』の表音文字主体の歌と表語文字主体の歌とでは、英訳する際に違いがあるのか
○青山学院大学文学部日本文学科主催招聘講演「世界の文字史と『万葉集』」について(山下喜代)
我々は何者なのか? 科学者はホモ・サピエンスをどのように定義し、我々の種は我々以外の絶滅した化石人類たちとどう違うのか? 本書は、最新の科学、特に遺伝学の進歩が、人類の進化に関する我々の理解をどのように変革しつつあるかを探る。私たちの祖先がどのようにして容赦なく変化する気候に適応し、芸術、技術、社会における驚くべき革新をもたらしたのか、私たちの種の進化に関する理解が、重大な発見と技術の進歩によってどのように変化したのか、その驚くべき物語を明らかにする。
著者は、25年にわたる現場での経験をもとに、アフリカからユーラシア、オーストラレーシア、そして最終的にはアメリカ大陸へと拡散していった人類の心の在り方の起源を示す洞窟や岩屋に読者をいざなう。ホモ・サピエンスの進化に関する一般的な説明は、特に遺伝学をはじめとする分子生物学的な研究を強調しているが、本書は、著者自身がおこなった氷河期における芸術の起源と初期のホモ・サピエンスの進化の調査を含め、具体的な発掘や遺物から得た豊富な情報も活用している。著者は特に「行動」に焦点を当て、考古学的証拠を用いて、ほとんど想像もつかないほど遠い過去に生きていた人々の生活に迫っている。
第1章 皮膚と骨
第2章 DNA研究の最前線
第3章 気候の変動と環境
第4章 拡散:アフリカからアジアへ
第5章 接触:ネアンデルタール人とデニソワ人
第6章 多様性
第7章 大災害:ホモ・サピエンス、ヨーロッパに到来す
第8章 ストレス、病気、近親交配
第9章 マンモスを中心とした生活
第10章 寒冷化
第11章 レフュジア:退避地
第12章 炉ばたと家庭
第13章 日の光が射さない世界:旧石器時代の洞窟絵画
第14章 ポータブル・アート:景観を持ち運ぶ
第15章 心の内側
第16章 死者の世界
第17章 アメリカ大陸への進出
第18章 家畜化の道:やがて人は自己家畜化へ
GDPでは計れない真の豊かさ、持続可能性を計測する事ができる新たな指標「新国富指標」とは?この新指標をわかりやすく理解するために、日本の現状を測定し、今日の日本の豊かさ、持続可能性を明らかにするとともに、持続可能性の向上のために今後何をすればよいのかを提言する。
精神医学界に大きなインパクトを与えるナシア・ガミーが現代の気分障害医療の問題点を歴史的,哲学的,科学的観点から読み解く。DSM疾病分類や精神科薬物療法の現状はこのままでよいのか。精神科医や患者は今どこにいて,この先どこへ向かえばよいのかを示した。幸福について本を書こうとした著者は,思索の末,絶望やうつ,躁に向き合うことなく幸福へは辿り着けないという結論に達した,その軌跡を共に見つめてほしい。現代の精神科医療における羅針盤となる一冊。
国や地方の行政、企業、NGOなど各分野の第一線で活躍している実践者を執筆陣に迎え、SDGsのなかでも中核を占める「環境問題」について解説。SDGsや環境問題の具体的な実践行動につながるようなヒントが満載。
非線形経済動学の手法を用い、金融構造の変化と経済の不安定性の関係を検討し、構造VARモデルを適用して実証分析を行う。
第1章 ポスト・ケインズ派マクロ動学分析の方法
第2章 構造VARモデル分析の方法
第3章 金融構造の変化とポスト・ケインズ派マクロ動学:展望
第4章 構造変化と金融の不安定性
第5章 Profit Sharing,労動シェア,及び金融構造
第6章 我が国における金融の不安定性:負債,確信,及び金融構造
第7章 金融資産の蓄積による金融化と経済の不安定性
第8章 アメリカ経済における構造変化と金融の不安定性
第9章 開放体系における構造変化と金融の不安定性
第10章 量的・質的金融緩和と日本経済
第11章 地域銀行の多様性戦略:実績と展望
本書の目的は、リテール金融事業における金融機関の競争環境を検証し、あるべき戦略の枠組みを明らかにすることである。考察する視点として、経営学の事業定義や競争理論に加え、金融システムが持つ機能に焦点をあてる。
銀行を中心とする金融機関の経営は、公共性を持つ社会的なインフラという側面が強く意識される一方、私企業としての競争と収益獲得が求められる。
金融機関が、安定的な収益と財務の健全性の両立、競争優位の発揮を志向する場合、個人や中小・零細企業を顧客層とした小口・大量処理を特性とするリテール金融は、1収益の変動性・不確実性が低く、2リスクが分散され、3マクロの個人消費と個人金融資産残高が安定していることから、一義的に魅力ある事業である。
実際、欧米を中心にリテール金融事業を経営の中核に据える金融機関は多くあり、収益力・競争力の観点で一定のプレゼンスを発揮している。
日本では、銀行の不良債権問題が顕在化した2000年代に入ってからリテール金融事業が本格的に注目を浴び始めたが、金融機関は、長引く低金利で預貸収益の低迷に苦しんできた。政府が掲げる「貯蓄から投資」の実現にも時間を要している。更には、先駆的な金融技術を武器とするフィンテックと呼ばれる企業群の事業参入など、既存金融機関から見て、リテール金融事業の競争環境は大きく変化している。発展の途上にあるリテール金融事業の研究は、個別金融機関の経営に留まらず、リテール金融の社会的な重要性の高まりに応える観点からも有意義であろう。
第1章 予備的な考察:金融システムと金融機関の経営
金融機関経営の特質/金融システムの不安定性/金融規制
第2章 全社戦略としてのリテール金融
リテール金融事業の勃興とその背景/リテール金融とホールセール金融/リテール金融事業の定義/日本におけるリテール金融の展開/リテール金融事業の収益の安定性/リテール金融事業と資金循環/主要金融機関の事業ポートフォリオと格付・PBR
第3章 事業戦略としてのリテール金融
リテール金融事業の多様性/リテール金融事業の競争戦略
第4章 機能的視点からのリテール金融事業の分析
機能的視点の有効性/機能的視点のリテール金融事業への適用/機能的視点とレギュラトリー・アービトラージ/機能的視点と比較制度分析論
日本学術会議が公表した大学における経済学教育の指針(「参照基準」)を、学会・学派を超えて真摯に検討し、経済学と経済(学)教育の可能性を多面的に追究する。
マンガ、アニメ、ライトノベル、フィギュア、ゲーム、J-POP…。聴き取り調査やデータを駆使した経営学的な視点から、世界に注目される日本のコンテンツを支える産業構造の現在と未来を描き出す。
「社会的企業」という新しい概念から、EU全15カ国の事例を詳細に分析、ポスト福祉国家におけるサードセクターを再定義して、経済と社会の転換と再生を理論的実証的に展望する意欲作。
基礎用語理解度Check、理解度Check、重要知識の解説、実力Check、教採試験にChallenge。5つのステップで鍛える。
バイオサイエンスといえば、誰しもDNAやタンパク質を思い浮かべる。ところが、本書をいったん手にすると、糖や脂質といったこれまで馴染みの薄かった生体成分が実は多彩な生命現象に重要な役割を演じていることを知り驚くに違いない。本書の著者達はこのような信念と熱意をこめて、読者に語りかけている。ヒトゲノム配列の完全決定を目前にして、バイオサイエンスはポストゲノム時代に入ったと言われているが、次の主役は何なのであろうか.糖鎖の世界と脂質の世界は、それぞれの世界で地道に積み上げられてきた知識と技術が、ゲノム科学の成果と融合し、まさに主役の一人に躍り出ようとしている。しかしまだ桜なら2分咲きといったところ、面白そうだからと、これから研究を始めるヒトにとってもまだまだ宝が見つかるはずです。
第1章 糖鎖ワールド
序論 糖鎖構造から糖鎖生物学へ
1-1 シアル酸の分子多様性とその生物学的意味
1-2 糖転移酵素遺伝子によって明らかにされた糖タンパク質糖鎖の役割
1-3 糖ヌクレオチド輸送体
1-4 生体防御と動物レクチン
1-5 ガレクチンーある万能の脇役の物語
1-6 発生における糖鎖情報の役割
1-7 神経系と糖鎖
1-8 先天性グリコシル化異常症
第2章 脂質ワールド
序論 21世紀の脂質研究に期待する
2-1 糖鎖を含むイノシトールリン脂質の生化学
2-2 脂質メディエーターの産生制御
2-3 リポタンパク質と病気
2-4 過酸化脂質と疾病
2-5 スフィンゴ脂質の動態と機能
2-6 膜脂質と情報伝達
2-7 体細胞変異株を用いた膜リン脂質の生合成と機能の研究
2-8 タンパク質の脂質修飾
シリーズ全巻構成はこちら
枯れ木の中では多種多様な菌類による「陣地領地獲得合戦」が繰り広げられています。その様子はさながら戦国時代のよう。武将として登場する菌類には,シイタケのような立派なキノコを作る種類だけでなく,顕微鏡を使わなければ見えないようなカビもたくさんいるのです。ただし,カビといっても侮るなかれ。決して雑兵ではありません。そもそも,キノコもカビも同じ菌類の違う姿にすぎないのです。
本書では枯れ木に生息する菌類をすべて「木材腐朽菌」と呼び,森の枯れ木の中で彼らがどのような暮らしをしているのか紹介します。最近の菌類生態学の大きな進歩の一つに,キノコではなくその本体である菌糸の野外でのふるまいに関する知識が急速に増えたことがあげられます。本書では,こういった最新の研究成果を盛り込んだ菌類生態学の解説を目指しました。
第1章 木材腐朽菌と木材
キノコとカビ
木材腐朽菌の多様性
木材の構造
第2章 木材腐朽菌による材分解の多様性
白色腐朽
褐色腐朽
軟腐朽
糖依存
第3章 枯れ木の中は戦国時代
金太郎あめ
木材腐朽菌たちの領地獲得競争
菌種間競争の勝敗に影響する要因
腹が減っては戦ができぬ
第4章 木材腐朽菌の生活史戦略
攪乱依存種
ストレス耐性種
競争依存種
菌類の資源競争モデル
第5章 ブナの原生林へ
ツキヨタケの夜
ブナの死亡判定人
原生林を徘徊
ブナの枯れ木のなかをのぞく
シャーレのビルに埋もれて
第6章 シイタケのホダ木の中をのぞく
シイタケ以外の住人たち
ホダ木ウォーズ
寄生者たちとの戦い
第7章 木材腐朽菌群集と分解機能
種間相互作用と材分解
種多様性と材分解
他の生物と菌類の相互作用と材分解
木材腐朽菌の広域分布と材分解
引用文献・参考文献
あとがき
解説(コーディネーター大園享司)
索引
「朝倉復刊セレクション」として好評書を復刊します! 微分幾何を数理科学の諸分野に応用し,あるいは応用する中から新しい数理の発見を志す初学者を対象に,例題と演習・解答を添えて理論構築の過程を丁寧に解説した。〔内容〕曲線・曲面の幾何学/曲面のリーマン幾何学/多様体上の微分積分
1. 曲線・曲面の幾何学
1.1 ベクトルの内積と外積
1.2 平面および空間の曲線
1.3 空間の曲面
2. 曲面のリーマン幾何学
2.1 一般曲面
2.2 リーマン幾何学
2.3 テンソル場
2.4 接続と曲率
2.5 平行移動と測地線
2.6 ガウス・ボンネの定理
3. 多様体上の微分積分
3.1 ベクトル場と諸演算
3.2 微分形式とその諸演算
3.3 複体とド・ラームの定理
4. 付 録
4.1 陰関数定理
4.2 解の存在と一意性に関する定理
4.3 1の分割の存在について
5. 問題・章末問題の解答
6. あとがき
7. 索 引
「失われた10年」、「戦略不全症候群」などともいわれる今日の日本経済を見据え、
経営における「戦略」とは何なのか。
全3部から成り、近年特に乱立する経営戦略論の諸説を、「孫子の兵法」から近現代にいたるまで時系列的に解説。
各理論の内容とともに、その歴史的文脈や理論の変化をあらためて理解することで、
現代日本経済の課題やこれからを展望する。
【執筆者】
坪井順一(第1?4・6・8章)、吉村泰志(第5・12章)、間嶋 崇(第7・14章)、高木俊雄(第9・15章)、
福原康司(第10・13章)、小酒井正和(第11・17章)、宇田川元一(第16・18章)
縦割り組織は変えられない。すごい人材も望めない。では、どうすれば今の組織とメンバーで最大の成果を出せるのか?カリスマに頼らず、個を生かす。チーム組織のメカニズムを大解明。
日本各地の都市の何気ない風景の「なぜ」の背後にあるメカニズムを経済学的に解説し、その理論を検証した最先端の実証研究を紹介。
本書の狙いは、ソフトクリスタルの本質を理解しながら、その多様性と可能性を探ることである。
近年、原子や分子が三次元秩序をもって配列した高秩序な結晶でありながら、「蒸気にさらす」「軽く触れる」といったごく弱い刺激や環境変化に対して、色や発光などの目に見える変化を示す物質が続々と見いだされてきた。このような物質群を「ソフトクリスタル」という。本書では、ソフトクリスタルの基本的な概念を解説し、重要かつ最新の研究を紹介する。
第1章 ソフトクリスタルとは
1.1 硬い結晶、柔らかい結晶
1.2 結晶の硬さ、安定性
1.3 ソフトクリスタルの定義:高秩序で柔軟な応答系
第2章 結晶について
2.1 結晶の定義と種類
2.2 分子結晶の成り立ち:分子間力
2.3 分子結晶の多様性:多形
2.4 結晶は変化する:相転移
第3章 結晶の目に見える変化:色変化と形状変化
3.1 ものの色:光吸収、光散乱、発光
3.2 刺激応答性色変化:クロミズム
3.3 ベイポクロミズム
3.4 メカノクロミズム
3.5 形状変化:超弾性、強弾性、超塑性
第4章 ソフトクリスタル最前線
4.1 集積発光性クロミック金属錯体結晶
4.2 ベイポクロミズムと物性との連動
4.3 フレキシブルに変形する分子結晶
4.4 刺激で動く分子結晶
4.5 化学発光する結晶
4.6 結晶構造予測
コラム目次
1. こすると光る結晶:トリボルミネッセンス
2. 固体どうしの反応:メカノケミカル合成
3. Pd···Pd相互作用:弱い金属間相互作用
4. 「ベイポクロミズム」という言葉の発祥
5. アモルファスからの結晶化をクロミズムで見る
6. 置換基のかさ高さが発光色とクロミズムを左右する
7. 計算化学が解き明かすベイポクロミック相転移
8. メカノクロミズムで磁性をON-OFFする
9. 弾性変形と光機能性との協奏
10. 塑性変形した結晶は、それでもなお「単結晶」なのか?
11. 超弾性クロミズム
12. 羽ばたく分子マシン
13. サーモサリエント現象と磁性との連動
14. 自己修復する結晶