日本古代において、大臣・納言とともに議政の任に与かった参議については、論ずべき点が多い。基礎史料を吟味し、多様な論考を批判・検討。王権と古代政治機構の関わりをも視野にいれて、参議制の実像を学界に問う。
十二世紀後半の内乱期、政治・経済・社会の諸問題に「王権」はいかに関わったのか。急速に台頭した武士と、対抗する後白河院、貴族・寺社勢力など、激動の時代の政治史の動向を探り、広く中世の国家と社会を展望する。
中世の在地社会は、村落と村落とが互いに関係しあい複雑にからまりあうなかで固有の世界をつくりあげていた。一揆・相論の際に村落住民が示す行動を追いかけることによって、そこでの対立と結合の実態を明らかにする。
中世と近世の連続性に重点をおいて、双方の研究者が共同で行ってきた研究会の成果。「権力の動向」「検地の特質」「荘園と村落」という三つのテーマで、中世から近世への移行期を地域に即した視座から総合的に論究する。
幕末維新を、地域社会、「攘夷」の諸相、維新政権、明治維新と歴史認識の四部にわけ、多角的に分析した論集。幕末長州藩の実態解明から戊辰戦争とアメリカの南北戦争とを重ねて論じた興味深い論稿までの諸論文を収録。
明治維新に始まる近代日本の歴史を、西欧と日本、日本近代化の動き、戦争とアジア認識の三部にわけて追究した論集。岩倉使節団、地租改正、大久保政権、甲午農民戦争など重要な問題を解明し、近代日本の実像にせまる。
19世紀、日本が迎えた一大変革、明治維新。その様相を“重層言語”と“国家形成”という新視角に立ち、和親条約期から版籍奉還に至る政治過程に焦点をあて究明。諸大名家の動向分析により王政復古の意義を解明する。
満鉄が国内政治と外交に与えた影響を多角的に論究する。後藤新平と満鉄調査部をはじめ、「満洲国」治外法権撤廃など、満鉄の抱えた各時期の重要問題を取り上げ、その様相を検証。満鉄・植民地研究に新たな一石を投じる。
著者は1973年の5月に『日本古代用水史の研究』を発表した。本書は、灌漑・治水の研究を主な研究目標と決め、続行した研究書である。
中国地方など11ヵ国に君臨したとも言われる戦国大名尼子氏。戦国動乱の中に滅亡したため実態は不明であった。残された史料を丹念に収集し、初めてその実像を描き出す。戦国期守護論や大名領国制論にも一石を投ずる。
信長・秀吉が天下を統一した16世紀後半は、中世から近世へ移行する日本史上重大な転換期であった。織豊期と呼ばれるこの時代の政治・社会を、権力構造・地域社会・対外関係など多面的に分析し新たな歴史像を提示する。
戦国期の足利将軍は細川氏の傀儡ではなく、幕府を主導して動乱の時代の中で生き残りの道を独自に模索していた。幕府内の実証的分析を通じて、戦国期「日本」を読み解くために不可欠な幕府・将軍の実像の解明に迫る。
棟を並べ甍を競った貴族たちの邸宅はいかなる盛衰をたどったか。王朝の日記・物語や絵巻に描かれ、政治の舞台と文学のサロンになった邸第を、文献の博捜と発掘体験によって詳述し、歴史と文学に新たな視点を提供する。
幕藩体制の確立にともない、江戸・大坂・京都に市場が生まれ、商品流通の大動脈が形成された。遠隔地商業・江戸問屋仲間の変遷を軸として、近世経済の発展から幕藩制的運輸体系の動揺までを流通の動態を通して描く。
占領期の経済改革および戦後の経済再建過程の歴史的特質を、民主化とアメリカニゼーション、西欧諸国の経済社会システム(ケインズ主義的福祉国家体制)の形成と一体になった経済復興という二つの側面から解明する。
明治二十年代の条約改正問題をめぐる藩閥政府と自由党・対外硬派などの諸集団の政治競合を分析。また伊藤博文・星亨の政治的手腕や、ジャーナリスト徳富蘇峰と政治との関わりに着目し、当該期の政治史像を再構築する。
平安時代中期、藤原氏の権勢下で、官吏として出世する道を閉ざされた中下層貴族たちはどう生きたのか。わが国初の往生伝集を編纂した慶滋保胤の生涯を、源信との関わりなどを通して、浄土思想の発展過程に位置づける。
平安から戦国時代の政治史研究の最新成果。「平安京と公家・権門」「鎌倉・室町期の武家権力」「中世社会の諸相」をテーマに、様々な視点から論究。平安期の公家政権、中世の国家権力の様態をも展望する十三編を収録。