固定的な性別役割分業規範、危ういワーク・ライフ・バランス、不安定な雇用、大きな男女間賃金格差……厳しい状況の中で過剰なストレスとメンタルヘルス不調に苦しんでいる多くの働く女性に、いま何が必要なのか。本書では、医学・医療を中心とした多角的な視点から国内外の研究を幅広く精査し、働く女性のストレスとメンタルヘルスをめぐる現状と課題の全容を明らかにする。エビデンスベースの対策を後押しする基本テキスト。
目次
はじめに
第I部 働く女性のストレス:その現状と課題
1 働く女性の活躍推進とストレス:法政策の動向からの接近
2 キャリア・ストレスとキャリア形成
3 女性の晩婚化、晩産化とストレス
4 ひとり親で働く女性が持つストレスの現状と課題
5 育児・介護ストレスとワーク・ライフ・バランス:就労支援の現状と課題
6 雇用形態の多様化と働く女性のストレス
7 働く女性の健康格差:ジェンダーの影響
8 いじめ・ハラスメントの現状と課題
9 性暴力被害の心理的影響と被害者支援
Column 女性のライフステージの理解
第II部 働く女性のストレスとメンタルヘルス不調
1 働く女性のうつ病と自殺:多様性の理解と治療・援助への還元
2 職業性ストレスによるメンタルヘルス不調の男女差
3 女性労働者の労災における業務上災害の特徴と精神障害
4 女性看護師の職場ストレスとメンタルヘルス不調
5 働く女性に多く見られる心身症関連疾患
6 更年期女性の心身症
Column 精神障害における性差
第III部 働く女性のメンタルヘルスケア:その実践と支援
1 ストレスチェック制度導入の実際と高ストレス女性面接の留意点
2 働く女性の健康管理と女性外来のあり方
3 疾病を抱えた女性の治療と就労の両立支援
4 依存からの回復支援:女性の飲酒とアルコール依存
5 災害時の女性支援者のストレスとその対策
6 カウンセリングによる働く女性のキャリア支援
7 若年女性の就職活動ストレスとメンタルヘルスケア
8 アンガーマネジメントおよび攻撃/敵意対応のノウハウとスキル
9 EAP機関による女性支援
10 多様化する女性労働と人材開発
11 女性労働のメンタルヘルスケアに必要な法的側面
Column 女性研究者のキャリア形成
第IV部 トピックス
1 働く女性のポジティブメンタルヘルス:ワーク・エンゲイジメントとワーク・ライフ・バランスからの理解
2 ダイバーシティの尊重とLGBT対応:生物学的性、性的指向、性自認の観点から
3 母性保護に関する政策:近年の国際的動向
4 海外における女性労働者のメンタルヘルス対策:先進諸国の取り組み
Column ストレスチェック制度と職場復帰支援の接点:女性好事例の経験から
資料 働く女性の産業ストレス対策の現状と展開
資料I 働く女性の母性保護と健康管理、並びに就業制限の概要
資料II 働く女性の産業ストレス対策関係年表:女性労働に関する法政策とメンタルヘルス対策の動向
人名索引
事項索引
地方圏の人口減少、高齢化が急角度で進んでいる。特に地方の中小都市では若者人口の流出が著しい。そのような中で、必死の工業化を推進してきたのが岩手県北上市である。地方圏の中小都市の中ではほとんど唯一、人口を維持し、産業活動も活発なことで注目されている。
この地域は、藩政時代は南部藩と伊達藩の境界に位置し、産業発展の契機をつかむことができなかった。1954年の町村合併によって市としてスタートするが、数年は財政再建団体として苦難が続いた。だがその間も人びとは懸命に「工業立市」に向けた努力を重ねた。巨大工業団地の開発、語り草になるほどの果敢な企業誘致を重ね、ついに北東北一の産業集積を形成することに成功。現在、工業団地は10カ所、約690ヘクタールにも及び、進出企業は270社以上を数える。優れた地元中小企業も育ち、工業集積の厚みも増している。
ただし、近年、同市を取り巻く状況も大きく変わってきた。看板の半導体産業は世界的な再編の中で構造転換を迫られている。次の時代を期待され、集積が始まった自動車産業は、取り組みが思うようには進んでいない。他方で、交通条件の改善もあって北上の拠点性が注目され、物流関係企業の集積が進んでいる。また、発展する市街地と、人口減少・高齢化の進む郊外の中山間地域との市内格差という問題も生じている。
他に類を見ない発展を遂げてきた北上市の次の課題は、工業集積の内面の高度化を果たし、内発的な展開力をつけることである。さらに、北東北の工業ネットワークの形成、地元の人びとの暮らしを豊かにしていくための地域産業社会の形成も必須であろう。その意味で、北上は「地域創生」時代の先駆モデルでもあり、私たちはその成果だけでなく課題からも学ぶことができるだろう。(せき・みつひろ)
ダム建設、サンゴ礁保護、放射性廃棄
物、砂漠化、遺伝子組み換え作物など、
世界各地の環境問題から12の典型例
を取り出し、生態系と人間社会の不可
避的な葛藤と解決への道を考えていく。
フィールドワークに憧れて現場に飛び込んだものの、実体験と理論のギャップに立ちすくむ…。そんな状況を打ち破るために「国際協力」という可能性を提示する。より良い世界への架け橋をめざして。
発芽は一瞬の出来事だが、それは植物の一生を左右する瞬間といえる。小さな種子のなかに秘められた、好機を逃さず発芽するしくみとは? その意義とは? フィールドと分子生物学をつなぐ初めての本。
「いいものを安く売る」から「プレミアムなもの(サービス)を価値に見合った価格で売る」へ。地域の付加価値や生産性を高め、賃金を上昇させ、地域が経済的にも精神的にも活性化する好循環を生み出すためのさまざまな事例を紹介。
本書は、アジアの農村を対象として、⑴人口と農業、⑵むら共同体の機能、⑶市場を形成する商人(財市場)、そして(4)農村金融市場の4つの柱で構成される。「人口と農業」以外では、冒頭で議論の枠組みを説明して、そのあとで「開発の現場」を念頭に置いた解説をする。アジアは多様であり、すべての地域に妥当する結論の提示はできない。ひとつの地域でえられた知識を普遍化することは、危険性をはらむものであるので、いくつかの地域を比較した議論をする。具体的事例から、開発課題の背後にある因果関係を捉える方法の習得を目標とする。
1.貧困とは 第1部:人口と農業 2.人口と経済発展 3.農業と工業化:リカードの成長の罠 4.緑の革命 5.食料問題から農業問題へ:インドの経験 第2部:むら共同体 6.むら共同体とリスクへの対応 7.共同体と共有資源管理 8.共同体の多様性と開発 第3部:財市場 9.市場と商人:市場の低発達性 10.農産物にみる財市場の多様性 11.農村工業:ラオスの手織物業 第4部:農村金融市場 12.農村金融をみる 13.グラミン銀行 14.信用組合 15.開発の現場から:ラオス南部の事例
生活における快適さ"comfort"は時代によってどのように変遷してきたか。マルサスが唱えた愉楽の標準(standard of comfort)を軸に、J.ステュアート以降、J.S.ミル、マーシャル、ヴェブレン、ロバートソンなど9人の経済学者たちの思索を辿る。
序 章 「愉楽の標準」と経済学者たち 柳田芳伸
第1章 奢侈的な豊かさは幸福を意味するか
--J.ステュアートの嗜好の標準と生存の標準 古谷豊
第2章 ウィリアム・ペイリーの幸福概念 柳沢哲哉
第3章 デュガルド・スチュアートにおける 「動機づけ」の政策思想
--「愉楽の標準」に焦点を当てて 荒井智行
第4章 マルサスにおける「貧窮の標準」と「愉楽の標準」
--「便宜と愉楽に対する嗜好」を手掛かりにして
柳田芳伸
第5章 J.S.ミルの『経済学原理』における幸福と適度な「快適の標準」
--多様な私有財産制の可能性と政府の役割 小沢佳史
第6章 マーシャルの生活標準への途
--進歩の源泉を求めて 近藤真司
第7章 ゆたかさと不平等分配
--ヴェブレンにおける「品位の標準」が意味するもの
石田教子
第8章 余剰と余暇
--ホブスンにおける分配の人間的原理 尾崎邦博
第9章 経済の進歩、変動、格差
--ロバートソンにおける「安楽の標準」と「生活の標準」 仲北浦淳基
1章 「管理しない経営」が最初に直面した4つの問題
2章 お金・情報 すべての情報を公開することで、マネジメント不要の仕組みを作る
3章 責任・権限 「上下関係のないフラットな組織」における人間関係のリアル
4章 計画・実行 「管理しない経営」では、誰がどのように意思決定をするのか?
5章 多様性 人も組織も自然に任せる
6章 コミュニティ 社外にも広がっていく「管理しない経営」
中国からきた漢字を、情緒と繊細さをもって独自のものに変えてきた日本人。中国では漢字の音が重視されたが、日本では形や意味にもこだわった。歴史と共に変化する漢字の面白さを学べる一冊。
ー目次ー
はじめに
・誤解された“グローバル人材”
・「自利利他」の精神を持つ人財に育てる
・共感力を高める研修の必要性
・ロジカル・シンキングからデザイン・シンキングへ
・自ら課題を見つけ出す能力
【第一章】 グローバル人材は、集めるから育てるへ
・「どんな環境でも成果を生み出せる人材」が企業が求めるグローバル人材の定義
・多様な人材を取りまとめて率いることができるグローバル人材
・グローバルであるとはどのようなことか
・コミュニケーション能力の高さの意味するもの
・持って生まれた「適性」よりも、自社の戦略や役職ごとに求められる「知識」と「能力」を引き上げる
・多様な文化への理解力と語学力は良質な経験と適切な学習方法で身に付ける
・個々の企業の事業内容を見極め、適切な道筋を示すことが人材育成の近道
【第二章】 ビジネスにハートを。思いを伝えるコミュニケーションの5つのポイント
言葉には現実を変える力がある
・「認知的共感」と「情動的共感」のバランス
・「阿吽(あうん)の呼吸」や「察しの良さ」に頼らない
・言葉の使い方で相手のパフォーマンスが変わる
Point ? 共感力によって多様性の相乗効果を高める
Point ? 完全主義と減点主義からの脱却
Point ? 身に付けた知識を、問題解決の力に変える
Point ? コミュニケーションの目的を見定める
Point ? 多様性からシナジー効果を生み出すファシリテーション力
【第三章】 使える! 研修事例
Case ? 子どもたちの心の育ちに深く関わる教員こそ、自ら学ぶ姿勢を
ー学校法人河野学園 緑ヶ丘幼稚園様
Case ? 相手に寄り添って考える姿勢を忘れないために
ーメガバンク様
Case ? 単なるディベートで終わらない議論のスキルを
ー模擬国連会議関西大会運営事務局様
Case ? 研修が終わったときからが始まり
ー株式会社フローレツエンティワン様
Case ? デザイン・シンキングで成熟市場での消耗戦から脱出する
【第四章】 時代の変化に立ち向かえる人材作りで日本企業を支援する
・人間ならではの優れた面を重視した教育
・主体的に気付きを得て成長できる人材作り
・英語の学習を目的にするのではなく、英語を使えることで何ができるかを目的にする
謙虚であれ
・参加者の気付き・成長を促す質の高い研修
【第五章】 学習塾事業を通じてグローバル人財を育成する
・私たちが高めるべき能力は何か
・「三方良し」の精神で教育に携わる
・何のために勉強しているの?
・子どもたちに、より多くの選択肢を持たせたい
・志望校に合格することがゴールではない
・少子化でも塾が成長産業である理由
・知識から価値を創造できる子どもたちに
・自分の価値を高める塾での学び
・まず自らがグローバル人財に
・女性が活躍できる会社
・ヒューマン・ブレーン国際事業本部可能性の追求
おわりに
新しい時代に活躍できる人財を
グローバル化と新興市場経済の台頭、金融面を含めた技術革新など現在、企業も市場・社会も大規模な変動を経験し、企業は多様な姿を見せている。もはや企業を1つの型にはめ込んでとらえられないし、市場・社会は多様性を受け入れざるをえない。何に、そしてどのように変わるのか。本書は、新しい企業社会のルール・価値観を検証し、その国際比較像を大担に提示している。金融危機の明日を考える上で欠くことのできない材料を提供する。
不確実な時代、持続的な発展のために「ありたい姿」をみんなで共有しよう。
本書は2000年11月22・23日の2日間にわたり東京大学海洋研究所において開催されたシンポジウム「魚類神経科学研究の現状と展望」の内容を中心にまとめたものである。
UFO研究書のベストセラー全訳!機密文書が語るUFO事件の真実。米政府は何を恐れ、何を隠したか?政府機関の隠蔽工作の謎に迫るノンフィクション。初公開の政府文書。
陸上植物の代表的な群でのゲノム解析が進展し、それらの比較から、陸上植物の四群(種子植物、シダ植物、小葉植物、コケ植物)では、それぞれ発生様式とその遺伝子制御ネットワークが大きく異なっていることがわかってきた。
本書ではこれらの成果をもとに、植物進化の新しい体系の構築を試みた。現生植物のゲノム生物学、細胞生物学、発生学、形態学の知見に古生物学の知見を融合し、陸上植物全体について包括的に形態と進化を議論した、世界に類を見ない教科書と言える。
要約目次:
1.生物学: 生命の科学
第1部 細胞
2.生命の化学的基盤
3.生命を担う有機分子
4.細胞の中の生物学
5.動的な細胞
6.生命を担うエネルギー
7.細胞のエネルギー
第2部 遺伝学
8.細胞の増殖
9.減数分裂と有性生殖
10.遺伝様式
11.DNAの生物学
12.バイオテクノロジーとゲノム学
13.突然変異と遺伝子検査
第3部 進化
14.ダーウィンと進化
15.小さな規模の進化
16.大きな規模の進化
第4部 生命の多様性
17.微生物:ウイルス,細菌,原生生物
18.植物と菌類
19.動物
第5部 植物の構造と機能
20.植物の解剖学と成長
21.植物の応答と生殖
第6部 動物の構造と機能
22.組織化と定常性
23.循環系:体内の輸送系
24.呼吸器系と泌尿器系: 体内環境の維持
25.消化とヒトの栄養吸収
26.病気に対する防御
27.体内環境の調節系
28.感覚入力と運動出力
29.生殖と胚発生
第7部 生態学
30.生態学と個体群
31.生物群集と生態系
32.生物圏への人間の影響
農業が新たな時代を迎えつつある。PCやスマートフォンなどの情報通信技術が急速な発展を遂げている。米価の低迷、国際的な自由競争の影響を受け、日本の農業は苦境にある。一方で、革新的な経営体が法人化(企業化)し、経営規模を拡大する事例も増えている。大規模化した経営体では、生産コスト低減のため、作業効率の向上が不可欠となる。同様に、農産物の品質向上のために栽培技術の向上も必須である。農業のスマート化は、栽培に関する様々なデータの収集・分析を可能とした。これにより、栽培技術の共有・向上が可能となり、作物の品質向上や栽培コストの低減が実現しつつある。各地の事例を元に、スマート農業の今後の展望を解説する。
まえがき
刊行にあたって
序章 本書の目的と構成
第1章 稲作経営革新の現状
第1部 農匠経営技術パッケージを活用したスマート水田農業の実践
第2章 先進稲作経営が主導する技術パッケージの開発と実践
第3章 茨城県におけるスマート水田農業の実践
第4章 福岡県におけるスマート水田農業の実践
第2部 稲作スマート農業における情報通信・自動化技術の可能性と課題
第5章 ビッグデータ解析による水稲収量品質の決定要因解明と向上対策
第6章 情報通信・自動化技術による稲作経営・生産管理技術の改善・革新
第7章 大規模稲作経営における情報通信・ロボット技術導入効果
第3部 稲作経営の事業展開・マネジメントと国際競争力
第8章 稲作経営の経営管理と情報マネジメントー他作目と比較した特徴ー
第9章 稲作経営におけるTPPの影響と対応策ー他作目と比較した特徴ー
第10章 世界の稲作経営の多様性と競争力
第11章 次世代稲作経営の展望
索引
執筆者一覧